強い日差しと厳しい暑さが選手たちを襲う中、関東女子リーグ戦(関東リーグ)第10節武蔵丘女子短大戦が行われた。前半、ワセダは何度もシュートチャンスをつくるも決め切ることができない。しかし途中出場のMF中井仁美(スポ1=兵庫・日ノ本学園)が58分に先制点を決めると、勢いに乗ったワセダは63分、83分と立て続けにゴールを奪う。試合はワセダが守りに入ることなく攻め続け、難なく勝ち点3を獲得した。
早慶女子サッカー定期戦(△0-0)での悔しいドローから中3日。相手は前期3-1で勝利した武蔵丘女子短大。嫌な空気を断ち切るためにも絶対に勝利をつかみたい一戦だった。立ち上がりからワセダは華麗なパスワークで相手の選手たちを翻弄(ほんろう)する。2分には公式戦初出場のMF三田村桃子(スポ1=宮城・常盤木学園)がミドルレンジからファーストシュートを放つが、これは惜しくも相手GKが正面でキャッチ。その後も中盤のMF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)や三田村を中心に積極的にプレッシャーをかけてボールを奪うも、なかなか得点に結びつけることができない。逆に横パスをカットされて相手のカウンターを受ける場面も見られるようになり、ゴールが遠い状況のまま前半を0-0で折り返す。
公式戦初出場を果たした三田村
早めに先制点を取っておきたいワセダは、後半の立ち上がりから積極的に相手陣内へ攻め込む。そんな中迎えた58分、三田村がカットしたボールをDF大島瑞稀(社3=宮城・常盤木学園)が相手DFとの1対1の勝負に持ちこみ、クロスを上げると、後半途中から投入されたMF中井仁美(スポ1=兵庫・日ノ本学園)が合わせ待望の先制点がうまれた。勢いに乗ったイレブンはさらに攻勢を強める。63分にはDF大島茉莉花(スポ4=鹿児島・神村学園)がドリブルでエリア内に切りこんで出したパスを、正野がやや体勢を崩しながらも落ち着いてゴールに流し込み追加点を挙げる。また83分には中井が正野からのマイナスのクロスを冷静に押し込み3-0とする。その後はここ2試合無失点のDF陣を中心に安定した守備を見せる。試合はこのまま終了し、3-0で勝利を収めた。
途中出場から2得点を挙げた中井
後半運動量が落ちてきた相手に対して、ワセダは運動量を落とさずハードワークを続け3得点を挙げた。「最近の中では良いゲームだった」(DF小野田莉子主将、スポ4=宮城・常盤木学園)という言葉の反面、「まだ決定力が足りない」(大島茉)と依然として改善しなければならない課題は残されている。ケガにより離脱している選手や次節出場停止の選手がいる中で、次節の筑波大戦が大きな正念場となりそうだ。
(記事 橘高安津子、写真 伊藤なつ実)
スターティングメンバ―
関東大学リーグ戦第10節 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 3 | 0-0 3-0 |
0 | 武蔵丘女子短期大 |
【得点者】(早)58、83中井、63正野 |
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 1 | 三田一紗代 | 京都精華女子 | 社4 |
DF | 3 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ4 |
DF | ◎4 | 小野田莉子 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
DF | 12 | 大島瑞稀 | 宮城・常盤木学園 | 社3 |
DF | 23 | 奥川千沙 | 静岡・藤枝順心 | スポ1 |
MF | 8 | 権野貴子 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
FW | →71 | 平國瑞希 | 宮城・常盤木学園 | スポ1 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社3 |
MF | 13 | 山本摩也 | スフィーダ世田谷 | スポ3 |
MF | 31 | 三田村桃子 | 宮城・常盤木学園 | スポ1 |
FW | 14 | 一原梓 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
FW | →55 | 中村仁美 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ1 |
FW | 11 | 川原奈央 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ2 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)
――3-0での快勝となりました
早慶定期戦の試合内容が全然良くなくて、その悔しさをこの試合で出していきたいというか、いままでの反省をこの試合で生かしていきたいなという思いで挑みました。早慶定期戦前の関東リーグ(関東女子リーグ戦)でも1-0(○東京国際大)、1-0(○ジェフ千葉レディース)という試合が続いてあまり点数が入っていませんでしたが、今節はしっかりサイドを使いながら多くのチャンスをつくり3得点を挙げることができました。入りの部分から気持ちも入っていましたし、最近の中では良いゲームだったんじゃないかなと思います。
――前半に関してはなかなか先制点を奪えず、苦しい展開となりました
スピードのある相手選手に対して最後の部分でDFが対応して防ぐことはできましたが、中盤の奪われどころが悪くてピンチを招いてしまいました。攻撃に関してはえぐってクロスを上げることはできたんですけど最後の中への入りが悪くて得点を奪うことができず、0-0という厳しい展開になってしまったのかなと思います。
――相手の武蔵丘女子短大は前期よりも組織力が上がった印象がありました
中盤にうまい選手がいて前線に速い選手がいて、前期よりもそのスピードのある選手にフリーで持たせてしまうことが多くなってしまい、相手の良い部分を出させてしまったんじゃないかなと思います。
――後半に向けてハーフタイムに話したことは
前半も0-0ではありましたが、前からしっかりプレスを掛けにいけていることや、サイドのところで可菜子(MF正野、社3=兵庫・日ノ本学園)や茉莉花(DF大島、スポ4=鹿児島・神村学園)が深くえぐってクロスをあげてチャンスをつくれているという状況があったので、そういうところは続けていこうっていう話をしました。
――後半に奪った先制点はまさにワセダが狙っていた、崩してからのかたちだったのではないでしょうか
瑞稀(DF大島、スポ3=宮城・常盤木学園)がドリブルでうまく抜けていって深い位置からのクロスで得点を挙げることができたので、すごくいい展開だったと思います。
――直後には2点目もうまれました
後半の早い時間帯2-0になれたというのは気持ち的にも心の余裕ができたと思います。
――ここから一気に攻撃のリズムができていったと思います
自分たちの勢いも出てきて、ダイレクトパスや前線に抜ける動きというのが増え、ボールと人が動くという本当に良い流れでサッカーができたと思います。あと、相手の運動量が落ちてきたので、こちらが運動量で上回って良いリズムをつくれたんじゃないかなと思います。
――1-0という試合が多かった中で、今節は3得点を挙げることができました。これまでとの違いはどこにありましたか
まず、危機感というのがチームにうまれてきて、どうやったら点が入るのかというのは意識したり話し合ったりして、イメージを持って練習できたので、それが結果に現れたんじゃないかなと思います。
――関東リーグ後期に関しては3試合で無得点です。守備の完成度は高まってきましたか
だんだんと3バックの関係は良くなってきています。前期は本当に失点が多くてディフェンダーとしても悔いが残る試合が多かったですが、後期は無失点という意気込みで戦っているので、いまのところ達成できているというのはうれしいです。
――次節筑波大戦への意気込みを
ケガ人などの離脱も多くて苦しい試合になるかもしれませんが、その中でも出た人が自分のプレーをして、チーム全体で勝利に向かえば絶対に勝てると思います。5連勝目を目指して、次節も必ず勝ちたいと思います。
DF大島茉莉花(スポ4=鹿児島・神村学園)
――3―0の快勝でしたが、試合を振り返っていかがですか
前半はいい流れができなかったのですが、後半は前節や早慶戦(早慶サッカー定期戦)の反省を生かしてできたので良かったと思います。
――早慶戦からの修正点は具体的にどのようなところでしょうか
早慶戦の時はクロスが全然少なかったので、そういうところを改善していこうと言っていました。結果、改善できたので良かったです。
――ハーフタイムにチームで話し合ったことはありますか
前半はやろうとしていたことはできていたのですが、その中でも距離感が遠くて横パスとかを奪われてカウンターをされたりしてしまったので、遠かったら前のスペースに出したりしようと話しました。
――無失点に抑えましたがチーム全体としての守備の出来はいかがですか
前からプレスをかけられたことは良かったですし、DFの人たちが裏の対応を頑張って走ってくれていたので良かったと思います。
――武蔵丘女子短期大が相手ということでどのような戦略を立てていましたか
前期もサイドから崩せていたので、前期もできていたサイド攻撃や簡単にパスをしないで崩すということをしていました。
――2点目はご自身がアシストをされましたね
相手が食い付いてきたので、相手と相手の間に出していけば行けるかなという感じで出したのですが、結果的に中の人が詰めてくれていて点につながったので良かったです。
――この試合から何か課題は見つかりましたか
まだ決定力が足りないのでそういうところを上げて、この試合をベースとしてどんどんいい方に持っていければなと思います。
――次節の筑波大戦への意気込みをお願いします
来週もきょうみたいにサイド攻撃だったり、ダイレクトで崩していくことだったりを意識して、守備の面でも前から連動してボールを奪えるようにいい準備をしていきたいと思います。
DF大島瑞稀(社3=宮城・常盤木学園)
――攻めながらも無得点に終わった前半について
結構自分たちも前から行けていて、プレスもかけていてサイド攻撃とかも決定的な場面があったんですけど、そこでうまく詰め切れなくて決められなかったっていうのが無得点に終わった原因だと思います。
――先制点をアシストするなど積極的な攻撃参加が見られた後半について
前半のうちにサイドを崩せるということが分かって、ハーフタイム中にもっとえぐっていこうという話をしたので、それで自分のところにこぼれてきて前にスペースがあったのでえぐろうと思いました。
――無得点で終えた守備に関して
DFだけでなくボランチ、中盤も守備意識が高く、速い選手がいたんですけどチャレンジ&カバーができていたので良かったと思います。けど、自分のとこでミスがあったのでそこは改善していきたいと思います。
――終盤でもらってしまったイエローカードについて
自分では(先にボールに)触れると思ったんですけど判断ミスでした。もっと冷静にプレーをしなければいけないと思います。
MF中井仁美(スポ1=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの反省をお願いします
前半に点が取れなかったのが良くなかったです。
――きょうは久々のゴールでしたがいかがですか
うれしかったです
――今日は途中出場でしたが、どのような気持ちで望みましたか
監督(福島廣樹、昭45教卒=東京・獨協)から、相手の足が止まってきているから、積極的に裏を狙って、シュートを狙っていけと言われたので、それを意識しました
――途中出場という起用法についてどう思いますか
本当はスタメンで使ってほしいけど、自分にはその実力がないので、いまは途中出場でも結果が出せるようになりたいです
――今後の目標をお願いします
関東リーグを1位で通過して、その後のインカレ(全日本学生選手権)や皇后杯で優勝することです
MF三田村桃子(スポ1=宮城・常盤木学園)
――公式戦初出場ということでしたがどのような気持ちで臨みましたか
強い気持ちをもって、自分がうまくいかないとしても少しでも周りに貢献できるように、自信をもってプレーしようと思いました。
――入部してからチームに溶け込むうえで、戦術の理解など苦労した部分はありますか
いや、特になかったですね。先輩たちが細かいところまで指示してくださったので、それをきちんと聞いてやるだけでした。
――前半から積極的にプレッシャーをかけて相手ボールを奪いに行っている印象でしたが
ボランチで全体のバランスを見ながらやっていくという感じで、自分は無得点に終わってしまったんですけど、その代わりに周りがサイドからいい攻撃を仕掛けてくれたのでよかったと思います。
――前半を無得点で折り返して、ハーフタイムにはどのようなお話をされましたか
もっとサイドをうまく使って横パスのミスを減らそうということと、シンプルに攻撃しようという話をしました。
――後半の立ち上がり、相手に攻め込まれる場面がありましたが、その中で先制点がうまれて流れが変わったように見えました
みんなが最後まで集中力を切らさずに強い気持ちで前に仕掛けられたので、それはよかったと思います。
――きょうは暑さの影響で疲れもあったと思いますが、その中でフル出場したということに対してはどのようにお考えですか
個人的にはフル出場できた達成感はありますが、まだ得点もしていないですし課題も多く残っているので、もっともっと向上していきたいと思います。
――次節の筑波大戦に向けて意気込みをお願いします
きょう出たよかったところはそのまま継続して、できなかったことをもっと改善して、いい準備をしていきたいです。