強い日差しが打ち付ける早大東伏見グラウンドで、関東女子リーグ戦(関東リーグ)は最終節を迎えた。ワセダは立ち上がりから攻守ともに安定したプレーを見せると、CKからMF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)が先制点を決める。後半、PKによる追加点を獲得し、その後相手の猛攻に1点を許すも2-1で勝利。関東リーグの前半戦を首位で折り返すこととなった。
前節、日テレ・メニーナ(メニーナ)に敗北し、首位から陥落したワセダ。今節の結果が首位奪還を果たすか大きなカギを握る試合となった。相手は、年代別なでしこジャパンに選出された選手も複数所属している浦和レッズレディースユース。個々の能力が高いチームとの戦いであったが、高い位置でプレスを掛けボールを奪うなど、いい滑り出しを見せる選手たち。チャンスは試合開始4分で巡ってきた。CKからファーサイドに流れたボールをMF高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)がマイナスの位置にいた正野にパスを出すと、正野が相手ゴールのネット真ん中を揺らす豪快なシュートを放つ。相手もカウンター攻撃を仕掛けるが、ワセダはPAに侵入させない堅い守備で、相手にシュートを打たせない。早い時間にシュートを奪った試合展開によって「その後自分たちのやりたいことができた」(DF小野田莉子主将、スポ4=宮城・常盤木学園)と言うように、前節・メニーナ戦での反省を生かした攻守で前半を1-0で折り返した。
1ゴール1アシストの活躍を見せた高木
後半、追加点を手に入れたいワセダであったが、FW平國瑞希(スポ1=宮城・常盤木学園)、MF中井仁美(スポ1=兵庫・日ノ本学園)のフレッシュなコンビがワンツーで出したボールをFW一原梓(スポ4=宮城・常盤木学園)が受け、ドリブルでシュートに持って行くも、オフサイドの判定。しかしその直後、69分に再びチャンスは訪れた。高木がPA内で倒されPKを獲得すると、これを落ち着いて決め相手との差を広げる。だが、試合終盤にかけて運動量を落とさない相手に対し、ワセダはなかなかチャンスをつくれない時間が続く。83分には、PA外から蹴られたロングシュートがゴール右上に吸い込まれ、相手に得点を許してしまう。その後も、「受け身の試合展開になってしまう」(DF大島茉莉花、スポ4=鹿児島・神村学園)というように何度もシュートを打たれるシーンが見られる。しかし、何とかゴールを守り抜き、試合終了のホイッスル。2-1で勝利をつかみ取り、前期最終節にして関東リーグ首位奪還を果たした。
首位奪還を果たし喜ぶ選手たち
積極的なプレスから仕掛ける攻撃、簡単には枠内へのシュートを打たせない堅守で勝利を手にした選手たち。しかし、攻撃のチャンスをゴールにまで持っていけない、といった決定力の課題も垣間見られる。2週間の関東リーグ中断期間を経て後期開幕まで課題を克服し「後期は全て勝っていきたい」と小野田は意気込んだ。2週間後、さらに磨きがかかったワセダのプレーに期待したい。
(記事 渡部歩美、写真 高柳龍太郎)
スターティングメンバ―
関東大学リーグ戦第7節 | ||||
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早大 | 2 | 1-0 1-1 |
1 | 浦和レッズレディースユース |
【得点者】(早)4正野、69高木、(レ)83小嶋 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 25 | 河邉花観 | 宮城・常盤木学園 | スポ3 |
DF | 3 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ4 |
DF | ◎4 | 小野田莉子 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
DF | 12 | 大島瑞稀 | 宮城・常盤木学園 | 社3 |
DF | 23 | 奥川千沙 | 静岡・藤枝順心 | スポ1 |
MF | 7 | 高木ひかり | 静岡・常葉学園橘 | スポ3 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社3 |
MF | 13 | 山本摩也 | スフィーダ世田谷 | スポ3 |
MF | 21 | 中井仁美 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ1 |
MF | →73分 | 中山穂南 | 東京・十文字学園 | スポ2 |
FW | 14 | 一原梓 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
FW | 26 | 平國瑞希 | 宮城・常盤木学園 | スポ1 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)
――3節ぶりの勝利となりました。試合を終えて率直な感想をお願いします
きょう勝てば前期を首位で終えられるということだったので、試合前から気持ちが入ったゲームができたんじゃないかと思います。
――ここ2節白星を挙げられていない中で、この1週間どのような調整をされてきましたか
毎試合後に反省するミーティングをしているんですけど、前節はもう一度展開のかたちというのを確認しました。SBからウィングバックに当てる位置であったりというのを細かく監督から確認してもらって、そういうのを紅白戦で試しながらやってきたので、この1週間は良い準備ができたと思っています。
――相手の浦和レッズレディースユースは関東女子リーグ(関東リーグ)前節の時点で首位に立つ強豪チームでしたが、実際に戦ってみての印象は
やってみて技術面はやられたり崩されてしまった部分もあったかと思うんですけど、年下なので絶対に負けられない気持ちを持っていました。こっちの方が強い気持ちを持ってやれたので、球際であったり体の当たりという部分で勝つことができたんじゃないかなと思います。
――今節は早い時間帯に先制点を奪うことができました
毎節立ち上がりというのは気を付けていて、前節も立ち上がりは良かったんですけど得点が奪えないという流れでしたが、今節は最初から前からのプレスを掛けてセットプレーから入れられたというのは本当にその後楽になったというか、自分たちのやりたいことができたんじゃないかなと思います。
――後半はPKから追加点を挙げましたが、攻撃面においては
なかなかシュートまでいけている場面というのが少なくて、動き出しが遅れてしまったり、狙う部分を相手のサイドの深い部分やコーナーフラッグ付近を崩しながらマイナスの速いクロスというのをやっていきたいんですけど、なかなかウィングバックの動き出しというよりはFWが外に流れていく飛び出しというのが無かったので、そういう場面を増やしたいです。もう少しかたちを増やしながら後期は得点できたらなと思います。
――プレスを掛けて高い位置でボールを奪う場面が多く見られました
一人一人の気持ちが出ていたんじゃないかなと思っています。
――守備面では1点に抑えたもののかなり危ない場面もありました
DFとしては無失点で終えたかったのであの失点ももったいないなと思っていますし、そんなにやられている場面ではなくて枚数もいたのにこっちが寄せ切れていなくて打たれてシュートだったので。危ないシーンも何回かあったんですけど、枚数自体はいたのでもっと一人一人がボールを奪いに行く守備というのをしていかないといけないなと思いました。
――最終節で首位奪還に成功しました。前期を振り返ってみていかがですか
最初は4連勝することができていて、その中でケガ人や教育実習で人数が少なくなってしまった時に勝ち切れないゲームをつくってしまったので、チーム全体としてもっとレベルアップして、後期は全試合勝ちたいと思います。
――2週間の中断期間を経て、関東リーグ後期に向けて意気込みをお願いします
前期で1試合やっている相手との再戦となるので、相手も対策をしてくる中で、そういう相手に対して自分たちのサッカーがどれだけできるのかということと、もちろん決定力不足や失点の部分をもっと改善して、後期はすべて勝てるようにしていきたいなと思っています。
DF大島茉莉花(スポ4=鹿児島・神村学園)
――いまの率直な感想をお聞かせ下さい
1点失ってしまったんですが、とりあえず前期を首位で終えられてほっとしている部分が大きいです。
――この数週間チームとして思い通りの結果がついてこなかったですが、チーム内ではどのようなことを話し合われていたのでしょうか
まずはメンタル的な部分ですね。先週も最初の入りは良かったのですが、それもやはりメンタル面が大きかったと思います。あとは、自分たちの流れが良いときはシンプルなサッカーをしていると思うので、そういうことをやっていこうと考えていました。
――今回の対戦相手の印象はいかかでしたか
本当に無理しないで、自分たちが寄せてもダイレクトでつないできました。うまい選手は個の力で仕掛けてきたりしていました。
――後半は攻め込まれるシーンが多くなってしまいました
いつも攻め込まれたときに自分たちははね返せないのですが、きょうも受け身になってしまいました。そういう時間帯に自分たちから流れを変えるプレーをしようという話は出ているのですが、まだ徹底されておらず、無理につないで取られてしまい、また受け身になってしまうことが多かったです。もう少しシンプルに攻めて、そこから前にプレスに行けるようにしたいです。
――一方で最後には左サイドで高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)選手と連動して攻め上がる場面もありましたが、自分から攻めていこうと意識していたのでしょうか
いつもクロスを早く上げても点でしか合わないので、練習ではサイドはえぐってから(クロスを)上げるということを意識しています。なので前のスペースで崩してえぐってから折り返す、ということを考えながらやっていました。
――試合後コーチ陣と話をされていましたが、どのようなことを話されていたのでしょうか
コーチと話していたのは、SBとの連携のことです。きょうはSBとの関わりが良かったので、これからも意識してやっていこうといった話をしました。
――具体的に連携はどういった点が上手くいったのでしょうか
先週は最初に高い位置を取ることを意識し過ぎてやってしまったのですが、練習のときに監督からウイングは1つ後ろの、相手は寄せられないところで起点をつくれ、という話をされました。なのでそれを意識していました。全体的にウイングは前のポジションというイメージがあるのですが、そうではなくてもっと後ろでもプレーしなければいけないということを言われました。
――最後に、前期を逆転首位で折り返すことになりましたが、いかがでしょうか
前期は、苦しい試合もうまくいかない試合もあったのですが、首位で終われて良かったです。またオフ期間があるので、そこでいろいろ修正して後期に良いかたちでつなげていきたいです。
MF高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)
――3試合ぶりの勝利となりましたがいかがですか
ここで勝たないと首位で折り返せないということで、みんなの気持ちが強かったというのはあります。出ている選手以外の人も気持ちが入ってて、そういう人たちの思いも背負ってプレーできたと思います。
――1点目のアシストの場面を振り返って
自分のところにボールが来るとはあんまり思ってなかったんですけど、来た時にシュートコースよりも可菜子(MF正野可菜子、社3=兵庫・日ノ本学園)がフリーになっていたのが見えたのでパスを出しました。うまくパス出せませんでしたけど、相手に当たっていいところに落ちてくれたので良かったです。
――相手のパスワークに対してはどう対処していきましたか
後ろで回してる時は怖くないんですけど、縦に入って来た時が怖いのでファーストディフェンスをしっかりいったり、ボールを取り切るということを意識しました。ただボールを回されて押し込まれる時間帯もあったので、もっと守備で取り切ることが後期に向けての課題だと思いました。
――攻撃の場面で縦に無理に行き過ぎて、少し遅らせる指示も出ていましたが振り返って
後半の立ち上がりの円陣を組む前に話し合ったんですけど、FWに行った時にまた縦パスが出てしまい人がいないシーンが多かったので、FWに入った時にトップ下とボランチの選手がサポートに入ったりして、もっと中盤でタメをつくることを意識しました。
――PKをもらった場面も含めて運動量が豊富な印象を受けました
先週は後半に代えられてしまい、疲れが如実に見えるというのを監督(福島廣樹、昭45教卒)から言われてしまいました。自分としてはリズムよく攻撃のチャンスをつくれてると思ってたのですが、そうは見られてなかったのでもっとプレーで示さないと試合に出続けられないと監督に言われてしまい、きょうは苦しい時に前線に動き出して周りの押し上げを図りました。なのでそのように見てもらったのはよかったです。
――PKの場面は自分で蹴ると決めてましたか
全然思ってなかったんですけど、みんな離れて行ったので自分かなと思いました。今シーズン公式戦で点を取ってなかったので、落ち着いて決めたいなと思ってました。
――不運な失点はありましたが守備面を振り返って
守備が全体的に良かったかと言われれば、ボランチの二人がうまく関われなかったので何とも言えないです。3バックなのに三人だけで守らせてしまうシーンが多かったので、守備から入って攻撃に関わるシーンをもっと増やしたいと思います。まあゴール前で崩されるシーンはそんなになかったのでそこは良かったです。
――前期首位で折り返しましたが振り返って
個人的にはアシストばかりでシュートにいく場面が少なく、昔からそうなんですが優先順位を考えてしまったり、監督に言われたとおり運動量がまだまだ課題だと思います。チーム的には後半に失点することが多くて、集中力を後半に持続できてないのでそこを改善していきたいです。
――オフを挟んで後期が控えていますが、意気込みの方をお願いします
後期からが大事な試合で結果を残すための大事なステップだと思うので、関東リーグもそうですし、関カレ(関東大学リーグ)も始まりますのでそこにつなげられるような試合をしていきたいです。
MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
絶対に勝たないと、首位に戻ることができない試合だったので、内容はどうあれ勝てたのでよかったと思います。
――ここ最近、良い結果が残せていませんでしたが、この1週間でどのように持ち直しましたか。
メンタルの部分が1番大きかったのではないか、という話だったので負けない気持ちと、あとは自分たちでどうもっていくかという感じで、練習の中からやっていけてたのかな、と思います。
――なかなか今季は見られなかったサイドハーフでの出場でしたが、その点についてはいかがですか。
きょねんは、結構サイドハーフでの出場が多かったので、特別な思いはなく、きょうはこのポジションで頑張ろうと思いました。
――先制点を決めたシーンがありましたがそのときのことについては
高木が、いいところでパスを出してくれて、かたちも良く出来ていたので結果的によかったかな、とは思います。
――関東女子リーグ戦(関東リーグ)前期を首位で終えました。いまのお気持ちをお願いします。
メニーナ(日テレ・メニーナ)戦や関東学園大戦で、チームとしてもとても調子が悪いことがあってどうしようか、という思いはチーム全体であったので、結果として、首位に戻れたのは良かったとすごく感じてますし、一応一安心という感じです。
――ここから2週間空いて、後期のリーグ戦が始まります。意気込みをお願いします。
関東学園大やメニーナなど、自分たちが思うようにプレーできなかった相手ともまた対戦することができるので、新しくまた強くなったワセダで頑張りたいと思います。
GK河邉 花観(スポ3=宮城・常盤木学園)
――関東女子リーグ戦初出場ということでしたがいかがでしたか
初めてということで張り切って無駄にチャレンジしてしまうといけないので、いつも通りのプレーを心掛けるようにしました。
――試合を振り返ってみていかがですか
みんなもシュートを打たせないようなプレーをしてくれたので、そこで自分が変なミスをしないように一個一個やることを心掛けていました。失点のところはもう少しで止められそうだったのでそこはすごく悔しいです。
――初出場ということですが、自分自身できた部分できなかった部分はどのように感じていますか
できた部分としては重要なポイントでの声掛けだったり、キャッチしてからのつなぎですね。つなぐのか蹴りだすのかははっきりプレーできたと思います。ただ、できなかったことはクロスボールやハイボールへもっとチャレンジできたかなとは感じています。
――相手はクロスからもつないでからもシュートを繰り出すチームでしたが怖かったプレーはありましたか
やはり、後半の最後にみんながばててしまっているときに相手がつないできていたのでいつ打たれるか分からなかったシーンは怖さを感じました。
――その中で失点シーンがありましたがいかがでしたか
失点シーンは相手が上を狙っていたのはみんな感じていて、DFも気が付いていたと思うのですが分かっていながらも止められなかったので、そこは課題だと思います。DFにもちゃんと打たせないプレーをさせられる声掛けをしていきたいと思います。
――これで前期1位となりましたがこのことについてはいかがですか
ことしは本当にゼロからのスタートという風に言われていたのでその中で1位で折り返せたことは大きいと思います。
――後期に向けての意気込みをお願いします
後期は三田さん(GK三田一紗代副将、社4=京都精華女子)が帰ってくると思うのですが、自分も三田さんがいる中でも出られるように頑張りたいと思います。