関東女子リーグ戦(関東リーグ)3戦全勝と波に乗るワセダは、昨季全日本大学選手権(インカレ)準優勝の筑波大と対戦。開始早々直接CKで先制に成功すると、期待のルーキー・DF松原有沙(スポ1=大阪・大商学園)が豪快なロングシュートを決め2得点目。その後はMF正野可菜子(スポ3=兵庫・日ノ本学園)が前後半それぞれ1点ずつを追加する。71分に1点を返されるも、そのまま点差を守り切り試合終了。4連勝で単独首位に立ち、関東リーグ前半戦を終えた。
今節2得点を挙げた正野
第4節で対するは、昨季公式戦で一度も勝てていない強豪・筑波大。立ち上がりは相手の球際の強さやスピードに押され、中盤でのボールの奪い合いとなる。しかし先に均衡を破ったのはワセダだった。8分、MF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)の放ったCKはそのままゴールに吸い込まれ、先制。ここから一気に勢いづいたワセダは、今季初先発のMF高須咲帆(スポ4=福井工大附属福井)や山本が積極的にミドルシュートを放つなどの猛攻に出る。20分にはオーバーラップした松原がPA手前から思い切り左足を振り切る。目の覚めるようなロングシュートで大学初ゴールを飾った。さらに直後にはDF大島瑞稀(社3=宮城・常盤木学園)が相手DFを背負いつつ「合宿の成果が出た」という体の強さで右サイドから突破しセンタリングを上げると、中央で受けた正野が落ち着いて決め3点目。その後も右サイドから展開するなど、ワセダが試合を支配したまま前半を終える。
豪快なロングシュートで大学初ゴールを決めた松原
課題としていた後半も、合宿で強化したスタミナで相手を圧倒。59分にはDF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)が上げた正確なクロスに正野が飛び込みこの日2得点目。『10』番の名にふさわしい活躍を見せた。71分には数的不利な状況で自陣右を崩され失点するも、その後は守備を立て直し再びワセダペースへ。しかしDF大島茉莉花(スポ4=鹿児島・神村学園)やこの日大学初先発となったFW平國瑞希(スポ1=宮城・常盤木学園)らを中心にチャンスが訪れるも、追加点を挙げることはできず、4-1で試合を終えた。
選手の故障などによりフレッシュなスタメンで挑んだ今節。『フィジカルの強化』『共通理解を深める』という2つの目標を掲げた合宿を経て、「誰が出ても大丈夫。いいサッカーができている」(小野田)と、ワセダの層の厚さを見せつけた。しかし白星を重ねるとともに、決定力不足という新たな課題が挙がるなど、まだまだ現状に満足はできない。「(皇后杯、インカレ優勝を見据えて)しっかりと積み上げていきたい」(高須)とチャレンジャー精神を持ち続けている。また、今節の浦和レッズレディースユースの敗北により、ワセダは唯一無傷の4連勝で単独首位に。得失点差+11という圧倒的な得点力を武器に、他の追随は一切許さない。
(記事、写真 芦川葉子)
スターティングメンバ―
関東大学リーグ戦第3節 | ||||
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早大 | 4 | 3-0 1-1 |
1 | 筑波大 |
【得点者】(早)8山本、20松原、22、59正野 (筑)71崎原 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 1 | 三田一紗代 | 京都精華 | 社4 |
DF | 3 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ4 |
DF | ◎4 | 小野田莉子 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
DF | 5 | 松原有沙 | 大阪・大商学園 | スポ1 |
DF | 23 | 奥川千沙 | 静岡・藤枝順心 | スポ1 |
MF | 7 | 高木ひかり | 静岡・常葉学園橘 | スポ3 |
DF | 12 | 大島瑞稀 | 宮城・常盤木学園 | 社3 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社3 |
MF | →69分 | 中井仁美 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ1 |
FW | 26 | 平國瑞希 | 宮城・常盤木学園 | スポ1 |
MF | 13 | 山本摩也 | スフィーダ世田谷 | スポ3 |
DF | →79分 | 堀川玲奈 | ジュブリーレ鹿児島 | スポ4 |
MF | 15 | 高須咲帆 | 福井工大附属福井 | スポ4 |
FW | →56分 | 一原梓 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)
――合宿では『フィジカルの強化』と『共通理解を深める』ということを目標に設定していました。チームの成果はいかがですか
朝6時からの『浜練』というダッシュ、午前中のフィジカルトレーニング、午後から練習と内容の濃い4日間だったので、フィジカル面の強化はできたのかなと思っています。共通理解という面では毎晩ミーティングを行い基本的なところをみんなで話し合って決めることができたので、深まったんじゃないかなと思います。
――合宿最終日にはなでしこリーグ所属のジェフ千葉レディースとのTRM(○2-0)も行われました
監督に言われたのは、なでしこリーグのチームと戦うということで、自分たちの気持ちも知らないうちにチャレンジャーになっていたからこそあんなにいい試合ができたんじゃないかと言われました。確かに合宿最終日で疲労が溜まっていた割にはみんな本当に動けていて、いいサッカーができたんじゃないかなと思います。
――今節の筑波大はワセダが苦手としている相手でした
筑波大選手の個人個人の特徴はスカウティングで出しましたが、ことしの筑波大がどんなサッカーをしてくるかは分からなかったので、やってみて自分たちでピッチの中で感じ取ってやっていければという話はしていました。結構引いてくるかなと思っていましたが、そんなことはなく前からきたので、そういうところで簡単にボールをさばいたりして数的有利をつくれたんじゃないかなと思います。
――今節のワセダはスターティングイレブンを大きく変えて挑みました
誰が出ても個人個人の特徴を生かしたサッカーができればというのは思っています。ケガ人も最近多くて、そういう意味ではいろいろ変わりましたが、スタメンで出た選手が自分の特徴を生かしてやってくれています。誰が出ても大丈夫というか、いいサッカーができているんじゃないかなと思います。
――関東女子リーグ戦(関東リーグ)開幕から前半に多くの得点を奪える試合が続いています。チームとしての入り方は
きょうで言えば試合の立ち上がりはそんなに良くなかったんですけど、時間が経っていくにつれて自分たちのテンポができあがっていきました。特に前からの速いプレスと速い攻守の切り替えで、ボールを奪われても高い位置で取り返すということができていたから、前半に多く点を取れる試合が多いんじゃないかなと思います。
――攻撃に関して、4得点目のシーンのように、DFラインからロングボールでアシストしました
サイドでいいかたちで、一人だけでなく近場に3枚とかでトライアングルができて、相手を崩して深くえぐってセンタリングから中の選手が合わせるということができていたので、やりたいことはできているんじゃないかなと思います。それでも、結構外しているんで、そこを決め切れるようになりたいと思っています。きょうはもっともっと、倍は点が取れても良かったんじゃないかなと思います。
――後半1失点を喫しましたが、守備面に関して
結構相手の中盤でボールを持てる選手が何人かいたんですけど、まずそれに対してのファーストディフェンスのいき方です。一発でいってしまって抜かれて数的不利な状況をつくられて、こっちとしても狙いどころが分からなくなって受け身になってしまうということがあったんですけど、そういうときは失点する前に自分たちで流れを変えられるようになりたいというか、受け身だったのを自分たちで切り替えて前からはめていく守備というのをしていかなくてはいけないなと思いました。
――きょうで関東リーグの前期が半分を終えました。ここまで4連勝ですが振り返って
毎試合課題が出て、一つずつでもいいからクリアしていこうというのがいまのチームで、そういうのを一試合一試合重ねていって、最終的に皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)、インカレ(全日本大学選手権)優勝っていう目標につなげていきたいと思っています。
――次節は関東学園大戦になりますが、後半戦に向けて意気込みをお願いします
一番の課題としては決定力不足であったり後半の戦い方であったりということがあります。そういうところを一試合一試合改善していけば必ず結果がついてくると思っているので、結果を出していきたいと思います。
MF高須咲帆(スポ4=福井工大附属福井)
――GWの合宿の成果は感じていますか
GW中のミーティングで下からもいくつか意見が出て、チームとしてやっていこうという意識ができたと思うんですけど、まだ全員が意見を言えるという状況ではなかったので、まだこれからかなというのはあります。
――東西対抗戦では「まずはワセダでスタメンに定着したい」と伺いましたが、今季初スタメンということで今節はいかがでしたか
正直めちゃくちゃ緊張しました。これからまたスタメンで出させてもらえるかもしれないんですけど、練習からしっかり公式戦のイメージをして取り組めるようにしていきたいと思います。
――ワセダが苦手とする筑波大が今節の相手でした
きょねんの筑波大はインカレ(全日本大学選手権)でも優勝していて、ワセダは一度もいい試合をできたという印象がなかったので、チームとしてはしっかりチャレンジャー精神をもってやろうという風に取り組んでいました。
――立ち上がりから順調に得点を奪っていきましたが、前半を振り返って
自分自身緊張していて何ができたとかはないんですけど、もっと球際にいけたり、自分自身でもっとゲームやボランチとの関係をつくっていけたのかなというシーンは何度かあったので、もっと練習から高めていきたいなと思います。もっと、まだまだできます。
――CKではキッカーを務めるシーンが何度か見られました
自分自身右も左も蹴れるという強みがあるので、しっかりとCKからでもゴールを狙ってアシストができるように、もっとキックの精度を高めていきたいと思います。
――後半ピッチ外から試合を見ていて
ハーフタイムにもっと風向きを考えて攻撃をしたりゲームをつくれという指示がありました。ちょっと風にやられた部分もありましたが、それをもっと試合中に修正できる声掛けがチームとしてできるようにならなければ、もっと上にはいけないかなというのは感じています。
――今節で前期の半分を終えましたが、後半戦に向けて意気込みをお願いします
いま4戦4勝していて、でもこれがゴールではなくて自分たちは皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)、インカレ優勝を目標としているので、しっかりと積み上げてそれまでにいい準備ができるといいなと思います。
DF大島瑞稀(社3=宮城・常盤木学園)
――GWでの合宿を終えられて、ご自身で感じた成果はありますか
そうですね、結構走りました。きょう後半はバテてしまいましたが、前半は自分として縦に仕掛けたりワンツーで抜くことができたので、合宿の成果は出たのかなと思います。
――筑波大は昨季全日本学生選手権(インカレ)で準優勝しているチームでしたが、どのような準備をしてこられましたか
多少スカウティングはしましたが、明確な情報が少なかったです。きょねんからもそうでしたが、球際が強くて結構スピードがある選手もいるのと、FWの18番と22番が結構うまいというのは分かっていたので、そこはしっかりマークしていこうというのは話し合って試合に臨みました。
――2試合ぶりの先発出場となりましたが、入りについて
頑張ってもう一度スタメンを奪い返したいという気持ちで臨みました。
――3点目のアシストについて、相手DFを背負いながらドリブルで突破しました
前のスペースが空いているなと思っていました。いまタッチ数を少なくすることをチームとして目標にしていて、簡単にはたいて縦をあけてそこを狙いたいなと思っていて、ちょうど高木(MF高木ひかり、スポ3=静岡・常葉学園橘)が入ってきてくれていたので、そこでワンツーして抜けられたので良かったかなと思います。
――今節でもそうですが、前半から多く得点を取れる試合が続いています。入りで特に気を付けていることは
相手GKにもアプローチを掛けて前からどんどんいこうと話していて、それが前半からできているのでいいのかなと思います。
――きょうの守備については
自分は、縦にも後ろにも下がらなければいけないポジションで、失点した時は自分のサイドから入れられてしまいました。ちょっと下がれていなかったのかなと思います。
――きょうで開幕から4連勝ですがこれまでの試合を振り返って
フォーメーションがきょねんと変わったんですけどだんだん慣れてきて、徐々に点の取り方や流れもつかめてきました。相手に点を取られてはいるんですが、こちらもいいかたちで点を取れているので、良くなってきているのかなと思います。
――後半戦に向けて意気込みをお願いします
とりあえずポジションを奪うというか、自分が試合に出るという気持ちで、常にポジションを狙って、チャンスがあればどんどん狙っていきたいと思います。