2連勝も課題を残す

ア式蹴球女子

 開幕戦の大勝(○5-0東京国際大)から迎えた関東女子リーグ戦(関東リーグ)第2節。ワセダは今季より一部に昇格してきたジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18(ジェフ千葉レディースU-18)と対戦した。試合は前半、FKからのこぼれ球をMF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)が押し込むなど3点を奪いリードする。後半も多くの決定機を迎えるが決め切れずにいると、相手に守備のミスを突かれ逆に2失点。何とかリードを守り切り勝ち点3を得るも、課題の残るゲームとなった。

 前節に引き続き昇格組との対戦となったこの試合は、開始早々にスコアが動く。8分にPA付近でFKを得ると、キッカーは前節2アシストのMF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)。鋭いボールを蹴ると、GKの弾いたところを権野が詰めて幸先よく先制に成功する。その後もダイレクトパスを交えた速いテンポで攻め込むワセダ。しかしパスミスなどで徐々に流れは相手へ。左サイドを中心にダイアゴナルなパスで押し込まれると、25分には自陣でパスをカットされポスト直撃のシュートを打たれる。それでも苦しい時間帯を耐えると39分、CKをファーサイドのDF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)が狙い澄ましたヘディングを決め追加点。セットプレーから効果的に2点を奪うと、その4分後には右サイドからのクロスの落としをMF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)が相手DFを一人かわしてシュート。リードを3点に広げ前半を終えた。

今季プレースキッカーを務める山本。今節も2得点をアシストした

 後半の入りも再びエンジイレブンが躍動する。DFラインから相手の裏のスペースを狙いロングボールを供給。途中交代のDF大島茉莉花(スポ4=鹿児島・神村学園)などが積極的に仕掛けチャンスをつくる。しかし65分、自陣でハンドを犯してしまいPKを献上。これを決められ2点差に迫られてしまう。再び盛り返したいワセダは78、79分と連続でチャンスを迎えるも、シュートはクロスバーに阻まれ得点が奪えない。84分にはGKとの一対一を決め切ることができないなど嫌なムードが漂い始めると、その1分後にFKから合わせられ2失点目。このまま試合終了となり、辛うじて勝ち点3を得るかたちとなった。

得点を決め喜ぶ小野田。今季は主将としてもチームを盛り上げる

 「攻め込まれている時にどう打開するのか」(山本)など多くの選手が課題を口にしたこの試合。攻撃面では決定力、守備面では連携においてチームとして修正が必要となるだろう。それでも多くの選手が入れ替わり新たなシステムで戦っていく中で、チームづくりのこの時期に課題を残しつつも勝ち点3を得られたのは大きいはずだ。次節は今季初のアウェーゲーム。若いチームにとって大きな経験となるに違いない。最大の目標である全日本学生選手権優勝に向け、まずは関東リーグで課題と収穫を積み上げていくことが求められる。

(記事 増山祐史、写真 巌千咲)

ア式蹴球部女子

関東大学リーグ戦第2節
早大 3-0
0-2
ジェフ千葉U-18
【得点者】(早)8権野、39小野田、43正野 (千)65鴨川、81大矢
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 前所属 学部学年
GK 三田一紗代 京都精華 社4
DF ◎4 小野田莉子 宮城・常盤木学園 スポ4
DF 松原有沙 大阪・大商学園 スポ1
DF 23 奥川千沙 静岡・藤枝順心 スポ1
MF 高木ひかり 静岡・常葉学園橘 スポ3
MF 権野貴子 宮城・常磐木学園 スポ4
MF 10 正野可菜子 兵庫・日ノ本学園 社3
MF 12 大島瑞稀 宮城・常盤木学園 スポ4
DF →45分 大島茉莉花 鹿児島・神村学園 スポ4
MF 13 山本摩也 スフィーダ世田谷 スポ3
FW 11 川原奈央 兵庫・日ノ本学園 スポ2
FW 14 一原梓 宮城・常盤木学園 スポ4
FW →58分 平國瑞希 宮城・常盤木学園 スポ1
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)

――難しい試合でしたが振り返って

前半も後半も20分くらいからの流れが悪くて、そういう時間帯っていうのはあると思うんですけど、そういうのを自分たちで認めて乗り切る力っていうのが課題かなと思います。

――開始早々に得点しましたが試合の入りはいかがでしたか

入りは前回の試合で前半、後半の入りっていうのが課題としてあったので、大きく蹴って前からプレスしていこうと話していました。今回は入りは良かったと思います。

――その後相手に押し込まれる時間帯が続きましたが、要因は何だと思いますか

自分もなんですけど、チームとしてパスやトラップのミスが多くて、前に比重を掛けている時にボールを奪われて並行して追わなくてはいけない状況が多かったのが要因だと思います。

――ただその時間帯を耐えて追加点を奪いました

1-0でしたけど流れが悪い時間帯だったのでCKは決めようと思っていました。しっかり得点につなげられて良かったです。

――後半はDFラインから相手の裏を狙うようなパスが多かったですが、チームとして意識していたのでしょうか

ハーフタイムの時に、右サイドの選手から左サイドのオープンスペースに出す数を出そうと話があり、自分も意識してやってました。一個飛ばしのパスとかですね。

――攻撃ではボールタッチ数を少なくテンポの速い攻撃が目立ちました

サイドハーフの選手がいるのでピッチを広く使うっていうのは意識しています。3-5-2というシステムなので中盤も枚数かけて攻められますし、そういった速く広く使うサッカーは意識しています。

――その後2失点を喫してしまいましたが、主将としてどういったリアクションを心掛けましたか

取りあえず試合の中では点を返そうと。後半だけ見ると0-2で負けているので点数を返そうっていうのは言っていたんですけど、2つの失点がどちらも崩されたというよりは事故だったので、そういうところの集中を高めないといけないなと思いました。

――DF陣として課題の残る後半ということでしょうか

そうですね。決定的なミスというよりは、際どいボールに対してフォローしていくというか、誰かがミスしても誰かがカバーするというのを心掛けてやっていきたいです。

――追加点を奪えるチャンスをものにできませんでしたがあの場面を振り返って

後半の方が展開の中でシュートチャンスに持っていけた場面が多かったんですけど、そういうところで決めないとチームとして苦しいですし、相手に勢いを出させてしまうので、決めるべきところで決めなくてはいけないと思います。

――きょうの勝利で2連勝となりましたが、関東女子リーグ戦(関東リーグ)では失点などに対しては何か目標はありますか

理想は全部無失点でいきたいんですけどそうはいかないと思うんで、1試合につき1失点以内には収めていきたいです。

――DFラインから前線に上がって攻撃に厚みをもたせるプレーがありましたが、攻撃面に関しての手応えはいかがですか

タイミングをみて前に上がって厚みをもたせることはできたんですけど、(ボールを)受けた後のボールの質だったり、相手にぶつけたりちょっとマイナスに出してしまう場面があったので、もう少し精度を上げれば攻撃に厚みをもたせられると思います。

――次節への意気込みをお願いします

きょうは後半だけ見れば負けてる試合なので、次は圧勝できるように、そしてDFとしては絶対無失点で終われるようにしたいと思います。

GK三田一紗代副将(社4=京都精華女子)

――試合を振り返って感想をお願いします

前半は流れから点を取れて良かったんですけど、後半に入ってばたばたし始めて。私たちはメンバーが変わった時に修正できず元のプレーができないというのが課題だと思います。

――前半は無失点に抑えましたが後半は2失点してしまいました

バランスが悪くなった時に誰が戻ってくるのかとか、ウィングバックをまだうまく戻せていなかったりとか、ボールウォッチャーになって中のマークがうまく見れていなかったりとか、全てにおいて穴ができてしまっていてそこが失点につながったのだと思います。

――2失点目のシーンを振り返っていかがですか

私自身が出ないといけないボールでもあったので、そこはしっかりと声掛けができていなかったのが反省点として挙げられます。

――今季2戦目ということですがDFとの連係はどうですか

だいぶ良くなってきています。3バックなので、ボランチに声を掛けてしっかり戻す部分も試合を重ねるごとにだんだんと良くなってきているので。でもまだまだ改善点もあるのでそこを埋められるようにしないと駄目だと思います。

――今季は副将を務められますが、チームをどのようにまとめていますか

試合中、一番後ろで見ているポジションなのでしっかり声を掛けてチームを盛り上げるというのと、指示を出してチームを支えていかないといけないと思っています。

――リーグ戦(関東女子リーグ戦)では何失点に抑えたいか具体的な目標はありますか

目標は無失点だったんですけど今回2点取られたので、またここから新たに切り替えて無失点でいけるように頑張りたいです。

――次節は武蔵丘女子短大との一戦で今季初のアウェー戦となりますが、意気込みをお願いします

相手は1年生がたくさん入って戦力も上がっていてきょねんよりも強いチームになっていると思いますし、私たちワセダはアウェーが弱いのでしっかり自分たちのプレーができるように調整していきたいと思います。

MF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)

――開幕2連勝となりました。試合を振り返ってください

前半は落ち着かない部分もあったのですが、後半は良い形、流れの中でシュートまで持っていくことができました。後半は無得点だったので、最後の精度をもっと上げて行かないといけないと思います。

――前節は途中出場でしたが、今節はスターティングメンバーに名を連ねました。どのような意気込みで試合に臨みましたか

とにかく結果を出すということと、ウィングバックなので豊富な運動量で動き回ることを意識して臨みました。

――1点目、こぼれ球を押し込んだシーンについては

あのシーンは(ボールが)必ずこぼれてくると信じて突っ込んだので、入って良かったです。

――後半は右サイドで積極的にボールに絡むシーンが見られました

ハームタイムに、監督やコーチから「サイドをもっと使おう」ということを言われていたので、ディフェンスやボランチがボールを持った時にスペースを狙うことを意識していました。

――次節につながる課題と収穫があったら教えてください

最後に監督やコーチもおっしゃっていたのですが、きょうは崩されての失点は無かったので、セットプレーでの守備の仕方を1週間で直して、全体的な精度を上げてチームとしてもっとレベルアップしていきたいと思います。

MF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)

――5-0で大勝した前節に比べ、3-2と緊迫した試合となりました。振り返って

前半に3点取れたことは評価できますし勢いを持っていけたので良かったんですが、前節でも後半がすごく悪くて、課題となっていた後半は今節0-2で負けていますし、修正していかなければいけないかなと思いました。

――後半について、チャンスも数多くあった中で無得点となってしまった理由は

シンプルに決定機を外し過ぎたというのもありますし、相手に1点返されて相手が勢いを持ってやってくることに対して受け身になってしまいました。受け身になるとどうしても流れが悪くなってしまうので、攻め込まれている時にどう打開するのかということだったり、セットプレーから2点失点していることなどをチーム全体でもう一度確認し合うことが必要ですね。

――今節のジェフ千葉レディースユースU-18は走れるチームだったと思いますが、対策はどのようにしていましたか

スカウティングで選手個々の特徴だったり戦い方を確認していたので、前節の相手よりは技術的にうまいということは分かっていました。それに対してワセダは強くアグレッシブにいけば勝てる相手だと思っていたので、試合全体を通しては相手にやられたということはなかったのでそれは良かったと思います。

――FKとCKの2アシストについて

競る場面や対人に強い選手がDFラインにそろっているので、あとは自分のキックの精度で全て決まってしまうので、そこはただ練習していこうかなと思っています。

――前節の開幕戦でも2アシスト挙げられていました

チームが始動してから体もキレてきているので、単純に試合に絡めてるということで試合勘だったり動きというのはきょねんと全然違うと思います。ここからどうなるかは分かりませんが、もっともっと質や運動量を上げていかないといけないので、これを1年間を通してもっと高めていかなければいけないのかなって思います。

――今季はボランチを務めていく中で、裏へ抜け出すようなボールを多く供給しています

今季は3バックでサイド攻撃が厚みを持ってやっていけるという中で、シンプルにピッチを大きく広く使っていって前には素晴らしい選手がいるので、自分がうまく配球してみんなを動かしていければと思います。チーム全体としても今までより攻撃もスムーズですし、まだまだ課題はありますがここからもっと詰めていけばもっと面白くなるんじゃないかなと思います。

――2失点を喫してしまいましたが、今節の守備について

前半を終えた課題にも挙げられていたんですけど、自分と高木(MF高木ひかり、スポ3=宮城・常盤木学園)のところで受けて受けてのディフェンスになってしまったので、そこをもっと押し出していければ良かったと思います。どの試合でも攻め込まれる時間はあると思うので、ボールを動かして苦しい時間帯を自分たちで変えられるような動きをしないと、ああやって数本のセットプレーで奪われてはもったいないので、そこが課題かなと思います。

――次節は今季初のアウェーで、武蔵丘女子短大戦となります

次の相手もうまいですし、アウェーというのもあるので、自分たちの思い通りに全てがいくということはないと思います。その中で自分たちがやってきたことを出していけば、アウェーでも勝てると思うので、この1週間で準備してやっていきたいと思います。

DF奥川千沙(スポ1=静岡・藤枝順心)

――3-2で見事勝利を挙げられました

勝てたことは良かったかなと思っていますが、良かった点も悪かった点も多くありました。(良かった点は)前半の良い時間帯に点を取れてチーム的にも良い流れをつくれたことと、悪い点は失点の場面で、アクシデントはアクシデントですがそういうところを改善したり声で雰囲気を変えていったり、しっかりチームで話し合って練習していきたいです。

――ディフェンスをやっていく中で、守備についてご自身のプレーを振り返ってみて

前半はパスミスやディフェンスでの指示が合わずバタバタしてしまいましたが、後半攻めていったり守備面でも1対1をうまく対応できたのでそれを続けていくのと、パスミスや指示など自分の中で悪いと思った点を直していきたいです。

――今お話にあったように、後半の攻撃参加、特に積極的なオーバーラップなども見られましたが

1列前の選手が中に入って相手が引き付けられてスペースが空いていたので、いけるかなと思っていきました。基本的には3バックなので上がらないんですけど、そういう時はしっかり上がるように意識しています。CBのうち誰かが上がったら中盤の選手が下がるということが約束事としてあったので、思いきりいけました。

――相手の8番の選手とマッチアップする場面が多く見られましたが、対応について

もともとミーティングの際に、相手の8番を含め7、10番をキーマンだと思っていて、足も速くドリブルなどもうまいという情報をもともと聞いていたので、それを対応しつつ仕事をさせないようなディフェンスを意識してやっていました。

――課題という面では、2失点目が挙がるかと思うのですが、

1失点目のファウルはしょうがないので、その後の2失点目GKとDFラインとの声の掛け合いだったり、どっちが前に出るとかがあいまいになってしまって、そこに食い違いがあったのでしっかりビデオを見直したりしていきたいです。

――1年生が多く試合に出ていますが、上の学年との連携などはいかがですか

仮入部の時からかなりフレンドリーな感じで、1年生と4年生でも一緒に話したりしています。そういう関係性が指示の部分であったり1年生でも自由にプレーできる環境をつくってくれていると思うので、先輩方はすごく良い雰囲気をつくってくれて、1年生としてもすごくやりやすいなと思っています。

――次節はアウェーの会場となります

出られたらなんですけど、きょう出た課題もそうですし、良かった点も伸ばしていって、1週間という短い期間の中ですがしっかり自分をコントロールしていって、試合に向けてモチベーションを上げていきたいと思います。