今季初黒星。日体大破れず

ア式蹴球女子

 初戦を難なく突破した早大は、早くも最大のヤマ場を迎えた。勝てば皇后杯本戦への出場が決まる準々決勝、立ちはだかる敵は昨季大学女王・日体大だ。均衡した状況で迎えた前半終盤、突破を許し失点。日体大の堅い守りを前に、後半もゴールを奪うことはできずに0―1で敗戦。早大は大会3連覇を逃し、準々決勝敗退となった。あす、皇后杯出場権を懸けた5・6位決定戦に臨む。

相手選手と競り合う大宮

 「ああいう負け方をしてしまったので、リベンジという思いが強かった」(MF大宮玲央奈、スポ4=浦和レッズレディースユース)。昨季の全日本大学女子選手権決勝、覇権奪回に挑んだチームは日体大の前に破れ、大学日本一の夢にあと一歩届かなかった。あれから9か月――。3月から始動したチームは、公式戦において一つの試合も負けることなく、積み上げた無敗記録は気づけば『27』。絶好のリベンジの舞台を迎えた。

サイドを駆け上がり仕掛ける石田

 前半、序盤こそ収まりが悪いものの「徐々にワセダのペースに持っていけて、攻撃の良い形も作れていた」(大宮)というように、サイドを使った攻撃からシュートを放つが枠を捉えきれない。執拗にディフェンスラインの裏を狙ってくる相手に対して、34分ついに失点を喫す。「何度もスルーパスを出されてしまう中で、ラインコントロールを取るかカバーに行くかの判断を見誤ってしまった」(DF石田みなみ、スポ4=静岡・常葉学園橘)と悔やむ失点となってしまった。

 リードを許し、追い掛ける展開となった後半。ゴールが欲しい早大だが、いきなりピンチを招く。43分、フリーキックから押し込まれるがGK山田紅葉(スポ1=東京・十文字)が何とか阻止。59分にも再び裏を狙われてGKと1対1の場面を招く。効果的な攻撃を繰り出す日体大に対して守勢に回り、早大はシュートまで持ち込むことができない。ラストプレーにフリーキックからDF千葉望愛(スポ4=浦和レッズレディースユース)が飛び込むもボールは枠を越え、万事休す。0―1での敗戦に選手たちは肩を落とした。

 「これが自分たちの現状」とDF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常磐木学園)は口にした。宿敵相手に雪辱は果たせず、早大にとって今季初めての敗北。2連覇していた関東女王の称号も逃してしまった。だが、うつむいてばかりはいられない。「皇后杯の出場権を獲得するのは絶対条件」(MF渡井汐莉、スポ4=鹿児島・鳳凰)。あす出場権を懸け、浦和レッズレディースユースと対戦する。

(記事 石原瑞季 写真 芦川葉子、佐藤拓郎)

関東女子選手権準々決勝
早大 0-1
0-0
日体大
【得点者】(日)34石井
コメント

DF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常磐木学園)
――試合を終えての感想は
これが自分たちの現状と言うしかないですね…。その言葉に尽きると思います。
――相手は日体大でした。どう臨みましたか
やっぱり昨年のインカレで悔しい思いをしているっていうのがあって、その分、結果と試合内容で共に圧勝しようと話していました。コーチや監督のおっしゃっていることがゲームの中でできなかったかなという悔しさを感じています。
――前半の失点を振り返って
失点の仕方も悪い雰囲気の中での失点で、全部のひとつひとつの積み重ねがああいう失点となって表れてしまったのかなと思います。
――裏を狙われる場面が多かったですが、CBとしていかがでしたか
飛び出す選手についてはラインを取るのか、付いていくのかということがはっきりしようと話していました。うまくできた部分もあった一方で、それが曖昧になってしまった部分も多くて。そういうところを突かれて失点もしてしまったので、無くしていきたいです。
――敗因は具体的にどういう部分にあったと考えていますか
技術面というところではなくて、勝ちたいという気持ちは日体大の方が大きかったと思いますし、ひとりひとりの一つ一つの普段の中での甘さが出たのかなと思います。均衡した試合のときに、4年生がリーダーシップとってやれればもっと良かったかなとも思っています。あとはひとりひとりの動きが足りなかったかなと思います。
――今季の公式戦初黒星となりましたが、チームではどんなことを話しましたか
この負けがいまの現状だということを話しましたし、あとはやっぱり明日もあるのでしっかり切り替えて、私たちはインカレ優勝と皇后杯ベスト8を目標にしているので、それにつながるように明日しっかり勝っていこうと話しました。
――パスがシュートまでつながりませんでしたが攻撃面に関しては
シュートしないとゴールは決まらないですし、遠くからのシュートもあまり無かったですね。自分たちでミスを恐れてあまりシュートすることが少なかったので、もうちょっとシュートの意識を持てれば良かったです。
――あすには順位決定戦が控えています。意気込みをお願いします
もう負けてしまったことは仕方がないので、しっかり相手の特徴をみんなで分析して、明日のために心も身体もしっかり切り替えて臨みたいと思います。

MF渡井汐莉副将(スポ4=鹿児島・鳳凰)
――きょうの試合を振り返っての感想をお願いします
負け、ということをしっかりと受け止めないといけないなと感じています。
――先制されて折り返した前半でしたが、攻撃面に関して出来の方はいかがでしたか
ボールを蹴ってしまうことがいつもより多くて、もう少し(ボールを)つなげたなという部分もありましたし、もっとサイドをうまく使って攻撃できていたらもっとチャンスが生まれたのかなと思います。
――裏を狙う相手の攻撃に対してディフェンス面で意識していたことはありましたか
相手に寄せてボールを蹴らせないファーストディフェンスと、そのボールに後ろの選手が対応するセカンドディフェンスという部分があったんですけど、失点シーンも含めてファーストディフェンスで相手に行けてなかったので、そういったところは今後改善していかないといけないと感じています。
――中盤でボールがつながらない場面が印象的でしたが、中盤での攻防という点ではいかがでしたか
相手がかなり(プレーを)読んできているなと感じましたし、その中で中盤で動き直してパスコースをつくり直すことも少なかったので、そういう動きをもっともっと増やしていかないと、と感じています。
――フル出場しましたが、自身のプレーを振り返ってどうですか
フル出場するという最低限の目標は達成できたのでそこは良かったんですけど、もっと攻撃に入った時にチャンスメイクできるボールを増やしていけたら良かったかなと思います。
――あすの試合に向けての意気込みをお願いします
皇后杯の出場権を獲得するのは絶対条件だと思うのでそれを達成するのと、個人的には得点につながるプレーだったりを増やして、絶対に勝ちたいと思います。

MF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――全日本大学選手権(インカレ)での敗戦以来の対決となりました、日体大戦に向けてどのような気持ちで臨みましたか
やっぱりああいう負け方をしてしまったので、リベンジという思いが強かったです。
――前半を振り返ってみて
堅さもあったかもしれませんが、とにかく入り方が悪かったです。その後は徐々にワセダのペースに持っていけて、攻撃の良い形もつくれていたと思います。
――失点シーンを振り返って
相手のSBの選手がボールを持った時になかなかファーストディフェンスに向かうことができず曖昧になってしまって、そこからやられてしまいました。みんな足が止まってしまったというか判断があまり良くなかったのかなと思います。
――1点を追う中でハーフタイムにチームで話したことは
負けている状況だったので、このままではダメだということで、失点シーンを含めてファーストディフェンス・セカンドディフェンスをしっかりいくということを話しました。あとはディフェンスタイトにいこうということとかです。ワセダは前半攻められていたこともあったので、雰囲気としてはいつも通りのハーフタイムだったと思います。
――前後半にわたりチャンスも見られた中で、1点が奪えなかった原因は
後半に入って特に焦りすぎてしまいました。莉子(FW小野田、スポ3=宮城・常磐木学園)が途中から入ったこともあって、パワープレーに入ろうかなというところに少し単調になってしまって、縦に蹴る回数が増えて相手に跳ね返されてボールを失う場面が増えてしまいました。負けている状況でももっと自分たちのサッカーをしてしっかりフィニッシュまで持ち込むという意志をみんなで持たなければいけないのかなと思います。
――きょうの試合が今季初の黒星となりました
言い方は失礼かもしれませんが、いままではそんなに強い相手と戦っていなかったので、これがいまの私たちの実力だろうなと思います。少し強い相手になるとこういう試合になってしまうので。
――インカレ奪還のためには日体大は必ず倒さないといけない相手だと思います。来月の関カレでの再戦に向けて
日体大にはまだ代表などで抜けている選手がいるので、(再戦までには)もっと詰めてくると思います。その中で私たちももっと戦い方というのを考えていかないと勝てないと思います。3連敗はさすがにしたくないので、しっかりみんなで頑張っていきたいと思います。
――あす勝たなければ皇后杯本戦出場の切符を逃してしまいますが、意気込みをお願いします
きょう負けてしまって後が無いですが、あす勝てば本戦に行けるので、気持ちを切り替えてしっかりケアをして、楽しく勝って本戦出場を決めたいと思います!

DF石田みなみ(スポ4=静岡・常葉学園橘)
――久々の敗戦となりました。試合を終えての率直な感想は
悔しいです。それだけですね。
――日体大とは昨年のインカレ決勝以来の対戦となりましたが、どのような意気込みで臨みましたか
今大会は優勝だけを目標に、日体大も通過点として捉えていました。インカレ以来なのでさすがに意識はしていましたけど、優勝へ向けてここで負けるわけにはいかないという気持ちの下にプレーしていました。関カレは下位のチームから順に当たるからまだ負けていないというだけなので、やっと日体大のような強いチームと戦えることを楽しみにしている部分もあったのですが…。これが実力ですね。しっかり受け止めて次に生かしていきたいです。
――前半、試合の入り方はいかがでしたか
決して悪くはなかったと思いますが、もっと前線からプレスに行った方が良かったと感じています。失点は何度もスルーパスを出されてしまう中でラインコントロールを取るかカバーに行くかの判断を見誤ってしまったところがあります。いままでは裏に蹴ってくる相手ばかりでしたが、きょうのようにスルーパスを通してくる相手にはまだまだ対応しきれていないので、今後の課題だと思います。GKとの連携ももっと必要ですね。
――1点を追う後半に感じた課題はありますか
ここまで後半が悪い試合が多かっただけになるべく前半で決めたかったのですが、ビハインドで後半に入ることになりました。立ち上がりのセットプレーのピンチを防げたのでいけるかなとも思いましたが、思った以上に日体大の守りが堅かったですね。そういう中でもしっかり崩して、自分も攻撃参加から精度の高いクロスを磨いていかないといけないなと感じました。
――翌日に順位決定戦が控えていますが、どのように切り替えて臨みますか
みんな悔しいと思いますが日体大に負けたという現実を受け止めて、うまくパワーに変えてやるしかないと思っています。