苦手の筑波大にまたも勝ちきれず

ア式蹴球女子

 関東女子リーグ後期第3節、前節尚美学園大に快勝したワセダは苦手とする筑波大と対戦した。試合はワセダがボールを保持するもシュートに結び付けられず、逆に相手の縦に速い攻撃に手を焼く展開に。後半立ち上がりの失点後にMF松川智(スポ2=大阪・桐蔭)のリーグ戦今季初ゴールで追い付くも、勝ち越すまでには至らず。1―1のドローでまたも勝利することはできなかった。

1トップでゴールを目指し奮闘した山本

 猛暑の中行われた筑波大戦。ワセダは開始早々からMF渡井汐莉(スポ4=鹿児島・鳳凰)やDF陣を中心にラインを上げて相手陣内に攻め込んでいくが、相手の組織的な守備を前に最後のシュートまでいけない時間が続く。簡単なボールロストなどで相手にボールを奪われると、逆に相手の速い縦へのボールから、スピードを生かした攻撃でチャンスをつくられてしまう。33分には左サイドでボールを奪われ中央への速い展開から、その2分後にもスルーパスから1対1となりいずれも冷やりとするシュートを打たれる。DF陣の奮闘でなんとか無失点に抑えたワセダだが、反撃の糸口を見つけられないまま前半をスコアレスで折り返す。

 流れを変えたいワセダはMF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)に代え松川を投入し攻撃の活性化を図る。だが後半開始早々の41分、スローインからペナルティエリア内で相手に奪われ、右ポスト直撃の強烈なシュートを決められ先制を許してしまう。なんとか追い付きたいワセダはMF正野可菜子(スポ2=兵庫・日ノ本学園)が積極的に相手に仕掛けていきゴールを目指す。だが暑さから徐々に互いの動きが鈍くなりなかなかプレスに行けない展開に。ボールロストも増えるなど間延びした試合展開が続いたが57分、途中交代の選手たちが試合の流れを変えた。ペナルティエリア前の混戦から正野が抜け出し相手の一瞬の隙を突きスルーパス。これを飛び出した松川が無人のゴールに流し込み同点に追い付く。勢いそのままに逆転したいワセダだったが、その後は猛暑の影響もあり攻撃が停滞。両者共に決め手を欠きそのまま試合終了を告げるホイッスルが響き渡った。

同点弾を決めた松川に駆け寄るチームメイト

 「自分たちのミスから崩されてしまった」(DF千葉梢恵主将、スポ4=宮城・常磐木学園)と振り返るように攻守の大事な場面でのミスが多かったワセダ。またも筑波大から勝ち星を挙げられずリーグ戦連勝とはならなかった。それでも負けずに勝ち点を拾ったところは好材料である。日本一を極めるために、ことしも熱く長い戦いが続く。

(記事 高柳龍太郎 写真 辛嶋寛文、芦川葉子)

関東女子リーグ戦
早大 0-0
1-1
筑波大
【得点者】(筑)41横山 (早)57松川
コメント

DF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常磐木学園)
――試合を終えての感想はいかがですか
アウェイの試合の反省を生かして、バスの中での過ごし方だったり、勝ちにこだわることを意識していたんですが、それが結果につながらず残念に思います。悔しいです。
――苦手とする筑波大に対してどう臨みましたか
いつもの筑波大の印象としては引いてくるチームというイメージを持っていましたが、ことしは中でつないできたり、蹴らずにつないできてゴールまで行くという印象がありました。なのでその対応として中をケアしようと思っていたのですが、それがうまくいかなかったなと思います。あとは実際筑波大は結構蹴ってきたので、それに対応できなかったことが引き分けてしまった結果になってしまったのかなと思います。
――試合全体を振り返っていかがですか
きょうは相手にフリーで蹴らせてしまったというのがありました。でもそれ以前に、自分たちのミスから崩されてしまった場面が多くあって、そういうところを直せれば引き分けではなく勝てたんだと思います。
――チャンスをなかなかつくることができませんでしたが、攻撃面に関しては
DFも良いボールを配給できなかったという原因もあります。FWに関しては収めるのか、裏に抜けるのかという状況判断が少しできなかったのかなというのと、パスの出し手の判断も少し遅くて囲まれてしまったということもあったと思います。
――後半開始早々の失点でしたが振り返って
防げた失点だったと思います。2人で前屈みで行ってしまいました。改善していけるところだと思うし、あの時間帯での失点を無くしていきたいと思います。
――後半の停滞は暑さで体力を奪われたことも影響していますか
暑さ対策としてバスの中でなるべく水分を取ったりしていましたが、やっぱり結構暑くて。関カレの開幕戦が熊谷で12時キックオフということで、きょうより厳しい試合が予想されるので、改善していかなきゃいけないですね。あとは練習がいつも夜なので、なるべく土日の日中の練習をもっと大事にして厳しくやれたらなと思います。
――次の武蔵丘短大戦への意気込みをお願いします
次はまたホームなので、きょう出た課題の簡単につないで失わないでゴールへ行くことを意識して、応援してくれる方のためにもしっかり勝ちたいと思います。

MF正野可菜子(スポ2=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの試合を振り返って
前半の流れが悪くて後半から出させてもらったんですけど、勝ちたかったのが本音です。点決めれるとこで決めたら勝てたと思ったので、改善するとこがまだまだあります。
――かなり暑い中での試合でしたが対策は
対策ですか?細目に水を飲むことですかね(笑)。ボール出る度に水飲んでました。
――ボールを持ったがゴールに迫れなかった点については
持ったというよりも持たされた相手の思い通りにやられたという感じなので悔しいです。
――相手はスピードを活かして縦に速く攻めてきましたが
相手の18番が速くて上手い選手っていうのは分かってたのでやりたいようにやらせないようにしてたんですけど、やっぱり上手かったです。ただDF陣が上手く抑えててくれたのでそこは良かったと思います。
――後半の失点シーンを振り返って
後半始まったばかりで防げたと思うのでもったいなかったのと、入りの部分で引き締めていかなきゃいけないと思いました。
――ただその中で追い付きましたが、1-1という結果はどう捉えてますか
後半入って1点を返せたのは良かったけど、サッカー的には自分たちの良さがほとんど出せなかったのでまだまだ駄目ですね。悔しいです。
――次節の武蔵丘短大戦に向けて意気込みをお願いします
出る機会があれば、得点することが自分の役割だと思うので頑張りたいです。

FW山本摩也(スポ2=スフィーダ世田谷)
――きょうの試合を振り返って
筑波大とは前期は引き分けていてきょうはとにかく勝ちたいという意識で臨みました。それでも前半上手くいかなくて、後半勝負という気持ちでいったのですが立ち上がりに失点してしまって・・・。後半ビハインドになってから1対1に追いついたのはポジティブな要素だったとは思いますけど、課題の残る一戦になったと感じています。
――上手くいかなかった要因というものは
単純に相手のプレスが良くてパスワークが封じられたのもあったと思いますけど、試合を通して思い通りにできない時間というものは少なからず出てきます。そういう中でそれを引きずってしまうというか、自分たちの時間になかなかできないのが課題ですね。自分たちで流れを引き戻すようなプレーをもっと出していかないといけないと思います。
――山本選手自身は1トップとしてのプレーが続いています
ななみ(FW瀬口七海、スポ3=兵庫・日ノ本)や川原(FW川原奈央、スポ1=兵庫・日ノ本)のように個人で縦に抜けられる速さがある選手がユニバーシアードで欠けている中で、サイドでタメを使ってしっかり攻めようということで4-2-3-1のフォーメーションで戦っています。1トップでプレーするなかで難しさも感じていますが、自分の中ではやりやすいという手応えが大きくなっています。
――難しさというものはどこに感じているのでしょうか
もっとゴールに仕掛けるところですね。1トップなんでゴールに一番近いですし、相手にとってもっと恐い選手にならないといけないと感じています。自分はパスの方が好きだという気持ちもありますが、やっぱり自分が仕掛けないと味方にとっても頼りになる存在になりたいです。
――次節はホーム東伏見に戻っての一戦となります。意気込みをお願いします
次もユニバーシアード組はいないですけど、きょう出た課題をしっかりと修正して、次の試合では勝ち点3を取れるように頑張りたいです。

MF松川智(スポ2=大阪・桐蔭)
――きょうの試合を振り返って
筑波大相手で前期も良い試合が全然できていなくて、勝ちにいこうという感じで前半はやっていたと思います。後半から出たのですが、相手の攻撃が上手くて守備がなかなか上手くいかず、結構ひとりひとりが孤立してしまっていました。自分が入るときはゴール下のポジションなので点を狙っていこうと思っていました。
――監督に何と言われて入りましたか
0―0で結構拮抗した試合になると思っていたので、点を狙っていけと言われました。
――ゴールシーンを振り返って
正野(MF正野可菜子、社2=兵庫・日ノ本学園)が、パスを出す前に自分の名前を呼んで出ろっていう指示が出ていて、GKと1対1になって後は落ち着いて決めるだけでした。
――筑波大に対する苦手意識などはありますか
筑波大はワセダに対して守備などを結構徹底してきて、自分たちのサッカーをしようと言っているんですがそれがなかなかできていないです。苦手意識もあると思うんですが、そこは自分たちのいつも通りのサッカーをしたら勝てると思うので、そこを変えずにやっていくのが自分たちの課題かなと思っています。
――攻めあぐねていた原因は何だと思いますか
この暑さの中、もっと走らなければというのもあると思うんですけど、後半早い時間で先制されてしまってから攻めにかかっていたのでそれを最初からできていればもっと点が取れたと思います。
――かなりの暑さの中の試合となりました
その暑さの中で戦わないといけなくて、結構パスずれることやパスミスもあったので、暑さの戦い方、ボールの出しどころとかをしっかり考えて、そこをきっちりしていけば楽に自分たちのサッカーができたのかなと思います。
――次節の武蔵丘短大戦に向けて
引き分けに今回終わってしまったので、関東リーグで武蔵丘短大も個人のレベルが高いので、そこは注意していかないといけないと思っています。まずは個で勝って、今回できなかった自分たちのサッカーをまた1週間で改善していきたいと思います。