【連載】『蹴大成』【女子部・第4回】石田みなみ×高木ひかり

ア式蹴球女子

 本連載第4回目を飾るのは、今季も早大の主力として実力を存分に発揮している二人、共に静岡・常葉学園橘高出身のDF石田みなみ(スポ4)とMF高木ひかり(スポ2)だ。世代別の代表に選出されるなど、これまでも世界のレベルを経験してきた二人が皇后杯全日本選手権(皇后杯)での敗戦で感じたこととは。そして、集大成となる全日本大学女子選手権(インカレ)に向けての熱い思いを伺った。

※この取材は12月21日に行われたものです。

「もっと成長しなくてはいけない」(高木)

石田

――3月にチームが始動してから1年間ここまで戦ってきて、手応えはどうですか

石田 『皇后杯ベスト8』と『インカレ優勝』という目標があって、今シーズンはそれに向かってやってきたんですけど、ベレーザ(日テレ・ベレーザ)に負けて『皇后杯ベスト8』という目標を達成することができなかったですし、日体大にも負けて、満足のいくシーズンだったのかというとそうではないと思います。

高木 皇后杯に関しては、昨年と比べると内容共に良い結果を残せなくて、もっと突き詰めていけないと感じた反面、昨年のシーズンはDFとしてプレーしていたので、今季に入ってポジションが大きく変わったことで、プレーに関してもメンタル的にも前向きになったのかなとは思います。

――公式戦負けなしの状況で迎えた関東女子選手権、日体大戦で敗戦(●0―1)を喫しましたが、その敗戦はチームにどのような影響を与えましたか

石田  日体大に負けたあとに遠征メンバーで集まってミーティングをしたとき、技術にあまり差はなかったのに、試合中の雰囲気や声掛けの部分でやはり相手に劣っていた部分があった、という話が出ました。雰囲気が全てというわけではないですが、チームとして上手く戦えていたのは日体大だったと思うので、悔しいですけど学ぶ部分はたくさんあったなと思います。

高木 自分は日体大戦のときにいなくてその日の夜にチームに合流したんですけど、ミーティングの時の雰囲気は、自分が負けを経験していない分すごく負の雰囲気が漂っていると感じました。でもそのミーティングで話し合ったことが次の試合に良い感じでつながっていたし、試合中のチームの雰囲気も変わって良いかたちで得点を取れることも多くなったので、そこは良かったことだと思います。

――今季、一番印象に残っている試合は何ですか

石田 ベレーザ戦が一番印象に残っています。過去2戦、格上のINAC(INAC神戸レオネッサ)相手に0―1というスコアで善戦できていたのに対して、べレーザ戦で前半に4失点してしまったことはDFとしても悔しいですし、自分のサイドから崩されることも多々あったので、特に印象に残っている試合です。

高木 同じですね。自分にとってはベレーザ戦が今季初めて負けた試合だったので。攻撃に関してはほとんど攻めることができなかった状況で自分たちの力の無さを痛感したので、もっと成長しなくてはいけないと感じた試合でした。

――皇后杯では、3年間ベスト8の壁を越えられずにいます。チームに何が必要だと考えますか

石田 2年前のINAC戦は最後の試合で勝たなくてはいけない状況だったので、戦い方やフォーメーションをいつもと違う感じにしたことで良い試合ができていたと思うし、昨年も引いて守ることを軸にして戦ったのですが、今回はインカレにつながるような戦いをするためにいつものフォーメーションのまま戦うことを決めて戦いました。4失点ということで守備も攻撃も通用しない部分がたくさんあったので質を上げていくことが大切ですし、一番感じたことは、相手は中盤の2列目の飛び出しなどの運動量がすごく多くて、比較的足元にパスを出してダイレクトを使う自分たちと比較するとベレーザの選手は隙あらば裏のスペースをどんどん突いてくるし、特に後半は自分たちの足が止まってきている中で裏に何度も仕掛けてきて、個人の技術の高さはもちろんですけど、試合を通しての戦い方や準備の仕方が大きな差だったと感じました。

高木 マッチアップしてみて、相手の方が個人の能力が上だったと感じました。個人としては相手に知っている選手が多くて特徴を把握できていると思っていたんですけど、相手はそれ以上のプレーをしたので、試合へのモチベーションの高さや、チームで何がしたいのかという部分の共通理解ができていると思いました。それに対してワセダは、ボールを取り切る場所や、こうやって攻めよう、という意図が全然なかったので相手を見習わなくてはいけないと思いましたし、強い相手と戦う時に中盤の選手の運動量や厚みが大事だということをすごく感じました。

――今季から力を入れているスカウティングについて

石田 昨年の関カレでは日体大に対して3―0という良い試合をしたことで、どこかで勝てるだろう、という気持ちが少なからずありました。それによってインカレで負けてしまったということで、その反省点を生かしてその年の皇后杯ではINAC戦に向けてスカウティングをしたんですけど、大学生に対してはあまりスカウティングをしていなかったので、今季は大学生に対してもしっかりとスカウティングをしようということを話し合いました。スカウティングという役職がない分、選手にかかる負担はすごく大きいんですけど、コーチや監督も納得してくださったので。今季スカウティングをしてきて、やる価値があることだと感じていますし、やってきて良かったなという風に思っています。相手を知るということは大事なことなので。

高木 スカウティングに関してはほとんど4年生がやってくれています。自分は分析という役割で、編集するだけなのであまり役には立ててないんですけど、スカウティングをすることによって相手選手の特徴を前もって把握できることにはすごく良いことだと思いますし、これからも続けていくべきだと思います。

――今季のチームの強みと課題を挙げるとすると

石田 昨年と違うチームの強みとしては、4年生が試合に出ているということです。4年間の大学生活の中で年を重ねるにつれて責任感や思いは増してきていると思うので、それがプレーにも影響してきていると思います。選手層が厚いということもワセダの強みですね。弱みとしては、試合に対しての準備の部分が課題だと思っています。ここに来てケガ人や風邪をひく選手たちが出てきているので、もっと自己管理することが大事ですね。あと、選手層が厚い中でも勝てない試合があるということは良い選手がいるのに個が孤立してしまっているからだと思うので、上手く全員がマッチしてみんなで相乗効果を生めればいいなと思います。

高木 ベレーザ戦で一歩目の速さが相手の方が上だと思ったので、ワセダは動き出しの部分がまだまだ課題だなと思います。そこを意識していけば、大学生相手にもっと勝っていけるのではないかと。強みは…フィジカルですかね。他の大学生と比べて記録としては走れる選手が多いと思うので、そこをもっと生かしていければと思います。

――高木選手は夏にユニバーシアード・カザン大会を経験されましたが、出場した5試合を振り返っていかがですか

高木 いままで代表として呼ばれたときはつなぐサッカーをすることが多かったんですけど、ユニバの年代ではロングボールと蹴って、収めて、という戦い方がメインでした。でも相手が強くなるとロングボール1本ではなかなか上手くいかなかったので、それが通用したかというとそうではないと感じました。ワセダとしてもロングボールを使うことがたまにあるんですけど、それよりも中盤から確実につなげて展開した方が相手を崩せるというイメージがすごくあって、そういうプレーが今シーズンのワセダで増えたということは良いことだと思いますし、自分が中盤に入ることによってユニバで感じたことを出せているかなと思うので、ユニバは良い経験になったと思います。

――先ほどお話にもありましたが、高木選手は今シーズンさまざまなポジションで起用されました

高木 特にやりたいポジションはないんですけど、自分の気持ちとしてはどこでやっても結果を出せるマルチなプレーヤーでいたいと思っているので、どのポジションでも一生懸命やっています。でも、例えばDFはボールに合わせて動かなければいけないので感覚が大事だと思うんですが、最近はFWが多くてそのような感覚を忘れてしまっているので、前線でプレーしているときはDFとしてはあまりプレーしたくないなと感じました。

――石田選手は広報を務めていらっしゃいますが、今季はツイッターでの広報活動に力を入れていましたが、工夫した点はありますか

石田 頑張りました。ア女はとても良いチームなので、大学サッカーを知ってもらいたいという気持ちが強くあったことがきっかけです。2年生のときに広報という役職を先輩にもらってからずっとやらせてもらっているんですけど、ことし新たに始めた試みとして、選手の写真と一緒に関カレとインカレまでのカウントダウンをやりました。その結果、フォロワーも100人ぐらい増えましたね。最初に水泳部が同じようなカウントダウンをツイッターでやっていることを友達が教えてくれてすごく良いアイディアだと思ったので、あと2人いる広報の子に相談したら賛成してくれました。インカレに向けてのお試し期間として関カレ前にやってみたら結構反響が良かったので、インカレでも続けました。

「サッカーをやっていない自分が想像できない」(石田)

高木

――お二人は同じ出身校ですが、中学、高校の時の上下関係は厳しかったですか

高木 中学はかなりもめましたよね(笑)。

石田 もめたね(笑)。

高木 (石田選手は)中学の時はめちゃくちゃ怖いというイメージしかなくて、怒られることも何度もあったのであまり好きじゃなかったんですけど(笑)、高校になったら、監督が変わったことも理由だと思いますけど上下関係があまりなくなって親しくなれましたし、中学の時に思っていた感情もなくなって大学進学とともに、すごく接しやすい先輩だと思うようになりました。

石田 良かったです(笑)。

――高木選手はどんな後輩だったんですか

石田 試合には一緒に出ていたんですけど、中学、高校のときはあまりしゃべることがなかったです。でも大学に入って話す機会が増えましたし、ロッカーも隣なので(笑)。中学、高校のときよりは仲良くなったかなと思います。選手として上手いというのはみなさんご存知の通りです(笑)。

――当時のポジションはどこでしたか

石田 中学の頃はFWをやっていました。

高木 自分は中1の時は試合に出てないですね。高1ぐらいから出してもらって。みなみちゃん(石田)はサイドハーフだったよね。

――段々後ろに下がってきたんですね

石田 そうですね。徐々に後ろに(笑)。背負うプレーが苦手だったので。中学で代表に呼ばれた時にFWだったんですけど、なぜかDF登録になっていて(笑)、ポジション別の練習でもDFをやっていました。それから代表ではDFをやるようになって、サイドバックとかサイドハーフとかを経験するようになりました。私は足の技術がないので、サイドにいたほうが(笑)。良いパス出してくれるんですよ。

高木 いやいや(笑)。ありがとうございます(笑)。

――大学進学の時にワセダを選んだ理由を教えてください

石田 ワセダがインカレで優勝したこともあって一番強い大学に行きたかったということと、実力的にも高卒でサッカーをやる自信がなかったのですがサッカーを続けたいという思いはあったので、大学で経験を積みたいと考えました。あと、サッカーだけというのは嫌で、何かを学びたいという気持ちもあったので、ワセダはある程度しっかりやらなくてはいけないですし、そういう意味でワセダに惹かれました。

高木 ワセダに行きたいという思いはあったんですけど、自分は何事にも自信がないので学力にも自信がなかったですし、スポーツ推薦も…という感じで、他の大学のセレクションを受けてみたりもして、ワセダはとりあえず受験をしてみようという感じで受けました。その時みなみちゃんに、試験のこととかいろいろな事を相談しましたね。勉強したいという気持ちもありましたし、Lリーグに行ってもまだまだ通用しないと思っていたので、大学でレベルアップを図ってから上を目指していこうということで、ワセダが一番強いと思ったので選びました。

――やはり先輩の存在は大きかったですか>

高木 そうですね。他の人よりは先輩にいろいろ聞くことができたので、目指しやすかったのかなと思います。

――オフの日はどのように過ごしていますか

高木 自分には秘密の趣味があるので、それで結構アクティブに出かけたりとか、服が好きなので買い物に行ったり、それのためのお金を稼ぐためにバイトを入れています。

――部活とバイトの両立は難しくはないですか

高木 何事にもお金は必要なので(笑)。コンディションが崩れない程度にバイトを入れています。

石田 私は他の部活の応援に行っていますね。女バスの4年生が友達なので、女バスの応援に行ったりとか、試合前日にメールして励ましたりしてます。今季はバドミントンの応援にも行きましたし、今度レスリングも行く予定です。競技は違うけど、友達が頑張っているのを見ると良い刺激になるので。友達が大好きです!(笑)

――お二人とも一人暮らしとのことですが、一人暮らしは大変ですか

石田 楽しいといえば楽しいし、辛いといえば辛いです(笑)。

高木 私は一人の時間を大事にしたいタイプなので、一人暮らしは楽しいですね。

――洗濯が大変ではないですか

石田 洗濯自体は大変ではないんですけど、人工芝が靴とかにものすごくつくので、部屋にたくさん落ちてるんですよ。スライディングとかをすると静電気でついちゃうので、それをとるのが大変です。

高木 同感です(笑)。

――面白い授業などはありますか

高木 原田直之先生の授業はあまり勉強っぽくないので、あまり勉強っぽいのは苦手なのでそういう授業は楽しいです。

――お忙しいと思いますが、単位は平気ですか

高木 スポーツ科学部なので単位はちゃんと行けば取れるって感じです。

石田  教職も取っていたんですけど、もう終わります。

――学業の話から離れますが、長岡義一監督(昭43商卒=京都・山城)は選手からみてどんな方ですか

石田 監督はなんというか、他のコーチとかよりも具体的な指示は出さないんですけど、試合ごとに書くサッカーノートに対して毎回たぶん全選手のやつに目を通して必ず何かしらのコメントをくれます。「頑張ってね」とかのときもあるんですけど(笑)。そういうのとかはマメだなあと思いますし、調子の良い選手とかをちゃんと見ているのかなと最近すごく感じます。

高木 サッカーの指示をあんまりされたことがないんですけどお茶目というか、とりあえず優しくて良いおじいちゃんという感じです。でも気持ちはすごく熱い人なのでそれに応えようという気になります。

――4年生の雰囲気は

石田 一人一人個性豊かでみんなそれぞれ良い人です(笑)。やっぱり実際大学できついこともありますし、他の学年って上の学年も関わった学年全部1人はやめたりしていて、その中で私らの学年は誰1人欠けることなく4年間来たのでそこがすごいです。あとはまに(FW福沢真菜美、スポ4=北海道・室蘭大谷)が可愛いです(笑)変な人がいっぱいいます!

――では2年生の雰囲気は

高木 良い感じの距離感で、1人1人すごく仲良いですし、思ったことをずばっと言うので、相手が傷ついてるとか傷ついてないとか考えずに言えるのは良いことだと思うんですけど、まあサッカーの面でも知り合いが多かったので相手がやりたいこともすごく分かりますし、こうじゃないとか悪かったら悪いとかずばずば言ってくる感じなので付き合いやすいです。個性的にも自己主張がめちゃくちゃ強いので曲げないところもすごく多くて大変な分、逆に目立ちたがりやなのにやりたがらないみたいな。例えばキャプテンみたいな仕事だと全然やりたがらないので自分たちの代は誰がキャプテンをやるかと言ったら、もう摩也さん(MF山本、スポ2=東京・スフィーダ世田谷)が1つ歳上なのでそれで摩也さんがやるというくらいです。

――石田選手は卒業後の進路はどうなさいますか

石田 サッカーを続けます。あとはまだ未定なので(笑)

――決意されたきっかけは

石田 きっかけは、やっぱりサッカー好きなのはもちろんなんですけど、サッカーをやっていない自分が想像できなくて、やっぱり目標がないと立ってられなくなっちゃいそうで。何かやっていないと存在できない気がします。

1位か、それ以下か

豊富な運動量でピッチを駆け上がる石田

――ではインカレに話を移したいと思います。皇后杯も終わりインカレに向けてチームはどんな雰囲気ですか

石田 良くもなくすごく悪いわけでもなくという感じです。でももうひと、ふた頑張りくらいしないと優勝は見えてこないんじゃないかなという厳しい意見で。もっともっとみんなできるんじゃないかなと思います。

高木 ベレーザ戦で受けた刺激を形にしていかないと優勝できないと思いますし、昨季悔しい気持ちを味わっている分優勝したいという気持ちがあるんですが、決勝に立ったときに気持ちだけ頑張ってやろうと思っても、前の試合で同じような気持ちでやっていないと決勝であたふたしてしまうというのを昨年経験したので。前もって気持ちを高めていって決勝に立ったときに1番最高潮な形でプレーできればいいなと思います。

――もうひとふた頑張りというのはどこを具体的に高めていきたいですか

石田 やっぱりその体調管理の部分だったりとか、ピークを上手く決勝戦とかインカレの試合に向けて持っていくようにチーム個人個人が自覚を持って日々過ごさなくてはいけないと思います。それに、チームの技術や戦術の部分で言ったらこれから新しいことをやるのは不可能ではないですけど厳しいので、やっぱりいままでやってきたことの質を高めるという部分でもっと追求していかなきゃいけない部分があると思います。

――昨年は決勝で涙をのむ結果となりましたが、いま改めて振り返って

高木 思っていることが、気持ちとは裏腹に身体がついていかないというか。何でこんなプレーするかなっていうような感じの、そうするつもりはないんですけど上手く体現できないというか。やっぱりさっきも言ったように気持ちが先走ってしまい、上手く均等に保てなかったという感じですかね。自分が優勝とかしたことがないので逆にそういう大舞台になると無駄に自分にプレッシャーをかけてしまうというか、やっぱり身体が動かなくなってしまうことがあるんだなと実感しました。

石田 昨年もそうですけど、その前も予選で敗退という結果になってしまって、プレー中は本当にもうがむしゃらにやっているんですけど、終わった後の光景というのが、いま思い出しても言葉がつまるくらいで。先輩たちがああやって泣き崩れてしまう姿というのはもう見たくないですし後輩にも見せたくないですし、本当にあれは見るもんじゃないというか、嫌ですね、やっぱり写真に残っちゃったりとか映像とか見ることもあるので。あとやっぱり自分たちが優勝しないと優勝を経験している代がいなくなっちゃうので、優勝しないとという気持ちはあります。

――ことしのインカレの組み合わせを見て率直な感想は

石田 日体大と吉備国際大があたってくれてうれしいです(笑)。

高木 自分もそう思います。

――吉備国際大と日体大には決勝まであたりませんが、どちらと戦いたいというのはありますか

石田 どっちでもいいというとあれですが、どっちともやりたいという気持ちはあります。日体大には負けていて、関カレで勝ちましたけどBチームで臨んできていたし、本気の日体大ともう一度勝負して勝ちたいというのと、吉備国際大は2年前のインカレの予選で点を取れなくて敗退という結果だったので、2つとも借りがあるので、返さないと。

前線での起用に応え、アシストも多くマークした高木

――2年間インカレ優勝は逃がしている中で、優勝に必要なことはどんなことだと考えますか

石田 2年前は志帆さん(DF高畑、平24教卒=現浦和レッズレディース)と麻未さん(FW大滝、平23スポ卒=現浦和レッズレディース)っていういまなでしこリーグで活躍していたり、なでしこジャパンに選出されるようなすごい選手がいる中で勝てなかったというのは、訳分からなかったですね。あのメンバーで勝てないというのは本当に想像ができていなかったというか。あれだけメンバーがそろっていても、チームとしての力が発揮できないと勝てないですし、昨年は決勝の舞台がありましたけど、ひかりが言ったように気持ちと身体が上手く付いてこない、マッチしないというのがあったりして…。全部が上手くいくというのは難しいかもしれないですが、チームも上手くいって、個人としての動きも良くて、その二つが合わさらないと優勝というのはできないものなんだと思います。良い選手がいるから勝てるわけではないっていうのは感じました。でも優勝できたときって、4年生がすごく頑張ってくれていて、4年生の存在は大きかった印象がいまでもあります。1年生と4年生で年が離れていたのもありますが、本当にすごい学年で。その代くらい、それ以上に頑張らないと優勝は見えてこないのかなと。

高木 優勝ということを経験したことが無いので、どうしたら優勝できるのかっていうのもあまりよく分からないんですが、120パーセントを出すとかって言いますけど、自分の考え的にはそれは無理で、100パーセント、それに近いくらいの力を出し切れれば良い結果が付いてくるのかなと思います。気持ちの面で、自分はメンタルがすごく弱いので、メンタルを強く持ってどれだけ試合に取り組めるのかっていうのが優勝につながってくるのではないかなと考えています。

――インカレで注目してほしい選手はいますか

高木 川原奈央(FW、スポ1=兵庫・日ノ本学園)です。ここ最近あまり点を取っていないですし、やりたいプレーを人に伝えるのがすごく下手なので、それをみんなに理解してもらってどれだけできるかっていうのが、今後の奈央の課題になってくると思うし、個人の技術的にもワセダの中で群を抜いているので今後も期待できますし、いろいろ託している部分もあります。奈央にいろいろ関わって、得点に絡めるようにアシストとかで、それで奈央がいっぱい点を取ってくれたらいいなと思います。

石田 これ奈央絶対うれしいじゃん(笑)。奈央に関してはひかりが言ったことが全てです(笑)。他に挙げるとすれば…

高木 「自分です」とか言ったらどうですか??(笑)

石田 それはないです(笑)。やっぱり前線の選手は見てて注目が行くと思うので、ディフェンスラインを見てもらって、良い守備ができれば攻撃につながるので、良い守備をします。

高木 まるーく自分を入れましたね(笑)。

石田 いや、そこはキャプテン(DF千葉梢恵、スポ4=宮城・常盤木学園)で。いままで常に頑張ってくれていたので、足を引っ張らないようにします。

――最後に、インカレへ懸ける思いや意気込みを教えてください

石田 思いはやっぱり優勝したいというのがあります。優勝しないといままでの4年間が無駄になってしまう、それぐらいの気持ちはありますし、さっきも言ったように過去2回ああいう先輩たちの姿を見てきて、もう見たくないし見せたくない、という気持ちが強いです。ア式が「1位か、それ以下か」という言葉を使っていると思いますが、本当に優勝しなかったらそれ以下なので。ワセダとして優勝しか求められていないですし、絶対優勝したいです。会場が西が丘ということで、友達とかも見に来てくれるって言ってくれる人が多いので、その子たちも一緒に最高の瞬間を味わうためにも、支えてきてくれた両親やチームメイトやその他たくさんの方々のためにも、最高のプレーをして最高の結果を、早スポさんにも感謝をしながら、優勝します!

高木 昨季のこともありまして、インカレへの思いっていうのは人一倍というか、このために頑張ってきたんですが、でも自分一人ではなくて周りの人がいないと無理だと思うので、いろんな人を信じて、頑張りたいと思います!

――ありがとうございました!

石田(左)と高木。常葉学園橘の『T』を表してくれました

◆石田みなみ(いしだ・みなみ)

1991年(平3)5月14日生まれ。身長162センチ。静岡・常葉学園橘高出身。スポーツ科学部4年。卒業論文は部内で一番余裕を持ってやったという石田選手。提出間近は皇后杯で忙しくなることを想定した上で前々から進めておいたそう。忙しい中でもしっかり計画性を持ってやれる石田選手に、そのコツを教えてもらいました。参考にさせていただきます!

◆高木ひかり(たかぎ・ひかり)

1993年(平5)5月21日生まれ。身長165センチ。静岡・常葉学園橘高出身。スポーツ科学部2年。最後にインカレへの意気込みを伺うと、「その前に一つだけ聞いてもいいですか?」と早スポ記者に対して「みなさんはア女の担当にはどう決まったんですか?」と突然の逆質問をしてきた高木選手。その後も早スポについていろいろと質問してくれました。その理由は「質問されたら、質問し返そうって思ってたんです」と一言。対談の最後の最後に実行してきた高木選手に一同たじたじでした。