関東女子リーグ戦(関東リーグ)もいよいよ最終節。すでに5連覇を決めているワセダは関東学園大と対戦した。試合は開始早々にFW権野貴子(スポ3=宮城・常磐木学園)がゴールを決め、幸先良く先制に成功する。しかしユニバーシアード代表のMF中村ゆしかなど個々に高いクオリティーを備える関東学園大がすぐさま反撃。同点に追い付かれ前半を折り返す。後半から途中出場のFW川原奈央(スポ1=兵庫・日ノ本学園)が2ゴールを挙げ突き離すも、1点を返されひやりとする展開に。苦しい試合を何とか逃げ切り、3―2で勝利した。
エンジイレブンは前節8ゴールで大勝した勢いそのままに試合に入る。キックオフからボールをワイドに動かし相手陣内に攻め入ると11分、左サイドのスペースをえぐりMF高木ひかり(スポ2=静岡・常葉学園橘)が中央へパス。これを拾った権野がゴール前で粘り強引にシュートしネットを揺らす。さらに追加点を狙うワセダであったが、この日は守備が安定しない。25分にペナルティエリア手前からのワンツーで1対1の決定的なシーンをつくられてしまう。ここはGK山田紅葉(スポ1=東京・十文字)のファインセーブで事なきを得るも、左右へダイレクトに攻める相手の攻勢は強まる。そして29分、DFラインでのパス回しを相手FWにカットされると、そのまま右サイド裏のスペースへ通され再び1対1の場面に。これを冷静に決められ同点に追い付かれてしまう。その後も前線へのパスが通らずたびたび危険な場面をつくられるなど、「受け身になってしまった」(DF千葉梢恵主将、スポ4=宮城・常磐木学園)と、苦しい展開のまま前半を終える。
勝ち越し点を決める川原
後半、ワセダはサイドに川原を投入し攻撃の活性化を図る。すると50分にいきなりビッグチャンス。MF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)からのスルーパスに反応し川原が右サイドを抜けシュート。これを一度は止められるもその跳ね返りを押し込み、良い時間帯に勝ち越し点を得る。これで勢いづくと続くさらにその1分後、スローインから中央で出したパスを高木が裏にスルーパス。これを再び川原が押し込みあっという間に2点差をつける。この連続ゴールで勝負あったかに思われたが、「ラインが引き気味になってしまった」(千葉梢主将)と振り返るように、なかなか上げられないディフェンスラインを突かれる。58分、左サイドからクロスを上げられるとクリアしきれずボールは相手の足元に。これを右隅に決められ1点差に詰め寄られる。その後はお互い一進一退の攻防を繰り広げるも得点に結びつかず。試合終了間際に放った相手シュートがポストを直撃するなどひやりとする場面もあったが、3―2で何とか逃げ切った。
サイドからアシストを量産する高木
最終節でよもやの接戦を演じてしまったワセダ。「マークの受け渡しをしっかりしなくちゃ」(大宮)との言葉通り、これから始まる皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)に向け課題を認識したに違いない。きょう出た課題を克服しさらに進化できるか。悲願とする皇后杯ベスト8進出への挑戦はもう目の前だ。
(記事 増山祐史 写真 石原瑞季)
ア式蹴球部女子
関東女子リーグ戦後期第7節 | ||||
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早大 | 3 | 1-1 2-1 |
2 | 関東学園大 |
【得点者】(早)11権野 50・51川原 |
早大メンバー | ||||
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位置 | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 16 | 山田紅葉 | 東京・十文字 | スポ1 |
DF | 2 | 石田みなみ | 静岡・常葉学園橘 | スポ4 |
DF | 3 | 千葉望愛 | 浦和レッズレディースユース | スポ4 |
DF | ◎4 | 千葉梢恵 | 宮城・常磐木学園 | スポ4 |
DF | 13 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ3 |
MF | 6 | 渡井汐莉 | 鹿児島・鳳凰 | スポ4 |
MF | 7 | 高木ひかり | 静岡・常葉学園橘 | スポ2 |
MF | →79分 | 松川智 | 大阪桐蔭 | スポ2 |
MF | 10 | 大宮玲央奈 | 浦和レッズレディースユース | スポ4 |
MF | 20 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社2 |
MF | →HT | 川原奈央 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ1 |
FW | 5 | 権野貴子 | 宮城・常磐木学園 | スポ3 |
FW | 8 | 福沢真菜美 | 北海道・室蘭大谷 | スポ4 |
FW | →66分 | 小野田莉子 | 宮城・常磐木学園 | スポ3 | ◎はゲームキャプテン 監督は長岡義一監督(昭43商卒=京都・山城) |
関東女子リーグ戦1部リーグ順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 早大 | 32 | 14 | 9 | 5 | 0 | 44 | 8 | 36 |
2 | 浦和レッズレディースユース | 24 | 14 | 7 | 3 | 4 | 28 | 19 | 9 |
3 | 日テレ・メニーナ | 22 | 14 | 7 | 1 | 6 | 26 | 31 | -5 |
4 | 関東学園大 | 21 | 14 | 7 | 0 | 7 | 25 | 25 | 0 |
5 | 筑波大 | 18 | 14 | 5 | 3 | 6 | 22 | 25 | -3 |
6 | 武蔵丘女子短大 | 17 | 14 | 5 | 2 | 7 | 16 | 15 | 1 |
7 | 太田レディース | 14 | 14 | 4 | 2 | 8 | 15 | 39 | -24 |
8 | 尚美学園大 | 11 | 14 | 3 | 2 | 9 | 15 | 29 | -14 | ※最終順位 |
コメント
DF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常磐木学園)
――試合を振り返っていかがですか
勝ち切れたというのは良かったんですが、最終戦で2失点してしまったし、それも崩されての失点で悪い時間に決められてしまったので、1失点目でもう少し修正できていたら良かったんですけど、修正しきれなかった部分があって失点してしまったことが残念です。
――すでに優勝を決めている中で、きょうの試合にはどう臨まれましたか
優勝決まったことにはあまりとらわれずに、最終戦でアウエーでの試合だったので今後の皇后杯とかに向けて質の高いサッカーがしたいと思って臨みました。それと最終戦で4年生の友末(DF友末唯、スポ4=東京・十文字)とかがベンチ入りしたり、普段出れない選手がベンチ入りしていたんですけど、余裕のある試合展開ができなくて。悔しいというか悔いの残るゲームでした。
――前半は追い付かれて折り返しましたが
1点取られようが自分たちは平常心というか取り返そうという気持ちで、焦ったりはなかったんですが、これが均衡した試合だったりなかなか攻めれない相手だったら、先制して同点に追い付かれていたら気持ちの部分で分からなかったんじゃないかと思います。
――最後まで油断のできない展開となりました
後半は結構自分たちに決めるチャンスがあったのに決め切ることができなくて、その中でも後半に2点差にできて少し余裕が生まれたんですけど、もう少し決定的な場面もあったので決め切れなきゃいけないなと思います。
――守備面に関して
悪い時に受け身になってしまうんですけど、なぜかきょうは受け身にならなくていい相手に対して受け身になってしまったと思います。少しラインが引き気味になってしまって、前線の選手と間が空いてしまったのかなと思うので、試合中に声掛けて修正していこうと思ったんですけどうまくできなかったですね。FWのところでうまく崩せていたし良いところもあって、DF面でも何枚かで取り切ったりできたんで良いシーンは見られるんですが、一つ一つのプレーで雑さが目立ったり、そういうプレーが特に多かったのかなと思います。
――負けなしで関東リーグを終えましたが、大会を振り返っていかがですか
関東リーグに関しては引き分けの試合が多くて、納得いくようなゲームができなかったというのが印象です。でもそのおかげで後に始まった関カレでも結果を残すことができたし、この試合が無かったらそのまま自分たちを考え直す機会もなかったので、引き分けは多かったんですけどそのことを後に生かせることができたので良かったと思います。
――関東での戦いを終えて、今後は全国大会となりますがチームの雰囲気は
まずは来週の皇后杯に向けてしっかり良い準備をすることが第一になってきますし、いまのチームの雰囲気というのも悪くはないです。きょうの試合でも失点はしてしまったんですけど、崩しの面とか局面局面で良い場面はあったし、きょう課題に挙がったところも多くあったので修正していきたいです。
――皇后杯に向けて意気込みをお願いします
まずは足元すくわれないようにしっかり初戦から勝ち切ることで、チームがだんだん良くなっていければと思います。これからは通用しない場面も出てくると思うのでそこは修正しながらいけたらと思います。まずは初戦、しっかり勝ち切れたらと思います!
MF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――3―2という試合でしたが
本当に接戦になったんですけど、みんなで勝ち切れたので良かったと思います。
――前半開始早々の先制点を振り返って
あれはごんちゃん(FW権野貴子、スポ3=宮城・常磐木学園)らしさというか、フリーの選手が他にもいたんですけど、決め切ってくれたのはチームにとって勢いがつきましたし良かったです。
――相手に追い付かれた場面を振り返って
前半の最後の方だったり、後半だったりと相手のFWや中盤にうまい選手が何人かいて、そこでワンツーとか連携で崩されてる場面があったので、DFラインや中盤に下りてボールを受ける選手に対してもっと厳しくマークに行かなきゃいけないと思います。
――ハーフタイムでの指示は
相手のライン裏が空いてたので抜け出そうというのと、いつも通りやれば大丈夫だから落ち着いてやろうというのを話してました。
――後半はFW川原奈央選手(スポ1=兵庫・日ノ本学園)との連携が多く見られましたが手応えは
奈央は足元の技術もあり、スピードもあるのでボールを出したらなんかしてくれるという信頼感があるので、すごくやりやすい選手の一人です。
< p>――サイドのスペースを狙うシーンが多かったですが
前半開始早々から相手のラインが高いってことが分かったので、前の選手が受けて私が抜けるっていうのを何回か狙ってました。ただ前半はオフサイドにかかりすぎてしまって、リズムも流れも悪くなってしまったのでそこは反省してます。
――DFラインからボールを相手にカットされて危険な場面をつくられてしまいましたが課題は
DFでボール回す位置が低いっていうのが挙がってたので、もう少し前で回してつないでいこうというのを話しました。
――2失点に関しては
2点目とか事故といえば事故のような失点だったんですけど、もう少し球際や1対1でタイトにいったり、マークの受け渡しをしっかりしなくちゃなというのはあります。
――間もなく皇后杯が始まりますが意気込みをお願いします
いままではリーグ戦でしたけど、次からは負けたら終わりなので。自分たちも引退へのカウントダウンが始まってるので、一戦一戦気持ちを上げて、集中して戦いたいなと思ってます。
FW川原奈央(スポ1=兵庫・日ノ本学園)
――2ゴールの大活躍でしたが、きょうの試合を振り返って
やっぱり1―1で流れを変えなければいけないと思って自分がサイドに入ってまずは点を取ろうと思って意識していました。
――最近出場されていませんでしたが原因は
体調不良です。でももう治ってきています。
――関東学園大の印象は
足下の技術がひとりひとり上手くて、プレスなどが甘かったら相手もシュートを打ってきて得点を入れられるので、前半は自分たちのペースだったんですけど後半の途中から危ないシーンがあったのでそういうのを課題にしていきたいと思います。
―来週から始まる皇后杯に向けて
皇后杯では当たるチームのレベルが上がるので、しっかりチーム一丸となって頑張りたいと思います。