先週、関東大学女子リーグ戦で全勝優勝を決めたワセダ。この日は5連覇を懸けた戦いを今季最後の東伏見で迎えた。関東女子リーグ戦(関東リーグ)後期6節、日テレ・メニーナ(メニーナ)との対決。昨年から苦戦している相手に対し、前半にFW福沢真菜美(スポ4=北海道・室蘭大谷)とMF権野貴子(スポ3=宮城・常磐木学園)が2ゴールずつ決め、終始試合を支配する。後半も怒涛のゴールラッシュで4得点。福沢はハットトリックとチームに貢献し、先週に引き続き8―0の大量得点で5連覇の称号を勝ち取った。
降雨の天気予報が外れた東伏見に、ゴールの雨が降り注いだ。その幕開けは前半11分。ボールを回し、試合の主導権を握るワセダは、MF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)からのパスを福沢が右足でシュートし、ゴールネットを揺らす。前半終盤にかけては、MF高木ひかり(スポ2=静岡・常葉学園橘)の絶妙なラストパスで、福沢と権野から3得点を引き出した。ここのところ勝ち切れていないメニーナ相手に、苦手意識を微塵も感じさせない攻撃でゴールを大量生産。前半だけで4ゴールと相手を圧倒する
ハットトリックの活躍を見せた福沢
打って変わって、後半立ち上がりは攻め切れない時間が続く。相手に左サイドを抜け出されてシュートを打たれる場面も。しかし、59分に福沢が右足を振り切ってゴールを決め、「素直にうれしい」と語るハットトリックを達成。大きな役割を果たし、ベンチに下がる。代わってピッチに入ったFW一原梓(スポ3=宮城・常磐木学園)も70分に、混戦状態から押し込んでゴール。息を吹き返したワセダは77分にも、「完全に狙い通り」というMF渡井汐莉(スポ4=鹿児島・鳳凰)の華麗なコーナーキックは直接ゴールへ吸い込まれた。アディショナルタイムにはダメ押しの1点をDF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常磐木学園)が決め、メニーナを突き放した。
2ゴールと2トップ起用に応えた権野
苦戦が続いていたメニーナとの対決は、結果的に8―0という大差での決着。関東リーグ5連覇の偉業を成し遂げ、今季ラストの東伏見に花を添えた。相手のメニーナは皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)で対戦するだろう日テレ・ベレーザの下部組織。それを想定した上での今回の結果は次につながるものとなっただろう。さらに「ボールを奪われても中盤を中心に全員で奪い返す意識ができた」(権野)と、課題としていたファースト、セカンドのディフェンスも改善され、大量得点を生み出せるようになった。来週は関東学園大との最終節。「一つ一つの試合が次につながっていくので、しっかり点を取って、完封で終わりたい」(大宮)と語るように戦いはまだまだ終わらない。皇后杯ベスト8、全日本大学女子選手権優勝への架け橋を築き続ける。
(記事 松本理沙 写真 佐藤拓郎)
ア式蹴球部女子
関東女子リーグ戦後期第6節 | ||||
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早大 | 8 | 4-0 4-0 |
0 | メニーナ |
【得点者】(早)11・23・59福沢 17・35権野 70一原 78渡井 79千葉梢 |
早大メンバー | ||||
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位置 | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 1 | 三田一紗代 | 京都精華 | 社3 |
GK | →65分 | 山田紅葉 | 東京・十文字 | スポ1 |
DF | 2 | 石田みなみ | 静岡・常葉学園橘 | スポ4 |
DF | 3 | 千葉望愛 | 浦和レッズレディースユース | スポ4 |
DF | ◎4 | 千葉梢恵 | 宮城・常磐木学園 | スポ4 |
DF | 13 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ3 |
DF | →HT | 堀口香織 | 千葉・幕張総合 | スポ2 |
MF | 5 | 権野貴子 | 宮城・常磐木学園 | スポ3 |
MF | 6 | 渡井汐莉 | 鹿児島・鳳凰 | スポ4 |
MF | 7 | 高木ひかり | 静岡・常葉学園橘 | スポ2 |
MF | →65分 | 松川智 | 大阪桐蔭 | スポ2 |
MF | 10 | 大宮玲央奈 | 浦和レッズレディースユース | スポ4 |
MF | 20 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社2 |
FW | 8 | 福沢真菜美 | 北海道・室蘭大谷 | スポ4 |
FW | →59分 | 一原梓 | 宮城・常磐木学園 | スポ3 | ◎はゲームキャプテン 監督は長岡義一監督(昭43商卒=京都・山城) |
関東女子リーグ戦1部リーグ順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 早大 | 29 | 13 | 8 | 5 | 0 | 41 | 6 | 35 |
2 | 日テレ・メニーナ | 22 | 13 | 7 | 1 | 5 | 26 | 28 | -2 |
3 | 浦和レッズレディースユース | 21 | 13 | 6 | 3 | 4 | 25 | 19 | 6 |
4 | 関東学園大 | 21 | 13 | 7 | 0 | 6 | 23 | 22 | 1 |
5 | 筑波大 | 18 | 13 | 5 | 3 | 5 | 21 | 23 | -2 |
6 | 武蔵丘女子短大 | 14 | 13 | 4 | 2 | 7 | 14 | 14 | 0 |
7 | 尚美学園大 | 11 | 13 | 3 | 2 | 8 | 13 | 25 | -12 |
8 | 太田レディース | 11 | 13 | 3 | 2 | 8 | 11 | 37 | -26 | ※後期第6節終了時 |
コメント
DF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常盤木学園)
――関東リーグ5連覇となりました。いまのお気持ちは
関カレ同様にあんまり実感もなくて、でもやっぱり自分たちが目指しているのはベレーザを倒すことであって、インカレを優勝することであって。そう考えると、ここで留まっているわけにはいかないって思います。
――試合を振り返っていかがですか
きょうは特にまにょ(FW福沢真菜美、スポ4=北海道・室蘭大谷)とごんちゃん(MF権野貴子、スポ3=宮城・常盤木学園)のトップがハードワークしてくれて助かりました。1回で終わらずに2回3回と追ってくれて、そのおかげで後ろの選手は楽にボールを取ることができましたし、その後もしっかり決め切るところで決めてくれたので感謝しています。
――いつもメニーナには苦戦する印象がありましたが
いつも苦戦する理由として、ベレーザのトップの選手がメニーナに入ってくるときにかき乱されて苦戦していたんですが、きょうは一人ぐらいしかいなかったというのはあります。あとは結構前線からガツガツ行ってくれてたので、悪い時はそこが課題に上がるんですが、きょうはそこも良かったからかなと思います。
――後半も4ゴールと攻撃の手は緩みませんでした
点を取るたびに集中力が薄まるというか、そういう感じがありました。いままで結構後半1点しか取れない試合もあったので、ハーフタイムに後半入る前にしっかり締めようっていう話はしていました。
――最後の8点目はご自身のゴールでしたが振り返って
本当にナイスボールが来て自分は合わせるだけでした。セットプレーは相手の上手、下手に関係しないことだと思うので、そのチャンスをどんどん得点につなげていきたいです。
――4年生として最後の東伏見での試合となりました
なんかあっという間だなという感じでした。特別な思いがあって臨んだわけではなかったですが、やっぱりあっという間だったなと思います。
――関東学園大との最終節に向けて意気込みをお願いします
ラストはアウエィでいつも苦戦するので、そこは踏まえて意識しながらプレーして、きょうみたいな試合を展開できればいいなと思います。
――先ほどもお話にありましたが、皇后杯の3回戦の相手は日テレ・ベレーザですがどう捉えていますか
3回戦行くまでに、仙台大であったり他のチームと当たる中でしっかり勝ち切って、ベレーザ戦になったら、しっかり自分たちの力を出し切るだけだと思います。
MF渡井汐莉副将(スポ4=鹿児島・鳳凰)
――優勝を手中に収めていた中でのきょうの試合の位置付けや、どういった狙いを持って臨んでいたかを教えてください
これから皇后杯やインカレが進んでくるにつれて相手も強くなってくるので、そういうチームに勝つための全体的なレベルアップをしていこうという話をしていて。もっともっとやれることを増やしていくといった目的を持って、きょうの試合に臨みました。
――その意識の高さもあってか、接戦になることも多い日テレ・メニーナに対して8―0の圧勝を飾れましたね
8点取れたことで苦手意識を払拭できたとは感じています。また先にある皇后杯の3回戦で日テレ・ベレーザに当たるという意味でも、やっているサッカー自体の質に差はあるかもしれないですけど、相手は同じようなサッカーをしてくると思います。それを想定しながらしっかり叩けたことは次に繋がると思っています。
――8得点を決めるまでに至った崩しの部分でも、手応えを感じることはできたのでしょうか
最近のチームの課題であった、ファーストディフェンスをしっかり決めてプレスをかけにいくこと、セカンドディフェンスもそれに続いていくといった連動性には手応えを感じました。きょうは全員が集中しながら連動してボールを奪えていましたし、いつもならボールを回されてしまうところも、攻守の切り替えを速くして、相手の攻撃の芽を潰せていました。良い守備をすれば良い攻撃に移れますし、守備でのズレというものは改善できていたと感じています。
――渡井選手自身はコーナーキックから直接決めるというテクニカルなゴールも記録しました
あのゴールは完全に狙い通りでした。左サイドから蹴る場合は利き足が右ってこともあり、ボールを曲げればそのままゴールに向かいますし、中の状況にもよるんですけど、GKが中のケアにばかり意識が向いていると感じたら直接狙うようにしています。
――ライナー性のボールをDF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常磐木学園)の頭にピンポイントに合わせて、アシストのほうも記録されましたが
思ったよりも良いボールがいったなというのが正直な印象です(笑)。やっぱり自分の持ち味は、味方に合わせるキックの精度が一つにはあると思うので、しっかり合わせられて良かったと思います。
――きょうの試合では収穫が多かったと思いますが、課題という部分では何か出ましたか
やっぱり全体的な精度はまだまだ高めていかないといけないなとは感じています。うまく崩せていても、フィニッシュの精度が悪かったりしますし、シュートだけでなくクロスなども含めて、プレーの精度を追求してやっていきたいですね。
――チームのさらなる成長のためにも、次節の関東学園大も大事なゲームになると思います。意気込みをお願いします
優勝が決まった状態で臨む試合ですけど、いままで引き分けで終わってしまったという借りもあるので、しっかり勝ち切りたいですね。次の皇后杯にもつなげていける試合をしたいです!
MF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――圧勝でしたが振り返って
いままでメニーナ相手にこんな大差で勝つことはなかったと思うので素直にうれしいのと、驚いてます。
――東伏見で試合するのはラストでしたが試合前に何かチームでそのことについて話したりしてましたか
まあだからといってみんなで試合前に、だから頑張ろう、とかいうことはなくいつも通り全力で戦おうと思ってました。
――きょうは下がってボールを受けて試合をつくっていく場面がよく見られましたが
個人的には最近ボランチをトップ下の関係で、2人とも下がってしまうことが多かったので、もう少し前掛かりにいこうというのを意識していたんですけど。いつもチームで前からしっかり取りに行ってるのでそこは意識してました。
――攻撃面では8得点と圧倒しましたが手応えは
きょうは相手が背が小さかったので、普段自分たちが取れないようなところから点が取れたんですけど、そういう多くの場面を点につなげられたのは次につながるなと思います。
――守備面でも完封でしたが
1点取った後からずっとDFの面でもしっかり集中して0に抑えようってのは意識してたので、それを考えたら良かったと思います。
――この後も大会が続きますがどういう思いですか
まずは来週の関東リーグを、消化試合だとしても勝ち切って、皇后杯やインカレにつながるような試合にしていきたいと思ってます。
――きょうで東伏見での試合はラストでしたが今季思い出に残ってる試合は
関カレの武蔵丘女子短大戦(10月20日、○3―0)ですかね。皇后杯予選で日体大に負けて(10月12日、●0―1)落ち込んでいた後だったので、そこで勝ち切れたのは本当に大きかったと思います。あの時切り替えができたことでチームとしてまた新たに一丸となって戦えたし、そのあとの日体戦(11月2日、○3―1)につながったと思います。
――来週の最終節に向けて意気込みをお願いします
自分たちは消化試合だと思ってないですし、一つ一つの試合が次につながっていくので、しっかり点を取って、完封で終わりたいと思います。
FW福沢真菜美(スポ4=北海道・室蘭大谷)
――関東リーグ優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは
きょう勝てば優勝ということで、本当に勝ちたいと思っていたので、8点という大差で勝てて、すごくうれしいです。
――きょうの試合を振り返って
前半から、前からプレスに行けていたのと、点がかなり入ったので。前半の最初から飛ばし過ぎて配分がおかしくなっちゃっていたんですけど、何とか前半みんなちゃんと動けてたので、それで試合をつくれたのかなと思います。
――ご自身としては、ハットトリックという結果でしたが、いかがですか
久しぶりにこんなに点数を入れたので、素直にうれしいっていうのと、今後ももっと点を取れればいいなと思います。
――全体的にボール所有率が高く、シュートで終わるかたちができていたと思うのですが、意識していたことはありますか
あんまりないですが、そのスタイルが望ましいので、かなり良く私たちらしさを出せたと思います。
――苦戦していたメニーナとの対決でしたが、いかがでしたか
きょねん、ことしと勝ち切れていなかったので、アップ前に気を引き締めて集中して行こうっていうことで声掛けして、全員で集中してアップしました。それが続いて、最初の入りがいけたと思うので、8―0というすごく良い結果につながったと思います。まさかこんなに点が取れるとは思ってませんでした(笑)。
――MF権野貴子(スポ3=宮城・常磐木学園)選手との2トップはやりやすかったですか
ごんちゃん(MF権野貴子、スポ3=宮城・常磐木学園)もすごく合わせてくれるので、それがやりやすいですし、落ちてくれて自分が裏に出るとかっていうのもあるんで、すごくやりやすかったです。
――FW瀬口七海(スポ3=兵庫・日ノ本学園)選手やFW川原奈央(スポ1=兵庫・日ノ本学園)選手もいらっしゃる中で、FWのスタメン争いも激しくなると思いますが
(2人は)また出てくると思うんですけど、そうするとFW争いも激しくなるんで。層が厚くなる分には良いと思うんですが、その中で良い結果を残せることが重要なんで、頑張って行きたいと思います。
――福沢選手にとって最後のインカレや皇后杯という重要な大会が控えていますが、意気込みは
これからトーナメントになってくると思うんで、負けたら終わりという状況の中で、自分たちがどう戦っていけるのかっていうのがすごく重要になってくると思います。まあ、これから基礎とかやるのも戦術的に無理だと思うし、みんなでどう頑張って自分たちのサッカーを貫くかっていくのが大切だと思うので、少しでも上まで上れるように、皇后杯ベスト8とインカレ優勝できるように、今後練習して取り組みたいと思います。
FW権野貴子(スポ3=宮城・常盤木学園)
――試合を振り返って
メニーナとはアウェーで引き分けていたので、絶対に勝つという気持ち、それから個の力が高い選手が多くいるのでひとりひとりがそれを意識して守るということを考えて試合に臨めました。
――ご自分で2つのゴールを決めましたが
1点目も2点目もひかり(MF高木、スポ2=静岡・常葉学園橘)からだったのですが、思った所に来たところをしっかり決められたので、意思疎通がしっかりできたゴールだったと思います。
――8―0というスコアは圧勝と言えるスコアだと思います。その要因は
練習の中で意識し続けていた攻守の切り替え、それからファースト、セカンドのディフェンスが上手くいったところだと思いいます。ボールを奪われても中盤を中心に全員で奪い返す意識ができました。
――最近はFWとしての出場機会が多い中で好調を維持しています
ファーストを意識すること、ボールを奪われてもすぐに奪うことに加えて、FWとして点を取るということを考えています。
――FW福沢真菜美(スポ4=北海道・室蘭大谷)選手との2トップはいかがですか
個人的にはとても組みやすい選手だと思っています。連携を上手く取って点が取れたのはうれしいです。
――今後に向けての意気込みをお願いします
関東リーグの優勝は決まったのですが、皇后杯は負けたら終わりという環境なので、ベスト8に向かって一戦一戦を大事に戦っていきたいと思います。
MF高木ひかり(スポ2=静岡・常葉学園橘)
――きょうの試合を振り返って
きょうの試合に勝てば優勝が決まるということだったのでみんな気合が入っていたし、立ち上がりからハードワークで良い動きができていたので良かったと思います。
――関東リーグ5連覇となりました
言われてみないとあまり実感がないですし、それを目標にずっと頑張っていたというわけではないので1試合1試合積み重ねて良いものができればいいなと思っていたので結果的にそうなってよかったと思います。
――3アシストでしたが振り返っていかがでしたか
きょうは積極的に自分でゴールを狙いにいこうと思っていて試合に入ったんですけど、自分でシュートを撃つよりも周りを使ったほうが得点にできるかなと思ってパスを出した結果得点につながったので良かったと思います。
――8点という大量得点の勝利でしたが
いつもメニーナ戦は防戦一方の試合で守っていることが多かったのですが、相手のメンバーとかも結構違っていてその中でこうしてたくさん点が取れたというのは次の試合につながると思います。最近は得点が取れていたり取れなかったり波が激しいので。一定にちゃんと点を取って結果を出せるような試合ができたら良いなと思います。
――最終節は2位の関東学園大戦ですが意気込みは
毎週違うポジションをやったりしているので来週もどこで出るのかわからないですが、どこで使われても良い結果が出るようにしっかりやりたいです。関東学園大は関カレでやったときは大量得点で勝てましたが、やっぱり手ごわいチームなのでしっかりチーム一丸となって勝てるようにできればいいと思います。