関東No.1のタイトル、そして夏に行われる全国大会・総理大臣杯(大臣杯)の出場権をかけた大会、「アミノバイタル®︎」カップ(アミノ杯)。ア式蹴球部(ア式)は、20日に行われる3回戦から登場する。昨年の同大会では、5試合中3試合が延長戦にもつれ込み、うち2試合はPK戦を制するなど、死闘を繰り広げた。その末に、関東地方にに与えられた大臣杯出場権10枠のうち、最後の1枠をつかみ取った。3年連続の大臣杯出場へ、運命の短期決戦が始まる。
20日に行われる3回戦(ア式の初戦)の相手は国学院大。今季、14年ぶりに関東大学リーグ戦(リーグ)2部に昇格した国学院大は、今年世代別日本代表候補にも選ばれた鈴木善(3年)を中心にリーグ序盤は効果的に勝ち点を積み上げた。
今季行われた直接対決は、カウンターからMF柏木陽良(スポ3=鹿島アントラーズユース)が先制点を奪うと、DF伊藤稜介(スポ2=ジュビロ磐田U18、以下伊藤稜)のクロスにFW鈴木大翔(スポ3=ガンバ大阪ユース)が合わせて2点目を決める。さらに柏木のスルーパスにMF高橋作和(法3=東京・国学院久我山)が反応しそのまま流し込むと、最後はMF森田大智(スポ4=熊本・大津)が技ありのコントロールシュートを決めて4-0での快勝だった。
早大戦以降勝ち点をなかなか伸ばせなかった国学院大は現在、4勝1分6敗でリーグ9位に沈んでいる。トーナメントの初戦特有の緊張感を早い時間で振り払い、勝利をつかみたい。

国学院大戦で先制ゴールを決めた柏木
3回戦から中1日で行われる4回戦は、勝てば大臣杯出場権が確定する大一番。対戦相手は、関東大学リーグ1部所属の筑波大と、千葉県大学リーグ1部所属の城西国際大の勝者だ。都県リーグ所属校として唯一3回戦に駒を進めた城西国際大の勢いにも注目が集まるが、やはり高い壁として立ちはだかるのは筑波大だろう。
今季の筑波大はシーズン開幕前に複数選手が退部しプロ挑戦を決めるなど波乱の幕開けに見えたが、近年の大学サッカーを代表する筑波の強さは今年も健在だ。現在リーグ戦では6勝3分1敗で3位(1試合未消化)につけている。天皇杯ではJ2・RB大宮アルディージャを1-0で下しており昨年に続きプロを撃破、続く2回戦でJ2・V・ファーレン長崎に敗れてしまうも、大学勢として今年も天皇杯で確かなインパクトを残した。
タレント揃いの筑波大だが、一人名前を挙げるならやはり大学サッカーを牽引する絶対的エース・内野航太郎(3年)だ。1年次から結果を残し続けてついに今夏、海外リーグに挑戦することを発表。大学サッカー最後の戦いとしてアミノ杯に臨む。

昨年の大臣杯準々決勝・筑波大戦でドリブルをする森田
ア式と筑波大の直近の対決は、昨年の大臣杯準々決勝。森田やFW駒沢直哉(令7スポ卒=現横浜FC)を中心に果敢にゴールを狙ったが得点には至らず、後半のカウンターから最後は内野に決められ、0-1で惜敗した。今回は、その雪辱を、大臣杯出場が懸かる大一番で果たしたい。
現在の4年生と3年生は、2023年の関東大学リーグ新人戦・準決勝でも筑波大と対戦。佐久間真寛(商4=静岡・藤枝東)と鈴木のゴールにより勝利し、ア式はそのままの勢いを持って新人戦で全国制覇を成し遂げた。
カテゴリーの違いにより普段から対戦機会は限られているが、全国制覇を目指すならば、必ず乗り越えなければならない相手である。全員の力を結集し、勝利を掴み取りたい。

昨年のアミノ杯では亜大にPK戦の末勝利し、大臣杯出場を決めた
4回戦に勝利するとベスト8進出となり大臣杯出場が確定、もし4回戦で敗れてもその後2試合に勝利すると、10位以内に滑りこみ大臣杯出場権をつかむことができる。中1日で行われる準々決勝/9位~10位決定戦初戦では、リーグ1部に所属し先日の天皇杯でJ1・柏レイソルを撃破した東洋大、昨年のアミノ杯で3部所属ながら当時1部所属の駒大を破った専大、今季リーグ2部に昇格してきた東農大、ロングボール戦術を多用し先日のリーグ戦でもア式を苦しめた駒大。この4校いずれかとの対戦が決まっている。
日本一への挑戦権を手にするためには、この10日間を全員で戦い抜くことが求められる。過密日程の中で、試合に出場する選手だけでなく、チームを支えるすべてのメンバーの総合力が問われることになる。どんな相手にも臆することなく、これまで積み上げてきたものをピッチ上で表現できるかが鍵となるだろう。関東の頂点、そして日本一を目指す戦いがいよいよ始まる。
(記事 和田昇也)