2点ビハインドも終了間際の同点弾! PK戦までもつれた激闘の末、日体大を下し予備予選決勝へと駒を進める

ア式蹴球男子
東京都サッカートーナメント 学生系の部 予備予選 2回戦
早大 1-1
2-2
PK4-2
日体大
【得点】
(早大) 25’神橋良汰 67,90+4’駒沢直哉
(日体大) 13,56’松原海斗 49’小林陸

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

 リーグ戦を終え、新体制初陣となった東京都サッカートーナメント学生系の部予備予選1回戦にて明治学院大を2-0で下したア式蹴球部(ア式)。2回戦の相手はリーグ戦で同じく2部に所属する日体大、リーグ戦では1勝1分、共に昇格を争い、昇格を逃した両チームの戦いとなった。前半の早い時間にビルドアップのミスから失点を許したア式だったが、25分にフリーキックをDF神橋良汰(スポ3=川崎フロンターレU18)が頭で合わせ同点に追い付く。後半も立ち上がりに2失点を喫したが、67分にFW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)のゴールで一点を返すと、終了間際の94分またも駒沢のゴールで同点に追い付き、試合はPK戦へ突入。日体大は1人目と4人目のキッカーが失敗、対するア式は4人全員が成功させ、熱戦を制したア式が予備予選決勝へと駒を進めた。

 

先制点を決め喜ぶ神橋(中央)

 前半、先にチャンスをつくったのはア式。1分、右サイドを駆け上がったDF佐々木奈琉(社2=新潟・帝京長岡)のクロスに駒沢がボレーで合わせるも枠を捉えることができず。続く9分、MF森山絢太(スポ2=兵庫・三田学園)から縦に抜け出した佐々木にパスが出て決定機を迎えるも、佐々木のシュートは枠に飛ばなかった。自分たちのペースで試合を進めていた立ち上がりだったが、13分にビルドアップのミスから相手に先制点を許してしまう。すぐに追い付きたいア式は25分、敵陣中央付近でフリーキックを獲得するとキッカーはMF谷村峻(スポ2=FC東京U18)。谷村の蹴った山なりのボールを神橋が頭でゴールに流し込み、早い段階で同点に追い付くことに成功する。その後相手に何度か決定機をつくられるが、ヒルの好セーブもありこれ以上の失点は許さず、前半を1ー1で折り返した。

 

ドリブルをする松尾

 後半開始早々試合が動く。49分、自陣でフリーキックを与えてしまうと、そのフリーキックを相手選手が頭で合わせ2点目を取られてしまう。さらに56分、相手選手のドリブル突破を止めることができず立て続けに失点をしてしまった。2点のビハインドを追いかけるア式はFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)、MF東廉(スポ3=清水エスパルスユース)ら攻撃陣を投入して状況の打開を図る。すると67分、MF松尾倫太郎(人2=千葉・八千代)が後ろからのパスをギリギリのところでピッチ内に残すとクロスを上げ、そのボールを駒沢が頭で合わせ1点差に詰め寄る。その後、DF石川真丸(スポ3=名古屋グランパスU18)、佐々木の両サイドバックの攻撃参加などで一方的に相手ゴールに迫り続けたア式だったがなかなかゴールを奪うことはできず。このまま試合終了かと思われた94分、コーナーキックの流れから、右サイドで東がボールを拾うとそのままクロスを上げる。中で待っていた駒沢が頭で合わせ土壇場で同点に追い付き、試合はPK戦に突入。日体大の1人目と4人目のキッカーがPKを外したのに対して、ア式は駒沢、神橋、石川、東の4人全員がPKを成功させ、2点ビハインドから勝利をつかみ取った。

 

叫ぶヒル

 まさに激闘だった。3失点してしまったという面に関しては課題であったり修正していかなければならないこともあるだろう。それでも今季試合終盤での勝負弱さを課題としていたア式が、2点差を土壇場で追い付きこの試合を勝利で終えたということは今後の自信につながるのではないだろうか。「5分あれば2点、3点は取れるところを証明していく」と兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)。今季取り組んできた超攻撃サッカーが来季以降どのように進化していくのかに注目していきたい。来週の予備予選決勝の相手は法大。今シーズン1部リーグからの降格が決まり、来季共に昇格を目指し2部でしのぎを削ることになる相手だ。降格したとはいえ「素晴らしいメンバーが残っている」と神橋。来シーズン2部リーグ優勝、1部昇格を何としてでも成し遂げたいア式が、現在地を知る上でこれ以上ない相手との対戦になるだろう。いい準備をして今自分たちのできる最大限のサッカーを見せてほしい。ア式100周年のメモリアルイヤーの開幕は、もうすぐそこまで迫っている。

(記事 和田昇也 写真 髙田凜太郎、星野有哉、渡辺詩乃)

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ3 鹿児島城西
DF 佐々木 奈琉 社2 新潟・帝京長岡
DF 増田 健昇 スポ2 横浜FCユース
DF 神橋 良汰 スポ3 川崎フロンターレU18
DF 石川 真丸 スポ3 名古屋グランパスU18
MF 14 谷村 峻 スポ2 FC東京U18
→35分 24 佐久間 真寛 商2 静岡・藤枝東
MF 10 山市 秀翔 スポ2 神奈川・桐光学園
MF 22 森山 絢太 スポ3 兵庫・三田学園
→57分 東 廉 スポ3 清水エスパルスユース
MF 20 成定 真生也 スポ3 神奈川・日大藤沢
→57分 18 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
MF 15 松尾 倫太郎 人2 千葉・八千代
→75分 11 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島
FW ◎駒沢 直哉 スポ3 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)
コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――試合全体を振り返っていかがでしたか

見ている人は楽しい試合になったのではないかなと思います。トレーニングを構築して試合に向かってるというところでは、仕留めるべきところで仕留めなかったり、停滞してる理由とかをまだまだ自分たちでは見出せないのかなと思います。ビルドアップのミスはしょうがない部分もあります。袈依廉(ヒル袈依廉、スポ3=鹿児島城西)がどういう風にやるかというのは、今後しっかり取り組んでもらわないといけないですし、その中でも3失点のところで昨シーズンからの課題のセットプレーもあったり、右サイドの方から中にカットにされて左足で決められるというのも、後期リーグの2失点と全く同じようなかたちでした。中にカットインされた時のボランチのスライドだったりどういう風に守るのかは、疲れた状況の中で無意識に出る守備がまだまだ出ているから、そこはもう1個トレーニングから無意識にでもいい守備ができるところまではやらないといけないかなと思います。

――前半の立ち上がり、うまく攻めれたように見えましたがいかがでしたか

入りのところは昨季からやっていて、前回の試合といい今回の試合といい悪くないような感じでしたが、正直今日の相手の入りが緩かったので、そこでもう終わらせられたゲームになったと思います。なんか悪くないよねで終わらせるのはもったいないので、もう一段階レベルアップできればなというところはあります。

――後半の立ち上がりに2失点となりましたが、そこからの修正は

相手のビルドアップの剥がし方とかはハーフタイムで伝えたのですが、整理できずに入ったのかなと思う部分もありました。また相手にとっての武器は何なのという時に、崩されることよりもセットプレーが一番(怖い)ところで、不用意なファウルだったり、(相手選手が)後ろ向きだったので、最悪後ろにドリブルを運ばせても良かったというところなのに、今(相手に)何をさせるべきかまだまだ見えてないなというのはあります。あそこで後ろ向きに持たせてバックパスさせてもいいですし、取りに行くから反転され力を使われるというところでは、なんでそこに奪いにいくのかという、その強度の履き違えみたいなのはあるかなと思います。トレーニングでやっていてもここで行かないとみたいな感じで、ぐるっと入れ替わったりするので、何をやられちゃ嫌なのかというのが優先順位的に高くならないと、強度というのにちょっと引っ張られすぎている部分もあります。そこはもう一つ頭のところの切り替えをしっかりさせたいというかなと思います。

――終了間際に追い付けたことはいかがですか

2点目を取れた時点で、4-3とか5-3になる試合だなというイメージがありました。実際にチャンスつくっていた中で、それを決められないとか、もっとゴール前で落ち着けばというところとか、力が入りすぎてシュートがミートしないこともありました。そこのところの冷静になるという、点差は負けているけど、ゴール前で落ち着かれることが相手にとっては一番嫌なはずなので、切り替えのところなどもっとこう余裕が出てくるといいのかなと思います。最後決め切り、昨季と違って惜しいで終わらなかったことはすごい良かったのかなと思うので、その辺りのメンタル面で、「点を取れる」というのはもっと持っていてほしいですし、その中で前半にジャブを打っているから、相手の後半は止まるよねとなった時に、そこでどう仕留めるかがやはり課題かなと思います。正直、2点目を取った後は相手はほとんど何もできない状態という中で、面白い侵入の仕方だったり、ダイナミックなミドルシュートだったり、もっと面白いことができるのに1点取らないといけない(というマインド)が先行しちゃって、いやまだ時間あるよと言っているのに、そこはちょっともったいなかったなと思います。進め方的にもっと余裕をもって進めていれば、(相手には)隙がたくさんあるのになと思います。学生にこれを言ったら、プロでも難しいものなのですが、強いチームならゴール前でふっと落ち着いていたりとか、 残り5分しかないけど5分もあるじゃんという捉え方が違ってくると思います。いつでも取れるという自信をもっともっとトレーニングからつけさせていき、5分あれば2点、3点は取れるからというところを、試合でも証明していきながら、90分落ち着いてゲーム運びをできるようにしていきたいなと思いますね。

――PK戦に対しての考え方みたいなものはありますか

 僕自身がPK戦をやったことがあまりないです。 けど、負けるイメージはあまりなかったです。とりあえずメンタルなので、もう思い切って蹴るというところで自信を持たないと、止められそうだなと思った時点で負けなので、「いやいや、自信持てよ。別にいいじゃん。1本ぐらい止めてくれるよキーパーが」というぐらいな感じで。キーパーは1本止めたらヒーローですし、メンタルの持っていき方が一番大事なのではと思います。

――予備予選決勝は法大との試合になります、意気込みをお願いします

 今年の最初の試合で法政さんとやらせてもらって、アミノバイタルカップでもやっていて、ことごとく縁があるなと思います。来年は同じ2部でやるという中では、負けられない相手だと思います。けど個の能力は高いので、すごく面白い試合にはなるかなとも思います。その中で、今日の反省をしっかり生かした中で、今できる最高のプレーを全員ができるような準備をしていきたいなと思います。

FW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)

――難しい試合を何とかものにしたかたちになりましたが、試合振り返っていかがでしたか

今日みたいな難しい試合をPKでしたけど勝ち切れたというのは、勝てるチームを目指している中で良かったと思います。ただ先週もでしたけど、それ以前にそういう展開にしてしまったことは、自分たちにまだまだ足りないところが多いのかなと思います。

――計3失点してしまった要因はどこだと思いますか

前半は入りがすごく良く、相手の隙をついて厚みのある攻撃ができていた中で、ちょっとしたミスで失点しまったのは個人間のミスではありますけど、チームとしてやるべきことをやれてたらああいうのも防げたなと思います。後半の2失点に関しては、相手に190センチ超えがGKも合わせて4人いるというのは事前に分かっていた中で、不必要なファウルを与えてはいけない位置で与えてしまったことと、ゾーンのマークにずれが生じてしまって、一番いいところで合わせられてしまったのでそこは課題です。この段階でそれが見つかったことは、もうポジティブに捉えるしかないなと思います。

――今もあった通り、相手には身長のある選手も多くいた中で、競り合いのところとかは駒沢選手としてはどのように感じましたか

相手のセンターバックとの競り合いに関しては自分は負けるつもりはないですし、絶対勝てるという自信があるのでそこは全然大丈夫でした。ただセットプレーに関しては、そこに相手の強みがありました。もっと上(のステージ)に行くとこういう相手がたくさんいると思います。自分たちは(身長が)あまり大きくないので、そこをどう対処していくか考えていかないとなと思います。

――2点差になってしまった中で、ご自身の2ゴールで同点となりました。ゴールを振り返っていかがでしたか

意外と後半は途中交代をした後ぐらいからいいリズムが生まれて、ゴールに迫れるチャンスはあった中で、結果2点を決めて追い付くことはできましたけど、自分ならもっとできると思います。この試合で(スコアを)4-3、 5-3にできたというのもありますし、全然満足はしてないです。

――やはりチャンスがあった中でもっと点が取れたという印象の方が強いですか

自分はもう最高学年ですし、もっとやんないとという気持ちはすごくあります。

――そんな中でも最後同点に追い付くことができたというのは、昨季終盤の時間帯での取りこぼしが多かった中で、一つ進歩したところだと思いますがいかがですか

昨季はどちらかというと最後に追い付かれたり、ロスタイムでゴールを決めたことはなかったので、2点差から追い付いたという経験は、すごく自分たちのプラスになっていくんじゃないかなと思います。

――最後はPK戦となりましたが、自信はありましたか

PKは昨シーズンから全部自分が蹴らしてもらっていて自信はありますし、監督が順番は決めたのですが、一番手を任された意味はしっかり決め切るところだと思います。自分たちが勢いを持って試合終わりからPKまでいけたのは良かったなと思います。

――次戦の法大戦に向けての意気込みをお願いします

次も勝たないと全く意味がないですし、法政は次は同じ2部ですけど、昨季までは1部でやっていたという中で、自分たちより一つ上の相手なのかなとは感じます。でも全くそういうのは関係なく、自分たちがやることをやれば勝てると思います。ただ今日だったり、先週のような試合をやっていたら絶対勝てないと思います。少し時間はあるので、もう1回自分たちでつくり直して、間に新人戦などがありますけど、自分たちでいいかたちで今年を終わりたいなと思います。

DF神橋良汰(スポ3=川崎フロンターレU18)

――ビルドアップのシーンが目立っていましたがそこは結構意識されてましたか

 そうですね。特徴というか、相手がやっぱり蹴ってくるだろうという想定のもと、自分たちはそういうサッカーではなく、まず展開するというところで。下からつないでいくところは自分がフロンターレ出身ですし、そこは自信を持って、ミスをしてもチャレンジし続けるところが自分らしさだと思います。そういったところはこだわりつつも、松尾(倫太郎、人3=千葉・八千代)だったり、駒沢だったりと前に強い選手がいたので、割り切るところとつなぐところの判断のところ。自分もそうですけど、もっと判断を良くしないと今日みたいな失点ができちゃうと思うので、もう一段階こだわりたいです。

――相手は身長の高い選手が多くいましたがそこについては

 190(センチ)オーバーが4人いるというのは初めてでしたけど、分析でも元々(リーグ戦の)駒沢戦と同じように、ああいうサッカーになるだろうという想定はしていました。なので、自分とヒル(袈依廉、スポ3=鹿児島城西)が跳ね返すところと競り勝つところは必ずやんなきゃいけないなというところで試合に入りましたけど、実際今日の相手は肩や腕を使いながら競られてうまかったですし、自分も競り勝つというところはもう一個基準を上げないといけないです。

――公式戦初ゴールとなりましたがそこについてはどう振り返りますか

 だいぶお待たせしてしまいました。元々点を取りたいという気持ちはすごい強かったですけどなかなか取れなかったです。ただ試合前日のセットプレー練習とか、数週間前の練習試合で点を取ったりとかもあったので、ようやく取れて良かったです。勝利に得点で貢献できたのは良かったのですが、やはり無失点でというところは求めなきゃいけないなと思います。点だけ取ればいいってものじゃないですし、無失点で抑えることで自分の得点の価値も上がるので、無失点というところをもっと求めていきたいなと思います。

――最高学年となり、ディフェンスリーダーになっていくことはどう意識されてますか

 1回戦の明治学院戦も雰囲気づくりだったり声掛けが課題になっていて、この試合はより意識しました。周りからも声掛けをもらってある程度意識したことで、行動だったりプレーで表現できたかなというところはありますけど、みんなが苦しい時間帯に自分が声を出したり気迫あふれるプレーで勇気づけるというのは、最終学年になるにつれて求められていると思います。下級生が途中から入ってきたりする中で、ピッチに残っている最上級生がどれだけやれるのかということが求められていると思うので、来年4年生に上がる組織づくりとして、ミーティングだったりを重ねていく中で、そういう自覚だったり覚悟みたいなものは持っていくと思いますし、今試合に出ている自分の責任感だったり声掛けだったり、コーチングの必要性をすごい感じているので、今日はある程度出せたかなと思います。けどそこに対してはまだ満足せず、もっと声を出して勇気づけたいなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 この2試合も簡単ではなかったですし、自分たちの課題があるにしろ、相手も実力があります。そういったところで法政は去年1部でなかなか結果が出ませんでしたけど、素晴らしいメンバーが残っていますし、僕らも全然やれると思います。いい準備をして100%で戦って勝てるようにまずは頑張りたいと思います。