全日本大学サッカー新人戦グループステージ | ||||
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早大 | 2 | 1-0 1-0 |
0 | 東海学園大 |
【得点】 (早大)45’鈴木大翔 78’森田大智 (東海学園大)なし |
月曜日から開幕した第7回全日本大学サッカー新人戦も準決勝を迎える。3日連続で行われた予選リーグ3試合を全勝、グループ1位で決勝トーナメント進出を決めたア式蹴球部(ア式)。新人戦日本一まであと2勝に迫ったア式は準決勝で東海学園大と対戦。予選リーグ初戦と同じ対戦となった。トーナメント初戦ということもあり難しい試合となったが、前半終了間際にFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)がPKを決めて先制すると、78分に鈴木のクロスにMF森田大智(スポ2=熊本・大津)が合わせ追加点。一方の守備陣はチャンスをつくられながらも要所で粘りを見せ無失点で試合を締め、2ー0で勝利。決勝進出を決めた。
早大スターティングイレブン
立ち上がり、相手が重心を後ろに置いて試合に入ってきたこともあり、ボールを持つもなかなかフィニッシュのかたちをつくることができなかった。それでも「前半ジャブを打っておけば後半は落ちてくる」と兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)。ア式は前線からの粘り強い守備や、裏を狙ったパスでチャンスを伺う。前半の中盤には、後方からの素早いビルドアップで相手守備陣を完全に崩し決定機を迎えたが決めきることはできず。一方守備陣はピンチを作られながらも要所を締め、ゴールを割らせなかった。なかなか得点を奪えないまま迎えた44分、右サイドを駆け上がったMF佐々木奈琉(社2=新潟・帝京長岡)がクロスを上げる。ディフェンスに弾かれ、そのこぼれ球を再び佐々木が拾おうとした際に後ろからのチャージを受けてPKを獲得する。PKのキッカーは鈴木。冷静にゴールに沈め終了間際に先制点を獲得し、前半を折り返す。
森田のゴールを喜ぶ選手たち
後半、早く追加点を獲得したいア式は立ち上がりから攻勢を強める。コーナーキックのチャンスではMF柏木陽良(スポ1=鹿島アントラーズユース)から何度も良質なボールが飛び、ピンポイントにヘディングで合わせるといったシーンが見られたが、相手GKの好セーブに阻まれるなどして得点を奪うことができず。追加点を奪えず難しい展開が続いた中で迎えた78分、MF佐久間真寛(商2=静岡・藤枝東)からのフィードボールで鈴木が裏に抜けると、そのままドリブルで運び、クロスを入れる。最後は走り込んできた森田が合わせ、待望の追加点を獲得する。最後まで粘りの守備を見せ無失点で試合を締めたア式は2ー0で勝利、新人戦全国大会決勝進出を決めた。
予選リーグ3連戦を千葉に来た全員がピッチに立ち、戦い抜いたア式。過密日程、さらには高い強度で、間違いなく体はきつい部分もあるだろう。それでも精神的には充実していると話す部員。「1年、2年の時にこういう全国大会を経験できるって、間違いなくプラスにしか働かない」と兵藤監督。彼ら自身が真剣勝負の全国大会の試合を楽しみ、タフな状況の中で多くの選手が成長を見せているのは今後のア式にとって非常に大きいだろう。目標の日本一まで残り1勝。決勝の相手は福岡大、予選リーグでは新人戦関東王者明大と互角の戦いを見せるなど安定した勝ち上がりで決勝進出を決めている。「日本一を取ることが日常で、負けることの方が非日常だっていうぐらい、これが早稲田でしょとなるように」(兵藤監督)。決勝戦の勝利が、強い早稲田復活に向けて最高のスタートラインになるだろう。5月から始まった新人戦、長い期間一緒に戦いここまで勝ち上がってきたチームの「チーム力」を信じてあと1勝をつかみ取ってほしい。
(記事 和田昇也 写真 ア式蹴球部提供)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 海本 慶太朗 | スポ1 | 大宮アルディージャU18 |
DF | 19 | 笹木 大史 | 商2 | 東京・早大学院 |
DF | 4 | ◎増田 健昇 | スポ2 | 横浜FCユース |
DF | 3 | 石井 玲於奈 | スポ2 | FC東京U18 |
DF | 5 | 佐橋 杜真 | スポ2 | 名古屋グランパスU18 |
→85分 | 7 | 西 凜誓 | 社1 | 名古屋グランパスU18 |
MF | 6 | 佐久間 真寛 | 商2 | 静岡・藤枝東 |
→82分 | 28 | 正垣 創太 | 商1 | 東京・早大学院 |
MF | 20 | 柏木 陽良 | スポ1 | 鹿島アントラーズユース |
MF | 2 | 佐々木 奈琉 | 社2 | 新潟・帝京長岡 |
→67分 | 22 | 高橋 作和 | 法1 | 東京・国学院久我山 |
MF | 10 | 森田 大智 | スポ2 | 熊本・大津 |
MF | 17 | 本保 奏希 | スポ2 | JFAアカデミー福島 |
→80分 | 25 | 谷岡 拓 | 商1 | 静岡学園 |
FW | 9 | 鈴木 大翔 | スポ1 | ガンバ大阪ユース |
→88分 | 23 | 瀧澤 暖 | スポ2 | 北海道コンサドーレ札幌U18 |
◎=キャプテン 監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見) |
コメント
兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
――今日は少し難しい立ち上がりでしたがいかがでしたか
相手がもう完全に来ないという選択をして難しい流れになるなと思いながら、焦れずにしっかりジャブ打ち続ければ、後半は絶対落ちてくるなというのもありましたし、(前半の)最後の最後でPK取れて、1-0で帰ってきたっていうのは、今のチームにとっては前進というか、あそこで相手に流れを渡すこともなく、0-0でも最悪いいかっていう中で、ゲームの運び方だったりというところは、少しチームとして成長してるのかなというのは思います。
――この大会にはどんなテーマを持って臨んでいますか
2月からチームがスタートして、早稲田自体を超攻撃的サッカーにするというところで、それがどこまで浸透してるのかなというのを確かめる大会でもありました。そこの部分では予選リーグからしっかりと複数得点できてますし、守備の部分でもトップチームで夏以降感度もついてきて、失点もなるべく減らせるようなチームはなってきたのかなと思ってるので、チームとしてやるべきこと、ベクトルというのを全員しっかり向きをそろえられてるところではあるからこそ、ここまで来たのかなというところではあります。
――ここまでの戦いはどうですか
公式戦がある中で、1、2年の時にこういう全国大会を経験できるのは間違いなくプラスにしか働かないかなというところでは、真剣勝負をこう一番長くできることはすごいいいことかなと思います。インカレとかで100パーセントの(メンバーで新人戦に臨んでいる)チームが果たして何チームあったのかっていうところではあるのですが、その中でこう3日連続で90分やるとか、そういう戦いの中で誰が出てくるかなという、一皮むけるチャンスがここにあったことは僕らにとってもありがたい反面、学生にとってはすごいきつくてタフだと思います。指導している側からすると普段現実ではありえない、毎日90分やるっていうところでの成長が目に見えて分かることは、ケガさせたくはないっていうのもあるのですが、タフに戦う中でそういうのが出てくるっていうのが、この大会の良さかなと思うので、着実に数名は「あ、変わったな」っていう選手が出てきてるのは、早稲田としてはすごいありがたいです。
――3連戦を終えての選手のコンディションはいかがですか
ターンオーバーをしながら数名はどうしても変えられない選手とかがいたりしてというのはあるのですが、こっちに来たメンバー22人全員がピッチを踏むことができてるというのはチームにとってはポジティブかなと思います。
――4戦連続で出場している選手たちが結果を残していますが、そこについてはどうですか
正直狙い通りにハマってくれたなと思います。ここが伸びるタイミングだろうという選手たちが、やっぱりそれぞれ殻をちょっとずつ破り始めてるので、体はきついけど気持ちは充実したメンバーがスタートになってると思います。そういう部分ではいい流れを持ってきてくれてるかなと思います。
――その中でも決勝まで来ました
結果でしっかりとさらに自信をつけてもらいながら、それが過信になりすぎないように。あくまでまだ何も取ってないっていうとこで、明日にならないと何も分からないですし、明日取っても特に何もやることは変わらないというところですね。むしろそれが早稲田にとっては日常。日本一は今まで取れてなかったかもしれないですけど、日本一を取ることが日常で、負けることの方が非日常だっていうぐらいのやっぱ感性をつけたいです。「これが早稲田でしょ」というところまでなんとか持ってきたいなと思います。
――決勝戦への意気込みをお願いします
明治とやっても勝てるチャンスをつくってましたし、やっぱり1位で上がってきた福岡大というところで間違いなく今まで戦った相手の中で、一番強度と強さっていうのは持ち合わせたチームかなと思うので、そこに対して今自分たちができる最大を出し切って日本一にふさわしいチームになるための、準備を今日から始めて明日しっかりとそれを証明できるように頑張りたいなと思います。
MF森田大智(スポ2=熊本・大津)
――試合を振り返っての感想をお願いします
3連戦を終えた後の今日ということで、前半は全体的に動きが重く、雰囲気もあまり良くなかったです。一発PKで先制して勝ち切れたので、そこは収穫かなと思います。
――一度グループステージで対戦した相手でしたが、それを踏まえて意識した点はありますか
一度対戦しているので不気味さがあり、監督からも油断するなということを言われていました。難しいゲームにはなりましたが、隙なく戦えたのではないかと思います。
――連戦となりましたが、コンディションはいかがですか
個人的にはほとんどの試合で使ってもらっていてすごくうれしいので、ベストを尽くしたいです。
――貴重な追加点となったゴールを振り返ってください
今日は攻撃面で何も残せていなかったので、一発でチームを楽にできる得点をしたいと考えていました。最後は自分で押し込めて良かったです。
――今大会4得点と好調のように見えますがいかがですか
これまではなかなか得点できておらず、上手な選手にならなければと感じ、ゴール前にポジショニングすることを意識してプレーしています。
――大会前に筋トレに取り組んでいると仰っていました。今大会を通じて、球際や強度の部分で相手を上回ることが多いように見えますがいかがですか
普段は関東のチームを相手にプレーしている分、地方のチームはそれに比べて球際の部分が緩いと感じているため、自分がレベルアップしたという実感はあまりないです。関東のチームと戦った時にどれだけやれるかが大事ですし、明日の相手はフィジカルに長けたチームなので、どこまでやれるか楽しみです。
――明日の意気込みをお願いします
日本一を目標に掲げてこれまでずっとやってきました。ここで負けてしまえば意味がないので、明日は絶対に勝って日本一を取りたいです。個人的にも得点やアシストでチームに貢献したいと思います。
鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)
――全体を振り返っていかがでしたか
東海学園大と2試合目というところで、1回勝った相手なので難しい試合になるとは思っていました。 前半の終盤に得点することができて、1-0でリードして前半を終えれたのは良かったと思うんですけど、後半決定機があった中でそれを決めきれなかったところは、ラストの質が足りずに、なかなか追加点を奪えなかったのは反省して、次の試合につなげたいなと思います。
――連戦が続いていますけど、コンディションはいかがですか
今は楽しさの方が勝っています。
――全国大会が始まって、得点がなかったところで焦りはありましたか
もちろん得点を取りたいっていう思いもありますけど、今は2年生のために戦いたい、2年生を勝たせてあげたいという思いの方が強いです。それでチームが勝てるなら今はいいと思ってて、その後から反省しようと思います。もちろん結果を残すことも大事ですけど、今は勝利の方を気にしています。
――PKはいかがでしたか
緊張しましたけど、いつも通りできました。
――PK決まった瞬間に蹴ることは立候補しましたか
奈琉君(佐々木奈琉、スポ2=新潟・帝京長岡)に蹴っていいか聞いて、いいよって譲ってくれたんで、奈琉君のおかげです。
――2点目アシストしましたが、振り返っていかがでしたか
その前にもちょっと似たようなかたちで一回ミスをしてしまって、あの時に中も見えてたんですけど、そこで出すよりかは縦に行ったら振り切れるかなと思って行ったら、大智君(森田大智、スポ2=熊本・大津)がいいところに入ってきてくれてたので、あとは合わせるだけでした。
――決勝についての意気込みをお願いします
チーム全員で勝って優勝したいと思います。