鈴木がハットトリックの大活躍! 法大相手に4得点の快勝で、全国大会出場に王手をかける

ア式蹴球男子
関東大学サッカーリーグ新人戦 決勝トーナメント1回戦
早大 2-1
2-0
法大
【得点】
(早大)2、36、47’鈴木大翔 68’伊藤猛志
(法大)6’野田秋太

ハットトリックを達成し、味方の元に駆け寄るFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)

 関東大学サッカーリーグ新人戦の予選リーグにて6勝2敗の好成績を収め、グループ1位で決勝トーナメントへの進出を決めたア式蹴球部(ア式)。決勝トーナメント1回戦の相手は法大。立ち上がりに相手のクリアミスを見逃さなかった鈴木が先制ゴールを奪ったが、直後に相手のロングスローから同点に追い付かれてしまう。それでも36分にDF佐々木奈琉(社2=新潟・帝京長岡)が右サイドを駆け上がりクロスを上げると、鈴木がうまく合わせ前半のうちに2点目を奪う。後半に入ると開始早々、鈴木が体を張りPKを獲得するとそれを自ら決めて3点目を獲得。さらにFW伊藤猛志(スポ1=ジュビロ磐田U18)にもゴールが生まれ、4ー1の快勝で準決勝進出を決めた。

 

PKを蹴る鈴木

 前半2分、いきなり試合が動く。相手選手がクリアをしようとしたところにMF森田大智(スポ2=熊本・大津)がうまく足を出してブロックすると、そのボールを鈴木が拾う。「立ち上がりなので自分で行こうと思っていた」と鈴木。後ろ向きでボールを受けたが、ワンタッチで相手の頭上を通して前を向くとそのまま冷静にゴールへ流し込み、早い時間に先制に成功する。しかし6分、相手の左からのロングスローがGK海本慶太朗(スポ1=大宮アルディージャU18)の上を抜け、ファーサイドで待っていた相手に頭で合わせられてしまいすぐに同点に追い付かれてしまう。23分、佐々木が自陣右サイドから前線にボールを送ると、反応したのはMF西凜誓(社1=名古屋グランパスU18)。ボールを受けた西はそのままゴールまで持ち上がりシュートを打つが相手キーパーに阻まれてしまう。それでも36分、海本からの縦パスを森田が少ないタッチ数で右サイドの佐々木に展開。佐々木が右サイドを駆け上がりクロスを上げると、鈴木がうまく相手のマークを外して技ありのシュートを放ち2点目を奪う。前半はこのまま2ー1で折り返した。

 

中盤でパス回しの中心の一人となった森田

 後半も立ち上がりから試合が動く。46分、後ろからのロングパスに鈴木が抜け出すと、相手選手はたまらずペナルティーエリア内で鈴木のユニフォームを引っ張って鈴木を倒してしまい、ア式はPKを獲得する。そのPKを鈴木が自らゴール右下に沈め3点目を奪い、自身もハットトリックを達成した。攻撃の手を緩めないア式は59分、右サイドの佐々木から鈴木の足元に再びいいクロスが入るもシュートは惜しくも枠を捉えることができず。続く65分、途中出場のMF本保奏希(スポ2=JFAアカデミー福島U18)が右サイドでボールを受けるとカットインで中央に侵入し、ペナルティーエリア外から強烈なミドルシュートを放つ。しかしこれは相手GKの好セーブに阻まれてしまう。それでも69分、右からのコーナーキックに途中出場の伊藤が高い打点で合わせて欲しかった4点目を獲得する。80分には同じく途中出場のMF川辺球尊(スポ2=大宮アルディージャU18)が裏に抜け出してミドルシュートを放ったが、ここも相手GKの好セーブに阻まれてしまった。5点目を奪うことはできなかったが終始法大を圧倒したア式は、4ー1の快勝で準決勝へと駒を進めた。

 

得点を喜ぶ伊藤

 トップチームは現在1部に所属している法大に対して、終始圧倒して危なげなく勝利したア式。来シーズン以降ア式の中心となってチームを引っ張っていくことになるであろう下級生のサッカーも魅力的なものだった。それでも彼らに今シーズンを振り返ってもらうと「苦しいシーズンになっている」(伊藤)、「悔しいの方が強い」(西)とやはり関東大学サッカーリーグ(トップチーム)に絡めなかったことに対する悔しさが強いと話す。来年以降主力として関東の舞台で戦うために、自分たちの力を示す絶好の機会として彼らにはまだ全国大会の可能性が残されている。今大会で3位以内に入ると全日本大学サッカー新人戦の出場権を獲得できる。次の準決勝は勝てば全国大会が決まるという大事な試合だが、相手は関東屈指の強豪筑波大。もちろん難しい相手だが「そこを覆せれば面白い」と濵田祐太郎学生コーチ(商2=埼玉・市浦和)。日本一を目標に掲げるア式にとって、今そして今後も倒さなければならない相手の一つだ。強い早稲田を取り戻すという重要な役割を担い、これから上のステージで戦っていくことになる彼らが強豪相手にどのようなサッカーを見せてくれるのか期待したい。

(記事 和田昇也 写真 髙田凜太郎、永田怜、西村侑也)

 

早大スターティングイレブン

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 海本 慶太朗 スポ1 大宮アルディージャU18
DF 佐々木 奈琉 社2 新潟・帝京長岡
→64分 17 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島
→82分 22 高橋 作和 法1 東京・国学院久我山
DF ◎増田 健昇 スポ3 横浜FCユース
DF 石井 玲於奈 スポ2 FC東京U18
DF 佐橋 杜真 スポ2 名古屋グランパスU18
MF 佐久間 真寛 商2 静岡・藤枝東
MF 谷村  峻 スポ2 FC東京U18
→86分 19 柏木 陽良 スポ1 鹿島アントラーズユース
MF 西  凜誓 社1 名古屋グランパスU18
MF 10 森田 大智 スポ2 熊本・大津
MF 11 今西 正之輔 社1 神奈川・日大藤沢
→76分 15 川辺 球尊 スポ2 大宮アルディージャU18
FW 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
→64分 20 伊藤 猛志 スポ1 ジュビロ磐田U18
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)
コメント

濵田祐太郎学生コーチ(商2=埼玉・市浦和)

――試合全体を振り返っていかがでしたか

 (相手が)予想外の攻撃の仕方で結構蹴ってきたので、それに対して前半は失点しましたけど、その後しっかり対応できていたかなと思います。

――相手が蹴ってくるのは予想外でしたか

 そうですね。(ボールを)つないでくるかなと思っていました。ただ、(前線に)身長の高い選手もいましたし、よく耐えたなと思います。

――今日のゲームプランを教えてください

 最初はハイプレスをかけるという想定でした。練習でもその予定で組んできてた中で、相手があまりつないでこなかったので、守備で主導権を握るというのは少し難しかったかなと思っています。でも攻撃は逆に、相手がFW2枚だけで(前線から)追ってきたので、 峻(谷村峻、スポ2=FC東京U18)を中心につなぎやすかったですし、サイドのところで優位性をつくれたなと思います。

――4得点の快勝にも表れたように、ビルドアップを中心に攻撃はうまくいったなという印象でしたか

 そうですね。後、FWの鈴木(大翔、スポ1=ガンバ大阪ユース)も伊藤(猛志、スポ1=ジュビロ磐田U18)も相手のセンターバックに対して勝ったので、それが大きかったなと思います。

――グループステージの8試合、この決勝トーナメント1回戦を踏まえた新人戦全体をここまで振り返っていかがですか

 今までは新人戦のメンバーで練習することというのはあまりなかったです。ただ、今週は新人戦のメンバーだけで練習してきた中で、今日の試合内容だったと思います。まとまりは以前よりだいぶついたなと思います。

――連携面を含めて向上している部分が見られると感じますか

 具体的な攻撃は感覚というか、即興でなんとかできていたので、守備の部分(今週の練習で)しっかりやりました。それは見られましたし、最後の試合の締め方も後半の終わらせ方もだいぶ良かったかなと思います。

――次の筑波大に勝てば新人戦の全国出場が決まります。難しい相手だとは思いますが、どのように戦っていきたいですか

 技術的にも筑波大には上手な選手が多いと思います。ただそこを覆せれば面白いと思うので、サッカーの本質のところ、球際だったりそういったところで負けないように、もう一度1週間頑張ろうと思います。

――最後に学生コーチとしてここまでのご自身の成長をどのように感じていらっしゃいますか

 去年と比べて今年はサッカー的な面で、兵藤さん(兵藤慎剛監督、平20スポ卒=長崎・国見)の言っていることやプランに全然まだではありますけど、近づいてきていると思います。早稲田サッカーというかたちが少しずつ見え始めてもいて、リーグ戦も後期に入って無敗できているので、そういったところが現れていると思います。

FW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 相手が法政だったのですが、だからと言ってびびることなく自分達の強みを出してやっていこうっていう話になっていました。早い時間帯で先制点取れたのは良かったです。ただ、失点シーンが相手のストロングを生かされた失点だったので、ちょっと嫌な感じでした。でもそこを修正して前半のうちに勝ち越せたことはとても大きかったと思います。

――1点目は相手のミスを拾って自分でシュートを決めるというかたちでしたが、振り返っていかがでしたか

 前半の立ち上がりなので自分でいこうと思っていました。タッチが大きくなってミスみたいになってしまったのですが、ああいったボールはディフェンスからしたら意外と難しくて、そういうところをどんどん狙っていこうと思っていたので狙ったかたちではあったかなと思います。

――2点目は佐々木奈琉選手(スポ2=新潟・帝京長岡)からのクロスにうまく合わせたシュートだったのですが、狙い通りでしたか

 奈琉君のクロスは僕にとってやりやすくて、蹴ってくれる位置は大体分かります。走ったら出てきたので奈琉君のクロスが良かったです。

――ここ最近の試合で新人戦に限らず、多くの得点を決めており、調子がいいように感じるのですが、ご自身の手応えはいかがですか

 最近は自信があるというか(笑)。2試合連続でベンチ外になったことで自分を見つめ直す機会になって、そこからは調子がいいです。

――今日勝ったことでベスト4が決まって全国も見えてきたと思うのですが、今後の意気込みをお願いします

 まず、出たら自分が点をとってチームを勝たせられるように頑張りたいです。チームとしても練度上がっていいチームになってきているのでこれからも日々の積み重ねを頑張っていきたいと思います。

FW伊藤猛志(スポ1=ジュビロ磐田U18)

――試合全体を振り返っての感想をお願いします

 前半、鈴木(大翔、スポ1=ガンバ大阪ユース)が1点取って立ち上がりは良かったのですが、ベンチから見ていて相手のロングスローはいいものがあったと思いますし、そこから失点してしまいましたが、最後鈴木が1点取って折り返せたところが大きかったと思います。

――ご自身は途中出場でしたが、どのようなことを意識してピッチに入りましたか

 自分が入ってた時は3-1でした。今日は引き分け以上で勝ち抜けというところで、3-1の時点で1点取られたら全然試合は分からなかったです。自分がここで1点取ることで、自分たちのものにできると思ったので、そこはまずしっかり点を取れたというところは個人としてもチームとしても大きかったと思います。

――4点目はご自身のヘディングでしたがゴールについてはどう振り返られますか

 杜真(佐橋、スポ2=名古屋グランパスU18)がいつもいいボールを蹴ってくれます。自分は相手がゾーン(ディフェンス)だったので、来るなってところに入ったらうまくいいところにボールを蹴ってくれました。自分は合わせるだけでした。

――同年代の同じFWとして鈴木選手はどういった存在ですか

 同じスポーツ推薦で早稲田に入ってきて、彼は関東(大学サッカーリーグ)で試合に出て2戦連続で点を決めています。自分自身は一番下のカテゴリーで結構苦しいシーズンなっているます。それでも、鈴木は鈴木で関東も新人戦も出ると思いますし、自分はもう新人戦しかないので、来シーズンに鈴木と同じ舞台でしっかり早稲田を勝たせられるような選手になれるように、この新人戦で自分が結果を残して、監督とかチームにもしっかり自分の存在、技術のしっかり見せる必要があるので、そこに向けては彼の存在はすごい大きいです。

――新人戦予選は1位でグループ通過となりましたが新人戦の予選を振り返っていかがですか

 自分自身はメンバーに入っていたり入っていなかったりで、1試合中10-0の試合で4点取っただけなので、正直チームの力になりきれてない部分もありました。予選はみんなのおかげで勝ち抜いてくれたので、こうやって全国につながる決勝トーナメントでしっかり結果を残し続けることが自分がやるべきことだと思ってます。

――次戦準決勝は筑波大との試合になりますが意気込みをお願いします

 そうですね。自分がしっかり点を取れれば、勝てる試合になると思います。自分としてはしっかりゴールを決めるところで、チームとしては今日も失点あったので、0で抑えて今年の兵藤(慎剛監督、平20スポ卒=長崎・国見)さんが目指すサッカーである、大量得点で勝利というところを目指してチームとしてやっていきたいなと思います。

MF西凜誓(社1=名古屋グランパスU18)

――試合全体を振り返っての感想をお願いします

 法政大学といういい相手とできたというところで、試合前から難しいゲームになることは分かっていたのですが、自分たちの力を出せれば勝てるという自信をもって試合に挑めました。試合の入りが大事だと話していて早い時間に先制できたのですが、その後に追い付かれてしまって、そこからは自分たちのやるべきことをやり続けて、2-1で勝ち越して前半を終えられました。後半はもう1回締め直そうというところで、次の1点が大事になるということはハーフタイムに話していたので、しっかり(得点を)決めて、守備陣は無失点で後半を終えることができ、全体として良かったのかなと思います。

――最初は右サイドハーフで、途中からサイドバックに変わりましたが、それぞれのポジションでの手応えはいかがでしたか

 サイドハーフをやっている時は、攻撃の選手なのでゴールに関わることが仕事だと思うのですが、今日は相手も結構蹴ってくる感じで、自分の中ではあまり仕事はできなかったのかなと思います。ただ、その中でもやるべきことはやろうと思っていましたし、サイドバックになった時は守備の1人として無失点で終えるということを意識して、センターバックの先輩の健昇君(増田健昇、スポ2=横浜FCユース)と玲於奈君(石井玲於奈、スポ2=FC東京U18)が引っ張ってくれて、(守りを)締めることができたので良かったのかなと思います。

――どちらのポジションで勝負したいという思いがありますか

 サイドバックが自分の中ではやっていて手応えがあるというか、やりやすいのかなと思います。ただ新人戦ではサイドハーフでずっと出させてもらっていて、自分の中ではどこのポジションでも力を発揮できることが強みの1つだと思っているので、そういう意味ではサイドハーフで出た時は得点でチームを勝たせるということと、サイドバックで出た時は無失点で終えるということを意識してやっています。

――新人戦のグループステージから今までの戦いを振り返っていかがですか

 (出場するのは)1、2年生ということで知っている選手も多いですし、普段から仲良くさせてもらっているので、やっていてやりやすいですし、意思疎通できる部分は多くあります。そういう部分がチームの団結力として生まれていて、それがいい方向に出ているのかなと思いますし、目標の日本一に向かってグループステージからずっと目指してきたので、まだ全国が決まったわけではないですが、次も勝って(全国進出を)決めて、さらに全国大会では日本一を目指して頑張っていきたいです。

――ここまでの自身の大学1年目のシーズンについてどのように感じていますか

 本当は関東のトップチームの試合に出て活躍することが目標でした。1度だけベンチには入らせてもらったのですが、試合に出ることはできず、悔しい思いの方が強いのかなと思っています。ただ、その中でも新人戦という自分たちが日本一を取れて、自分の力を示せる機会があるので、そこで本当に日本一を取りたいです。まだ関東の方も終わったわけではないですし、そっちに絡んでいけるように、ここから後2週間くらい残っているので、自分の中で悔いの残らないようにやっていきたいと思います。