首位・日体大を撃破! 駒沢の虎の子の1点を守り切り、リーグ戦2連勝、2位浮上を果たす

ア式蹴球男子
関東大学サッカーリーグ戦 2部 第6節
早大 0-0
1-0
日体大
【得点】
(早大)54’駒沢 直哉 
(日体大)なし

 前節3-0と快勝を収め、調子を上げているア式蹴球部(ア式)。迎える相手は3勝2分で首位の日体大だ。早大にとってリーグ前半戦のヤマとなる今節。白星を積み重ねられるか。前半はボールを保持するものの流れをつかみきれず、攻めあぐねる。早大は相手のセットプレーに苦しめられるが、守護神GKヒル袈依廉(スポ3=鹿児島城西)の好セーブで先制点を許さない。その後も互いに譲らず、無失点で前半を終えた。後半も一進一退の攻防が続く。そんな中、ついに均衡が破れる。54分、MF東廉(スポ3=清水エスパルスユース)のクロスにFW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)がダイビングヘッドで合わせ、2試合連続で先制点を決める。その後はこの1点を守り切り、無失点で勝ち点3を獲得した。

 

先制点をアシストした東。今季は2列目で確かなインパクトを残している

 今季、常に課題としてきた前半の立ち上がりは硬さが残るものの、ヒルの活躍でセットプレーでのピンチを切り抜ける。13分にはMF植村洋斗副将(スポ4=神奈川・日大藤沢)のクロスにMF松尾倫太郎(人2=千葉・八千代)が合わせ、チャンスをつくるもオフサイドとなる。しかし、ここから早大はペースをつかむと、ペナルティーエリア付近でボールを繋ぎ、チャンスを伺う。30分、DF森璃太(スポ4=川崎フロンターレU18)が中盤からロングシュートを打つが、惜しくも枠を外れる。互いにゴールネットを揺らせないまま、前半が終了した。

 

2戦連続ゴールを決めた駒沢。今季は出場した試合全て点を取るなど好調を維持している

 兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)は後半に向け、「相手のボールの出所や、どういったところを狙っているのかと、自分たちがやりたいことに対してどうアプローチしていくのか」を修正。すると、後半開始早々、ヒルの好セーブを起点にチャンスが生まれる。相手が前のめりになっているところを駒沢が前線へボールを運ぶ。松尾がこれに反応し、ペナルティエリアでシュートを放つ。だが、相手DFに阻まれ得点とはならなかった。それでも、54分、MF東廉(スポ3=清水エスパルスユース)が右サイドからクロスを上げ、駒沢が飛び込む。ボールは日体大のゴールに突き刺さり先制に成功した。2試合連続の先制点、さらに3戦3ゴールと、得点王の目標に一歩近づいた駒沢。「練習から合わせていますし、阿吽の呼吸というか、廉ならここに上げてくれるという感じで入っていきました」と振り返った。その後も落ち着いてボールを保持し、相手に攻撃の機会を与えない。アディショナルタイムには、リーグ戦初出場のFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース) からMF平野右京(人4=兵庫・滝川)にボールがつながり、追加点のチャンスを得る。しかし、相手GKが平野に接触し、1発レッドで退場。日体大は交代枠を使い切っていたため、フィールドプレーヤーが急遽GKに。そのファウルで得たフリーキックで、MF安斎颯馬(社3=青森山田) がペナルティーエリア付近から強烈なシュートを放つも、相手DFに当たり、追加点は得られなかった。そのまま試合は終了し、1-0で首位・日体大を下した。

 

試合前に掲げられた横断幕。上位との連戦が続く中、1でも多く勝ち点を積み上げたい

 リーグ前半戦のヤマとなる今節を無失点で勝利できたことは、1部昇格を目指す早大にとって大きな前進である。兵藤監督は「昨年までであったら、追い付かれていたりした厳しい試合を最後ゼロで抑え切ることができた。相手より先に(足を)つらない、本当に単純なことですけど、90分間戦う上で走れる体力や筋力も相手より勝っていた部分があるという点を評価したいと思います」と話す。一方で、目標である「常に3-0で勝つチーム」となるには課題も残る。DF小倉陽太(スポ4=横浜FCユース)は「今シーズンリーグ戦始まってからずっと得点力不足というのがあらわになっている中で、向き合わなきゃいけない課題かなと思いますし、その課題っていうのが顕著に出た試合だった」と振り返る。次節は首位に浮上した立正大、再来週には駒大との対戦が控えている。ア式内では、けが人が戻ってきた上、今節では1年生の鈴木が途中出場を果たすなど、チーム内での競争が活性化してきた。この勢いを保ち、開幕後初の3連勝を果たしたい。

(記事 大濵愛弓 写真 髙田凜太郎、板東萌)

 

★Column/コラム   待望のルーキー、ついにリーグ戦デビューを果たす

リーグ戦初出場を果たした鈴木

 待望のルーキーがついに関東リーグデビューを果たした。今季入部した1年生の中で、リーグ戦出場第1号となったのはFW鈴木大翔だ。第6節にして初めてメンバー入りを果たすと、迎えた76分、MF福井寿俊(文構4=東京・国学院久我山)に代わりピッチに投入される。2トップの一角としての出場となったが、最初のうちはなかなかプレーに関わることができない鈴木。それでも、徐々に前線での競り合いや裏への抜け出しで存在感を発揮すると、終盤には、相手DFの裏を突き惜しいシュートも放った。投入時には「チームを勝たせることができるよう意識して入った」という鈴木。1点リードと緊迫した展開での初出場となったが、堂々としたプレーを披露しチームの勝利に貢献した。けがもあり出遅れたというア式での1年目のシーズン。そんな鈴木が目指すのは「Aチームに居続けることと、試合の出場機会を得ること」だ。そして、スタメンの座を確保し、ゆくゆくは「選抜などに入れるように自分の実力ももっとつけて、上のステージに立っていきたい」と意気込む。出場時間こそ少なかったが、その可能性をピッチ上で感じさせた鈴木。ア式を引っ張っていく存在へと成長できるか。今後の活躍にも期待がかかる。 

 

早大スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ3 鹿児島城西
DF 安斎 颯馬  社3 青森山田
DF 小倉 陽太  スポ4 横浜FCユース
DF 中谷 颯辰 基理4 静岡学園
DF 森 璃太 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 福井 寿俊 文構4 東京・国学院久我山
→76分 26 鈴木 大翔 スポ1 ガンバ大阪ユース
MF 14 山市 秀翔   スポ2 神奈川・桐光学園
→90+5分 24 伊勢 航 社3 ガンバ大阪ユース
MF 15 東 廉 スポ3 清水エスパルスユース
→54分 22 平野 右京 人4 兵庫・滝川  
MF 10 ◎植村 洋斗 スポ4 神奈川・日大藤沢
MF 19 松尾 倫太郎 人2 千葉・八千代
→69分 17 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島
FW 18 駒沢 直哉 スポ3 ツエーゲン金沢U18
→90+2分 平松 柚佑 スポ4 山梨学院
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)

関東大学サッカーリーグ戦2部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
立正大 14
早大 13 10
日体大 11
山梨学院大 10 10
駒大 10
産能大 10
関東学院大 10
青学大
立大 10 ー4
10 順大 ー1
11 作新学院大 14 ー10
12 亜細亜大 12 ー9
第6節終了時点
コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――首位・日体大相手に勝利を収めました。試合を振り返っていかがでしたか

 今日の最大のミッションが勝ち点3を取ることでした。90分が終わった時に相手よりも1点多く取っておくことだったので、それをチーム全員で体現できたことはすごく評価できるかなと思います。昨年までであったら、追い付かれていたりした厳しい試合を最後ゼロで抑え切ることができた。相手より先に(足を)つらない、本当に単純なことですけど、90分間戦う上で走れる体力や筋力も相手より勝っていた部分があるという点を評価したいと思います。

――首位・日体大相手に対策していたことはありましたか

 ないです。今年早稲田は、相手に合わせないというのを目指しています。相手がどこであれ自分たちのサッカーのクオリティを上げていくことを常に追求しながら、当然、分析はするので、相手の攻撃のやり方や中心人物をしっかりと抑えはするけども、それに合わせてフォーメーションややり方を変えるというのは、僕はやるつもりはないです。そういった部分では、前半対応できなかった部分もハーフタイムで修正できて、自分たちが表現できたというのは、前進できたのかなと思います。

――今もお話にあったとおり、前半は自分たちの時間をつくれない状況が続きましたが、その内容についてはどのように評価されますか

 こういう試合なので硬くなってしまうのは正直分かりますし、そういう試合になるだろうなという想定もあったので、前半ゼロでしっかり終われたのは最低限でした。今、攻撃に特化しているチームにつくってはいますけど、ゼロで抑えて勝てるというチームが理想だと思います。でも自分たちは高く、常に3-0で勝てるチームを目指しているので、まだまだ足りない部分がありつつも、最後のところで体を張れたりだとか、危ないところまでいかせないという予測や準備の感度は少しずつ上がってきているのかなと思います。でも、この硬い試合でも、スッと肩の力を抜ける選手だったり、間をつくれる選手だったりが多くなってくるといいのかなと思います。

――後半に向けて具体的に修正したところはどのようなところでしたか

 相手のボールの出所や、どういったところを狙っているのかと、自分たちがやりたいことに対してどうアプローチしていくのかということの二つです。大きく変えると混乱が生まれたりするので、どうやって点を取るか相手の嫌なことを続けていくかという点にフォーカスしたかたちです。

――今日も駒沢直哉選手(スポ3=ツエーゲン金沢U18)の得点がありました。駒沢選手は今季、出場試合全てで得点しているなど、ストライカーとして成長し続けているように思えますが、監督はどう評価されていますか

 そうですね。結局良い崩しをしても最後誰が決めるのかというところで、ストライカーの存在というのはどうしてもサッカーの中ではすごく大事な部分になると思います。それを決め切る選手が今出てきたというのは早稲田にとって、すごくうれしいことです。ただ、これが1人だといつかそういう流れが止まってしまうので、取るべき選手が増えてくるようにやっていきながら、チームとしては再現性が高いゴールを目指す。偶発的というよりは、再現性の高い、チームとして取るようなゴールを増やしていきたいなと思っています。今日もクロスから良い入りをしての得点でしたけど、もう一個チームとして崩せたかというとそうではないので、そこのところはトレーニングからもっとやっていかないとなと思います。

――去年までだったら逆のスコアにもなり兼ねない試合で、勝ち切れた要因は改めて何だと思いますか

 シンプルにベースが上がってきたのかなというところと、やはりサッカーは自分たちの時間もあれば相手の時間もあるという中で、こういうふうな戦いをやり続けるという覚悟だったり、意識が少し上がったのかなと思います。迷いながらサッカーをするとどうしてもうまくいかないというふうになりがちなのですが、自分たちは常に前進しているとポジティブになりながら、やっていくことで間違ってないということを証明していきたいですし、それをするために自分たちは進んでいます。まだまだ次も厳しい試合が続きますが、こういう厳しい試合を勝ってこその成長だと思うので、続けていきたいなと思います。

――ここからも立正大、駒大と一筋縄ではいかない相手が続くと思います。どのようにこれらの試合に臨んでいきたいですか

 開幕のところも2連勝まではしましたが、3連勝はまだできていないです。やはり強いチームは3連勝以上ができるチームだと僕は思っているので、ここで結果だけに一喜一憂せずに、次は内容も含めてさらに良くしていくという思いで、オフ明けから取り組んでいきたいなと思います。

小倉陽太(スポ4=横浜FCユース)

――今日の試合を振り返って率直な感想をお願いします

 チーム的には勝ちましたけど、1点しか取れなかったという結果は、やはり今シーズンリーグ戦が始まってからずっと得点力不足というのがあらわになっている中で、向き合わなきゃいけない課題かなと思いますし、その課題というのが顕著に出た試合だったかなと思います

――日体大対策で考えていたことは何ですか

 最初は相手が3バックで来て前線に人数が多いという想定だったので、相手が背後に抜けてくるところだったりとか、ロングボールを入れてきて競り合いに行くところだったりとか、日体大はそういったところが強いですし、謙虚にやってくると感じていたので、どう対応するのかというのは中谷颯辰(基理4=静岡学園)と話しながら対策は組みました。ただ、相手が4バックで実際に来て、3バックほど攻撃力はないかなと思ったのですが、3バック並みの攻撃力があってそこを抑えるのにすごく苦戦しました。

――無失点で終われたことをどう捉えていますか

 無失点で終えましたけど、何本も危ないシーンだったりとかセットプレーで最初の入りのところで触られて先制点取られていたかもしれないという状況もありました。勝ったことはすごくポジティブですけどまだまだ突き詰められる部分はあると思うので、今日の結果に満足せず、次の試合も絶対ゼロで抑えて勝てるようにしていきたいです。

――今季は複数のポジションで先発していますが、それぞれのポジションでの手応えはありますか

 やはりボランチが主戦場なので、ボランチをやった時の方が自分の中ですごく伸び伸びとプレーでる感じはあります。そこから一つ下がってセンターバックになった時に見える景色やボールを出すタイミングとかも全然違いますし、そこはちょっと慣れない部分はありつつも、全くできていない訳では無いと思っているので、リーグ戦を通してセンターバックの部分もレベル高くできるようにできたらいいなと思っています。

――元々の長所である刈り取るところや球際の強さは今年はより一層レベルが上がったという印象があるのですが、ご自身としてはどうですか

そう見えてるのはすごく自分としても第三者からの意見してとてもうれしいですし、自分としてはそこまで変わってるつもりはないのですが、でも今シーズン兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)になってから球際、切り替えなどハードワークするところだったりとかを練習の中からすごくやっていることなので練習でやったことが必然的に試合で出るようになっているのかなと思います

――上位との連戦が続きますが今日の勢いをどのように持続させたいですか

 立正大も駒大も絶対に簡単な相手では無いですし、それぞれやってくるサッカーも違うと思います。相手に対して自分たちがどう対策するのかが大事ですし、自分たちはどうあり続けるのかっていうのもサッカーやっていく上で大事なことだと思うので、自分たちのサッカーの軸をぶらさずに相手を迎えていきながら相手の特徴を理解しながら一戦一戦挑めていけたらいいなと思います

駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)

――首位日体大相手に1-0の勝利となりましたが、率直に今の感想をお願いします

 首位相手に勝てて一つホッとしています。

――ご自身の得点での勝利となりましたが、得点シーンを振り返っていただけますか

 試合を通じてあまりチャンスがない中で、あのかたちは自分の得意なかたちでした。東(東廉、スポ3=清水エスパルスユース)がいいボールを上げてくれて、後は触るという、自分の長所が一つ出せたかなと思います。

――あのタイミングで東選手からのクロスが来るという感覚はありましたか

 練習からそこは合わせていますし、阿吽の呼吸というか、廉ならここ上げてくれるでしょうという感じで入っていきました。

――前半なかなかチャンスがつくれず攻めあぐねるかたちとなりましたが、その要因はどこに感じていますか

 一つは、押し込んだシーンがあった中でシュートが打てていなかったところかなと思います。チームの目標として毎試合3点以上と掲げている中で、そこは課題かなと思います

――これで今季は3戦3ゴールとなりました。けがから復帰されコンディションも上がってきているように思われますが、ご自身の感触としてはいかがですか

 感触は悪くないですし、得点王を目指している中で3試合出られなかったというのはもったいないなと感じていますが、まだ全然試合もある中でここからだなと思っているので、もっとゴールを量産していきたいなと思います。

――ご自身の得点でチームを勝たせるという意味では、昨年そこがなかなかできなかった中で、今シーズンそういう試合が増えているというのはいかがですか

 そうですね。フォワードとして自分の得点でチームを勝たせるというのはずっと自分の中のテーマとしてやっている中で、一つ今日体現できたのは良かったなとは思います。ただ、今日も失点してもおかしくないシーンもあったので、そこで追加点を決めて試合を決められるような選手になりたいなと思います。

――ここからまた立正大、駒澤大と上位校との対戦が続きますが、どのようにこの勢いを持続して連戦に臨んでいきたいですか

 今日の試合を通してもいろいろ反省点はありますけど、勝って反省できるという意味で、今チームに勢いはあるなって感じているので、悪いところは練習で調整して、できている部分はもっと増やして、快勝して、前期で1部昇格を確実にできるくらいの勢いでいきたいなと思います。

鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)※一部囲み取材より抜粋

――試合に出場する時、監督に何か言葉はかけられましたか

後半は自分たちの時間がなかったので自分たちの時間をつくること、そして得点を取るよう指示を受けました。

――リーグ戦初出場となりましたが、出場される時はどのようなことを考えて臨まれましたか

入る時は、チームの勝利を決められるようにと思って。(試合に)入った時は緊張しなかったのですが、チームを勝たせることができるよう意識して入りました。

――20分程という短い時間でありましたが、手応えはありましたか

やれるという手応えはつかみましたが、今日の出来ではまだまだなので、もっと自分がやれることを証明していきたいです。

――後半39分くらいに抜け出しそうになった場面はどうでしたか

あそこで、冷静になって相手の股を抜くではないですけど、そのくらいのプレーができるようもっとうまくなりたいです。

――1年生の中では、リーグ戦初出場となりましたが、その中で何か意識することはありましたか

チームを代表して出場しているのでそこに恥じないようにすることと、自信を持って、1年生という立場なので、チームを活気づけられるように頑張ろうと思いました。

――早稲田大学での大学生活の一つのスタートの部分になると思うのですが、どのような大学生活を送っていきたいですか

どんどん出場時間を延ばして、選抜とかも入れるようにそして自分の実力ももっとつけて、上のステージに立っていけるように頑張っていきたいです。

――今年が1年目になると思うのですが、何か具体的な目標はありますか

まずは、Aチームに居続けることと、試合の出場機会を得ること、そしてスタメンの座も奪えるように頑張りたいです。