相手と対峙する安斎
ア式蹴球部(ア式)のMF安斎颯馬(社3=青森山田)が内定先のJ1・FC東京でデビューを果たした。12日に3年生にしてFC東京への内定が発表された安斎。その翌日には特別指定選手となり、Jリーグの試合への出場が可能となると、19日のルヴァンカップで早くもスターティングメンバーに名を連ねた。ア式ではトップ下やサイドハーフが主戦場となる中、この日は右サイドバックで先発。積極的な攻撃参加を見せつつ、守備でもギリギリのところでのシュートブロックを発揮。また、セットプレーのキッカーを務めるなど、確かな存在感を示した。
「左サイドでつくりながら自分が外のスペースというのを意識した」と、試合序盤から大外の高い位置を取り、サイドバックながら相手陣内の深くまで攻め入った安斎。縦への仕掛けやカットインの動きをし、両足でクロスを供給できる姿も見せた。40分には、味方のパスを相手ディフェンスラインの背後で受けると、エリア内で倒され審判の笛が鳴る。PK獲得かと思われたが、ボールを受けた時点でのオフサイドを取られてしまった。また後半に入ると、今度は守備で貢献した安斎。65分には、スルーパスから相手に抜け出され、ゴール手前でシュートを放たれるが、このシュートを安斎がスライディングで見事ブロックし、チームのピンチを救った。試合は、75分にFC東京が先制し、そのまま1-0で勝利。安斎は最後足をつりながらも、フル出場を果たし、チームの公式戦5試合ぶりの勝利に貢献した。
試合後にファンの声援に笑顔で答える安斎
堂々としたプレーを見せ、デビュー戦を見事白星で飾った安斎。「めちゃくちゃ緊張しました(笑)」と本人は言うが、そんな緊張を一切感じさせない、見事なパフォーマンスをピッチで発揮した。その姿はFC東京サポーターの目にもしっかりと焼き付き、試合中だけでなく試合後も、会場全体から「安斎」コールが沸き起こった。そんな安斎は、実際にプロの舞台に立って、「ファン、サポーターがこれだけ入ったスタジアムでプレーすることだったり、プレースピードや強度など全てが大学の何個も上でした」と普段の大学サッカーとの違いを肌で感じたという。それでも、「大学での積み上げを2年間やったからこそ、ここに立てていると思います。大学でやってることは間違いではないので、今後も継続してやっていきたい」と、大学での積み重ねが今に生きてることも同時に体感できた。
ドリブルをする安斎
内定が決まったタイミングで、「3年生から本気でプロのピッチに立つことを目指す」と誓っていた中、早くもその宣言通りの結果となった今回。安斎自身にとっても本当に大きな経験となっただろう。それでもまだ、後2年ア式での戦いが続いていく。「ここでプレーしてア式でダメだったらなんの意味もないですし、ア式のプレーがあるからこそのプロのピッチだと思っています。ここで出た責任や感じたことをア式に還元して、もっともっと結果という数字を残していきたい」と安斎。より一層の覚悟を持って、安斎は自身のサッカー人生をさらに前へと進めていく。
(取材、記事 髙田凜太郎 編集 渡辺詩乃 写真 FC東京提供)
結果
▽4月19日
JリーグYBCルヴァンカップ
FC東京1-0ガンバ大阪
コメント
安斎颯馬(社3=青森山田)
――この舞台を経験して感じた感想は
自分が思っていた以上にこのピッチに立ててあっという間でしたし、勝利できたことは嬉しいことですが、自分の中ではもっとやらないといけないというのは正直な感想です。もっともっと自分を出していかないといけないと思うので、決して満足せずに積み上げる作業が必要かなと思います。
――緊張しましたか
めちゃくちゃ緊張しました。
――いつ出ることを知りましたか
スタメン発表は今日ですが、大体予想では分かっていたので、前日から心の準備と自分のイメージのプレーは常にしていました。
――右サイドバックでしたが、どのようなことを考えていましたか
(塚川)孝輝君とか(渡邊)凌磨君が中でうまくもらってくれるので、左サイドでつくりながら自分が外のスペースというのを意識していました。
――ア式とは違うポジションでの起用の中でそこの違いはどうでしたか
やはり緊張感は前と後ろで違いますし、前はゴールを攻めるというところでゴールを守るという緊張感は少し安らぐのですが、その分運動量だったりチームを助ける走りをやらないといけないと思っています。後ろに関しては前に比べて運動量は劣りますが、緊張感を持っていかないといけないのでそこの違いはあると思います。
――セットプレーのキッカーを任されていましたが、練習の時から蹴っていましたか
練習から自分が任されていましたが、今日はキックの質がひどかったです。緊張している中でもキックは自分の一つの武器で、そこが良くなかったら何もないと思うので、もっとキックの質はこだわっていきたいです。
――大学サッカーを経験してここまで来ましたが、大学サッカーとの違いは改めてどのように感じましたか
やっぱりファン、サポーターがこれだけ入ったスタジアムでプレーすることだったり、プレースピードや強度など全てが大学の何個も上でした。ただ大学での積み上げを2年間やったからこそここに立っていると思います。そこは大学でやってることは間違いではないので今後も継続してやっていきたいなと思います。
――やはり大学での経験が生きたと思うところはありましたか
やはり関東1部は強度も高いですし、即戦力でプロに出る選手も多数いるので強度という部分は生きてるのかなと思います。
――味スタでのピッチに戻ってきたというかたちになりますが改めて声援を受けてどのように感じましたか
本当に熱いクラブだなと間違いなく思いましたし、最後の笛が鳴り終わった後でもあれだけ熱い声援を送ってくださって、90分を通して一緒に戦ってくれました。ただ苦しい中でまだ1勝でここからまた新たなスタートでしかないので、ファン、サポーターと一緒に勝利をつかめるようにもっともっと頑張りたいと思います。
――最後に、これからア式でシーズンが続いていくと思いますがこの経験をどのように還元していきたいですか
やっぱりここでプレーしてア式で駄目だったら何の意味もないですし、ア式のプレーがあるからこそのこっちのピッチだと思っているので、ここに出た責任だったり感じたことをア式に還元して自分自身3試合連続ゴールでは満足できないのでもっともっと結果という数字を残していきたいと思います。