1点遠くリーグ戦3連敗 残留に向け痛恨の敗戦

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第16節
早大 0-0
0-1
東洋大
【得点】
(早大)なし
(東洋大)74’室井 彗佑

 前節4失点と大敗を喫した早大。首位・明大相手にスコアだけでなく、プレーの強度や走力といった根本の部分でも差を見せられたかたちとなった。残留に向け後がない中、「もう一度、その部分を見直して向き合ってきました」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)。この一週間チームとして原点に立ち返り、今節・東洋大との一戦に臨んだ。試合は立ち上がりから互いに譲らない展開が続く。早大は集中した守備から徐々に相手ゴールへと迫るがゴールを奪うまでには至らない。後半に入ってもチャンスを生かしきれない中、迎えた73分、一瞬の隙から相手にPKを与えてしまう。これを冷静に決められ1点ビハインドに。その後早大は、長身のDF神橋良汰(スポ2=川崎フロンターレU18)を最前線に投入するなど1点を追いかけるが、ゴールネットを揺らすことはできず。0-1のまま敗れ、リーグ戦3連敗を喫した。

 

相手からボールを刈り取る小倉

 序盤はサイドを起点とする相手のストロングを消し、いざ攻撃に転じると「相手の背後へというところを意識した」(外池監督)早大。その言葉通り、MF山市秀翔(スポ1=神奈川・桐光学園)のインターセプトからFW奥田陽琉(スポ3=柏レイソルU18)がディフェンスラインの裏へ抜け出すなど、ショートカウンターを中心にチャンスを演出する。一方、東洋大にボールを持たれている間も集中を切らさず、「自分たちがボールを奪えたり相手のミスを誘発できた」(山市)と良い守備から早大のリズムを生み出す。拮抗(きっこう)した展開が続く中、38分、CKからMF小倉陽太(スポ3=横浜FCユース)が左足でシュートを放つも相手GKの好セーブに遭う。続く40分には、MF植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)のロングスローのこぼれ球を再び小倉が狙うもこれは枠の外へ。チャンスを生かせずに前半を終えた。

ドリブルで相手をかわす山市

 後半に入ると敵陣でボールを握る時間が増える早大。植村や山市を中心にアタッキングサードに侵入するシーンが増えるが、微妙な連携のズレなどからなかなか決定機まで持ち込むことができない。1点を奪うべく、66分にはFW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)、71分にはMF西堂久俊(スポ4=千葉・市船橋)を投入し、攻撃に拍車をかける。しかしその直後、自陣ペナルティエリアでDF監物拓歩(スポ4=清水エスパルスユース)が相手を倒してしまうとすかさず審判の笛が鳴る。際どいジャッジに対し、早大は猛抗議するが判定は覆らずPKを与えてしまう。このPKを豪快に決められ、リードを許す展開となる。1点を追いかける中、77分、小倉のスルーパスに抜け出した駒沢が相手GKをかわしシュートを放つも、戻ったDFにクリアされてしまう。終盤には長身の神橋を投入しパワープレーを敢行する早大。しかし、相手DF陣の牙城を崩すことができない。最後まで1点が遠く、0-1のまま試合を終えた。

キャプテンを務めた監物。対人プレーの強さを見せつけた

 これでリーグ戦3連敗となり、残留圏の9位・駒大との勝ち点差は7。さらにここ6試合で1分5敗、得点はわずかに2と厳しい状況が続く。そういった中、ここ数試合相手に圧倒されてきた球際で負けない、走り負けないといった技術や戦術に先立つ部分。外池監督が「上手い下手ということに関係なくその部分だけはできる」という、どのようなサッカーを志向していても忘れてはいけない大事な部分をこの日の早大は少なからず発揮していた。結果は敗戦に終わったが、この姿をまた取り戻せたことが一つチームとして明るい材料だろう。この姿勢を貫き続けるためにも肝心なのが次節。中2日での桐蔭横浜大戦だ。Jリーグ内定者も多く在籍し、リーグでも3位につける強敵を相手に「球際」や「走力」で上回ることをまずは目指したい。そして、残留に向けてこれ以上の敗戦は許されない中、「基本的なことをやり続けることが勝利につながる」と小倉。サッカーの根幹ともいえるこれらの姿勢を体現した先に待ち受ける白星を、次節こそ手にしたい。

(記事 髙田凜太郎 写真 水島梨花)

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF 平瀬 大 スポ4 サガン鳥栖U18
DF ◎監物 拓歩 スポ4 清水エスパルスユース
→90分 13 中谷 颯辰 基理3 静岡学園
DF 12 藤本 隼斗 スポ3 柏レイソルU18
→87分 27 神橋 良汰 スポ4 川崎フロンターレU18
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 小倉 陽太 スポ3 横浜FCユース
MF 平松 柚佑 社3 山梨学院
→82分 17 本保 奏希 スポ1 JFAアカデミー福島
MF 安斎 颯馬 社2 青森山田
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 14 山市 秀翔 スポ1 神奈川・桐光学園
→71分 11 西堂 久俊 スポ4 千葉・市船橋
FW 奥田 陽琉 スポ3 柏レイソルU18
→66分 18 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 34 15 11 33 15 18
東京国際大 29 15 33 13 20
桐蔭横浜大 29 15 31 16 15
法大 27 15 20 18
東洋大 26 15 25 14 11
拓大 22 15 29 26
筑波大 22 15 16 15
国士舘大 19 15 22 17
駒大 15 15 19 32 −13
10 流通経大 10 15 15 44 −29
11 順大 15 10 13 30 −17
12 早大 15 25 −16
第16節終了時点
コメント

外池大亮(平9社卒)

――駒大戦、明大戦と失点が重なった試合が続きましたが、今日の試合に向けて変えた部分はありますか

 明治戦が終わってから4年生、3年生を中心に改めて自分たちの状況を捉え直しました。しっかり「残留」を命題にして取り組んでいこうという点とピッチ上だけではないチームの中にある課題の部分に向き合いました。いろいろなことがありましたが、向き合うということからみんなが逃げなかったというところが手応えとしてありました。今日送り出した選手、ベンチ、応援、今日我々は幹事だったのでそこの部分も含めて、自分というものはあると思いますがチームに向かって取り組む姿勢が見えました。そこの部分を作ってきたことが今日に向けて取り組んできた部分ですね。

――明大戦に比べ、中盤の陣形や人選も変わったように思います。外池監督の中でどのようなプランがありましたか

 東洋さんのサッカーはかなりサイドの部分に起点があるので、相手対策も含めて4バックにしてそこの部分の対応をベースに作りました。かなり東洋さんはコンパクトにワイドに作ってきたので、裏をどうつくかだったりなどをテーマにしました。4-2-3-1のようにしてサイドでのプレッシャーが相手にかかるように、相手の背後へというところを意識して取り組みました。

――前半は相手に持たせる展開が続きましたが、それは意図したものでしたか

 風上に置かれながらも常にサイドを狙っていくということをやっていました。前半、0-0で終えられた部分はよかったですし、かなり良いセットプレーも取れていました。その部分に関しては、プラン通りの前半でした。

――後半のPKで得点が入るまではプラン通りに進められたという印象ですか

 どうやってもう1つ攻撃の部分にギアを作るかというのはポイントでした。後半はそこが重要になるというところで攻撃をフレッシュにしていくということを意図とし、西堂(久俊、スポ4=市船橋)と駒沢(直哉、スポ2=ツエーゲン金沢U18)を入れました。その直後にPKになりました。そのPKにはみんなが納得がいかない中でもしっかり最後の最後まで向き合って試合を作れました。その部分に関しては、チームとして1つ大きな改善になったのではないかと思っています。

――改善があったというお話もありましたが、今日の試合はPKの1失点だけで相手にチャンスを与えなかったという展開でした。守備面では手応えがありましたか

 守備面は自分たちの姿勢というものがモロに出るところだと思います。そこに関しては、試合前から自分たちの今置かれている状況、大学サッカーの中でこのような環境を与えてもらっている、厳しい状況の中で試合に臨めている環境です。その部分も整理できたのはやはり守備力が大きく影響したと思います。残り7試合最後の最後までやろうということはみんなで約束しました。中2日ですが、まずはしっかりとコンディションを整えて臨みたいと思います。

――この前の明大戦に比べ、外池監督が根本的で大事な部分と述べられている、強度や走るという部分の改善が見られたように見受けられましたが

 明大戦後にULTRAS WASEDAさんが待ってくださっていました。我々が大事にしている謙虚さや愚直さをプレーで表すと切り替え、球際、走る、声というところでその部分が足りてないのではないかという声をいただきました。そういったところをやることが我々が応援される軸であるということを共有しました。上手い下手ということに関係なくその部分だけはできる部分です。もう一度、その部分を見直して向き合ってきました。応援してくださる人たちの声や早稲田にいるからこそ関わり、応援してくださる人たちの大きさや広さ、深さを自分たちの力に変えていくということはまだまだできると思います。そこにしっかりと取り組んでいくというところだと思います。

小倉陽太(スポ3=横浜FCユース)

――相手が東洋大ということで何かチームとして狙っていた部分はありましたか

 東洋さんが自分たちの縦パスに対して強く来るというスカウティングがあったので、その裏をかいて早い方にボールを置いて自分たちが攻めいくということが攻撃面の狙いでした。

――小倉選手は中盤でボールを持ち、相手からプレッシャーが多くかかる中で相手を剥がす場面が多く見られましたが、その部分は意識されていましたか

 相手を見てですけど、相手の重心見てくっついたと思ったら、逆の方向に行けば剥がせます。それを意識しましたね。

――守備の出だしの部分でも相手の前に体を入れて奪い取るシーンもありましたが

 中盤の守備は自分の強みです。自分のところに来たら、相手を行かせないというのは意識していますね。

――攻撃にも顔を出してサイドの組み立てなどにも関与されていたように見受けられましたが、周りとの連携などを考えてということでしょうか

 自分が後ろから入っていて攻撃に厚みを持たせられたらとは思って入っていきました。そこを周りがうまく使ってくれたという感じですね。

――2試合失点が重なった中で1失点に抑えられたということで守備に手応えを感じられましたか

  前半とかは相手に主導権を握られている中で自分たちがうまく我慢して対応できていました。PKは自分たちの隙が出てしまった部分だと思います。次、中2日で桐蔭横浜大戦なので、そのような隙はなくしていきたいです。

――現状、ア式に最も足りていないものとは何だとお考えですか

 当たり前のことを当たり前にやる部分。みんな上手いのはわかっています。人がやらないこと、走ったり、切り替え、球際に強くいく、対人で負けないなど基本的なことをやり続けることが勝利につながると思います。

――10月は連戦が続きます。その中で、まずは「残留」という部分で勝っていかなくてはいけない中でどのような準備をしていきたいですか

 おっしゃる通りです。絶対に1部に残留しなくてはいけない大学ですし、チームだと思います。本当に腹を括ってどんな形でも勝たなくてはいけません。

MF山市秀翔(スポ1=神奈川・桐光学園)

――久しぶりのスタメンとなりましたがどのようなことを考えて試合に臨まれましたか

 今チーム状況が悪い中で自分が起爆剤となって、チームを勝たせられるポジティブな方向に持っていこうとしました。前半とか後半の入りとかはチャンスもつくられてなくて、良い締まり具合で試合を進められたと思います。しかし、終盤にPKというかたちで点を入れられてしまって本当に悔しいです。その前にもゴールに向かってチームでプレーしなければならないシーンがありました。水曜日にまた関東リーグあるので中2日しっかりリカバリーをして良い積み上げをしていきたいなと思います。

――前半から良いゲーム運びができていたように見受けられましたがプラン通りでしたか

 東洋大はスカウティングであまりかけてこないという話をしていました。長い時間ボールを持てるという話をしていた中で、しっかり自分たちのリズムをつくっていこうという話もありました。良いシーンも何回かありましたが、そういったシーンでしっかり点を取りきり、ゴールにつなげていったりしたいです。相手にわざと持たせてるシーンもつくっていて、どっちかが焦れないで相手のミスを待とうとか、自分たちからボールを取りに行くというシーンは増やせました。自分たちがボールを奪えたり、相手のミスを誘発できたのは1週間の積み上げがあったからだなと思います。

――ここ最近の早大は球際や走力の部分で相手に負けてしまうシーンが見られましたが、山市選手自身外から試合を見ていてどのように感じていましたか

 本当に最近の早稲田は、自分は特に明治戦でスタンドから応援していて分かったのですが、やはり走りきれなかったり球際のところだったり、戦う気持ちというのが見れませんでした。チーム内でもぶつかり合いがあって、そのぶつかり合いをポジティブなものにして今日のゲームに臨んだのですが、あのような形で負けてしまいました。勝利しなくては「その積み上げがあったから」ということが言えないと思います。

――ここから連戦が続き、まずは「残留」のために勝っていく必要がある中、どのような準備をしていきたいですか

 PKと前半にあった一本くらいしか相手に隙というのを与えなかったと思います。敗北という結果です。勝たないと美化されないと思います。勝つために何が必要なのかというのを残りの2日間、探して積み上げて勝ちにつなげていきたいです。