【連載】早慶クラシコ特集 第8回 4年生対談 山下雄大×水野雄太

ア式蹴球男子

  下級生時からトップチームでプレーし、酸いも甘いもかみ分けてきたMF水野雄太(スポ4=熊本・大津)とMF山下雄大(スポ4=柏レイソルU18)。山下は19年の早慶クラシコで決勝ゴールをアシスト。勝利の美酒に酔いしれた。その一方、水野はこれまで出場した早慶戦で1分2敗。宿敵を相手に辛酸を舐めてきた。最高学年として迎える最後の早慶クラシコで、勝利を垂涎するふたりに、今季のチームの戦いや自身のサッカー観、さらには伝統の一戦に向けての意気込みを語っていただいた。

※この取材は8月23日に行われたものです。

「自分が決めて、勝ちに導けたら」(水野)

関東リーグ明大戦でドリブルする水野

――お互いの他己紹介からお願いします

水野 (山下は)サッカーは…出し手と受け手の関係だよね?まず。

山下 (水野は)スピードがあって、キレのあるドリブルが特徴です。あとはたくさん点をとって欲しいですね、ラスト一年なので。

水野 (山下は)いいパスをたくさん出してくれます。練習試合とかも含めていいパスを出してくれるのですが、まだ今季雄大のパスから(公式戦で)1点しか取っていないので、あとは自分が決めて、勝ちに導けたらいいなと思っています。彼は上のレベルでも左足を光らせることができると思うので、僕はめちゃめちゃ期待しています。私生活は、基本的にずっと一緒にいて。気を遣わないというか。お互いアホなので、はっちゃけられるので、めちゃめちゃ楽しいです。

山下 基本的にふざけていますね(笑)。

水野 2人だけにしかわからないことで笑ったり、楽しいです。

山下 仲良いよね?

水野 まあまあまあ。悪くはないよね(笑)。

――西堂(久俊、スポ4=千葉・市船橋)さんや丹羽(匠、スポ4=ガンバ大阪ユース)さんも含めて、皆さんで仲がいいというイメージです

山下 わりと寮生はみんな仲がいいですね。まとまっている感というか。

――逆に私の印象では、柏レイソルユース出身であまり固まっていたりはしないなと感じます

水野 どうなんですかね?

山下 別に普通ですね、悪い印象はないです。

――最近はコロナウィルス感染症の影響から活動が止まることもありました。そうした時間やオフなど、最近のプライベートの時間はどのように過ごしていますか

水野 最近、監物(拓歩、スポ4=清水エスパルスユース)と西堂と、夜に監物の部屋で映画鑑賞会をしています。わりと頻繁にやっていて、最近はそれが多いです。

――どんな映画を観られるのですか

水野 最近はワイルドスピードを、監物が観たことがなかったので、最初から5話くらいまで観て。その前は、アクション系がみんな好きなのでアクション系の映画を観ていました。

――結構体育会の皆さんは「最近はサウナにハマっている」という方も多いですが

山下 それはまあまあ。

水野 でも最近行ってないよね。

山下 あ、直近行ってないかもしれない。一旦ブーム終わったよね。自分は…、なんだろうな。ドライブも最近行ってないし。

――どこかにお出かけなさったりはしないのですか

山下 あ。一回、西堂と新宿の方に、カフェ巡りというか。隠れ家的なカフェ探そうって言って行って。これ続けたいね、みたいに話しているのですが、まだ一回しか行けていないので。カフェ巡りをやっていきたいなという感じですね。

水野 飯とかじゃねお前。でも俺は(山下が)何してるか知らないよ(笑)。プライベート。

山下 部屋にいる時とかは?

水野 部屋にいる時とかは…最近、本読んでるなとか思います。

山下 あ、本読んでるわ。最近本読んでるわ。

――シーズン開幕前の対談では、水野さんが本を読み始めたものの三日坊主になった、とお話になっていました

水野 あ、もう読んでないです(笑)。

――山下さんはどんな本を読まれるのですか。小説とか…

山下 小説も読みます。いろいろ読んでます。面白そうだなと思った本を読んでいる感じです。

――スポーツ科学部の方は毎年、冬に「卒論がまずいです」とおっしゃられがちですが、そういった本ではないですか

山下 そういう本ではないです。でも卒論はちょっとヤバいです。ヤバいよね?そろそろやんないとです。

水野 ゼミが一緒なんです。

「人、というよりかはその形を参考に」(水野)

インタビューを受ける水野

――オフの時間もサッカーは見ていらっしゃるのですか

水野 自分は見ますね。ちょっと気になっているチームとか。Jリーグのチームとか。

――気になるチームというと…、やはりロアッソ熊本の試合は見られたりしますか

水野 ロアッソはよく見ますね。最近調子いいですし、面白いサッカーをしているので。実際に生でも見て、スタジアムの雰囲気とかを感じて、プロっていいなと思いました。

――山下さんはどんなサッカーを見られますか

山下 プレミアとかはやっぱり面白いですね。あとは…結構昔からスペインのサッカーが好きなんですけど、バルセロナとかはたまに見たりしますね。大体プレミアかスペインのサッカーです。

――取り立てて柏レイソルばかりを見ているとか、そういうわけではないのですか

山下 柏は、結果やハイライトは見ています。

――おふたりは好きなサッカー、とかはあるのですか。「こういうサッカー好きなんだ」みたいな。それこそ熊本のサッカーはかなり特徴的です

水野 どんなサッカーが好きかな…。サイドハーフで勝負したいので、4バックの4―2―3―1とか4−4―2とかは好きですね。

――山下さんはいかがですか。アンカーがいいとか、ダブルボランチがいい、とかありますか

山下 んー。2ボランチかアンカーか、だったらアンカーの方が好きっちゃ好きです。でも2ボランチでも全然好きなので。フォーメーションがどうの、とかは全然ないのですが、好きなサッカーでいうとシャビ(FCバルセロナ)とかイニエスタ(ヴィッセル神戸)がいた時のバルセロナとか。今の(マンチェスター)シティとかは結構好きですね。ボール動かして。攻撃的なスタイルのチームが好きです。

――参考にしている選手や、この選手いいな、という選手はいらっしゃいますか

山下 中高生の時にはブスケツ(FCバルセロナ)をめちゃくちゃ参考にしていました。プレッシャー受けてもターンして剥がしたりとか、ワンタッチでプレッシャーの矢印を折ったりだとか。そういうプレーは結構参考にしていました。

水野 ありがちですけどネイマール(パリSG)とかは、見ていて楽しいというか。ただ自分はそんなに、試合になったらおちょくれないので(笑)。誰だろうな…。誰とかじゃないんですけど、Jリーグとかを見ていて、「この形いいな」と思ったのをちょっと頭に置いておいて、自主練とかで試して。上手く行ったら使ってみたりとか。人、というよりかはその形を参考にしています。これだったら抜けるかも、という形にチャレンジして、という感じです。

――一緒にプレーをして驚いた選手や一緒にプレーして「この選手はすごいな」と感じた選手はいらっしゃいますか

山下 普通にゴリくん(加藤拓己、令4スポ卒=現SC相模原)とか。あと鍬くん(鍬先祐弥、令3スポ卒=現Vファーレン長崎)とか、一人でボール取れちゃうので、あれはまじですごいなと思いました。

水野 全然違ったなあれは。

山下 ゴリくん鍬くんですかね。

――おふたりは偉大でしたか

山下 いやー。自分にはできないなと思いました。

水野 自分もゴリくんと、丹羽とかも結構すごいなと思います。(加藤は)相手と競り合ってマイボールになる場面とか。あの図太い体でずっと走れるのがすごいなと思いますね。「えぐい!」みたいな感じというよりも、常に高い基準でサッカーをしているという感じで。それはすごいなと思います。

――私の記憶では、山下さんが3年生くらいの頃に、一時期グッと体が大きくなった時期があったように思います。フィジカルの面はいかがですか

山下 一回2年の頃に…。

水野 自粛期間で多分。

山下 みんな(体が)デカくなって。3年はどうだろう。最近は逆にキュッとなっている感じです。

――サイドのアタッカーはあまり体を大きくしたくないとか、そういった思いもありますか

水野 自分は高校の時から筋トレはしていたのですが、バチバチ筋トレをしてというよりも、ちょっと刺激入れて、というくらいでした。ただ、高校の時はそれでよかったのですが、やっぱり大学ってフィジカルとかもあって、やっぱり当たり負けとかしちゃって。西堂とかあっちタイプになろうとは思っていないですが、ある程度の腕の強さとか。体幹とかは必要なのかなと思って。たまに(筋トレを)やっている感じです。

――逆に西堂さんとか平瀬さん(大、スポ4=サガン鳥栖U18)はめちゃめちゃ筋トレやっている感じなのですか

水野 大はやっていますね。西堂は最近…あんまりやってないよね

山下 今あんまやってないよね。落としてるみたい。

「悔しさをエネルギーに変えて」(水野)

関東リーグ明大戦でボールを保持し、戦況を見つめる水野

――ここまでのシーズンを振り返って、ざっくりといかがですか

山下 チームは全然勝てていないので、良かったとは言えないですね。それを受けて、後期にかけてちょっと(期間が)空いたので、そこでチームとして色々変わっていかなきゃいけないな、というところがあって。それを後期でどんどん出して。勝たなければいけない状況なので。内容も大事だけど、結果を求めてやっていかなければならないと思います。

水野 雄大も言っていたように、良くはなかったです。今はフィジカル的な練習とかも結構入ってきていて。この前の東国大戦(△1−1)とかも、前期よりかは戦えるようになってきたけど、まだまだ詰めるところがあるし、攻撃陣も点を取らなきゃいけないし。課題がまだあるので。後期に向けてまた少し時間が空くので、詰めるところを詰めて。勝ち点3を積み重ねて。しっかり、まずは残留というところ。それは4年生の責任ですし、やらないといけないところはしっかりとやっていきたいなと思います。

――山下さんは前期にスタメンとして出場していた中で、山下選手自身のプレーは悪くなかったのではと見ていました。いかがでしたか

山下 チームとしても別に、内容とかも悪くはなかったんですけど勝てなくて。それがなんとなく、このままでいいのかみたいな感じになってしまって。開幕してから、やろうとしていたことが上積みされていかなかった。最初に勝ち点を積み上げておけば、もしかしたらこのまま(サッカーを)積み上げて、後期ももう一個、もう二個肉付けして、サッカーを確立することが出来ていたのかなと思います。悪くなかったけど勝てていなかったというのが悔しいところです。

――今振り返れば悔やまれる場面があったということですね

山下 そうですね、あそこ決めておけばとか。でもたらればなので、そんなことを言ってもしょうがないですが。勝ち点3と0じゃ全然変わってくるので。その1本を決められない、とかがいまのこの状況を…。逆にそこかもしれないし。そういうところを決められるチームだったらこういう状況になっていなかったかもしれないし。それを含めて悔しいです。サッカーを突き通し切れなかったというのが。

――水野選手は前半戦のプレーを振り返っていかがでしたか

水野 自分はケガもあり3節くらいから出ました。拓大戦(●2−3)で出て、点を決めて。正直あの試合は「もらった」と思ったんですけど、逆転されてという感じで。個人的には今季のデビュー戦だったので、デビュー戦でゴールして、いい波に乗れるかなと思ったのですが、そううまくはいかずという感じで、なかなかコンディションも上がらず。決定機も駒大戦(△1−1)とか桐蔭横浜大戦(●0−1)とかで外して。そこから少しメンバーから外れることになりました。アミノバイタルカップ(アミノ)も(メンバーに)入れなくて悔しかったですけど、実際結果を出せていないし。それは仕方がないので。自分と向き合う時間を作って、しっかりと何が足りないのかをある程度明確にして。全然足りなかったので、そこをどう補っていこうかなというのを考えて。少しずつ強度は出せるようになってきたかなと思っているので。それを高いレベルでやっていけるように。この先もサッカーを続けたいので、高いレベルを目指してできるように頑張りたいなと思います。

――山下選手は前期の後半戦に、そして水野選手もメンバーを外れることがありました。そういった出来事があって、思うところはありましたか

水野 自分は外されて…、ウザイとか、悔しいとか。そんな感じだったんですけど、やるしかないなと思って。やるしかないなというマインドに変えて。悔しさをエネルギーに変えてやっていました。

――山下さんはこの2ヶ月くらい、気持ちに整理はついてきましたか

山下 改めて、サッカーに対する捉え方みたいな部分を結構考えたりもして。いちサッカー選手としてどういう選手になりたいのかとか、自分が目指している場所に行くにはどうするべきなのかとか。ある意味、これ(メンバー外となった期間)があったことでクリアになったのかなと。そういう期間だったかなと思います。

――おふたりは19、20、21年とずっとAチームの姿を見てきた選手だと思います。19年は苦しんで。20年は良くて。21年は後半戦に苦しみました。いい時と悪い時と、早稲田は何が違うと考えますか

山下 20年の4年生は熱量もあったし、影響力もあったし、それが本当にいい方向に行って、結果につながっていました。

水野 ゴリくんもえぐかったしね。

山下 ゴリくんはすごかったね。

水野 軸がちゃんといたというか。ちゃんと軸にしている選手がそれなりの仕事をやって。ころころ変えるのではなくある程度スタメンを固定して、そこを(各選手で)補うみたいな。やれる選手が多かったです。それが結果につながっていたのかなと思います。実際スギくん(杉山耕二、令3スポ卒=現東京武蔵野ユナイテッドFC)とかもすごかったし。

山下 正直スギくんと晃士くん(山田晃士、令3社卒=現ザスパクサツ群馬)はレベルがひとつ違ったというか。あそこで何失点分抑えていたんだ、というくらい止めていたので。

水野 実際やられる気せんかったよね。

山下 スギくんが抜かれても最後に晃士くんいるし。一緒にやっていて無茶苦茶頼もしかったです。あとはなんだろう…。(20年は)なんか点が入っていたんですよ。19年の時は、正直戦い方があまり揃っていなくて。足並みがピッチ内で揃っていないというか。個人の能力で勝てれば勝てるし、負ければ負けるし。チームとして方向性が、はっきりとしたものがなくて。それをその時の3年生、次の4年生が感じて、多分千田くん(千田奎斗、令3スポ卒=横浜F・マリノスユース、戦術担当)とかがそこを整理してくれて。みんなでサッカーの方向性を合わせよう、というかたちで、ある程度やりたいことみたいなものを明確にして、それに沿ってやっていこうというのが大きくて。それもあってだいぶ半信半疑、のようなものがなくなって。「ここどうするの?」みたいな部分も1年生の時にはあったのですが、それがなくなって、迷いなくプレーできていたのが。ただそれも大きかったんですけど、点が取れていたのが。点は…

水野 なんかみんな取れたよね。

山下 めちゃくちゃ、狙いとしている形ではなくてもポポポンって入って、前半だけで3―0みたいな。

――ミドルシュートも20年は良く決まっていましたね

山下 キングくん(阿部隼人、令3社卒=現FCティアモ枚方)とかが決めたりとか。わりとそういうのもあって。なんか…。とりあえず上手くいっちゃうみたいな。

水野 やりやすかったよね。プレーしやすかった。なんも考えずに好き勝手やるみたいな感じだったじゃん。ある程度ちゃんと、抑えるところを抑えておけば、何やっても上手くいくんだなと。

山下 ある程度自分たちがこうしていこう、というのができた状態で勝てていたので。それがやっぱり。(シーズンの)最初勝てるとノっていくのもあるし。勢いもついて。結構あれ…、ずっと勝ってたっけ。

水野 結構勝ってたよね。

山下 最初から結構勝ってて。それがあって、自分たちのサッカーが確信に変わったというか。これを信じてやっていけばという感じになっていったのが、後半戦まで勝ち続けられた要因だったなと思います。それでいくと…、去年は、(シーズンの最初に)勝てていたものの、勝ってたのが幸いくらいで。

水野 なんで勝ってんだろう、ってくらいだったもんね。

山下 そう。全部苦戦でした。

――昨シーズン、序盤は1−0で勝った試合も多かったですね

山下 頑張って走って勝った、みたいな感じで、後半続かなかった。前期と後期で「変えなきゃな」みたいなのでちょっといじったのが上手くいかなくて崩れていったみたいな。確かに3年間振り返ると、入りは大事だったなと思います。自分たちのやりたいサッカーをやるのも大事だけど、それをちゃんと勝ちにつなげることが年間通して考えると大事だったなと、結構痛感しますね。

――19年も開幕後、勝てていませんでしたね、6戦勝ち無しからのスタートでした

山下 そうですね。ただ…勝ち点で言ったら俺らの方がないんじゃない?

水野 全然ないっしょ。

山下 確か(前期終了時点で)10くらいあったよね。今8とかだもんね。

水野 この前落としたのも痛いな。東国(東京国際大戦)。

山下 いやー、勝ちたかったですね。

「4年がピッチで何を示せるか」(山下)

インタビューを受ける山下

――19年、21年と残留を果たした経験がありますが、何故に残留ができたと感じていますか

山下 あの時はもう、最後ね。

水野 やるしかねえ、みたいな感じになってたよね。

山下 もう後がないから、みたいな。

水野 何がなんでも残留は。

山下 みたいな感じでしたね。最後に何かあったのか、と言われれば何もなかったんですよ。正直。でもひとりひとりの頑張る量が増えたのが、シンプルに大きいですね。それでどうにか手繰り寄せたという感じですね。

――昨年はよく法大戦(○1−0、最終節)に勝てたな、という状況でしたね

山下 本当ですよね。19年は明大に勝って(○1−0、第21節)。西が丘で。あれもよく勝ったなという感じでした。

――その3年間の経験がおふたりはありますが、チームにこの先どのように関わっていきたいですか。「こういう姿を見せなければならない」とか

水野 一番は4年が結果出すことかな。特に自分は推薦の選手(水野はスポーツ推薦で入学)として。

山下 そうですね。4年がピッチで何を示せるかが大事かなと思います。

――今、チームとしては柴田徹主将(スポ4=湘南ベルマーレU18)が抜けている状況です。鈴木俊也副将(商4=東京・早実)が頑張っていらっしゃるのではと推察しますが、チームの一体感やチームを引っ張る力はいかがですか

水野 3年生も頑張ってるよね。自分たちがやらなきゃ、みたいな雰囲気を感じます。実際に出ている選手も多いし。でも結局4年がやらないといけないので。

――3年生だと平松(柚佑、社3=山梨学院)さんなどになりますか

水野 はい。徹も結構外からやってくれていたりもするので、士気は高めてくれていると思います。あとは誰だろう。俊太(小林俊太、創理4=東京・東工大科学技術)とか?

山下 ああ。俊太ね。頑張ってる。

水野 それに乗っかる人が増えるといいのかなと。チームとして回っていくのかなと思います。

――順位表を見てみると、今季は失点が少ないチームだと感じます。ただ点が取れないことはひとつの課題かと思います

水野 点取れないですね。

山下 本当に前期の最初の方とか、点さえ取れていれば、みたいな場面もあったので。点が取れなかったのが結構…。今もその課題は続いているので。それもあって3バックにして、攻撃の人数を増やしたりとかもしています。点が取れていないので…、そこはもっとやっていかなきゃならないです。

――おふたりは自分で点を取りたいタイプですか

水野 自分はそうですね。自分は点を取りたいです。

山下 僕も取らなきゃなと思います。あんまり得点がないので。

――鍬先選手は4年生の時に「点が取れるように頑張る」とずっとおっしゃっていました

山下 クワくんはめっちゃ変わりましたね。そこ(得点)への意欲が。急にめっちゃ点を取りたがっていて。

水野 それも求められていたもんね。プロから。「守備はもういいから…」

山下 「攻撃でどれだけもっと関われるか」と多分言われていたんだと思います。

水野 調子が狂ったりもしてたけどね(笑)。

山下 から回ってたよね(笑)。でも中盤からも点を取るに越したことはないので。狙って行こうかなと思います。

――山下さんが得点を奪うとしたらどういった形をイメージしていますか。フリーキックになるのか、2列目から追い越していくのか

水野 ミドルじゃね。

山下 ミドルは多分前期も、撃とうと思えば撃てる試合もあったと思います。そこはもっと意識しなきゃなと思います。

――そのシーンでは、撃てなかったのか、それともチームの方針としてそんなにミドルシュートを狙うことを求められていなかったのか、いかがですか

山下 僕個人の問題ですね。

――良い時は撃てるものですか

山下 んー。なんだろうな。シュートが(頭に)あるかないかだと思います。

水野 周りから見て、撃てると思っても、自分がそもそもシュート(の選択肢)がなかったら多分撃てないので。意外とそういう時って敵が近く見えちゃうんだよね。

山下 あー。焦ってる。でもデブライネ(マンチェスター・シティ)とか、その辺のバランスが絶妙というか。撃てる時は撃って仕留めるという。スルーパス通す時は通すし。

――では…おふたりは後半戦、さらに得点を狙う、ということでよろしいでしょうか

山下 はい。期待してください。

水野 点取ります。

「自分がフィットして、自分がどれだけ試合に絡めるかが大事」(山下)

関東リーグ明大戦で周囲に指示を送る山下

――進路についてお伺いしたいと思います。まず就活はやってみたりしましたか

山下・水野 してないです。

――山下さんからお伺いすると、デンソーチャレンジカップで良い活躍ができたように感じました。何か引き合いや話はありましたか

山下 何個かもらったりはしました。でもまだ決まらずです。

――かつて早大の選手にはできればJ2以上に行きたい、という選手もいらっしゃいました。そういった基準があるわけではないですか

水野 今だとJ3でも環境がよかったり、ステップアップする選手も多くいるので、試合に出られるチームに行きたいです。プロとしてやれる年数は少ないので、試合に出られるチームに加入したいです。

――その中で、水野選手は九州圏のチームになんとなくいきたいとか、山下選手はやはり柏に行けたら良いなとか、そういった思いはありますか

水野 もしも熊本に戻れるなら戻りたいです。特に九州に戻りたいとかはないです。

山下 地域のこだわりとかはないです。自分がフィットして、自分がどれだけ試合に絡めるかが大事だと思うので。大卒は(試合に)出ないで燻っていたらすぐにいい歳になってしまうので。出場機会が大事だと思うので、そこを考えています。

――ご自身にチームが合うか、合わないかもありますよね

山下 あると思います。

水野 監督に好まれるかとかね。結構大事だよね。プロでもやっぱりあるよね。

――杉田将宏(令4スポ卒=現アルビレックス新潟シンガポール)選手や梁賢柱(令3スポ卒=現東京武蔵野ユナイテッド)選手の苦しんでいる姿を間近でみてこられたのではないかと思います

山下 ヒョンジュ君とかもなかなか決まらず…。持っているものを、上手く生かしきれなかったなと思います。

水野 やはり試合で出さないといけないので。俺もそこは言われています。

――個人的には、ヒョンジュさんは3年生の頃の方が試合で輝いていると感じていました。それも4年生の難しさなのですか

山下 あると思います。リャンくんはなんか硬かったです。

「早稲田を代表して。早稲田のために」(山下)

関東リーグ東洋大戦でパスを出す山下

――早慶戦の話に移りたいと思います。今までの早慶戦で印象的だった試合をひとつ挙げるとすれば

山下 やっぱり1年生ですかね。あの時は観客すごかったので。早慶戦すげえなとシンプルに思いました。1年生の時の歓声は…

水野 あれ本当にえぐかったもんね。

山下 今でも印象的です。だって1万4千人とか?入って。普通にJリーグくらい入ってるので。すごいなと思いました。1年生だったし。初めての早慶戦なのですごく印象的でした。

――水野さんは19年、どんなお仕事をなさっていたのですか

水野 ギリギリメンバー入るか入らないかで争っていて、結局入らずに、グッズ販売かなんかやってた気がします。ハリセン持って。でもなんかめちゃめちゃ緩かったので。先輩が郁也くん(鈴木郁也、令3社卒=FC東京U18)とかで。

山下 あ、そういう緩い?(笑)。先輩の緩さね。

水野 いや、わりとちゃんと仕事はしてたんだけど。でも試合見てきていいよみたいな感じでもあったので。

山下 見られないの?あれ本当は。

水野 グッズ買いに来るから、一応いて欲しいみたいな感じだったけど、交代交代で試合見にいって。でまあ最後残り15分とかはみんなで試合見て。最後の激アツなゴールは見ました。めちゃめちゃいいゴールだったわあれ。

山下 ゴリくんミサイルみたいだったよあれ。飛んできて。

水野 いやーあの時は本当にすごかったな。

――山下選手はあの時のアシストは今でも覚えているものですか

山下 客観的な映像で記憶に残っている感じですね。なんか(相手を)かわしたのは覚えているんですよ。ひとり。わーってきて、ふってかわして、ぽんって入れたら…すごいのが飛んできてて。入った瞬間に「ドン」って沸いたのは覚えています。流石に興奮しましたね。なかなか大学サッカーでああいった機会はないので。

――山下さんは、20年の早慶戦はどんなことをしていたのですか

山下 20年は関東リーグで第五中足骨を怪我して手術していました。試合当日はスタンドの警備みたいなのしてました。

――早慶戦は出られないと楽しくないですね

山下 出たいですね。

水野 絶対出たいです。

――去年の早慶クラシコを振り返ってください

水野 点とってすぐ取られてみたいな。

山下 んー。なんか変な失点したよね。

水野 PKで取って、決められて、駒沢(直哉、スポ2=ツエーゲン金沢U18)が決めて、すぐ追いつかれて。

山下 最後はハシケン(橋本健人、慶大卒=現レノファ山口FC)。ハシケンのあれは覚えていますね。あの時の慶應サイドの沸きも覚えているな。目の前だったので。えぐかったな。西が丘は距離が近いから。割と人数が少なくても迫力があるので。あの時は目の前で沸いて悔しかったですね。

――それは19年の勝った試合も、21年の悔しさも知っている、ということですね。そして挑む今年の早慶クラシコです。どんな思いで戦いたいですか

山下 シンプルに最後なので。勝って終わりたいというのがあります。

水野 自分も早慶戦にはちょこちょこ出てるんですけど。思うような結果が出ていないので。最後に勝って締めくくりたいです。熊本から親も来てくれるので。大学に入って、生で試合を見せられる機会もこれくらいしかないので。頑張ってメンバーに入って、試合に出ているところを見せて。欲を言えば自分が点を取って。勝たせられたら最高ですね。

――昨年であれば「西川(玄記、令4スポ卒)のために」とか、選手の皆さんはよく様々な方のお名前を挙げて早慶戦に臨まれていました。おふたりは今年の早慶戦、誰のために戦いたいですか

山下  誰のためか…。

平松 『トノさん、トノさん(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)』

山下 呼んだことないだろトノさんって(笑)。

水野 親と、応援してくれている人ですかね。親が来てくれるので。勝ちを見せたいです。

山下 でもやっぱり早慶なので。早稲田と慶應のぶつかり合いなので。早稲田を代表して、早稲田のために、ですかね。会場に来ている早稲田の人が喜んで帰ってくれるように。頑張ります。

――最後に意気込みをお願いします。

水野 家族の前で活躍している姿を見せたいので。コンディション上げて、試合に出て。点を取って。勝ちます。

山下 早慶戦という舞台、大学サッカーではなかなかない機会で、それを経験できるという喜びというか。感謝しつつ、そこで自分が活躍して、チームを勝ちに結びつけたいです。

――ありがとうございました!

(取材、編集 橋口遼太郎 写真 水島梨花、栗田優大、前田篤宏、宮下幸)

早慶クラシコに向けた意気込みを書いていただきました!

◆水野雄太(みずの・ゆうた)

2000(平12)年11月21日生まれ。168センチ、65キロ。熊本・大津高出身。スポーツ科学部4年。GReeeeNを聴くのにハマっているという水野選手。プライベートではギターを弾くこともあるほか、最近はカラオケの採点機能で安定して90点を出すことができるようになったとか。運動だけに留まらず、音楽でも非凡な才能を発揮します!

◆山下雄大(やました・ゆうだい)

2000(平12)年8月23日生まれ。179センチ、72キロ。千葉・日体大柏高出身。前所属・柏レイソルU18。スポーツ科学部4年。22シーズン後期は背番号『31』を背負う山下選手。20、21シーズンは常に背番号『7』でプレーをしていたほか、柏レイソルU18時代にも背番号『7』でプレーをしていただけに、少し意外な姿でピッチに立っています。今期の早慶クラシコでは何番を背負うか注目です!