【連載】早慶クラシコ特集 第4回 2年生対談 神橋良汰×駒沢直哉

ア式蹴球男子

 出会いは高校時代。早大で再会し、共に1年から関東リーグに出場している神橋良汰(スポ2=川崎フロンターレU18)と駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)。貪欲に成長を求める2人に迫った。

※この取材は8月23日に行われたものです。

「2年生として一丸で頑張りたい」(駒沢)

順大戦でゴールを決め、歓喜する駒沢

――お互いの紹介をお願いします

駒沢 最初に会ったのはU17日本代表候補の時だったので、高1と高2の間の時期でした。第一印象はなんだこのデカいやつでした。早稲田の練習参加で再会して、そこで仲良くなりました。当時からフォワードからしたら大きくて左利きのとても嫌なセンターバックだなと感じていました。

――オフの日に一緒にされる事はありますか

駒沢 オフに限らず寮内の友人とご飯やお風呂に行くだとか生活の多くを一緒に過ごすことが多いです。練習時間も一緒なので本当に濃い付き合いです。

神橋 直哉は金沢出身でプレーは去年の時点で結果を出しているので言うまでもありません。練習試合でマッチアップすることがありますが、センターバックからしても嫌なフォワードで上背があるわけでは無いですが果敢に仕掛けてきていい選手です。それ以外ではムードメーカーで方言を推しています。

駒沢 そこは自負しています。みんな標準語なので自分の個性は残していこうと思って方言を続けています。

――他にオフの日一緒に過ごす人は誰ですか

駒沢 基本的に寮内の友人と出かけることが多いです。先日は、東廉(スポ2=清水エスパルスユース)と石川真丸(スポ2=名古屋グランパスU18)と石谷光基(スポ2=名古屋グランパスU18)と光田脩人(スポ2=名古屋グランパスU18)と、寮外ですが松尾倫太郎(2=千葉・八千代)と海に行きました。

――チームで仲がいいようですが、チーム内にライバルはいますか

駒沢 同じポジションの(奥田)陽琉(スポ3=柏レイソルU18)君です。同じポジションでセンターフォワードは1つしかないのでどちらが出るかの明白なライバルです。

神橋 僕は監物拓歩(スポ4=清水エスパルスユース)君で、上背もあって左利きで近い選手です。監物君がプロに内定した事は自分自身もうれしかったです。しかしその分センターバックのスタメンはプロに内定していない自分が取らなければいけないと思っています。

――2年になって変わった事はありますか

駒沢 ピッチ内では去年はのびのびやれていましたが、今年は出場時間が延びてその分責任も増えました。ですが結果が出ていないので、チームを引っ張る必要があります。ピッチ外では仕事が減って自由に過ごせるようになってプライベートは充実するようになりました。

神橋 仕事の面が軽くなったこともあり、練習前の準備時間を多く割けるようになったことは良いことです。昨年は下学年だったのでチャレンジ精神を持ってやる事が多かったですが、今年からは学年ごとに全体を見るようになって1年に負けないという気持ちが強くなりました。

駒沢 僕も2年生として一丸で頑張りたい思いは強くて、早稲田は伝統を継承してきた組織なので自分たちがそれを受け継ぎ、後輩に示さなければならないのでしっかりやることをやらないといけないと思っています。

「サッカーはチームスポーツなんだなと痛感した前期」(神橋)

早関定期戦で戦況を見つめながらドリブルする神橋

――今シーズンここまでを振り返っていかがですか

駒沢 情けないと思いますね。メンバーを見ると自分たちは残留争いをするチームではないと思いますが、得点も全然取れていなくて、フォワードとしてこの結果は本当に情けないなと思います。

神橋 自分は試合に出ていないので、そんなに偉そうなことは言えないですけど、シーズンの最初の理想とは真逆になってしまっているかなとは感じています。順位も下の方なので。タレントはそろっている中でのこの成績なので、サッカーはチームスポーツなんだなと痛感した前期でした。

――ここまでの自分に100点満点で点数をつけるとしたら何点ですか

駒沢 20点とかの出来だと思います。評価の点で言うと、フォワードは絶対に数字を求められるので、リーグではまだ1ゴールしか取れていないですし、10点以下の点数かなとも思っています。

神橋 0点ですね。自分はベンチに入っているAサブの立場で、ベンチ組の存在意義はスタメンに出ている選手のポジションを奪うことと、スタメンの選手に刺激を与えることだと思うので、自分たちAサブが頑張ることが大事だと思っています。センターバックがそこまで危機感を持ってプレーしているようには見えないので、底上げを狙うなら、自分がもっと頑張らないといけないなと思います。試合にも出られていないので。

――印象に残っている試合はありますか

駒沢 開幕戦ですかね。筑波大との試合で、スタメンで出て結局0-0で終わってしまって、少ないチャンスで決めきることができませんでした。自分がどんなかたちでも1点を取って勝利できていたら、シーズン自体が変わってきていたのかなと思いますね。始まりのあの試合で「もっとできたら良かったな」と感じています。

神橋 自分は順天堂大との試合です。今季初勝利の試合で、駒沢も点を取ってくれて「俺が駒沢の次に喜んだやつかな」というくらい、めちゃめちゃ喜びました。今季初勝利ということで「勝てて良かったな」と思った試合でもありましたし、自分はベンチで試合には出られませんでしたが、自分が試合に出ずに喜ぶ試合はあまりないので、印象に残っています。

――チームとしてなかなか勝てていない要因はどこにあると思いますか

駒沢 自分は得点だと思いますね。失点もありますけど、それ以上得点を取れば勝てますし、後ろはプロに内定している4年生がしっかり守ってくれているので、あれだけ守ってくれているのに前の自分たちが情けない、「もっと頑張らないと」というのはずっと思っています。

神橋 守備も改善する余地はたくさんありますが、自分も原因は攻撃での得点だと思います。もっと(得点を)取らなければいけないと思いますし、自分たちが高3の時に早稲田が強い代で、自分が(進学の)内定をもらって早稲田を確認している時に5-0や6-0で圧勝していて、「圧勝するのが早稲田」だと感じていたので、実際に入ってからは「あの頃の早稲田じゃないな」と感じています。前期の流経大戦など0-0で終わった試合もありますし、チャンスで点が取れないのが今のチームの課題ではあります。ですが、自分がヘディングなどのセットプレーで試合の流れに関係なく1点を取れることは大きいと思うので、セットブレーカーとしてチームの課題を解決する張本人になりたいです。

――個人的に抱えている課題も、得点力不足に関連したものになりますか

駒沢 そうですね。

神橋 自分は対人が課題です。

――駒沢選手は、フォワードとしての得点力が課題になりますか

駒沢 はい。自分の理想像は、試合状況や内容がどんなに悪くても「俺さえいればチームが勝つ」ような良いフォワードなので、どんな状況でも点を取れるようにしたいです。自分はまだまだ全然そこに達せていないので、チームを勝たせられるようなフォワードを目指していきたいです。

――改善するために取り組みたい、あるいは取り組んでいることはありますか

駒沢 いっぱいありますけど、自分が一番取り組んでいることは練習から一点にこだわることです。どんな練習でも点に執着することを意識して練習しています。

神橋 練習後に1対1の練習をしたりしています。あとは自分の長所を伸ばすために、ヘディング練習やロングキックの練習をしたりしています。

――逆に前期で収穫はありましたか

駒沢 去年は試合に出ることがやっとでしたが、今年は試合に出ることは一つスタンダードで、関東の舞台で何ができるのかを意識しています。自分の長所である背後へのランニングは関東にも通用する、相手の脅威になれているという自信はあるので、あとは得点力だけかなと思っています。

神橋 自分は関東リーグには全然関わることができていませんが、関東リーグ以外の練習試合でアピールをしたい気持ちはより一層強くなっていました。前期成長した点で言えば、セットプレーで点を取れるようになってきたなというのは感じています。あとは、体が少し大きくなってから、体の当たりが強くなって球際で負けなくなったので、そこも前期で改善された点かなと思います。

――チーム状況が苦しい中、チームにどう貢献していきたいですか

駒沢 自分はスコアラーとして点を取ってチームを勝たせる選手になっていきたいです。

神橋 無失点の試合があまり多くないので、「自分が試合に出て無失点に抑えてやる」という気持ちは常に持っていきたいです。あとは、自分の理想像である「点を取れるセンターバック」も目指して、得点力不足の解消に自分も貢献したいと思っています。

「早稲田らしいサッカーをして勝利したい」(駒沢)

笑顔で色紙を書く2人

――早慶戦に対する特別な思いはありますか

駒沢 高校生の頃から早慶戦は憧れの舞台でした。昨年は初その舞台で初ゴールを挙げられて、自分の中では一段上のステージに上がるきっかけにもなりました。プレーしていて楽しかったし、良い印象が残っています。ただ去年負けたのでその悔しさを胸に今年は勝ちたいです。

神橋 中学のチームメイトで慶應に行った友人がいて、彼から早慶戦の存在を知り、試合を見たりもしました。その点で昔から憧れの舞台でした。ずっとワクワク感がありましたが、昨年はベンチに入れると思っていて叶わなかったのでとても悔しい早慶戦でした。直哉や他の選手がピッチ上で輝いている姿を見るととても羨ましく感じて、来年は自分が出てやるという気持ちでした。

――今年の慶應の印象はいかがですか

駒沢 2部リーグながらいい調子をキープしていて油断はできません。とにかく相手にかかわらず早稲田らしいサッカーをして勝利したいと思っています。

神橋 相変わらず戦えるチームだとます。以前からの知り合いが4人ほどいるのですが、練習がきつい話を聞いているので確実に積み上げてきたものがあるチームだと思っています。甘い気持ちでプレーはできないと思います。

――意識している選手はいますか

神橋 元チームメイトですが茅野優希(慶大)という2年生の左サイドハーフで上背ありませんがテクニックがあります。今期はかなり点を取っています。個人的には負けたくない気持ちが強いです。

駒沢 昨年の試合で最も印象に残っているのは橋本健人選手(レノファ山口FC)で今はJリーグで活躍しています。昨年のヒーローだったと思うので今年は自分がヒーローになる気持ちで臨みます。

――後期リーグで勝っていくためには何が必要だとお考えですか

駒沢 今早稲田に必要なのは勢いだと思っています。いい選手は揃っているので勝ち癖をつけていけば勝ち上がっていけると思います。後期シーズンも日本一やインカレもありますが、上だけを見てプレーしていきたいです。

神橋 勢いもとても大事だと思いますし、監督が常に言うように愚直に謙虚に取り組み続けるしかないと思っています。

――自チームの注目選手は誰ですか

駒沢 神橋選手です。横にいるからと言う理由ではなく、FCとのトレーニングマッチの際にセットプレーから対外試合初得点を挙げ、同志社からの試合でも得点を入れている今特に勢いのある選手だからです。ロングボールやビルドアップの部分も上手くて、出場するべき選手だと思っています。

神橋 駒沢と植村洋斗君(スポ3=神奈川・日大藤沢)です。昨年は早慶戦の舞台で得点を奪ったのでみんな注目していると思います。植村はプロも内定していて技術もとても高いですし、駒沢と植村で昨年と同じように得点を挙げて欲しいと思います。

――早慶戦と後期リーグの目標をうかがいます

駒沢 早慶戦は圧倒的勝利、後期リーグが最低限のインカレ出場、そして日本一です。

神橋 早慶戦はまず出場して舞台に立つことです。後期リーグは個人的ではありますが、試合に出て結果を出すことです。守備陣として無失点に抑え、得点にも絡んでいきたいです。優勝はもちろん目指しますが、まずはインカレ出場を念頭に日本一に近づく流れに持っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 有川隼翔、横山勝興 写真 前田篤宏、水島梨花、有川隼翔)

早慶クラシコに向けた意気込みを書いていただきました!

◆駒沢直哉(こまざわ・なおや)(※写真左)

2002(平14)年5月17日生まれ。178センチ。ツエーゲン金沢U18出身。スポーツ科学部2年。早大を背負うスコアラーとして、終始真剣な眼差しで質問に答えてくださった駒沢選手。最近は、地元に帰省して中学時代の友人と温泉やサウナを満喫したそうです!

◆神橋良汰(かみはし・りょうた)

2002(平14)年6月16日生まれ。192センチ。川崎フロンターレU-18出身。スポーツ科学部2年。得点力不足解決に向け、センターバックとしての活躍を誓った神橋選手。神橋選手も最近は地元の友人と再会し、休日を満喫したそうです!