第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第10節 | ||||
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早大 | 0 | 0-0 0-1 |
1 | 桐蔭横浜大 |
【得点】 (桐蔭横浜大)89’吉田和暉 |
前節順大を下し、ようやく今季初勝利を手にした早大。2連勝をかけた今節は、天皇杯でJリーグ勢相手に、互角以上の戦いを見せた桐蔭横浜大と対戦した。試合序盤の主導権を握ったのは桐蔭横浜大。相手に自陣深くまで攻め込まれたが、DF鈴木俊也副将(商4=東京・早実)を中心に体を張った守備を見せ、無失点で切り抜ける。早大は徐々に落ち着いてボールを回せるようになるも、決定機をつくるまでには至らず。スコアレスで前半を終える。後半は一転して早大ペースに。多くのチャンスをつくり、相手陣内へ攻め込む時間が増える。82分には鈴木、85分にはFW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)がクロスからダイレクトで合わせるも、いずれも枠の外へ。決定機を決められないでいると89分、FKから痛恨の失点を喫する。勝ち点1でも獲得するために相手ゴールへと迫り続ける早大であったが、1点が遠く、0-1のまま無念の敗戦となった。
攻守ともにゲームの要を務めた鈴木。「スタンドに来てくれた彼らに力を借りながらチーム全員で1人1人の体を動かすようだった」とチームの一体感を確かに感じたよう。総力戦で臨む次節、キャプテンとしてチームを再び勝利に導くか
前節の勢いそのままに連勝を目指した早大であったが、序盤から相手に押し込まれる時間が続く。開始早々、DF西尾颯大(スポ4=千葉・流通経大柏)のクリアが相手に渡ると、そのままカウンターを食らう。最後はペナルティエリア内でシュートを打たれるが、これを鈴木がゴールライン上で防ぎ失点は免れる。18分にはバックパスを奪われ、ディフェンスラインの裏に抜け出されたが、DF平瀬大(スポ4=サガン鳥栖U18)の懸命な戻りで何とかコーナーキックへと逃れた。22分にもクリアが中途半端になったところを拾われたが、至近距離からのシュートをGKヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)が防ぐ。相次いだピンチを切り抜けると、「うまく前まで前進できた」と鈴木が振り返るように、MF西堂久俊(スポ4=千葉・市船橋)や鈴木を起点とした左サイドから、相手陣内へ攻め入る。また、積極的なプレスをかけ、高い位置でボールを奪うシーンも増える。35分、左サイドに入った西堂のクロスからMF平松柚佑(社3=山梨学院)がダイレクトで狙うも、これは枠の上へ外れる。その後は互いに決定機をつくれず0-0のまま前半を折り返した。
積極的な仕掛けを見せた平松。放ったシュート本数はチーム最多の4本。前節に引き続いてスタメン起用された今節でも熱量あるプレーを見せ続けた。その『熱量』でチームを鼓舞し、勢いづけさせるか勝負の一戦に挑む
後半主導権を握ったのは早大。57分、ペナルティエリア内に侵入したMF植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)の折り返しに平松が合わせるが、これは相手GK正面。63分、66分と得たコーナーキックからのチャンスは相手GKの好守もあり得点には結びつかない。76分、中盤でインターセプトした鈴木がそのまま敵陣深くまで持ち上がりマイナスに折り返す。フリーの平松が抑えた良いシュートを放つが、これも相手GKに防がれてしまう。82分、右サイドでボールを受けた駒沢が相手DFを背負いながらボールをキープしラストパスを送る。ここにいたのは今日セットプレーや攻め上がりから再三チャンスを演出していた鈴木。しかし、ダイレクトで放ったシュートは枠の上へ外れた。85分、MF安斎颯馬(社2=青森山田)が西尾とのワンツーで一気に右サイドを攻めあがるとグラウンダーのクロスを供給。中で駒沢が合わせるも、シュートは枠の左へ外れてしまう。ここまで数多くの決定機を迎えた早大、しかし先に均衡を破ったのは桐蔭横浜大であった。89分、絶好の位置でFKを与えると、「壁の枚数も増やして中が手薄になってしまった」と鈴木が振り返るように、一瞬のマークのズレからフリーで合わされゴールネットを揺らされてしまう。最低でも勝ち点1を持ち帰りたい早大であったが、アディショナルタイムに平瀬が放ったヘディングシュートもポストに嫌われ万事休す。0-1のまま試合終了の笛が鳴った。
相手DFの警戒をもろともせず持ち前のフィジカルと推進力で左サイドを切り裂いた西堂。復調の兆しを見せる西堂がチームに得点をもたらすか期待だ
「勝ち点3にふさわしい試合はできたかなと思う」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)、「良さを出した中での敗戦」と鈴木。その言葉通り多くの時間ゲームを支配していたのは早大であった。相手を上回る12本のシュートを放ち、間違いなく相手を苦しめた。それは試合終了後の桐蔭横浜大の選手の喜び様からもよく分かる。しかし、試合を決めるのはやはりゴールの数。前節の3ゴールとは裏腹に、無得点試合はこれで6試合目、リーグでも最小得点と「得点力不足」が露呈してしまっている。苦しんだ前期リーグ戦を通して、突きつけられた課題、「得点力不足」。その課題と向き合えるのも残り1試合、中2日での法大戦で最後となる。「時間はないので、コンディションを整えて、熱量をもって試合ができるようにしていきたい」(外池監督)。この先もアミノバイタルカップ、後期リーグ戦と続くが、それらの戦いに弾みをつけるためにも、節目の一戦、是が非でも勝利で締めくくりたい。
(記事 髙田凜太郎、写真 栗田優大、前田篤宏)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | ヒル 袈依廉 | スポ2 | 鹿児島城西 |
DF | 22 | 平瀬 大 | スポ4 | サガン鳥栖U18 |
DF | 24 | 西尾 颯大 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
DF | 40 | 監物 拓歩 | スポ4 | 清水エスパルスユース |
DF | 42 | ◎鈴木 俊也 | 商4 | 東京・早実 |
MF | 2 | 森 璃太 | スポ3 | 川崎フロンターレU18 |
→HT | 17 | 駒沢 直哉 | スポ2 | ツエーゲン金沢U18 |
MF | 4 | 小倉 陽太 | スポ3 | 横浜FCユース |
MF | 6 | 平松 柚佑 | 社3 | 山梨学院 |
→90分 | 36 | 山市 秀翔 | スポ1 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 10 | 植村 洋斗 | スポ3 | 神奈川・日大藤沢 |
MF | 11 | 西堂 久俊 | スポ4 | 千葉・市船橋 |
→71分 | 14 | 水野 雄太 | スポ4 | 熊本・大津 |
FW | 7 | 安斎 颯馬 | 社2 | 青森山田 |
◎=キャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部 順位表 | |||||||||
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順位 | 大学名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 東京国際大 | 22 | 9 | 7 | 1 | 1 | 23 | 8 | 15 |
2 | 明大 | 22 | 10 | 7 | 1 | 2 | 18 | 8 | 10 |
3 | 東洋大 | 16 | 10 | 5 | 1 | 4 | 19 | 11 | 8 |
4 | 拓大 | 16 | 10 | 4 | 4 | 2 | 17 | 13 | 4 |
5 | 筑波大 | 15 | 9 | 4 | 3 | 2 | 12 | 8 | 4 |
6 | 国士舘大 | 13 | 10 | 4 | 1 | 5 | 15 | 10 | 5 |
7 | 桐蔭横浜大 | 13 | 8 | 4 | 1 | 3 | 13 | 10 | 3 |
8 | 法大 | 13 | 8 | 4 | 1 | 3 | 10 | 12 | −2 |
9 | 駒大 | 8 | 10 | 2 | 2 | 6 | 8 | 21 | −13 |
10 | 早大 | 7 | 10 | 1 | 4 | 5 | 7 | 13 | −6 |
11 | 順大 | 7 | 10 | 2 | 1 | 7 | 8 | 18 | −10 |
11 | 流通経大 | 7 | 10 | 1 | 4 | 5 | 9 | 27 | −18 |
第10節終了時点 |
コメント
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)
――試合を振り返ってください
ゲームプラン通りに進んで、もう少し前半で圧力をかけたかったのですが、それでも最初はセットプレーから押し込まれる時間があったものの、そこからは自分たちの時間に取り戻すというところも含めて、後半のスイッチのところと、かなり決定機もつくれたと思います。ゲームとしては進化したこの間の順大との試合からしっかり自信を持って、自分たちのやるべきことには向かえたなと思います。
――前線からの守備など相手に対して効いていた部分もありましたが、どのようなゲームプランをお持ちでしたか
桐蔭横浜大さんは北海道コンサドーレ札幌とやっていたりとか、Jリーグのチームと大学生との違いみたいなものを、我々としては勢いとして、相手を上回るところを出したいなと思っていたので、そういうところから序盤はリズムをつかんで、当然我々も連戦だったので、押し込まれる時間があった中でもしっかり耐えて、ミドルカウンターなどの状況をかなりつくれていたと思うので、狙い通りだったと思っています。
――前節から中盤のかたちを少し変化させたように見受けられましたが
たまたま小倉が攻撃になった時に落ちて、2シャドー気味になっていただけで、基本的には2ボランチでトップ下をつけるようなイメージでやっていました。
――後半は多くのチャンスをつくりましたが、得点とは至らなかった、そこの点を決めきる力という点に関してはいかがですか
練習をしているかたちとかもかなり出ていましたし、本当にただ決めきるという技術とか能力じゃなくて、一つのメンタルというかある意味日頃の行いみたいなものだったりすると思うので、そういったものが我々にはまだ足りていないのかなと感じたので、そこをやり続けるというところと、自分たちを常に謙虚に省みるというところは必要だと思います。
――終盤での失点となりましたが、そのシーンはどのように振り返られますか
フリーキックを与えたシーンもそうだったのですが、どうしても苦しくて後追いになってしまって、その中で多分壁の枚数とマークの枚数が少しミスマッチになっていたので、そういったところの疲労みたいなものもあって、最後良い判断が中でできなかったとかなと感じていますし、それこそが我々の置かれている状況かなと思うので、しっかり向き合って、中2日ですけど、まずはその試合を迎えられるようなそういう状況をとにかくつくっていくことが、自分たちがやらなければならないことだと思います。
――この3連戦で勝ち点9という目標は届かなくなってしまいました
そこに対しては、(勝ち点3に)ふさわしい試合はできたかなと思うので、次(勝ち点)3を取れるように、できる力があるチームには確実になってきているので、そこに自分たちからブレない準備をしていけたらなと思います。
――次節は苦しんだ前期最後の試合となります。そこに向けて意気込みをお願いします
時間はないので、コンディションを整えて、熱量をもって試合ができるようにしていきたいと思います。
鈴木俊也副将(商4=東京・早実)
――ゲームキャプテンとして、今日の試合内容としては上回っていた中での敗戦となりました。今日の敗戦をどのように受け止めていますか
率直にかなりショックが大きいです。悔しい内容であったなと思います。それが正直なところです。ただ、内容もそんなに悪いものではなかったですし、良さを出した中での敗戦でした。その分、後ろの選手として、キャプテンとして責任は感じています。
――後半終了間際のセットプレーからの失点でしたが
逆サイドですけど、その直前に同じような位置からフリーキックのシーンがありました。あの時シュートを狙われて壁で防げたのですが、その印象が強かったです。そこで、シュートもあるんではないかというジャッジから壁の枚数も増やして中が手薄になってしまいました。そこは大前提だったかなと思います。
――積極的な攻撃参加が見られました。意図的に行なっていましたか
そうですね。最初から組んでいたのが西堂(久俊、スポ4=千葉・市立船橋)ということもあって、相手DFが彼を警戒することはわかっていました。その分、自分のスペースが空きますし、彼は相手が2枚来たところでボールを取られるような選手ではないので、それを使ってうまく前まで前進できたかなと思います。
――連戦という中で、チームとしてコンディションの方はいかがでしたか
本当にトレーナー中心にリカバリーできていまいますし、ケガ人も出ていません。練習中の疲労感を感じるような練習はやっていないです。連戦できついというよりは熱量を出して、連戦で勢いをそのまま試合につなげるということができているかなと思います。
――熱量という部分でいくと、今日もベンチの選手であったりスタンドで見ている選手から声が出ていたように思います。練習中から声出しという部分は意識されているのですか
正直なところをいうと体はきついかもしれません。そういったところでは、4年生中心でしたけど今日スタンドに来てくれた彼らに力を借りながらチーム全員で1人1人の体を動かすようで、彼らのサポートに後押しされる形で体が動いています。一体感を持っていきたいと思います。
――中2日で試合ですが、明日、明後日は練習をされますか
明日は軽めに調整して、明後日からは次の試合の相手を倒すための準備をチーム全体で揃えます。そこでしっかり強度も戻しますし、疲労度を言い訳にせずやっていけているかなと思います。
――55分から85分あたりは、かなりチャンスを作る場面もありました。「決め切る」という部分が前期を通して1つ課題かなと思います
本当にチーム全員がわかっているというか、チーム全員で取り組まなければことです。ただ、最初の方はまずシュートを打つまでいけなかったところからシュートを打つ、その質にこだわるというところまで前進しました。課題ですが、確実に進歩はしています。あとは、どうやって詰めるかという部分です。1本で入らないなら、弾いたところまで全員で詰めるなどこだわってやっていきたいです。
――今シーズン始まり、DFの主力平瀬選手(大、スポ4=サガン鳥栖U18)、監物選手(拓歩、スポ4=清水エスパルスユース)、鈴木選手が帰ってきました。守備面はさらに安定感を増していると思いますが、DFラインとしての収穫はいかがですか
元々、想定されていたメンバーと言いますか、監物も2年の時に出ていますし、平瀬の実力もみんなわかっています。チームとして期待がかかっていたのはわかっていました。それにプラスして、いかに前の選手たちが自分の武器やストロングを出せるかといったことを考えると、僕たちも4年なので、余分なストレスをみんなに与えないように体を張って守るということをしています。 上手く働いていますけど、今日のような失点は確実に僕たちのせいなので、そこだけはもう一度気を引き締められたらと思っています。
――3連戦の最後の日まで、残り日も短いですがチームとしてどのように取り組んでいきたいですか
まずは、しっかりリカバリーすること。そこが全てだと思います。連戦の疲れを残さずに今日、同様いかに相手にパワーをぶつける、自分たちがやってきたことをぶつけるかそれだけだと思っています。