開幕から7戦勝利なし スコアレスドローで最下位を脱せず 

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第7節
早大 0-0
0-0
流通経大
【得点】
なし

 悪夢の4連敗から脱し、明大と引き分けた前節。未だ勝ちのない早大は最下位まで沈んだ。2週間と期間を空け「自分たちの弱さや脆さと向き合ってきた」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)早大は第7節に臨んだ。相手は、リーグ戦10位(第6節終了時点)の流通経大。なんとしても勝ち星を挙げたい早大は前半から積極的な仕掛けを見せる。再三決定機を作るもゴールを奪えず拮抗(きっこう)した展開に。そのまま0−0で前半を折り返した。迎えた後半。攻撃を活性化する交代カードを切り続ける。しかし、ゴールネットを揺らせないまま時間が経過していき、猛暑も影響してか終盤は攻撃の精彩を欠く。試合終了間近にチャンスを作るも生かしきれず、スコアレスドロー。待望の勝利は次節に持ち越された。

 

前半、シュートを放つ奥田

 明大戦で安定した守備を見せた4年DF陣を最終ラインにおき、サイドハーフにMF森璃太(スポ3=川崎フロンターレU18)、前節でデビューを飾ったMF山市秀翔(スポ1=神奈川・桐光学園)らをスタメンに起用し挑んだ今試合。5月とは思えぬほどの猛暑と肌を突き刺す日差しの中、試合開始のホイッスルが鳴り響いた。試合開始直後は流通経大に攻められる展開に。前半開始4分で流通経大にコーナーキックを与えてしまうも冷静に処理し、試合は早大ペースに傾いていく。その後、立て続けにMF安斎颯馬(社2=青森山田)、FW奥田陽琉(スポ3=柏レイソルU18)がゴールを狙うが捉え切れず。20分、相手のクリアミスにより山市のパスが森へ。森の流れたクロスに安斎が合わせるが、惜しくもキーパーに弾かれてしまう。こぼれ球から安斎が再びシュートを狙うも右に大きく外す。「チームの起爆剤、スイッチとして起用した」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)が語った森は持ち前の推進力で再び右サイドを切り裂き、クロスを供給。MF植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)が放ったシュートは惜しくも枠を外れた。その後も両サイドを崩し、ゴールに迫るも得点にはつながらない。拮抗した状態が動いたのは47分。流通経大にファウルを与え、フリーキックを献上してしまう。相手が頭で合わせあわやゴールかと思われたが、ボールは枠外へ。ゴールが入らぬように念を送っていたベンチメンバーからは歓喜の叫びが上がった。幾度となく決定機を作るもゴールを決めることはできず、そのまま0−0で前半を終えた。

山市は献身的な走りでチームに貢献した、チームを引っ張るリーダーシップにも期待がかかる

 後半開始からMF水野雄太(スポ4=熊本・大津)、MF平松柚佑(社3=山梨学院)を投入し、攻勢を強める。植村のロングスローから相手がヘディングしたボールを奥田が押し込もうとするもゴールに嫌われる。その後は、一進一退の攻防が続いた。75分、ドリブルで切り込んできたFW松永颯汰(流通経大)にシュートを打たれるもGKヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)がビックセーブ。更にMF西堂久俊(スポ4=千葉・市船橋)、FW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)と攻撃のカードを切っていく。82分には、西堂が右サイドからドリブルで突破し、クロスに水野が合わせるもキーパーがセーブ。89分、水野のロングフィードからチャンスが生まれる。西堂が抜け出し、キーパーと1対1の劇的場面が到来。しかし、ボールはキーパーの元へ。その後も、安斎の粘り強いプレーでフリーキックを獲得するなど、セットプレーからの得点を狙うも1点が遠い。無情にも0−0で試合終了。渇望した勝利には一歩及ばなかった。

勝利を逃し、ピッチに倒れ込む安斎

 「勝てるチャンスが多くあるゲームをものにできないということは決して強いチームとは言えない」とDF鈴木俊也副将(商4=東京・早実)は静かに語った。試合後にはスタンドのサポートメンバーへフィールドから自省の念が述べられ、戦線を離脱している柴田徹主将(スポ4=湘南ベルマーレU18)からも喝が飛ばされた。ここまで7戦勝ちなしと非常に厳しい戦いが続いている。「4年生がチームを支えるという基盤が着実にできつつある」と外池監督が話すように、ディフェンスラインは盤石だ。課題は決定力不足。しかし、今試合では多彩な攻撃の展開を見せ、チャンスを多く生み出した。試合を重ねるごとに内容は向上している。次節は苦手な駒大戦。見据えるのは勝利だけだ。

(記事 水島梨花、写真 栗田優大、永田怜)

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スターティングフォーメーション

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF 22 平瀬 大 スポ4 サガン鳥栖U18
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
DF 40 監物 拓歩 スポ4 清水エスパルスユース
DF 42 ◎鈴木 俊也 商4 東京・早実
MF 森 璃太 スポ3 川崎フロンターレU18
→63分 山下 雄大 スポ4 柏レイソルU18
MF 小倉 陽太 スポ3 横浜FCユース
→HT 14 水野 雄太 スポ4 熊本・大津
MF 安斎 颯馬 社2 青森山田
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
→77分 11 西堂 久俊 スポ4 千葉・市船橋
MF 36 山市 秀翔 スポ1 神奈川・桐光学園
→HT 平松 柚佑 社3 山梨学院
FW 奥田 陽琉 スポ3 柏レイソルU18
→77分 17 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
東京国際大 18 18 15
明大 13
東洋大 12 13
拓大 11 11 8
桐蔭横浜大 10 12
国士舘大 10
順大 −2
筑波大 −2
法大 −4
10 流通経大 17 −12
11 駒大 12 −7
12 早大 10 −7
第7節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――チャンスを生かせず、スコアレスで試合を終えました。今日の結果をどのように受け止めていますか

 2週間準備をしてきて、リーグ戦含めて4年生を中心とするチームの課題にはかなり的確に向き合ってきました。自分たちの弱さや脆さと向き合ってきた部分があったので、試合を通じてそのやってきたことというのは出せたのではないかと思っています。

――森璃太(スポ3=川崎フロンターレU18)選手をサイドハーフで起用した狙いは

 彼は前に行く推進力がありますし、そういった彼の良さや強みのところをチームとして活かしていこうと。そういう一つ一つの個人の強みが生きていく状態がチームの推進力になるし、今チームにとって個人個人が自信をもって自分のサッカーを表現できるという状態をつくりだすことによって難しい状況を打開できるということにつながると思っていました。彼は一つの象徴として、山市(秀翔、スポ1=神奈川・桐光学園)もそうですけどチームの起爆剤、スイッチとして起用をしました。

――ディフェンスラインは前節と同じ並びでしたが、前節手応えを感じたということでしょうか

 そうですね。監物(拓歩、スポ4=清水エスパルスユース)、平瀬(大、スポ4=サガン鳥栖U18)とケガから復帰して、俊也(鈴木俊也副将、商4=東京・早実)とかも戻ってきて、そこに西尾(颯大スポ4=千葉・流通経大柏)は4年になってメンタルが成長してきて。僕は大学サッカーは4年生だと思ってるので、4年生がチームを支えるという基盤が着実にできつつあると思います。あとは攻撃面で西堂(久俊、スポ4=千葉・市立船橋)だったり水野(雄太、スポ4=熊本・大津)だったり、そういう4年生が、もともと実績のあるメンバーですからもう一個、3年生までに伸び伸びとやらせてきてもらったものではなくて、これから社会に出るとかプロに行くとか、そういったものを背負った中で力を発揮することができると今直面している勝てないとかゴールが生み出せないというところにつながっていくと思っています。

――今の現状とどう向き合って、どのような準備をして次節に臨みたいと考えていますか

 結果だけにとらわれず、自分たちの目の前にあることにしっかりと向き合っていくしかないと思っています。そういった意味ではしっかりと向き合えていると思うので、今日も終わったあとにみんなに話をしました。ある意味乗り越えるべきものが明確になったと思います。力としては十分やっていけるメンバーです。しっかりそこに向けて積み上げて、なんとかみんなで勝点3というものを味わって、自分自身も気持ちを奮い立たせてシーズンを進んでいきたいと思います。

DF 鈴木俊也副将(商4=東京・早実)

――先々週の試合でケガから復帰したばかりですが、個人としてどのようにチームに貢献していこうと考えていますか

 早稲田を引っ張る4年として、声掛けやプレーでどのようにチームを引っ張っていくかを考えています。そのために復帰までの間は心も体も準備してきました。

――鋭い縦パスが目立っていましたが、攻撃時はどのような狙いを持ってプレーしていましたか

 自分の特徴でもあり武器でもある縦パスを生かして、チームが得点できるように動いています。

――試合後には今後のビジョンについての話もありました。この一週間で次の試合に向けてどのようなことを準備していきたいですか

 少しずつ守備が安定してきたので、今節の課題として得点を取りきることを意識したいです。

――「今日の試合は勝たないとマジでヤバイ」と試合中に話していましたが、それは何に対しての危機感ですか

 僕たちが掲げているのは優勝ですし、日本一です。もうほんとに、このようなゲーム、拮抗はしていましたが勝てるチャンスが多くあるゲームをものにできないということは決して強いチームとは言えないというところが正直なところです。苦しいゲームでもボールを進めて最後に1点を取って勝つとか、優勝するチームならそのようなことをやってくると思います。そこの粘り強さはまだまだ足りないと思いますし、そこに対する危機感は強く持っています。

――試合後の円陣の際に監督からどのような言葉をかけられましたか

 主将の柴田(徹、スポ4=湘南ベルマーレU18)からあったように、まだまだできるし、やらなきゃいけないと。そこはもっと全員が早稲田のために力を尽くして、最後の最後まで、足がつるまで体を張らないといけないというのはありました。ただ、本当に積みあがっているものはあるということも伝えてもらいました。

――最後に次節に向けた意気込みをお願いします

 何としてでも勝ち点3、今はそれしか考えていません。チームとしてどうやって勝つかどうやって相手から点を取ってどうやって相手に取らせないかということを強く意識して一週間を送っていきたいです。また個人として、もちろん今日みたいにシュートで終わるというのはそうですが、得点やアシストを自分がチームに取らせるくらいの強い気持ちをもってやれればいいかなと思います。

MF山市秀翔(スポ1=神奈川・桐光学園)

――明治戦で初出場して今回の試合は初先発となりましたが試合で意識したことはありますか

 監督からも言われていましたが自分はうまい選手ではないので、とりあえず愚直に走ったりとかチームのためにハードワークをするところだったりとか、献身する部分でみせようと思っていました。

――積極的に敵にプレッシャーをかける部分がありましたがそのようなところは監督から指示を受けていましたか

 監督からの指示もありますが、自分のプレースタイルは本当にチームのために働きかけを起こすことが特徴の一つだと思うので、それを出した感じです。

――試合中に積極的に鼓舞しているのが印象的だったのですがそのようなところは意識されていますか

 高校時代、桐光学園でもやっていました。チームを動かせる選手が強いと思うので、1年生ですが1年生がリーダーシップをもってやったらチームも向上していくと思うので、そこは意識してやりました。

――大学サッカーを2戦経験されたと思うのですが手応えはいかがですか

 まだまだプレースピードとかフィジカルのところだったりとか判断のところだったりはついていけてないのですが、自分のできる最大限のことをやり続けていくことが自分の成長だったりチームの成長につながると思うので、そこを本当にひたむきにやり続けていきたいなというふうに思います。

――暑さの中、プレスなど走力の部分が目立っていましたが前半のみでの交代でした。監督から前半で出しきれという指示があったのですか

 惜しまず、とりあえず出し切れと監督に言われていたので走り続けました。前半30分ぐらいで疲れたら交代もあるからと言われたので、とりあえずチームのために1番走ろうと思っていました。

――課題はスタミナの部分ですか

 走り続けるところはもうすこし走らなくてはいけないなと思います。また、攻撃の部分でもっと得点に絡んでいかないとチームが勝てないとも思います。しっかり得点に関わる動きと走り込みをしていきたいです。

――桐光学園ということで田中雄大選手(令4スポ卒=現ファジアーノ岡山)のキャリアと重ねる部分はありますか

 自分が練習参加したときに雄大くんが4年でした。食事とか連れて行ってくれました。雄大君は楽しんで努力しろと言ってくれましたし、早稲田の4年間を楽しんで走り続けていきたいなと思ってます。

――今日の相手の流通経大が1年生がかなり多かったですが意識はしましたか

 とても意識しましたね。(相手が)1年だからってことはないのですが、目の前の相手には絶対負けたくないです。早稲田がまだ勝ててないのでしっかり勝てるように自分がいいアクションを起こしていきたいなと思います。

――最後に次戦に向けての意気込みお願いします

 まだスタメンを確立したわけではないです。1年らしさをどんどん出していかないとチームも上がっていかないと思います。もっと練習の時から声を出したりとかチームを盛り上げる言葉をかけ続けて下からの突き上げでチームを向上させていきたいです。