優勝遠のく4連敗…リーグ制覇に向け早くも黄信号

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第5節
早大 0-1
0-2
東京国際大
【得点】
(東京国際大)45’熊坂 光希、58’落合 陸、90+3’重野 祥輝

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)開幕から4試合を終え1分け3敗と、苦しい戦いを強いられている早大。今節は、昇格組ながらここまで開幕4連勝と勢いに乗る東京国際大との対戦となった。我慢の展開が続く中、先制点を奪いたい早大であったが、45分にコーナーキックから先制点を許してしまう。後半に入るとさらに失点を重ね0ー3の敗戦。首位との直接対決に敗れ、早大にとっては優勝の遠のく手痛い1敗となった。

 

最後尾で存在感を発揮した西尾

 晴天の下でキックオフの笛が鳴った前半。試合開始から攻勢を強める東京国際大に苦しめられるも、守備陣が粘り強く守り抜きゴールは許さない。15分には相手にペナルティキックを与えてしまうも、これはポストに助けられる。大ピンチを脱し、早大がボールを保持できる時間が増えると、「中盤の数的優位の部分でうまくボールを動かせば、サイドからチャンスを作れる」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)が思い描いていた攻撃の形が見え始める。18分、MF安斎颯馬(社2=青森山田)が右サイドを突破しコーナーキックを獲得。そのコーナーキックからDF平瀬大(スポ4=サガン鳥栖U18)がヘディングシュートを放つも、これは惜しくも枠の外へ。さらに24分、左サイドの崩しからMF伊勢航(社2=ガンバ大阪ユース)が中央へクロスを上げ、FW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)が頭で合わせるもゴールはならず。両サイドから立て続けに相手ゴールに迫るもチャンスを生かすことができない。すると、徐々にペースは東京国際大へ。セットプレーを中心に何度もピンチを迎えるが、GK生方聖己(スポ4=高崎経大付)の再三のビッグセーブで得点を許さない。試合の均衡が破れたのは45分。コーナーキックから先制点を奪ったのは東京国際大だった。ここまで早大はチーム全員で体を張って無失点に抑えてきたが、前半終了間際に失点を喫し、前半を0-1で折り返す。

スタメンに抜擢された余合

 ハーフタイムには「とにかく選手たちの士気が下がらないように」と外池監督がメッセージを送り、臨んだ後半。しかし、先制の勢いそのままに、後半に入っても主導権を握ったのは東京国際大だった。リーグトップの得点数を誇る強力な攻撃陣が次々と早大ゴールに襲いかかる。58分、左サイドを攻略されると、またもペナルティキックを与えてしまう。今度は落ち着いて決められ、0-2。同点に追いつきたい早大にとって、痛恨の失点となった。まずは1点がほしい早大は、68分にMF丹羽匠(スポ4=ガンバ大阪ユース)、72分にはMF松尾倫太郎(人科2=千葉・八千代)、そして78分にはFW奥田陽琉(スポ3=柏レイソルU18)を投入し連続して攻撃のカードを切るも、反撃の糸口がつかめない。終盤になっても運動量が落ちない相手の攻撃に翻弄され、自陣での守備を余儀なくされる時間が続く。ついに後半アディショナルタイム3分には右サイドを突破されると、重野(東京国際大)に3点目を奪われ万事休す。後半に入って早大が放ったシュートはまさかの0本。まさに完敗だった。

今試合キャプテンマークを巻いた平瀬

 これでリーグ戦4連敗。首位との勝ち点差は14に広がり、早大が目標に掲げるリーグ制覇へ向け、早くも正念場に立たされた。「今日の失点だけでなく今までの全試合において詰めの甘さが現れていた。そういったところの積み重ねで現在の勝てていない状況になっている」とDF西尾颯大(スポ4=千葉・流通経大柏)は現在のチームについて語る。次節は早大にとって鬼門であるAGFフィールドでの明大戦。勝利を手にし、チームを勢いづけるには格好の対戦相手だ。次節こそは早大の、そしてア式蹴球部のプライドをかけて、戦う姿を見せてほしい。

(記事 栗田優大、写真 大幡拓登、水島梨花)

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早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 生方 聖己 スポ4 高崎経大付
DF 小倉 陽太 スポ3 横浜FCユース
DF 22 ◎平瀬 大 スポ4 サガン鳥栖U18
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
DF 39 余合 壮太 社4 千葉・市立船橋
→81分 12 藤本 隼斗 スポ3 柏レイソルU18
MF 安斎 颯馬 社2 青森山田
→68分 28 丹羽 匠 スポ4 ガンバ大阪ユース
MF 山下 雄大 スポ4 柏レイソルU18
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 14 水野 雄太 スポ4 熊本・大津
→72分 38 松尾 倫太郎 人2 千葉・八千代
MF 15 伊勢 航 社2 ガンバ大阪ユース
→56分 森 璃太 スポ3 川崎フロンターレU18
FW 17 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
→78分 奥田 陽琉 スポ3 柏レイソルU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
東京国際大 15 17 15
明大 12
桐蔭横浜大
拓大 −1
東洋大
順大
筑波大 −1
国士舘大
早大 −7
10 駒大 10 −8
11 流通経大 14 −13
12 法大
第5節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――4連敗となりました。どのようなビジョンをもって戦いましたか

 相手は今首位を走っている東京国際大で、強力な2トップに対応しなければなりませんでした。(その2トップに)入れられたボールに我慢強く対応できれば必ずチャンスは来ると思っていたので、まず失点を抑えた中で1点を狙っていこうという準備をしてきました。

――どのような攻撃を狙っていましたか

 相手は4-4-2で、こちらは4-1-4-1だったので中盤の数的優位の部分でうまくボールを動かすことができれば、相手をうまく引き出してサイドからチャンスを作れるかと思っていました。とはいえ前半は相手も前線に長いボールを入れてきて、こちらもそのセカンドボールの対応に追われるだろうなと思ってはいたので、前半は特に我慢しなければいけない時間が続きました。前半終了間際の失点は、セットプレーからということもありますが、とても痛い1点だったなと思います。

――ディフェンスラインに関しては開幕からさまざまな選手を起用されています。どのような意図がおありですか

 今日に関してはスタメンで考えていた選手が直前で離脱してしまいました。そういったイレギュラーはありますが皆モチベーション高く臨んでくれているので、特に4年生を中心に持ってくれている覚悟とか、そういったものに期待して送り出しました。

――今日キャプテンマークをつけた平瀬選手には今シーズンかなり期待をされているのでしょうか

 入学前からずっと怪我をして苦しんできているので、ようやく彼の本来の力を発揮できる場になったと思います。彼が復帰して、こうして関東リーグという舞台に立てていることは個人的にとても喜ばしいことですし、これからのプレーにとても期待しています。 ただ、彼がキャプテンという役割含め多くのものを背負わなければいけないという状況自体が今の状況の悪さを表しているかなと思います。

――先制点を取られてからのハーフタイムでは選手にどのような言葉をかけましたか

 その1点をどう取り返すか、そのために何をするのか、とにかく選手たちの士気が下がらないようにということは意識しました。自分達がどうやって攻めるのかということに関しては、相手のプレッシャーもあってなかなか糸口がつかめていなかったので、選手交代含めボールを動かしサイドで優位性をとりたいというメッセージを伝えて後半に送り出しました。

――1点取られると連続で失点してしまうという形が今シーズン何度か見られました。その点についてはいかがですか

 やっぱり勝てていないのでそういうマインドになりがちなのですが、そこに対してはもう一度後半ギアを上げて自分たちのやるべきことに向き合っていこうと伝えました。選手たちはかなり重圧を感じていたと思いますが、当然それは自分たちで乗り越えなければいけないと思います。

――余合選手をスタメンに抜擢したのにはどういった考えがありましたか

 週末に紅白戦を行ったのですが、4年生の意地や力を感じるゲームになり、その時に良いプレーをしていた余合をメンバーに選びました。彼自身もともと2年生の頃から関東リーグに出場していながら、なかなかコンディションが上がってきませんでした。そんな中で浮上してきてくれた余合には、我々早稲田大学ア式蹴球部が4年生が運営責任を担っている部であるということも含めて、こういう苦しい状況で4年生の意地みたいなものを見せてくれてくれることを期待して送り出しました。

――次節は明大戦です。非常に大きなゲームになると思いますが、どのような準備をしていきたいですか

 今日我々は首位の東京国際大相手に完敗を喫しました。やっていることは悪くないだとか、内容は悪くないとかそういうことではなくて、自分自身の弱さにしっかりと向き合い、この2週間厳しく取り組めるかということしかないと思っています。原点に立ち返ってやっていきたいと思います。

DF西尾颯大(スポ4=千葉・流通経大柏)

――仕掛けてくるタイプの相手でしたが、チームとしてどのような対策を考えてきましたか

 相手が押し込んでくるのを取り返すのもそうですが、セカンドの返し、自分達がやりたい展開をどう広げていくかということを狙いとしては持っていました。

――毎試合ディフェンスラインが変わることに難しさを感じることはありますか

 難しさというのはあまり感じていないですね。自分の良さを出すことはもちろんですが、チームを勝たせることが大事です。自分に何ができるかということを意識してプレーするように心がけています。

――チームでケガ人が続出しているという状況でチーム作りとして難しい部分もあると思いますが

 ケガ人が多いことはチームにとってよくないことではあります。しかし、自分も含めてチャンスでもあります。そういった中でどのようなプレーをするのか、いかにしてチームに貢献するのかという部分がやはり大事になってくると思います。

――3失点目など最後の詰めの甘さが見られたように思いますが、いかがでしたか

 3失点目が詰めが甘かったというのはもちろんそうですが、今日の失点だけでなく今までの全試合において詰めの甘さが現れていたと思います。そういったところの積み重ねで現在の勝てていない状況になっていると思います。その部分に関しては特に意識して、日本一ももちろんそうですが、今後勝てるようにしていきたいです。

――開幕から5試合勝ちなしと非常に厳しい現状です。実際にプレーされてみてチームの課題はどこにあると感じましたか

 自分の感覚ではあるのですが、正直戦ってみて大差というのは感じていませんでした。やはり運動量であったり、詰められないであったりなどの細かい部分が積み重なって勝てていないという状況につながっているのかなと思います。そういったところを練習からもっと意識してやっていかなくてはならないと思います。

――最後に、次節に向けての意気込みをお願いします

 次節、明大戦ですね。明大戦は昨年も一昨年も全然勝てていません。自分たちも明治だけでなく、試合に勝てていない中で勝てば勢いに乗ることができると思います。毎試合勝てていない状況でも次の試合はやってきます。チームのためにも自分のためにも勝ちたいです。

DF余合壮太(社4=千葉・市立船橋)

――今季はリーグ戦初出場となりましたが、手応えとしてはいかがでしたか

 昨年は一度も出場する機会がない中で今年抜擢されましたが、自分として納得する結果が出せずに終わってしまったという感じです。

――今シーズン途中で選抜に入られましたが、どのタイミングで監督からの声がけがなされましたか

 キャプテンの柴田(柴田徹主将、スポ4=湘南ベルマーレU18)がケガをしたり、今試合は途中出場した藤本(隼斗、スポ3=柏レイソルU18)が前節で足首を少しケガしたということがありました。今まで自分はセンターバックとして社会人リーグでプレイすることが多かったです。急遽、今週からAチームに上がらせてもらってスタメンをやらせてもらったという形です。

――突然の抜擢というお話もありましたが、コンディションはいかがでしたか

 今まで、そして今シーズンもセンターバックをずっとやってきたということもあって、サイドバックでどれだけ運動量を出せるかなどの不安はありました。今日はその部分に関して感じることはありませんでした。しかし、サイドバックとして自身の物足りなさというのはすごく感じています。

――チームとして勝利がないという状況ですが、どのような思いで試合に臨まれましたか

 勝ち点が1という状況で、自分が何か変えられるかと問われてもそこまで大きな変化を起こすことはできないと思います。少しでもチームの力になれたらと思い試合に臨みました。今日対戦してみて東京国際大さんが1位にいる理由を体感しました。運動量であったりの根本的な部分というのは誰一人妥協していなくてその上に上手さがありました。早大はうまさというのが先行しるように思います。ベースとなる球際の切り替えや運動量という部分をもっと全員が突き詰めなくてはいけないのかなと感じてましたね。

――マッチアップされていた選手はかなり仕掛けてくるタイプでしたが、それに対しての対応はいかがでしたか

 前回の駒大戦を見たところスピードで抜き去るような選手だったので、間合いなどを詰めすぎないように意識しました。そのような工夫をしたのですが、逆にクロスを簡単に上げさせてしまいました。そこのバランス、守備の仕方を上達させていかなくてはならないと感じました。

――平瀬(大、スポ4=サガン鳥栖U18)選手をはじめ試合に絡めていなかった4年生が試合に出場されていますが

 外池さん(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)が常々言っている大学サッカーは4年生が突き上げるというところで、4年生の力というのは運営もそうですがやはり大きいと思っています。運営プラスで選手として引っ張っていけなくてはいけないと思いますが、その部分に関してまだ出しきれていないというのが現状です。

――次節への意気込みを聞かせてください

 やはり2週間ということで今までより準備期間を多くいただけています。それをプラスに捉えて、今まで出た課題というのをしっかり克服して勝ち切りたいと思います。