『頂』へ向けてリーグ戦開幕 攻撃を重ねるも得点奪えず引き分けスタート

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第1節
早大 0-0
0-0
筑波大
【得点】
なし

 4月3日、早大の関東大学サッカーリーグでの戦いが始まった。リーグ優勝を目指した昨シーズンであったが、最終順位は5位。インカレでは初戦で大会から姿を消すことになるなど苦杯を喫した。心機一転迎えた新シーズン。開幕戦は、地力のある筑波大との対戦となった。時間が進むにつれて流れは早大に。MF丹羽匠(スポ4=ガンバ大阪ユース)とMF平松柚佑(社3=山梨学院)にそれぞれ決定機が訪れるも決めきれず。前半を無得点で折り返す。迎えた後半。選手交代などを駆使し、敵陣に押し込む機会を多く作るも得点に至らず、0-0のまま試合終了の笛がなった。初戦を白星で飾ることはできなかった。

 

 小雨がちらつく前半。今季からフォーメーションを4-3-3に変え、より多くの時間で主導権を握るサッカーを目指している早大。しかし、序盤から相手にボールを持たれる、理想とは逆の展開になってしまう。それでも焦れずに我慢強く戦い続けることで、攻撃の糸口をうかがう。23分、左サイドを崩すと、MF植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)のパスを受けたDF柴田徹主将(スポ4=湘南ベルマーレU18)がクロスを供給、ファーサイドで待ち構えていた丹羽が抑えのきいたシュートを放つが、惜しくもポストに嫌われてしまう。その後、再び相手に押し込まれる時間が続くが、クロスバーにも救われ、失点を許さない。早大は43分、テンポの良いパス回しで右サイドを崩し、敵陣深くに侵入したDF森璃太(スポ3=川崎フロンターレU18)のクロスにゴール前で平松が合わせるが、惜しくも枠の外に外れてしまう。相手にボールを握られる時間を耐えながら、敵陣に迫るシーンも作った早大。しかし、ネットを揺らすまでには至らず、0-0のまま前半を終えた。

ア式の『10番』を背負う植村

 雨脚も強くなってきた後半。「守備も修正してこっちが押し込める部分もありました」と植村が振り返るように、相手ゴールへと迫る機会が増える。53分には、コーナーキックの流れからMF西堂久俊(スポ4=千葉・市立船橋)がシュートを放つが、枠をとらえきれない。その後は、MF安斎颯馬(社2=青森山田)やMF光田脩人(スポ2=名古屋グランパスU18)といった攻撃のカードを切り、勢いに拍車をかける。2人の投入でサイドからの崩しがより多くなり、ゴールまであと一歩のところへと迫る場面も見られた。一方で、前がかりになった早大の裏を突かれ、ピンチを迎えるシーンも増える。しかし、GKヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)の好セーブも光り、相手に先制点を与えない。81分には左サイドで光田がドリブルを仕掛けクロスをあげると、逆サイドでフリーの森が合わせるが、ボールは枠の上へ。その後も多くのチャンスを作るが、決定的な1点を奪うことができず。スコアレスドローのまま初戦を終えた。

キャプテン柴田、左サイドバックを務めた

 前半は流れをつかんだ時間もあったが、試合を通して主導権を握っていたのは筑波大であった。それでも自分たちのサッカーを貫き続け、巻き返しの機会を探った早大。守備を中心に修正した後半は、ボールを握る時間も増え、今季掲げているサッカーの片鱗が垣間見えた。一方で課題は明白だ。「ゴール前までは運べているけど、そこから点が取れない」と柴田、「最後どうやって点を取っていくのかというのは今後の課題」と植村。2人が語るように、今日のような試合展開で得点を奪い、勝ち切っていかなければ優勝という目標から遠ざかってしまうだろう。この「得点力」こそ、今季の早大の重要な鍵となる。とはいえ、相手ゴールを脅かす機会が多かったことに変わりはない。特に途中出場の安斎や光田が積極的に仕掛けクロスを供給。クロスが跳ね返されたとしてもこぼれ球を拾い2次攻撃に繋げる。この連続した攻撃は今後の早大の強みとなっていくことを予感させた。「本当にサッカーが好きな代」と柴田が評する4年生を中心に、新たなスタートを切った早大。リーグ制覇、そして元日、国立競技場の舞台に向けて、戦いの幕が切って落とされた。

(記事 髙田凜太郎、写真 栗田優大、湯口賢人)

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早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF 森 璃太 スポ3 川崎フロンターレU18
DF ◎柴田 徹 スポ4 湘南ベルマーレU18
DF 13 中谷 颯辰 基理3 静岡学園
DF 24 西尾 颯大 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 平松 柚佑 社3 山梨学院
MF 山下 雄大 スポ4 柏レイソルU18
→87分 15 伊勢 航 社2 ガンバ大阪ユース
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 11 西堂 久俊 スポ4 千葉・市立船橋
→64分 安斎 颯馬 社2 青森山田
MF 28 丹羽 匠 スポ3 ガンバ大阪ユース
→70分 19 光田 脩人 スポ2 名古屋グランパスU18
FW 17 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
桐蔭横浜大
東京国際大
順大
拓大
早大
筑波大
東洋大
法大
国士舘大 −1
駒大 −1
11 明大 −4
12 流通経大 -7
第1節終了時点
コメント※一部を囲み取材より抜粋

DF柴田徹主将(スポ4=湘南ベルマーレU18)

――0-0という結果をどう受け止めますか

 結果が示す通り、0-0という拮抗した展開で、試合の内容もそのようになったのだなと思います。やはりあと一歩ゴール前に入っていくなどゴール前までは運べていますがそこから点が取れないのは自分たちの課題でもあります。そういう課題が筑波大学という素晴らしい相手に対して、出たのかなと思います。

――主将として最後のシーズンが始動しましたが、どのような気持ちですか

 楽しいですね。早大のキャプテンとなると、すごいプレッシャーを感じていると世間的には見られるかもしれません。しかし、個人的にはすごくやりがいを感じますし、キャプテンという立場だからこそチームが勝った時には自分の価値も高まると思います。その中では(試合を)楽しめていますし、良いトライがチームとしても個人としてもできているのではないかなと思います。

――左サイドバックとしての起用でも、うまく立ち回っていましたが

 左は先週の天皇杯予選からなのですが、どちらもできるに越したことはありません。最初は戸惑う部分もありましたが、右も左もできれば選手としての幅も広がると思います。その中で、結果に直結するプレーが今日はできませんでした。しかし、自分の武器として発揮することができれば、選手としての価値は高まっていくと思います。そこはポジティブに捉えています。

――柴田選手は器用さが特徴ですが、ボランチをやれと言われたらできますか

 やれと言われたらできます。しかし、今の早大のボランチは技術の高い選手が多いです。自分は技術で勝負するというより、走りなどのベースの部分で戦っている選手だと思います。今の早大でボランチをやれと言われたらできると思いますが、今日みたいな高いクオリティを出せるかと聞かれたら、ちょっと難しいですね。

――プロを目指す中で、この1年をどうしていきたいですか

 個人として結果は出さないといけません。しかし、そこばかりにいってしまうと、チームとしてはうまくいきません。キャプテンという立場だからこそチームがどういう状況で動いているのか、どうすればチームとしてうまくいくのかというところを考えつつ、自分がチームの状況に合わせて、フィットし、自分の武器であるクロスや運動量で勝負していければ、おのずと結果は付いてくると思います。「チームとして」という視点を常に持っていきたいです。

――今年の早大はどのようなチームですか

 自分が入学してから感じているところですが、本当にサッカーが好きな代で、早大はピッチ外のことにも積極的に取り組んでいるチームです。自分の代ではそれを大事にしつつ、まずは結果を残そうという選手が多いですね。プレーの質や結果に対してこだわりの強いチームになっているのかなと思います。

MF植村洋斗(スポ3=神奈川・日大藤沢)

――試合の結果を振り返って率直にいかがですか

 前半は守備のところがうまくいかなくて後半修正した中で、後半に関しては自分たちとしてはかなり手応えがありました。押し込まれてる中で最後どうやって点を取っていくのかというのは今後の課題ですし、シーズンは始まったばかりなので今日出た課題を生かしていければいいなと思います。

――上級生となり、背番号も変わりましたがどのような気持ちで開幕戦に臨みましたか

 早稲田の10番として期待はされてますし、その期待に自分がどう応えるかというのは常に意識してプレーしています。その期待というのは得点だったり、そのような10番として期待されている部分で周りとの違いを見せつけていけたらいいなと思います。

――3年になると責任感だったり、周りからの見られ方だったりが変わると思いますが

 与えられた背番号もそうですし、上級生ということで責任感はあります。しかし、そこはあまり気にせずに、試合で自分の持ってる力を出すことによって、チームのためになればいいと思いプレーをしています。責任感はありますが、そこはあまり意識せずに自分の良さを出していければいいなと思ってます。

――今後の課題と武器は

 課題である最後のシュートを打ち切るところは今シーズン1番やっていきたいです。また、1年時から試合に出させてもらってる中で、守備のところは課題にできています。そこは学年が上がるにつれて改善できつつあります。守備は自分の良さにもなっているので、そこをしっかりやりつつも得点にもこだわってやっていきたいです。

――そこも踏まえて、今日の自身のプレーはいかがでしたか

 まだまだですね(笑)。今日のような試合の中で点を取って勝たせられるようになれたらいいなと思います。

――相手の守備はどう崩していこうと考えていましたか

 前半は押し込まれる展開が続いたので、厳しい部分がありました。しかし、後半に関しては、守備も修正してこちらが押し込める部分もありました。最後の部分は難しいですが、もう少しボールを呼び込んで、自分が何かできたんじゃないかとは思います。もっとシュートを打ったりというのをチームとして高めていかないとチャンスは来ないと思います。