DFとしてチームを支え続ける中谷颯辰(基理3=静岡学園)と森璃太(スポ3=川崎フロンターレU18)。ア式との出会いから今に至るまでの歩みに迫る。プロに向けて勝負の年となる今シーズン。2人が見つめる先とはーー。
※この取材は3月22日に行われたものです。
「反省はやはり結果」(森)
クロスを上げる森
――他己紹介をお願いします
森 颯辰は静岡学園出身でセンターバックとして足元の技術であったり戦術理解力であったり、そういったインテリジェンスな選手だと思います。今年、ビルドアップっていう目的や後ろから繋ぐというサッカーにおいて大事な選手の一人だと思っています。今シーズンは頑張ってもらいたいですね。
中谷 璃太は昨年から活躍が多くて、デンソーにも選ばれててやっぱりチームを引っ張っていく一人だと思います。早大のサイドバックで走ることや仕事が多い中、タスクをコンスタントにこなせるポテンシャルがある選手だと思っていて、今シーズンも頑張って欲しいですし、チームをもっともっと引っ張っていける存在になれたら良いんじゃないかなと思ってます。
――プライベートでお二人の交流はありますか?
森 まあ寮が一緒なので一緒にスマブラやったりしますね。
――性格面ではお互いにどんな印象がありますか
森 普通に話しやすいですね。最初は寮外生だったのでなかなか話せなかったんですけど寮来て一緒にゲームとかするようになってから話しやすいですし、颯辰の誰とでも打ち解けられる性格もあって一緒にいて楽しいなという印象が1番にありますね。
中谷 璃太は初対面の人にはふてこいなのかもしれないですけど、仲良くなれば面白い性格ですし、まあ楽しいです(笑)。
――他に仲の良い寮生の方はいますか
森 藤本隼斗(スポ3=柏レイソルU18)の部屋で小倉陽太(スポ3=横浜FCユース)と颯辰と4人でスマブラをやることが多いですね。
「上下関係がなく非常にコミュニケーションが取りやすい組織」(森)
インタビューに答える森
――昨年の振り返りをお願いします
森 昨年はシーズンとしてサッカーが定まっていなかったと言うか、前期開幕してからは調子良かったんですが、後期はなかなか勝てずに苦しみました。チームとしてまとまりがなかったと言うか…。まあインカレは進めましたけど、結果に現れたかなと思います。
中谷 やるサッカーが定まってないというのもありましたし、やっぱり自分は後ろのセンターバックの選手として失点の多さが目立ったかなと。一昨年の関東リーグ2位というある程度良い結果を残せていた代と比べると後ろの安定感や最後の点を取られないという強度のところを昨年は自分含めて出しきれなかったところが全ての原因なのかなと個人的には思っていて…。今年もビルドアップを中心にやりたいという理想論はあるんですけど、やっぱり点を取られないというところの強度はどのサッカーをやるにしてもついてくるものなので自分としてはそこをもっともっとやっていきたいです。
――個人のプレーで良かった点と改善点を教えてください
森 僕が一年生の時は関東リーグでベンチにも入っていなかったので、試合に出場するという個人の目標に関しては達成できたかなと思います。その結果デンソーカップにも出させてもらいました。その中での反省はやはり結果で。個人としてはアシスト3だったんですけど、まだまだ結果を求めなきゃいけないですし、今年は学年が一つ上がるのでより結果を突き詰めてやっていきたいですね。
中谷 僕はディフェンスとして体張るところやチームを動かすというところは監督にも言われていたんですが、リーダーシップ的なところはあまり出せていなかったと思います。あと、自分のやりたいことをなかなかチームに落とし込めなくて自分の思い通りのプレーが昨年は出来なかったです。今年はビルドアップが得意な部分でもあるので、そこは自分の武器にして出していけたら良いなと思います。
――昨年のチームと今年のチームの雰囲気の違いを教えてください
森 昨年もそうなんですが、今年も引き続き良い意味で上下関係がなく非常にコミュニケーションが取りやすい組織だと思います。ただオンとオフという切り替えの面ではまだ甘さがあるかなと思います。その切り替えの部分をシーズンが始まって行く中でしっかりやっていかないといけないと思います。
中谷 僕も良い意味で上下関係がないと思ってますし、試合中もピッチ入れば学年関係なくみんなコミュニケーションがとれていてチームの雰囲気としては良いと思います。やっぱりちょっと練習のところとか抜けてる部分があるのでそこは自分も周りに伝えられるように意識してやっていけたらなと思います。
――植村選手(スポ3=神奈川・日大藤沢)が「キャプテンだけじゃ、今年のキャラクターを考えるとまとまりきれない」とおしゃっていたのですが、3年生の中でまとめ役の筆頭となるような選手はいますか
中谷 なんか、ピッチ外では結構引っ張れる人はいるんですけどピッチ内で試合に出てて引っ張れる人ってなると限られてくるんで、出てる人が自覚を持ってやってかないとダメなのかなって思ってます。そこで自分は今、それになれればいいなって思ってて個人的には頑張ってやってるところです。璃太とかも昨年から出てるのでやっていかなきゃなって思います。現段階では個人で誰っていうのは明確には、やっぱ居ないですね。
――今シーズンキャプテンを務められる柴田選手はどんなキャプテンですか
森 そうですね、同じポジションでプレーのこととか話したりするんですけど、視野が広いなと感じています。プレーももちろんそうですけど、他学年とのコミュニケーションであったり、すごい視野が広いかつ自分からコミュニケーションをとってくれるので関わりづらいだとかそういう印象はないですね。誰からでもコミュニケーションを発信して受け取ってっていうのがすごい上手で、まあ頼れますし、信頼というか、そういった面でも頼りになるなって思いますね。
中谷 まあピッチ外のことはもちろんのことそういったコミュニケーションをとるのが上手いですし、信頼できる部分も多いですね。ピッチでは声というよりかは、どっちかと言うとプレーで引っ張っていってくれるタイプだと思ってて。やっぱ徹くんが走ったりとか、早大のサッカーってこういう姿なんだぞって示してくれて、みんなの声が通らない状況でもプレーで分かりやすくそういうのを感じることができるので、そういったところはやっぱり頼りになるなって思ってます。
――活動停止期間などもありましたが、サッカーのプレーをしていない時に意識していたことは何かありますか
森 体を動かすのはもちろん、試合の映像とかを見てイメージトレーニングしたり、自分のプレーの分析したりだとか、サッカーに関わってない時間も映像としてサッカーに使ってる時間が結構多かったですね。
中谷 自分も体動かすのはもちろんやってましたし、今年のボールを持つっていうサッカーは提示されてたので、自分たちの試合だけじゃなくてプロの試合とかも見て、そういうビルドアップを中心としてるチームのサッカーを見たりだとか、自分のポジションの選手はどうポジショニングしてるかとか、時間が限られてる中で個人的には勉強できたかなと思ってます。
――4年生と下級生はお二人にとってどんな存在ですか
森 仲良いっていうのは第一に思ってて、寮生も多いですし、特に出てる選手に寮生が多くて寮内での何気ない会話だったり、コミュニケーションをとる機会が多くて、ご飯とか行ったりもします。そういった面では、ピッチ外ではまあいい意味で友達というか、そんな感じの距離感なので比較的接しやすいかなと思ってます。同じポジションの選手にどういったプレーすればいいのか聞いたり、戦術の面に関しては4年生が考えているのでそこに対して、どうすればいいのかというアドバイスも聞いたりするので、支えになってますね。
中谷 そうっすね、上も下も自分たちの代は結構明るい選手が多いと思ってるので上とも下ともピッチ内外で良い関係性は築けているかなと思ってます。寮内の会話も何気ない会話ですけど、信頼とかに繋がってくる部分もありますし、自分では結構良い関係性だなと思います。
――同期はどんな存在ですか
森 同期は仲良いですね。よく遊びに行ったりしますし、寮生、寮外関係なくかなり仲良いかなって思います。でも比較的真面目な学年かなと。真面目だよね?
中谷 そうだね(笑)。意外とふざけてるけど、ミーティングとかちゃんとしたところではみんなしっかりしてるっていうかメリハリがあるとは思いますけど、でも引っ張っていく存在ってなるとあんまり明確な人がいないかなって。まあ4年になるにつれてそういうのも誰がやるかとか出てこなきゃいけない部分ではあると思うので、考えていかなきゃなって思います、個人的には。
――ちなみに皆さんでどこに遊びに行きますか
森 僕は買い物が好きなんで渋谷とか原宿に結構買い物行ったりとか、たまにカラオケ行ったり、あとはスマブラやってますね(笑)。
――中谷選手はいかがですか
中谷 そうですね、僕は買い物は一人で行く派で、服は結構一人で見に行きますね。寮生で行きたいところが合う人いなくて(笑)。みんなで出かけるのはご飯が多いですかね。
「音楽は自分の『今』が表れる」(中谷)
インタビューに答える中谷
――今ハマってることを教えてください
森 サウナです。色々調べて、都内とかの良いところじゃなくて穴場的なところに行きます(笑)。
――疲労回復の目的で行かれるのでしょうか。やはり入浴とサウナでは疲労回復の度合いが違うのでしょうか
森 そうですね。もともと疲労回復の目的で行ったら、ハマっちゃったという感じです。疲労回復の度合いでいうと、感覚的な感じもありますね。あっついサウナ入ってそのあと冷たいところ行って、疲労取れてんだろって思ってます(笑)。
――中谷選手もサウナに行かれますか
中谷 まあ僕はみんなに誘われてサウナとか行くんですけど、自分はお風呂の方が(笑)。昔からお風呂が好きで、親がもともと好きで親に連れてってもらって中学生の頃は毎週のようにお風呂にいってたんですけど高校大学であんまり自分でお風呂に行くことがなくて。でも、最近また行くようになってお風呂巡りしたいなって思っています。それをハマってることにしようかなって思います。 一同(笑)
――オフの日は何をされていますか
森 基本寮にいるのが好きじゃないんで買い物に出かけたり、夜にサウナ行ったりもしますね。寮にあんまりいないです。
中谷 自分は結構インドアで、授業が始まったら、あまり出かけられないのもあって、もともと出掛ける習慣がないですね。インドアな植村とかとちょっと出かけたりはしますけど、ほぼ部屋でなんかしてますね。あとは勉強をちょくちょくやってます。
――オフの間も勉強をされているというお話もありましたが、やはり勉強はお好きですか。また、理系となるとより勉強との両立が難しくなると思うのですが、なぜ基幹理工学部に行かれたのでしょうか
中谷 いや、好きって言われると……(笑)まあ今は忙しいので、課題とかが多いのもあって、好きじゃないけどやらないとっていう感じです。高校時代は、漠然と理系を目指していたのと、得意科目を考慮して理系にしました。早大には元から行きたいと思っていたんですけど、本当は文系の指定校を取りたかったです。理系の指定校しかなかったので、自然と理系の学部に進学となりました。入学してみると、キツすぎて…。1年生の段階で転部をしようかなと思ったこともありましたね。ふんわり考えていただけなので、あまり真剣に調べなかったんですけど…。いつの間にか転部の申請期間が過ぎていて、「このままでいいや」と現状になったんです(笑)。
――試合前に聞く音楽はありますか
森 自分はヒップホップを聞きますね。試合前は、絶対にヒップホップを聞きますね。。ヒップホップっていうプレイリストがあって、そこからランダムで流すっていう感じですね。日本のヒップホップがメインですね。地元が川崎なので、周りもヒップホップを聴いていて、自分も中学生くらいから聴き始めました。
中谷 1日のうち、ほぼ音楽をずっと聞いています。僕もヒップホップ系を聞くことが多いですね。落ち着いている系のヒップホップを聞いていて、R&Bみたいな。音楽は勉強する時も聞きます。数学の問題を解くときには歌います。音楽を聴いて、歌って、書いてってやっています。それが一番やれますね。同部屋にはちょっと迷惑かかってるかもしれないですけど(笑)。
――中谷選手は1日中音楽を聞くほど音楽と強い結びつきがあるように思えますが、人生を変えた1曲というのはありますか
中谷 人生を変えた1曲は難しいですけど、音楽は自分に大きな影響を与えていますね。音楽というのは、その時の好みで自分の性格や変化を知れると思っています。尖っているときは尖った音楽、落ち着いているときは落ち着いているのを聞いたりと、音楽は自分の『今』が表れるなと感じています。音楽で、自分の状態を確かめたり、音楽の歌詞で考え方が変化したり感じるという場面は結構あります。
「使われる側から使う側に」(森)
昨シーズン法大戦では、得点の起点になった森
――ここから、各々に焦点を当てた質問をさせていただきます。中谷選手は静岡学園から早大に進学されましたが、環境が変わってプレーにはどのような影響が出ましたか
中谷 自分が高校の時に監督に早大の指定校を取ろうとしていると話した時にも、「早大と静岡学園のサッカーが合うことはないと思う」と言われました。ある程度、自分のしたいサッカーが出来ない可能性があるという覚悟を持って、進学を決断しました。1、2年の時、特に1年の時はAチームにはいましたが、試合に関わることのできる序列ではありませんでした。1年時は、自分が今まで足元等のテクニックでやってきた中で、自分にはなかったものを身につけることができるとポジティブにやれました。2年生になり、試合に出れる状況になると、高校まで身につけた足元に技術など自分の武器と泥臭さなどの早大で身につけたものを徐々に出せるようになりました。プロになるにあたっても、テクニックだけではだめですし、早大という場所で泥臭さ、体を張る、頑張るということを手に入れられたということは今後に役立ってくると思います。早大を選んで正解だったなと感じています。
――静岡学園でのサッカー経験というのは、早大でいかに生かされましたか
中谷 静岡学園でも、自分の軸はぶらすなというような話はありました。みんなテクニックをやりたくて集まってくる学校なので、みんな軸をぶらさないでやっていました。早大に来ても、「自分」やテクニックがある選手が少ない中でその軸という部分については様々な話もありました。練習生期間でも自分の見られ方でも、やる気がなさそうに見えるとも言われました。そのような中で、自分の軸はぶらさずにやれたかなとは思います。そのような部分は静岡学園で身につけられたかなと思います。軸は自分の中で作ることができていると思いますね。
――ア式での経験は今後どのように生きていくと思いますか
中谷 力強さというのは個人としてはなかったですし、頑張るという部分もですね。クールにやるというのがかっこ良いと思っていたので、そこは早大に来て変化しましたね。クールじゃなくても、頑張っているのがかっこ良い、泥臭くても良いのではないかというマインドになって、そこは早大に来た1つの大きな変化かなと思います。
――森選手は早大に来てからどのような変化がありましたか
森 川崎(フロンターレU-18)の頃からずっとサイドバックをやっていました。もともとはオーバーラップで使われるという場面が多かったんですけど、外池さんからは、「使う側になれ」とよく言われています。自分が仕掛けてクロスを上げるとか、パスを受けてもう1回受け直してなどは、昨年の試合等で初めて言われたことで。意識の問題ですが、使われる側から使う側になるという部分が1番変化した部分ですかね。
――中谷選手はnoteにて「愛されるサッカー選手」という言葉を書かれていましたが、愛されるサッカー選手になるのに求められているものは何だと思われますか
中谷 礼儀ですかね。サポーターの人もファーストインプレッションやパッと見の印象を見られていると思います。表情や見られ方というのは早大に来て意識するようになりました。あとは、オンとオフの部分ですね。オフの部分も見られると思うので、暗い顔をしないことや人に朗らかに関わっていく姿を見せつつ、試合になると果敢に目の色を変える選手でないといけないと思います。
――ちなみに、目標されている選手はいますか
森 そうですね、自分が川崎フロンターレ出身なので今代表に入っている山根視来選手(川崎フロンターレ)とかですね。結構、試合前とかにプレーを見て参考にしてますね。同じポジションでフロンターレなので共通点が多く、参考にしている選手です。
中谷 特別この人のプレーに似せようとか、憧れとかはないですね。自分のスタイルでいこうって感じなので特にいないですね。
――森選手は、山根視来選手(川崎フロンターレ)のプレーを参考にしているというお話もありましたが、お二人とも、サッカーの試合はかなり見られるのですか。また、特に好きなリーグやチームなどはありますか
森 あれっすか、関東リーグですか?
中谷 どのリーグでも、別にプレミアリーグとかでも良いんだよ(笑)。
森 あっ、じゃあフロンターレの試合は毎回見ているのと、プレミアリーグですね。Jリーグとプレミアは見る機会がかなり多いですね。
中谷 僕もプレミアの強いチームが、リヴァプールとかマンCとかチェルシーらへんがやってたら見ますし、バルサ、レアルとか強豪の試合を選んで見てる感じですね。
――特別応援してるチームはないということですか
中谷 僕はそうですね、でも璃太はフロンターレなんで(笑)。
森 そうっすね(笑)。
――「選手権(第98回全国高校サッカー選手権大会)決勝の2ゴールは感覚でゴールした」ということも書かれていましたが、頭で考えるというよりも感覚でプレーされることが多いのでしょうか
中谷 以前は、全体的に感覚でやっていました。考えるというのがなかったので、『考える力』は早大に来てから付いたと思いますね。感覚というのは賭けでもあります。早大の感覚と静岡学園の感覚はかなり違うので、まだ合わせているという感じですね。昨年は感覚、直感を存分に発揮とはならなかったので、今シーズンは戦術理解だけではなく、自分の感覚で「ここが勝負」というのを察知して、体現できたらなと思います。
――森選手は昨シーズンは左でも右でもサイドバックをされていましたが、どちらの方がやりやすい、勝負しやすいというのはありますか
森 個人的には変わらないですね。よく聞かれるんですけど、左やってる時は左の方が良いんじゃないか、右やったら右も良いなってなって(笑)。正直、どちらも変わらないですね。外池監督にも今年もどちらもやるよと言われているので、どちらでも対応できるように準備していきたいです。
――デンソーカップ(第36回デンソーカップチャレンジサッカー)に出場されましたが、いかがでしたか
森 U-20全日本大学選抜として活動しました。大会が始まる前にもスタッフの方が全日本の看板を背負ってるということを強く言われていて、その責任、プレッシャーは感じました。その中で、プレーすることで成長したなと感じましたね。関東A、関東Bと1つ上の学年の選手たちが多い中で、「下級生でもやってやるぞ」というチャレンジ精神はありましたが、勝てなかったのは反省点ですね。チームに帰って、上級生を食っていく、引っ張っていく存在にならなくてはいけないというのはデンソーを終えて感じました。
――スカウトの方も多くこられている中で、選手たちが各々アピールをされていたと思うのですが
森 そうですね。自分はサイドバックでスカウトの方々と距離が近い中で「自分のプレーを見せてやる」というワクワク感は普段より感じていました。すごく楽しかったです。
――試合日程が厳しい中でのコンディション管理はいかがでしたか
森 ケアの部分は一番大事にしていましたね。デンソーでケガしたらもったいないので、試合後のトレーナーの方にケアを受けたり、自分で持参したプロテインやアミノ酸を飲んだりしました。ケガやコンディションの管理にはこだわりを持ってやっていました。
「プロになりたいというのが第一にある」(中谷)
前線を見つめる中谷
――1年生の頃は、電気が消えるまで練習をされていたそうですが、何時ごろまで練習をされていたのでしょうか
森 1年生の時は9時までやっていましたね。
中谷 9時ですね。
――ほとんどが9時まで残られていたのですか
中谷 僕たちの代はかなり残っていましたね。Bチームは6時30分練習とかで8時に終わって、ある程度自主練をする人はいます。1年生は片付けもあって残っているので、残るなら自主練しようってなります。先輩にも「お前らはよく残っているよね」と結構言われていましたね。自分たちの代はみんな残っていましたね。みんなは遊びも入った自主練みたいな感じですけど、璃太は毎日黙々とやってる感じでしたね。
――noteにて、森選手は結果が伴わなくても努力するということを書かれていましたが、結果が不透明な中でも黙々と努力し続けることができる原動力は何ですか
森 シンプルにプロサッカー選手になりたいというモチベーションですね。本気でサッカーができるのもあと2年しかないです。小さい頃からプロサッカー選手を目指してきて、高校ではプロになれなかったので大学に進学しました。プロサッカー選手になるということを1番の目標として早大に入学したので、そこが1番のモチベーションです。これだけ努力したのになれなかったらしょうがないと思いたいというのもあります。
――中谷選手の日々の練習において、モチベーションとなっているものは何ですか
中谷 僕もプロ志望なので、プロになりたいというのが第一にあります。センターバックのポジションは良い選手がたくさんいるので、今はケガ人が多いですけど、ライバルに負けないようにというのもありますね。そこをしのいで出るくらいじゃないとプロにはなれないと思うので、そのモチベーションは大きいですね。
――デンソーカップに選ばれるなど少しずつ努力が身を結んでいるように思われます。その部分に関して、ご自身ではどう思われていますか
森 1年生の頃は全く試合に出れずに自主練等をして、2年生で試合に出れるようになって、デンソーにも選ばれて。でも、まだまだプロという最終的な目標には到達していません。報われるまでが努力、プロになるまでがゴールだと思います。プロになるというスタートラインに立てるようにあと2年試合を積み重ねながら個人としてもチームとしても努力を重ねていきたいと思います。
――お話を聞いていく中で、お二人とも客観的にご自身を見られているように感じます。ご自身を客観的に見れるようになったきっかけなどはあるのでしょうか
森 小学校から高校までフロンターレに入っていて、やはり実力主義というか、個人のサッカーの能力で発言力などが決まる環境でやってきました。ア式に入って、繋がりや人間性が重視される環境に変化しました。そんな中で、様々な背景を持つ人とコミュニケーションを取ることで自分を客観的に見るようにできるようになったと思いますね。
中谷 そうですね。自分はア式の練習生期間で人に見られる、特にピッチ外で評価されるという初めての経験をしました。noteに書いた「愛される選手になりたい」というのも、当時の4年生を見て、思い始めたことです。4年生や同期からもよく言われていたことなので、見え方が悪い選手は愛されないんじゃないかなと考えた時期でもありました。練習生期間は「どう見られているかな」とか「どう評価されているか」など自分を客観的に考える良い機会になりましたね。
――お二人とも、ア式の方々の姿勢や熱量に接して、「自分のために」という考えが「他人のために」にと変化したとも書かれていましたが、具体的にどなたの姿勢に影響を受けたのでしょうか。それともア式という組織全体に影響を受けたのでしょうか
森 僕らが1年生の頃の4年生の姿の印象は強いですね。全員がキャプテンのような姿を見て育って、ア式はこういうものなんだと知れました。自分たちの学年でミーティングをした際にも、ああなりたいよねという話はよく上がります。自分たちが1年生の頃の4年生のようになりたい、その人たちのためにという気持ちが強いなと思います。
中谷 自分も1年生の頃の4年生が自分を変えてくれたかなとおもっています。自分はセンターバックで、かなり後ろの選手の影響は大きくて。同じポジションということもあって、気にかけてくれることも多かったです。「この人たちのようになりたいな」と思うような先輩は初めてだったので、自分の中で1年生の頃の4年生の存在は大きいですね。
――プロに向けて勝負の年になると思うのですが、どのようにアピールをしていきたいですか
森 自分の武器、スピードで仕掛けるという点をアピールしていきたいですね。関東リーグ、アミノバイタル、インカレも含めて勝つという結果と共に自分の武器を生かして、アシスト、得点をして、ディフェンスですけど、チームの勝利に貢献する、チームを勝たせられるようになりたいなとは思っていますね。
中谷 自分の武器はビルドアップの部分なので、今年のサッカーにもあっていると思います。自分の武器というのを出しつつチームの勝利にどう貢献するかというところですね。やはり、チームが勝たないと、プロになるという個人的な目標もついてこないと思います。チームがどう勝つかという部分を考えつつ、自分の色も出していけたら個人としてもチームとしても良い結果が待っているのではないかなと。個人にフォーカスしすぎず、チームの勝利を考えていけば自然と結果は見えてくるのではないかなと思います。
「自分の強みであるスピードで仕掛ける」(森)
スピードが持ち味の森
――ここからは関東リーグに関する質問をさせていただきます。リーグ戦ではどこの選手・チームを意識していますか
森 そうですね、意識はそんなにしてなくて、毎年メンバーも変わりますし、どの選手が入ってどの選手が抜けてっていうのがありますし、どこと当たっても自分たちのサッカー貫けるような感じなので。まあでも法政とか、自分たちと同じ代の選手たちにかなり良い選手が多いのでその選手たちが3年生に上がってってなるとちょっと怖さがあるかなって感じです。
中谷 自分はどの試合もやっぱり相手強いし、大事だとは思ってますけど、自分が駒澤戦でデビューしたのもあって駒澤のサッカーの怖さみたいなものを痛感した部分もあるので駒澤とやるときは、ボールを蹴ってきてボール前に放り込んできてっていう本質的なサッカーをする中でディフェンスとしての自分の力を測るには良い相手だなと思ってて、駒澤との試合はいつも楽しみにしてます。
――絶対に勝ちたい試合はありますか
森 明治ですかね、昨年2敗して試合した中でもなかなか勝てるイメージが掴めなくって。昨年は、明治戦2試合とも出場していたので、今年こそはっていう気持ちがあります。今年は絶対に勝ちたいです。
中谷 明治もそうですね。自分も2試合出て、大一番の場面で明治と当たるイメージがあります。やはり明治の強さを思い知るというか、勝ちきれないっていうところがあるように思います。明治とはそういう意味で、因縁の対決ですね。今年はシーズンダブルを狙って、2試合とも勝てるようにやっていきたいです。
――チームから求められている役割は何だと思いますか
森 外池さんからよく言われるんですけど、自分の強みであるスピードで仕掛けるっていうところはチームに勢いをもたらすよって昨年からずっと言われてて、今年のシーズン開始した時もかなりそこの部分はしつこく言われたので、やっぱそこの部分は昨年よりもクオリティを上げてそこで守備に勢いをつけなければいけないなと思います。
中谷 自分はもともと技術面では自信を持っていて監督もそこは大丈夫だと言ってくれていて。早大に入ってきてまあ1、2年で泥臭さみたいなところは自分でもある程度ついてきたなと思います。監督にも結構言われてたリーダーシップの面で、今年一学年上がったのもありますし、もっともっとチームを後ろからメンタル面でもプレー面でも支えられる役割を担えたらなって。今年は監督もそこを自分に期待してくれていると思ってるので頑張っていきたいですね。
「臨機応変にやっていける対応力は考えていかなくては」(中谷)
昨シーズン、駒大戦に出場した中谷
――今シーズン、チームとして目指していることを教えてください
森 今年は元旦に国立で決勝戦があってそこで日本一っていう明確な目標があるんですが、そこを目指しつつもリーグ制覇っていうのは毎年言ってますね。日本一を獲りたいっていう思いは昨年よりも今年の方が部員としてもスタッフ陣としてもかなり強いところがあるので日本一っていうところをしっかり意識して新シーズンに取り組んでいきたいと思います。
中谷 日本一っていうのは昔から早大が抱えている目標ですし、今年に関してはボールを支配して勝つという内容のところまで求められています。国立とかリーグ戦含めてやっぱり早大のサッカー面白いなと思わせながら勝利していければ良いかなと思っています。
――日本一を目指すにあたって現在のチームとしての完成度はどうでしょうか
森 正直、昨日、練習試合をした感じでは完成度はまだまだですね。課題の方が多い印象です。やることがチームとして明確化されている中でそこの部分の擦り合わせというか、選抜で抜けていたメンバーと残っていたメンバーがコミュニケーションをとっていけば、より強くなるんじゃないかなと思います。
中谷 やはりデンソーカップや活動停止期間を含め、チームとしての完成度としてはまだ満足いかないところが多くありますね。試合になってくると個人の完成度も求められてくると思うのでしっかり修正しなくてはいけないですね。
――具体的にどのような課題がありますか
森 守備のところですかね。今年は守備も結構明確化されていて、誰がプレスをかけるかとか、細かいところまでやっています。やはりそこで少しタイミングが合わないとかだったり、誰が出るのか、どうやって切るのかなど細かい部分でチームとして合っていないところが多いです。守備で押し込まれる分、自分たちの時間が作れずに自分たちのやりたいサッカーが出来ていない状況です。そこを踏まえて守備のところを意識的にやっていきたいですね。
中谷 璃太が言ったように守備が明確化されている中で、相手が変則的に来たり、自分たちが想定してた戦術がハマらない時に、中での雰囲気とか、どうやり方を変えていくかとかそこの想定をしていかないとやっぱり勝てないです。臨機応変にやっていける対応力は考えていかなくてはと思います。
――今シーズンのキーマンとなる選手は誰ですか
森 4年生の力が大学サッカーでは大事って言われてるので、その中で山下雄大(スポ4=柏レイソルU18)ですね。中盤の選手で、チーム全体が見える選手なので、その選手の声かけだったりとかチームを良い方向に持っていくようなプレーが継続してチーム全体に浸透していけばやっぱり良いサッカーっていうのができるかなって思います。
中谷 僕は逆に4年もそうですけど、3年も重要になってくるかなと思ってます。4年生だけに頼るんじゃなくて、もっと引っ張っていく存在が3年から出てくれば4年生も楽できると思います。もっと自分のプレーに集中できるというか、周りに気を配らなくても良い環境になると思うので、3年が自分も中心になって、全体としてキーマンになっていけたらいいなと思います。
「チームの結果と個人の結果がついてくるシーズンになれたら」(中谷)
色紙を書きながら笑みをこぼす2人
――最後にチーム、そして個人として、今シーズンどんなサッカーを目指してるかそれぞれお願いします
森 ボールを支配しながら、自分たちが主導権を握りながら今年やってきた戦術で勝つということです。結果を求めるということもですね。個人としては、具体的な数字としてアシスト10というのはしていきたいですね。
中谷 4年生が色々戦術を考えてくれているので、ボールを支配して勝利を呼び込むという部分は自分もやっていきたいです。やはりボールを支配しても、勝てなくては意味がないので、取れるタイトルを全て取りたいですね。個人としては、コンスタントに試合に出て、失点数クリンシートを毎試合していきたいです。個人としては、3年の終わり頃にプロのキャンプに行って、内定できたら良いなと思います。チームの結果と個人の結果がついてくるシーズンになれたらと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 水島梨花、宮下幸 写真 大幡拓登、髙田凜太郎、玉置理沙子、永田悠人氏、橋口遼太郎氏)
※学年は来年度のものを使用しています
今シーズンの意気込みを書いていただきました!
◆中谷颯辰(なかたに・そうしん)(※写真左)
2001(平13)年9月12日生まれ。179センチ。静岡学園出身。基幹理工学部3年。文武両道に長けている中谷選手ですが、幼い頃は勉強が得意な方ではなかったそうで、「小学生のクラスは、みんなメガネをかけていて頭が良くて。小2でクラスの半分くらいメガネだったんです。」と衝撃のエピソードも聞かせてくださいました!サウナよりお風呂派で、地元・大阪のお風呂はほぼ行き尽くしているそうです!
◆森璃太(もり・りいた)(※写真右)
2001(平13)年8月19日生まれ。170センチ。川崎フロンターレU-18出身。スポーツ科学部3年。50mのタイムは驚異の5秒8。おそらくア式最速とのこと。サウナによく行かれるという森選手。『ととのう』を習得済みのサウナ上級者で、「『ととのう』はふわーとする感じです。言葉にするのが難しいですね(笑)」と説明してくださいました!