全日本大学選手権直前特集 第3回 丹羽匠×山下雄大(12/8)

ア式蹴球男子

  Jユース仕込みの高い技術と戦術眼で、早大の攻撃陣を司るMF丹羽匠(スポ3=ガンバ大阪ユース)と山下雄大(スポ3=柏レイソルU18)。昨季から多くの出場機会を獲得し、豊富な経験を持つ2人に、お互いへの思いやインカレに向けての意気込みを語っていただいた。

※この取材は12月3日に行われたものです。

「評価されるには結果が一番」(丹羽)

流通経大戦でゴールを決めた丹羽

――2人は仲良しですか

丹羽 まぁ…(笑)。良い方だと思います(笑)。

――普段の会話ではどのようなことを話しますか

丹羽 しょうもないことから試合の振り返りだったり、バイトを一緒にやっていたのでその話だったりですかね。

――お互いのプレーの印象はいかがですか

丹羽 やりやすいっていうのが一番ですかね。ガンバとレイソル(出身)で、パスを回すっていうチームの特徴が似ていたので、居てほしいところに居てくれたりとかプレーのやりやすさだったりが一番あるかなと思います。

山下 やりやすいっていうのもあるのですが、俺と違ってもう一個前のゾーンでボールを運ぶことができるので、そこは羨ましいなって思います。

――今シーズンのこれまでの戦いを振り返っていかがですか

丹羽 自分は前期、割とトップの試合には関わっていたのですが、後期残り2試合くらいは公式戦に出れなかったので、悔しさとかはありました。それでも昨年よりは関東(関東大学リーグ)に出ててもできてるなって感じもあったので、来年に向けてじゃないですけどいい感じではあったかなと思います。

山下 そこまで納得いくゲームは多くなかったかなと。自分たちのやりたいこととか、目指してるものを出して勝った試合があんまりなくて、頑張って戦ってっていう試合が多かったので、来年はもう少し自分たちのやりたいことを出しながら勝っていけたらなと思います。

――どうして全日本大学選手権(インカレ)の出場をなかなか決めきれなかったと思いますか。またインカレ出場を決めた要因は何だと思いますか

丹羽 雄大(山下)が言ってたみたいに自分たちのやりたいことができなかったことが一番かなっていうのと、前期はその中でもゴリくん(加藤拓己、スポ4=山梨学院)だったり、やりたいことができない中で決めれる選手だったり(のおかげで)なんとなく試合がうまくいってた部分があったのですが、後期は押し込まれた時に1発返せなかったりとか決められてしまったりっていう部分があって、苦しいリーグになったんじゃないかなと個人的には思っています。インカレにいけた理由としては、正直(インカレに)いけないチームじゃないっていうのがもともとあった中で苦しんでいただけだと思うので、それが最後の最後取り戻せたというか。最後に自分たちの狙いだった試合にはならなかったですが、その中でも勝ち切るっていうことができたので、そこがインカレの決め手かなって思います。

山下 自分たちのやりたいことが、結果が出ない時にブレてしまったというか、一試合一試合で結果に左右されてしまっていたなっていうのがあって、そこをブレずに戦えたらまた違う結果があったのかなと思っています。インカレにいけたのは、最後守備寄りの戦術というか、守備からやっていこうっていうのがしっかり統一できたので、ラスト勝てたんじゃないかなと思います。

――前期と後期でチームとして変わったと感じる部分はありますか

丹羽 前期もうまくいってた理由がはっきりしてた訳じゃなくて、なんとなく勝ててるからいいかなっていう雰囲気のまま(後期に臨んだら)後期は結果がついてこなかったみたいな感じで。正直前期からあの結果になっている可能性も全然あったという中で、ゴリくんを中心に前線が点を取れたっていうのが前期の結果かなと思ってます。

山下 前期はまだ選手同士のアイデアとかやりたいことが合っていたのですが、後期はちょっとやり方を変えた時に戸惑いとかがピッチ内であって、あんまりうまくいかないみたいなのがあったような気がします。

――今シーズンを通じて個人として通用したプレーと課題に感じたプレーはありますか

丹羽 Jリーグに内定している選手が関東に多い中で、ボールを持つところだったりとか、パスで真ん中をずらしたりとかは昨年よりもできたかなと思います。課題としては、昨年よりも前のポジションをやっていた中で、クロスに入るところとかゴールに直結するところが少なかったなと。前線で出てる割に得点も少ないですし、アシストも多分そんなにしていないのでそういうところが課題かなと思っています。

山下 ビルドアップとか、パスを散らすとか、チャンスメイクをするとかはできていたかなと思います。課題のところは、攻撃のタイプの選手なので守備のところでもう少し奪い切るとか、運動量を出すとか、そこは課題かなと思います。

――昨年から強化した部分で山下選手は守備、丹羽選手はゴールを意識するようになったと仰っていましたが、そこを強化しようとした理由を教えてください

丹羽 チーム的に結果を評価するというか、プレーの内容というよりは、はっきりした結果が評価されるっていうのが自分の中でも感じていました。どれだけいいゲームにしたとか、自分がゲームを作ったとしても、評価されるには結果が一番かなと感じたので、前線(のポジション)っていうこともあって、よりゴールに近いところでプレーできるように意識をしようと思ってやっていました。

――それは今シーズン実践できましたか

丹羽 元々シュートがうまくないので、意識はしましたけどリーグであまり点を取れませんでした。それでも昨年より意識してやれたということは良かったかなと思います。

――山下選手の守備については

山下 守備は年々良くなってはいるんですけど、チームの色とか、ボランチとしてもっと上のステージで戦うって考えると、守備のところでストロングとまではいかなくても、もう少し強化できたら選手としてもう一個上にいけるんじゃないかなと思っています。

「(西堂が)プロになるための基準になるんだなと」(丹羽)

駒大戦で前線にボールを運ぶ丹羽

――プライベートについてもお聞きしたいと思います。早慶戦前のアンケートでは、マイブームについて山下選手は早寝早起き、丹羽選手は散歩と書いていました。それは変わらずですか

丹羽 朝の散歩じゃなくて、夜眠れない時に外でぶらつくことが多かったのでアンケートにそう書いたんですけど、最近は回数が減ったと思いますね(笑)。

――そんなに散歩してたんですか(笑)

丹羽 結構ぶらぶらしてましたね。深夜1時半とかから徘徊してました(笑)。

――ソロですよね(笑)

丹羽 ソロです(笑)。

――山下選手は今も早寝早起きがマイブームですか

山下 僕は気分ですね。遅く寝る日もあれば、早く寝る日もあるって感じです(笑)。

――オフの日の過ごし方は

丹羽 この前サウナ行ったよね。

山下 行ったね。

丹羽 最近ハマりだして(笑)。

――周りのア式の選手も来ているのですか 

丹羽 そうですね。その日も結構会いましたね(笑)。5人くらい会いました(笑)。

――私生活でも仲良しなのですね

丹羽 そうですね。つるんでます(笑)。

――仲良しという話も出ましたが、2人から見て3年生はどのような学年ですか

丹羽 自由というか、個人個人で勝手にやってるイメージがあって(笑)、自分のやりたいようにやってる人が良くも悪くも多いかなと思います。

山下 他の学年と比べると少しドライというか、そこまで熱い感じではないのかなと思います。

――チーム内で意識する選手やライバルはいますか

丹羽 真ん中で(ポジションが)近いっていうので雄大と、プロが決まってる選手では久(西堂久俊、スポ3=千葉・市船橋)とか。あれがプロになるための基準になるんだなと指標として見ています。

――丹羽選手は山下選手を意識していると言っていますが

山下 そこまでポジションが一緒なわけでもないですし、プレースタイルも違うので、別にって感じですね(笑)。寮の同部屋が久で、1年の頃から一緒に(試合に)出ていたり、お互いにサッカーの話をしたりしていたので、プロが決まったということもあってライバルというか、多少意識はしてるって感じです。

「ボールをたくさんもらって相手の逆を突く」(山下)

明大戦でゴール前にパスを送る山下

――2人にとってMFというポジションの魅力はなんですか 

丹羽 最初に真ん中をやった理由に、どこ行っても怒られないというか、どこでも行けるところが真ん中かなと思って。サイドとかもいろいろやったんですけど、逆(のサイド)にボールある時暇やなとか、ボール蹴れんなとか思っていました(笑)。真ん中だとどこでも関われるところが魅力かなと思います。

山下 相手の逆を突くのが好きで、それがやっぱり楽しいので、ボールをたくさんもらって相手の逆を突くというところに面白さを感じています。

――真ん中のポジションだと操る側になれますよね

山下 そうですね。あとは速いとか、馬力があるとか身体的な特徴もないので、サッカーで上にいくならここしかないなと思いましたね。

――得点をとったりアシストをしたりすることにこだわりはありますか

山下 点を取ることはあんまり思ってないですね。ボランチで(点を)取れたらいいよねぐらいは思っていますけど(笑)。そこまで(得点に)こだわるというよりはアシストとか決定機をつくり出すことの方が大事かなと思っています。

丹羽 点を取れたらいいなとは思いますけど、自分がゴールを決めてる絵が想像できなくて(笑)。起点になった時に関われてうれしかったなと思うので、ゴールに関わるっていうのは考えてはいます。ただ、どうやって点を取るとかのイメージを落としながらやっているタイプなので、自分がゴールを決めてる絵が思い浮かばないから難しいですね。

――ご自身のプレーの強みはどう言った部分ですか

丹羽 自分のところで時間をつくれることが、チームに求められていることなのかなと最近思います。ボールを失わないとか、前に運ぶとか、周りが上がってくる時間をつくるとか、攻撃の起点になるところを強みにしたいです。

山下 ビルドアップの抜け穴になるとか、一本のパスで局面を変えるとか、そこが強みです。

――試合中、攻撃時に意識していることはありますか

丹羽 パスコースをつくり続けるとか、味方へのサポートは結構意識しています。早稲田はサイドに仕掛ける選手が多いので、逃げ道をつくっておくとか、(ボールを)失った後にすぐに(守備に)切り替えられるポジションとか、サポートの部分を意識していますね。

山下 久だったり、安齋(颯馬、社1=青森山田)とか、他にも雄太(水野、スポ3=熊本・大津)とか、速くて一人でいける選手がたくさんいるので、その選手の動き出しとかをちゃんと逃さないように、特にFWの選手やサイドハーフの選手はボールを持ったら常に見てるようにしています。

――逆に守備時に意識していることはありますか

丹羽 昨年から課題みたいな感じで守備は言われてて、球際だったり、自分のところで奪うみたいなところだったりは意識しようとしてたのですが、今年は(ポジションが)もう一個前になって前から追うことが増えたので、しっかり(パスコースを)限定するとか、運動量とかを意識しています。

山下 相手と接点をつくったりとか、そこでちゃんと奪い切ったりとか、スペースを埋めるだったりとか、他の選手のカバーをすることは意識しますね。

「ピッチ外で関わってくれた4年生がたくさんいた」(丹羽)

国士舘大戦でパスを送る丹羽

――現在のコンディションはいかがですか

丹羽 順調です。

山下 いい感じですね。

――インカレでキーマンになると思う選手を教えてください

山下 じゃあ、匠(丹羽)で。

丹羽 じゃあ俺もお前にしよ(笑)。

――その理由は 

丹羽 深掘りされた(笑)。

一同 (笑)。

丹羽 チームとしてビルドアップがうまくいってない部分があったのですが、ビルドアップが一番できるし、それが決まれば攻撃の回数も増えると思うので、山下です。

山下 守ってショートカウンターみたいなスタイルになりつつあって、そのショートカウンターの時に前線で(ボールを)もらって攻撃の起点になるみたいなことは他の選手はあまりできないことなので、そのスタイルを生かすうえでも重要なのかなと思います。

――4年生に対する思いはいかがですか

丹羽 シーズンを通してAチームで(一緒に)サッカーをした4年生は少なかったのですが、ピッチ外で関わってくれた4年生がたくさんいたので、そういう人たちに向けてもできるだけ結果で返して、もっと長く一緒にできたらいいなと思います。

山下 そこまでチームに対してとか、そこを重点的には行動せずに割と好き勝手やっていたので、その分ピッチ内で結果を残して返せればなと思います。

「チームの勝ちに直結するプレーを」(山下)

国士舘大戦で大西とハイタッチを交わす山下

――インカレに向けたチームとしての目標、個人としての目標を教えてください

丹羽 チームとしては優勝で、個人としては点を取りたいですね、せっかくなら(笑)。こんなにゴールを意識するって言ってるので、最後ぐらいは点取りたいですね。

山下 チームとしては優勝。個人としては、攻撃だったらアシストするとか決定機つくるとか、守備だったら最後自分が体入れて守るとかシュートブロックするとか、そういうチームの勝ちに直結するプレーを出せればいいかなと思ってます。

――インカレで山場だと考えている試合はいつでしょうか

山下 初戦じゃないですか。あとは明治か。そこを乗り越えれば結構勢いついていくのかなと。勢いに乗ればそのままいくようなチームなので、初戦ですかね。

――早稲田がインカレで勝っていくために必要と考えていることはありますか

山下 シーズン通して得点力がないのですが、正直それは今からどうこうするのは難しいので…。まずは守備で失点せずに少ないチャンスを生かしてっていうのが大事になるというか、そういう展開になってくると思うので、まずは失点しないことが大事かなと思います。

丹羽 トーナメントなので、負けたら終わりっていうのもあって失点しても崩れないとかそういうところかなと思いますね。今から戦術いじるとかはもうできないので、メンタルというか、焦って試合中にいきなり戦術変えることはせずに最後まで突き通すことかなと思います。

――2回戦がAGFで明治との対戦ですが、嫌なイメージはありますか 

山下 昨年はそこまで嫌なイメージはなかったのですが、だんだん負けが増えるにつれて、あそこやばいなみたいなのが若干あります。明治ということもあって、そこをたたければ(勢いに)乗れると思いますが、そこは変に意識せず、硬くならずやれればいいかなと思っています。

丹羽 俺明治とやったことないからな。公式戦で明治戦出てないので逆に苦手意識もそんなになくて(笑)。AGFはちょっと嫌ですけど(笑)。

――大変お伺いしにくいのですが、AGFで退場されていましたよね

丹羽 あれは迷惑かけたな(笑)。先輩の最後の試合でやっちゃったなっていうのがあって、自分のことだけならあんまり落ち込んだりはしないですけど、さすがにやったなっていうのはありましたね(笑)。

――去年の4年生は熱く、今年の4年生は優しい雰囲気があります。ご自身の代が4年生になった時、どんな4年生になると思いますか

丹羽 サッカーに対する気持ちは強いですね。今までよりも勝ちに対しては執着してるというか、そこに対する思いは強いです。後輩たちとも仲良いですし。後輩と仲良いよね? 

山下 下には舐められてますね(笑)。

――具体的には…

山下 平松(柚佑、社2=山梨学院)とかからは舐められてますね。Aで一緒に練習してる平松とか、小倉(陽太、スポ2=横浜FCユース)とか、同じレイソル(出身)のフジモン(藤本隼斗、スポ2=柏レイソルU18)とか。舐めてるなと思いますね(笑)。

――大変仲良しであることが伝わってきました(笑)。ありがとうございました!

 

(取材・編集 内海日和、栗田優大 写真 内海日和、長村光、橋口遼太郎)

全国大会への意気込みを書いていただきました!

◆山下雄大(やました・ゆうだい)(※写真左)

2000(平12)年8月23日生まれ。179センチ。柏レイソルU18出身。スポーツ科学部3年。最新のポケットモンスターのゲームに熱中していたという山下選手。全クリ(全てのステージをクリアすること)を果たしたそうで、「試合ではあまり吠えないんですけど、その時(全クリした時)は吠えました」とのこと。インカレの舞台では山下選手の雄たけびが見たいですね!

◆丹羽匠(にわ・たくみ)(※写真右)

2000(平12)年4月15日生まれ。172センチ。ガンバ大阪ユース出身。スポーツ科学部3年。山下選手が全クリを果たすところを隣で見届けたという丹羽選手。「最後はれいとうビームで倒した」そうです。ピッチでも難敵を打ち破る痛烈なシュートを見せてくれるでしょう!

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