8日、J2のファジアーノ岡山がMF田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)の来季新加入内定を発表した。FW加藤拓己(スポ4=山梨学院)、GK上川琢(スポ4=湘南ベルマーレU18)に続き、今季の4年生から3人目のプロ内定となった。
早慶戦のピッチに立つ田中
実力者のひしめく早大ア式蹴球部において、1年生時から出場機会をつかんだ田中。技術と豊富なアイデアが持ち味で、狭いスペースでも巧みにボールを引き出すと、果敢な仕掛けで敵陣を切り裂く。ドリブル、スルーパス、シュート精度と、全てのプレーの質が極めて高く、攻撃に彩りをもたらすことのできるファンタジスタだ。
高校時代には名門・桐光学園においてタビナス・ジェファーソン(現水戸ホーリーホック)や鳥海芳樹(現ヴァンフォーレ甲府)らとともにプレー。日本高校選抜にも選出されると、大学入学後も下級生時からポジションを獲得した。しかし、度重なるけがにも悩まされた。2年生時に負傷で長期離脱を経験すると、今年1月には半月板を痛める。復帰まで5カ月を要することとなり、主将に就任しながらもピッチに立つことのできない、もどかしい時期を過ごした。
周囲を鼓舞する田中
こうした日々でも、田中が立ち止まることはなかった。「チームを俯瞰して見て、必要なものを感じ取ることや、誰にどんな声をかけてあげることが必要なのかを客観的に見ることができた」。自分自身がピッチ上で体現することは叶わずとも、主将として懸命にチームを支える姿がそこにはあった。
「早大を勝たせられる選手に」と、強い覚悟を持って挑んだ今シーズン。ここまでのチーム状況は、決して万全とは言えない。アミノバイタルカップ(関東大学サッカートーナメント大会)ではまさかの2回戦敗退。関東大学サッカーリーグでも6日終了時点で8位に沈んでおり、全日本大学選手権(インカレ)への出場権を得るには、13日に行われるリーグ最終戦での勝利が絶対条件となる。
高い足元の技術を誇る
ファジアーノ岡山は2009年にJリーグに加入。今季はJ2において38節終了時点で11位につけている。19年より有馬賢二監督が指揮をとり、2位京都に次いで2番目に少ない失点数を誇る堅守が武器。直近2戦でもヴァンフォーレ甲府、モンテディオ山形といった上位クラブを下している。持ち前の堅守に、田中の類まれな攻撃センスが加わることで、悲願のJ1昇格を成し遂げたいところだ。
「子どもたちに夢を与えられる選手であったり、チームのサポーターの方々に愛される選手、必要とされる選手になりたい」と語る田中。シティーライトスタジアムに詰めかけたサポーターに興奮と歓喜を届け、そして『子どもたちに夢を!』与えてくれるだろう。
(記事 橋口遼太郎、写真 内海日和、長村光)
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◆田中雄大(たなか・ゆうだい)
1999年(平11)12月14日生まれ。162センチ、62キロ。桐光学園出身。スポーツ科学部4年。関東大学リーグで、1部通算47試合出場8得点(11月6日現在)。
圧倒的な攻撃センスが光る田中選手。豊富な運動量があり、守備でもチームを支えます。攻撃的なポジションでの起用が主ですが、ビハインドの局面などではボランチ起用もあり、質の高さはポジションを選びません!