インカレ出場へ向け無失点勝利! 早慶戦での敗北をバネに!

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第15節
早大 1-0
1-0
拓大
【得点】
(早大)7’駒沢直哉、53’安斎颯馬

 10年ぶりの早慶クラシコ敗戦から中2日。全日本大学選手権(インカレ)出場のため、これ以上の敗北が許されなくなった早大は、拓大を相手に迎えた。開始早々の7分にFW駒沢直哉(スポ1=ツエーゲン金沢U18)が先制点を奪うと、その後も早大ペースで試合を進める。52分にはMF安斎颯馬(社1=青森山田)が追加ゴールを奪い、拓大を突き放した。固い守備で最後まで2点を守り切り、勝ち点3を挙げた。

2試合連続ゴールとなった駒沢

 先にゴールネットを揺らしたのは早大だった。「できるだけ高い位置までボールを運び出す状況を作り出す」という外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)の指示通り、中盤でボールを奪うと7分、ボールを受けたDF森璃太(スポ2=川崎フロンターレU18)が右サイドをドリブルで高い位置まで駆け上がった。中央へ上げたクロスに駒沢が頭であわせ、先制点を上げる。「スタートとして出られない部員がほとんどの中、FWで出る」ことに責任感を抱き、多くの選手の思いを背負う駒沢。殊勲の2試合連続得点となった。守備では、センターバックの小倉陽太(スポ2=横浜FCユース)を中心にクリアを重ね、侵入を防ぐ。「どうにかして無失点で抑えたいというのはDF鈴木俊也(商3=東京・早実)と話しながらやっていました」という言葉通り、得点の後も隙を見せることなく、リードを保ち前半を折り返す。

 後半が始まっても早大のゴールへ向かう姿勢は変わらなかった。52分、MF植村洋斗(スポ2=神奈川・日大藤沢)が相手のパスをカットすると、前線の駒沢へとボールを送る。駒沢からパスを受けた安斎が左サイドからドリブルでディフェンダーを抜き、左足で追加点となるシュートをゴールに突き刺す。早慶戦での反省も踏まえ、得点の後も守備が緩まることはなかった。80分には相手のコーナーキックが続くも、DF大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)のスーパークリアもあり、ゴールを守り続ける。その後も何度か拓大に攻め込まれたものの、相手に得点を許さず、試合終了まで逃げ切った。

追加点を奪い握り拳をつくる安斎

 失点がかさむ試合が続いた中で、久しぶりの完封勝利となった早大。早慶クラシコでの敗北を受け、勝利に対してのこだわりがまた一段と強くなったことを感じさせる試合であった。残り3節、インカレ出場に向けて負けられない試合が続く。次の順大戦も中2日で、体力的にも精神的にも辛いものとなるだろう。それでも、早大イレブンは自分たちの手でインカレ出場を決めるべく、勝ち点を積み上げていく。

(記事 永田怜、写真 前田篤宏、橋口遼太郎)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 31 上川 琢 スポ4 湘南ベルマーレU18
DF 12 森 璃太 スポ2 川崎フロンターレU18
→72分 柴田 徹 スポ3 湘南ベルマーレU18
DF 小倉 陽太 スポ2 横浜FCユース
DF 鈴木 俊也 商3 東京・早実
DF 大西 翔也 スポ4 浦和レッズユース
MF 13 平松 柚佑 スポ2 山梨学院
MF 17 植村 洋斗 スポ2 神奈川・日大藤沢
→76分 10 田中 雄大 スポ4 神奈川・桐光学園
MF ◎14 田部井 悠 スポ4 群馬・前橋育英
→90+4分 11 西堂 久俊 スポ3 千葉・市船橋
MF 30 杉田 将宏 スポ4 名古屋グランパスU18
MF 19 安斎 颯馬 社1 青森山田
→84分 奥田 陽琉 スポ2 柏レイソルU18
FW 28 駒沢 直哉 スポ1 ツエーゲン金沢U18
→72分 12 倉持 快 人4 神奈川・桐光学園
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 39 20 11 33 24
流通経大 35 19 10 42 25 17
駒大 31 19 40 34
法大 29 20 33 32
筑波大 28 20 10 32 28
早大 27 19 26 28 -2
国士舘大 26 20 31 33 −2
桐蔭横浜大 26 21 33 39 -6
順大 25 21 26 29 -3
10 立正大 25 21 10 24 28 -4
11 慶大 24 21 11 28 34 -6
12 拓大 23 21 12 27 41 -14
※10月27日終了時点
コメント(一部取材はオンラインで実施)

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――試合全体を振り返っていかがでしたか

早慶戦を経て、非常に厳しいど真ん中に入り込んでしまったので、もう一度早慶戦という舞台での敗戦を受けて、その現実と逆にそこで得られたものも大きかったので、ポジティブに捉えつつよりリアリティをもってこの一戦に向かいました。

――拓大がボールをもって動かしてくる中で中央を守れていたという印象がありました

拓大さんはやることがはっきりしているので、そこへの対応でしたが(立ち上がり)15分の中で良い形で先取点を取れたことが全てなのかなと思います。攻撃と守備のゲームプランを遂行できたことが中にいる選手たちにとっても大きな自信、手ごたえがあったからこそ守備が完成できたのかなと思います。

――攻撃でのプランはどういったものでしたか

特に(立ち上がり)15分は前からはめにいって高い位置でボールを奪って、できるだけ高い位置までボールを運び出す状況を作り出す、というのが15分の中にありました。相手がサイドのクロスに対して不利だということは分かっていたので、森が上げたクロスのようにできるだけその高い位置まで運んだ状態で、その状況を作り出せればと思っていました。なので、それが駒沢のシュートも含めて良い形で、ワンチャンスツーチャンスくらいしかなかった中でしっかり決め切った集中力や、ゲームプランに対するみんなの思いの部分が実った形ではないかと思います。

――駒沢選手の成長が著しいですが、どのように見ていますか

もともとポテンシャルはありますけど、彼もシーズンを通して苦しんだり葛藤がある中で、この夏が過ぎたくらいから自分の居場所に関わらず練習試合やトレーニングでもしっかりゴールを奪える状況を作り出せていました。明大との試合で始めてスタメンで出ましたけど、その振り返りの中で、基本的にみんなは振り返るときに自分中心で考える選手が多いんですけど、駒沢は相手の脅威になれなかったという話をしたのがとても印象的で、自分という軸だけではなくて、相手に対して自分がどうあったかということに向き合えていることは、サッカー的には本質的だなと思いました。そういう事があの強度の中で見えているという意味では、次成長できるなと思って早慶戦でもスタメンで使ったという感じです。今日もコンディション的にも全然いけそうだったので、今はチームにとっては一番の起爆剤、ゴールゲッター、エースなのではないかと思います。

――早慶戦での敗戦から中2日での試合でしたが、監督として選手のメンタル面に手を加えたことはありましたか

まずは早慶戦という舞台の敗戦をどれだけポジティブにというか、そこの捉え方については意識しました。敗戦したこと自体は悔しい部分はありましたが、運営全体を含めて言い方は良くないですけど慶大よりも運営を培ってきましたし、その中であれだけのお客さんに入っていただいて、雰囲気もできました。運営の中でも色んなチャレンジはしたんですけど色んなエラーもあって、難しさを感じながらも自分たちで作り上げたという実感は持っていい試合でした。そういうものがあるからこそ自分たちの手で早慶戦の空気、今年ここまでやってきた大学サッカーの中で最高の舞台だなと改めて思いましたし、そういう舞台の中でサッカーがあるんだ、その舞台を自分たちで作り上げたんだ、ということに関しては自信を持ってほしいです。それはア式蹴球部全体の取り組みなので、いろんな人たちから協力を得られたりとか、いろんな人たちと関係を作ったり社会と接点を持ちながら、あのような場を作り出したというのは自信を持ってほしいです。ただ敗戦ということだけを受け止めるのではなくて、我々はもっと大きなものを視座で取り組んでいますし、逆に盟友である慶大から教わった勝負へのこだわりや、(慶大主将の)橋本君みたいな早慶戦への思いも、自分たちはそこの部分は足りていなかったところは謙虚に受け止めて、やれることはやったという中で胸を張ってこの試合に行こうと、我々は力が足りていなかったのではなくて今そういう流れの中にいるだけだから積みあがっているものはあるということは強く伝えてきた2日間でした。

――失点がかさんだ試合が続いた中で、無失点で終えたことに関してどのように捉えていますか

早慶戦での得点した後の失点に対してはかなり厳しく言及しました。どのようにリードを持続させていくか、その中でどう試合を進めていくかというところはまだまだ軽いところがありましたし、プレーの判断や選択の中で必然的に失点が生まれているということは厳しく言及をしました。今日はCBを中心にシンプルにクリアするところや侵入を防ぐところのベースは徹底できたと思います。拓大の戦術に対する徹底感も良かったのではないかと思います。これは次の順大戦にも確実につながっていくと思います。

――インカレ出場に向けての戦いがあと3戦続きますが、ここに向けて一言お願いします

まだ何も決まっていないので、まずはしっかり残留を自分たちの手でつかみ取る。そのためにはあと1勝確実に必要なので。そのうえで自分たちがどうチャレンジできるかはその先を見据えていきたいので、まずは次の順大戦、中2日なのでゴールを積み上げて勝利を喜ぼうという部分は新たな積み上げとして見つけ出せたので、それを順大戦にしっかりつなげたいと思います。

GK上川琢(スポ4=湘南ベルマーレU18)

――羽田さん(羽田拓矢主務、人4=東京・駒場)と試合後に抱き合うシーンが印象的でした。何を思っていましたか

良かったという気持ちです。本当に早慶戦で、拓矢が寮で夜遅くまで(仕事を)やっていた中で、拓矢自身も早慶戦に対する思いがすごく強くて。最高の舞台を作ってくれて。ただ、結果で自分たちが示さないと報われないということがあった中で、ああいった形で慶応に負けてしまって。本当に早慶戦が終わった後、昨日くらいまで顔が疲れていて。そのくらい掛けていた思いが強かった中で、今日は本当に勝ちたいという思いが強かったです。自分たちが負けたにも関わらず応援してくれる人がいるという中で、自分たちが示さなきゃならないところは、走る、戦う、というベースの部分で。それが応援してくださっている人たちに対してできることというのは間違いないことだと思っていました。試合前のミーティングでもそういったことを中心に話し合った中で、結果として出すことができたのは嬉しいです。ただ、まだ何も決まったわけではないです。気を引き締めなおして、早慶戦で負けたということをもっと価値のあるものにしていくためには、次の試合に絶対に勝たなければならないと思います。こういった試合をした次の試合は本当に難しいですが、明日の練習からもう一回やっていくだけかなと考えています。

――無失点勝利も大きいですね

本当に大きいです。こういった試合で最後まで失点をしないで。大西のスーパークリアもありました。選手たちの頑張りがあった中で、自分も体を張らないといけないと感じました。

MF杉田将宏(スポ4=名古屋グランパスU18)

――試合を振り返っていかがですか

勝ててホッとしているというのが一番です。

――特に、ご自身が出場なさった上で勝利をつかむことができました

そうですね。早慶戦も含めてですが、その前からキツいことはありましたが、こうやってまた使ってもらえて。本当に結果で答えようと思っていて。得点など攻撃の部分で何か出来たという訳ではないですが、勝ちたいという思いは誰よりも強かったかなというのはあります。それが結果に結びついたのはとてもうれしいと感じています。

――かなり声を張り上げている印象があります。気持ちがこもっていましたか

気持ちでしかなかったです。そこは自分にできることだと思っています。声を出すことは誰にでもできる、と言われればそれまでなのですが、だからといってやらないわけではないし。そういう思いが伝わったらなと思いながらやっていました。

――将さんをここでスタートから起用することにメッセージがあるなと個人的には感じていました

自分の中でも大事な試合だなと思っていました。使ってもらえたのはすごくうれしいことでした。

DF小倉陽太(スポ2=横浜FCユース)

――今日の試合をディフェンス面で振り返っていかがですか

スカウティングのところから拓大が前からハイプレスに来るというところで、監督から自分のストロングポイントでもあるロングボールをどんどん前に供給していけという指示があったので、それを狙いつつ相手のクロスではセカンドボールに対して自分たちが押し込んでゲームを組み立てるという意図をもっていました。

――守備でもクロスに入って行くとか押し上げてきたところのブロックなども振り返っていかがですか

センターバックにコンバートして2週目で自分の中でだいぶ整理されてきました。まだ課題としてクロス対応が甘いところもありますけど、まず無失点で終われたことは良かったと思います。

――早慶戦での敗戦を受けての戦いでしたがいかがでしたか

早慶戦を振り返ると自分のところから3失点してしまって責任を感じていました。慶大戦の前から失点が多いという課題がある中でどうにかして無失点で抑えたいというのは鈴木俊也君(商3=東京・早実)と話しながらやっていました。

――ショッキングだった早慶戦から中2日でしたが気持ちの切り替えはどうでしたか

終わった瞬間に4年生が泣いている顔とかを見て勝ちたかったとは感じていましたけど、それと同時に悔さとか次絶対勝ってやるという気持ちが芽生えたので、あまりそこに手こずることはなく今日を迎えられたと思います。

――チーム全体としてもそういう雰囲気はありましたか

リーグ戦的にも、チーム状況的にも降格してしまいそうな状況だったので、みんなはやらないといけないと感じていたので、集中して臨めていたと思います

――残留、そしてインカレ出場に向けて、法大などの強豪との対決もあります。残り3戦への意気込みをお願いします

相手どうこうというよりは自分たちがいかに走れるか、戦えるかとか、今日みたいなゲームを続けることがリーグ戦において勝ち点を積み上げるうえで大切なことだと思うので、これからも今日みたいな試合ができればと思います。

FW駒沢直哉(スポ1=ツエーゲン金沢U18)

――今日は決勝点になった先制点を取りましたが、いかがでしたか

ここ3試合スタメンで出ていて、ここまで大学でやってきてめぐってきたチャンスで、最初の明大戦は客観的にみるとビビってしまった部分がありました。結果を残せなければスタメンはないし、サブには(奥田)陽琉君(スポ2=柏レイソルU18)もいるから前半で証明しなければいけないという気持ちでやっていた中でのこの2試合で、どっちも前半で得点を決めることができたというところです。

――ここまで1年生ながら3試合スタメン出場で2ゴールをあげていますが、大学サッカーに対してどのような実感を持っていますか

これまでジュニアユース、ユースはツエーゲン(金沢)でやってきて、ただのサッカープレーヤーでしたが、最近はシーズンの終わりも見えてきて、部活という組織の中で背負う、スタートとして出れない部員がほとんどの中でFWで出るという中で、4年生の気持ちとかを背負うことができています。そういうみんなの思いも背負って出てるというのを実感しているし、それがあと一つボールを追いかけることだったり出し切るところにつながっていると思います。

――残り3試合あって、インカレ争いもありますがそこに向けての意気込みをお願いします

チームとしては最低限の残留というのは絶対にやらないといけないし、その中でインカレも目指さないといけないです。このチームはそういうことを絶対できると思います。個人としては早大に来た(昨年度)2月から(目標として)立てた関東リーグ5ゴールというところにあと3試合で3得点で、自分の中では全然できると思いますし、やらなければいけないと思っています。