田中が2発! ルーキー躍動! 苦境はねのけ大逆転勝利

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第18節
早大 1-1
3-2
桐蔭横浜大
【得点】
(早大)30’田中雄大、67’光田脩人、71’田中雄大、85’安斎颯馬
(筑波大)43’水野颯太、54’篠原友哉、61’宮寺優斗

 前節筑波大に敗れ、是が非でも勝利が欲しい早大は、中3日で関東大学リーグ(リーグ戦)第18節に桐蔭横浜大と対戦した。試合は30分、MF田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)のゴールで先制に成功する。しかし43分に同点ゴールを許すと、54分、61分にも得点を許し、苦しい展開に。それでも次第に試合の流れを取り戻すと、途中投入のMF光田脩人(スポ1=名古屋グランパスU18)のゴールを皮切りに一挙3得点を奪い逆転する。攻撃陣が火を吹き、大逆転で5位浮上となる勝ち点3をあげた。

同点弾となるボレーシュートを決めた田中

 開始早々より早大がボールを保持するも、桐蔭横浜大の守備陣を前にゴールまで迫りきれず、もどかしい時間が続く。この局面を打ち破ったのは主将であった。30分、FW奥田陽琉(スポ2=柏レイソルU18)が技ありのキープでボールを収めると、スペースへスルーパスを供給する。MF西堂久俊(スポ3=千葉・市船橋)が抜け出しゴール前まで運ぶと、マイナスのパスにMF倉持快(人4=神奈川・桐光学園)が潰れ、最後は走り込んだ田中がゴールへ蹴り込み先制する。しかし、前半終了間際に一瞬の隙を突かれ失点し、嫌なムードで前半を折り返す。

 次の1点を奪ったのは桐蔭横浜大だった。54分、自陣で縦パスをカットされると、ワンツーで中央を崩され失点。さらには61分にもコーナーキックから失点し、早大は2点のリードを許す苦しい展開となる。流れを変えるべく65分、負傷からの復帰戦となる光田を投入。さらに既に途中投入されていたMF植村洋斗(スポ2=神奈川・日大藤沢)、安斎颯馬(社1=青森山田)も存在感を発揮し始めると、早大は次第に主導権を取り戻す。

途中投入で試合の流れを変えた安斎

 67分、ルーズボールをDF大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)が懸命に前線へとつなぐと、抜け出した光田が冷静にゴールへ流し込み、反撃の狼煙(のろし)をあげる。直後の71分には西堂のクロスボールを田中が華麗にダイレクトボレーで叩き込み、試合は振り出しへ。畳み掛けたい早大は、幾度となく敵陣ゴール前へと迫る。迎えた85分、光田が深い位置で起点を作り、敵を2枚引きつけると、サポートの位置でフリーとなったMF小倉陽太(スポ2=横浜FCユース)へ展開。小倉がダイレクトで放ったミドルシュートを、ゴール前に陣取った安斎が頭でコースを変えると、ボールはゴールへと吸い込まれた。「瞬発的に、枠に入らないで外れたときかキーパーがこぼしたところを狙っていた」と安斎。大型ルーキーの得点への嗅覚が、遺憾なく発揮された逆転弾となった。その後は集中力の高い守備で逃げ切り、早大は前々節を彷彿とさせる大逆転劇で、4−3で勝利を収めた。

 「今日は勝たないといけないと位置付けていた」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)。一時は2点のリードを許しながらの逆転勝利で、優勝戦線に踏みとどまった格好だ。しかし、早大の目指すところはただひとつ。タイトルのみである。「3連戦で2勝できたことは大きいが、これから明大や法大、流通経大と強豪との対戦が待っている」と安斎は勝利を喜びつつ先を見据える。次節に迎えるは、前期の対戦で苦杯を喫した駒大。逆転勝利で『1を積み上げ』、悲願達成に突き進む。

(記事 橋口遼太郎、写真 内海日和、前田篤宏)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 31 上川 琢 スポ4 湘南ベルマーレU18
DF 柴田 徹 スポ3 湘南ベルマーレU18
DF 15 中谷 颯辰 基理2 静岡学園
DF 鈴木 俊也 商3 東京・早実
DF 大西 翔也 スポ4 浦和レッズユース
MF 小倉 陽太 スポ2 横浜FCユース
MF 27 倉持 快 人4 神奈川・桐光学園
→57分 19 安斎 颯馬 社1 青森山田
MF ◎10 田中 雄大 スポ4 神奈川・桐光学園
MF 山下 雄大 スポ3 柏レイソルU18
→HT 17 植村 洋斗 スポ2 神奈川・日大藤沢
MF 11 西堂 久俊 スポ3 千葉・市立船橋
→88分 14 田部井 悠 スポ4 群馬・前橋育英
FW 奥田 陽琉 スポ2 柏レイソルU18
→65分 20 光田 脩人 スポ1 名古屋グランパスU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 32 17 28 21
法大 27 17 28 25
駒大 26 14 30 24
筑波大 25 16 29 23
早大 24 15 20 20
立正大 23 17 22 23 -1
順大 23 18 24 26 -2
桐蔭横浜大 23 18 31 37 -6
流通経大 21 13 29 20
10 国士舘大 18 16 25 30 −5
11 拓大 17 16 23 32 -9
12 慶大 15 17 10 20 28 -8
※10月2日終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――5-3に引き続き4-3となりましたがいかがですか

前回も1-3になってからだったので、僕自身まだ受け入れがたいという感じです。最後までみんなのエネルギーはあったので、守備面の課題はあるのですが、それを上回るだけのものを、我々としては厳しい日程の中でも終盤に出せた、というのは誇りに思っています。今日は試合前に西堂がFC東京に決まって。枠があるわけでもないし、何かをつかみ取るためにはこういうゲームで、この関東の舞台で譲ってはいけないものを示さないと自分たちが成しえたいものとか、自分たちの価値を作り出すことはできないという話はしていました。そこにみんながこだわってくれたので、ゴールを奪う、譲らないという気持ちをしっかり出してくれたのはうれしかったですし、僕自身もこのチームにいることができて誇りに思いました。

――ゲームプランに関してはいかがですか

前半はゲームプラン通りというか、しっかり守備から入ってというところと、どうしても最近ボールは握れているんですけど前がかりになりすぎていたので、今日は西堂と倉持を入れてミドルカウンターという形で攻撃の状況を作るというのはありました。そういう意味ではかなりプラン通りに進んでいました。前半の失点はもったいなかったですけど。後半もう1つギアを上げようという中で苦しくなったというか、もったいないというか我々から崩れて失点をした状況だったのでそこに関してはイレギュラーではありました。ただ今日は勝たないといけないと位置付けていたのでビハインドになったときには最後の形で行こうというのは確認していたのでそこはある意味しっかり機能したという意味ではプラン通りだったと思います。

――前線の、人とポジションを代えて、結果的に彼らが試合を決めましたがどう受け止めていますか

光田も久々に戻ってきて十分やれる力もあるので、彼が入ることによって一個アクセントにはなるなと思って投入しました。西堂はポジションを代えて、こっちとしてというより相手の状況として認識の変化を作れると思いました。山下も疲労していたので植村と併用してやれたら良いなと思ったのですが、植村もうまく田中を押し出せるようにビルドアップをできていたので、そういう意味では確認する時間などは無かったですが、みんなが強みを引き出す状況を作れたとは思います。

――安斎選手のゴールは味方のシュートに反応していましたがどう思われましたか

安斎をあえて最初にいたサイドからトップに置く我々にとって切り札だったのは、彼のゴールに向かうとかゴールを常にイメージしてプレーをしているというところに期待していたので、準備に尽きるのではないかと思います。

――同点に追いついた時から「楽しめ」という言葉が監督から出ていました

前回の国士舘大の時も追い付いてから難しいと思うんです。追い付いて一回落ち着いてしまうのかもう一個行こうとするのか。表裏一体な部分、リスク管理も含めてですけど、そこを楽しめるマインドであってほしいなと思います。あとは苦しいと思うのでどういう空気感、世界観を共有できるか、ああいう状況の時みんなは孤独だと思うので、そういうところで繋がれたら良いなと思っています。その先のイメージもう一個取れば違う景色になるよという、そういうところは実を結んで良かったなと思います。

MF西堂久俊(スポ3=千葉・市船橋)

――今日の試合、立ち上がりが固かったように見えました

昨日の(プロ内定の)リリースの影響ではなくて、ただ単純に僕のコンディション管理の部分(が問題)かなと思っています。僕も立ち上がりはまずいなとは思っていました。しかし、今日何度か凡ミスで(気持ちが)落ちてもおかしくないようなシーンもあったのですが、今日は部員の応援もあって、それを見てやらなければいけないということをピッチ内で再確認できたので、落ちずに修正して持っていけたことは良かったと思います。

――右サイドに変わってエンジンが入ったようにも見えました

確かにそのような感じは外から見ていたらあったと思います。しかし、特に右にきたから「やってやろう」と意識したのではなく、左の時からそれは思っていました。単純に相手の感じの違いと、DF柴田徹(スポ3=湘南ベルマーレU18)とDF大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)の違いでだったと思います。そのような部分では変化をつけられたことによって、そこが功を奏したのだと思いますね。

――同点弾のアシストシーン振り返っていかがですか

僕が右サイドにいった時には、絶対に左足を警戒してくると思っていたので、縦が空いていました。シンプルに中を信じて上げただけです。あのようなクロスの上げ方は日頃から練習もしていますし、そこで感覚や良いイメージはつかめていました。

――プロ内定が発表されて注目度も変わると思いますが、そのことについてどう思われますか

実際により見られるという点では間違いなく変化したと思います。そこで変にプレッシャーを感じてしまうのが一番良くないと自分では思いました。意識せずにという意識してしまった部分はあるのですが、そこまでプレッシャーは強く感じず、ネガティブにならずに精神をかなり保ていました。注目度は上がったのですが、僕は良い意味で変わらないというスタンスで自分のやるべきことをやっていけたらと思います。

MF安斎颯馬(社1=青森山田)

――ナイスゴールでしたが、飛んできたのはシュートでしたか

あれはシュートです。瞬発的に枠に入らないで外れたときかキーパーがこぼしたところを狙っていて、ゴールから外れていたのとたまたまそこにボールが来たので反応できました。

――叩きつけるようなヘディングでしたが、ヘディングは得意ですか

自分はそんなにヘディングで点は決めていないですね。ボールの勢いがあったんで、しっかり下方向に当てれば良いと思って、上に行かないようにだけ意識していました。

――率直にゴールの感想はいかがですか

3連戦で3試合ともベンチスタートで悔しい思いをしていたので結果的に国士舘大戦に続いて、2回とも逆転ゴールだったので勝ちに繋げるプレーができて、悔しい気持ちをピッチ上で晴らせたのかなと思います。

――『ワントップ安斎』というのはどうですか

がっちり収められるタイプではないですが足元には自信があるので、足元に入ればそれをさばいて、背後の動き出しとか相手との駆け引きで自分の特徴であるシュート、ゴールを取るというところだと思います。

――ビハインドの状況で入れられて、監督から何か言葉はありましたか

無言でしたね。やってこいみたいな。監督からは日ごろはゴールしか言われていないので、無言であっても伝わる部分はあります。ゴールだけを狙って前に前にという感じです。

――周りとの連携に関してはどう感じていますか

前期に比べて、国士舘大戦と今節で点も取れているので徐々に早稲田として、チームとして、個人としても連携は徐々に深まっていて一つのチームになっていっていると思います

――チームとしてはこの勝利で上位争いに食い込んでいける形になりましたがここからの戦いに向けて意気込みをお願いします。

今は一戦勝つか負けるかで上位に行くか下位に行くかというのがわかれると思うので3連戦で2勝できたことは大きいですけど、首位に立ったわけでもないですし、これから明大や法大、流通経大と強豪との対戦が待っているので、まずはしっかりリカバリーして次も絶対に勝てるように準備していきたいと思います。