JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第17節 | ||||
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早大 | 5 | 1-3 4-0 |
3 | 国士舘大 |
【得点】 (早大)8’鈴木 俊也、66’西堂 久俊、77’奥田 陽琉、81’安斎 颯馬、85’田中 雄大 (国士舘大)9’有田 稜、20’棚橋 尭士、26’有田 稜 |
前節の後期開幕戦に敗れ、優勝のためこれ以上の敗戦は許されない早大。関東大学リーグ(リーグ戦)第17節に国士舘大を迎えた。開始直後に幸先よく先制点を奪うも、その後前半のうちに3点を失い苦しい展開となる。それでも交代策などが奏功し、後半に一挙4得点を奪った。計8ゴールが生まれる打ち合いを大逆転で制し、5―3で白星をあげた。
先制ゴールを奪い、ベンチメンバーの元へ飛び込む鈴木
先手をとったのは早大であった。8分、右サイドからのコーナーキック、DF鈴木俊也(商3=東京・早実)の放ったインスイングのボールは、相手GKの頭上を超えサイドネットへ。コーナーキックが直接決まり、先制点をあげる。しかし、直後の9分にクロスボールから失点し、試合はすぐに振り出しへ。次の1点も国士舘大だった。20分、FW棚橋尭士(国士舘大)にピッチ中央からドリブルで持ち運ばれると、そのままミドルシュートをゴールにねじ込まれてしまう。さらには26分、左サイドから放たれた強烈なミドルシュートが、ドライブ回転がかかりゴールへ吸い込まれた。前半に2点のビハインドを負う苦しい展開となる。
前半はキャプテンマークを巻いてのプレーとなった田部井
前半終了間際にMF西堂久俊(スポ3=千葉・市船橋)を、さらに後半にはMF田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)、DF西尾颯大(スポ3=千葉・流通経大柏)を投入し攻勢を強める。「苦しい時間でもMF田部井(悠副将、スポ4=群馬・前橋育英)であったり、ベンチを含めて、ずっといい声、プラスな声をかけ続けていた。後半返していけるという雰囲気があった」と田中。すると、次第に早大らしいテンポのいいパス回しが増え、後半は終始早大ペースに。66分、MF山下雄大(スポ3=柏レイソルU18)のくさびのパスを起点とし、FW奥田陽琉(スポ2=柏レイソルU18)が丁寧に落とすと、走り込んだ西堂がシュートをゴールに突き刺し1点を返す。77分にはコーナーキックの流れから鈴木がクロスを送り込むと、ニアサイドで奥田が合わせ同点とする。
さらに82分、鈴木のくさびのパスを起点にMF安斎颯馬(社1=青森山田)、田中、DF大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)と絡み、ゴール前に進入。相手DFのクリアミスを見逃さずに安斎の放ったシュートはポストに嫌われ、こぼれ球に反応した奥田のシュートもポストに直撃。さらに田部井が放ったシュートが安斎に当たりゴールに吸い込まれ、逆転に成功する。なおも攻撃の手を緩めない早大は85分、田中のスルーパスに抜け出した大西が倒され、PKを獲得。田中が落ち着いて沈め、試合を決める5点目を奪った。
試合を決めるPKを沈めた田中
「ここにいるメンバーだけではなくて、新人戦とiリーグに勝ってこの試合に向かえた。チームとしてのつながりでパワーを生み出して、今日の勝利につなげられた」と田中。外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)も「非常につながりがあった。みんなが今までやってきたことがゴールという形で証明された」と称すように、逆転勝利をもたらした要因には、紛れもなくチームの一体感がある。加えて、「(スタメンやベンチメンバーなど)人のエネルギーのバランスを整えた」(外池)と、ピッチ内に常に高い活力をもたらす方法の模索もかたちとなった。
「(部員)100人全てがしっかり同じ方向を向いてやっている。また、チャレンジができて、ひとつ大きな成果が出たことで、違う景色の中で次の試合を迎えられる」と指揮官。チームの一体感の醸成と、サッカーの成熟が今節の結果に現れた。ただ、「次に勝てなければこの試合の勝利は何の意味もない」(田中)。中2日で迎える次節、早大の真価が問われる。
(記事 橋口遼太郎、写真 長村光、橋口遼太郎)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 31 | 上川 琢 | スポ4 | 湘南ベルマーレU18 |
DF | 3 | 柴田 徹 | スポ3 | 湘南ベルマーレU18 |
→HT | 25 | 森 璃太 | スポ2 | 川崎フロンターレU18 |
→50分 | 24 | 西尾 颯大 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 |
DF | 15 | 中谷 颯辰 | 基理2 | 静岡学園 |
DF | 5 | 鈴木 俊也 | 商3 | 東京・早実 |
DF | 6 | 大西 翔也 | スポ4 | 浦和レッズユース |
MF | 4 | 小倉 陽太 | スポ2 | 横浜FCユース |
→67分 | 19 | 安斎 颯馬 | 社1 | 青森山田 |
MF | ◎14 | 田部井 悠 | スポ4 | 群馬・前橋育英 |
MF | 17 | 植村 洋斗 | スポ2 | 神奈川・日大藤沢 |
→HT | 10 | 田中 雄大 | スポ4 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 7 | 山下 雄大 | スポ3 | 柏レイソルU18 |
MF | 30 | 杉田 将宏 | スポ4 | 名古屋グランパスU18 |
→37分 | 11 | 西堂 久俊 | スポ3 | 千葉・市立船橋 |
FW | 9 | 奥田 陽琉 | スポ2 | 柏レイソルU18 |
◎=キャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部 順位表 | |||||||||
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順位 | 大学名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 明大 | 29 | 16 | 8 | 5 | 3 | 25 | 20 | 5 |
2 | 法大 | 27 | 16 | 8 | 3 | 5 | 26 | 22 | 4 |
3 | 駒大 | 23 | 13 | 7 | 2 | 4 | 24 | 22 | 2 |
4 | 順大 | 23 | 17 | 6 | 5 | 6 | 23 | 24 | -1 |
5 | 桐蔭横浜大 | 23 | 17 | 7 | 2 | 8 | 28 | 33 | -5 |
6 | 流通経大 | 21 | 12 | 6 | 3 | 3 | 29 | 17 | 12 |
7 | 早大 | 21 | 13 | 6 | 3 | 4 | 16 | 15 | 1 |
8 | 立正大 | 20 | 16 | 6 | 2 | 8 | 19 | 23 | -4 |
9 | 筑波大 | 19 | 14 | 6 | 1 | 7 | 25 | 22 | 3 |
10 | 拓大 | 17 | 15 | 5 | 2 | 8 | 21 | 26 | -5 |
11 | 国士舘大 | 15 | 15 | 4 | 3 | 8 | 22 | 28 | -6 |
12 | 慶大 | 12 | 16 | 4 | 3 | 9 | 19 | 25 | -6 |
※9月25日終了時点 |
コメント
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)
――今日の試合を振り返っていかがですか
久々にしびれましたね。久々の公式戦だった立正大戦で、なかなか試合を通じてエネルギーを増長できなかったという大きな反省があったし、今年のチームはそこが特徴だなというのを分析でみて、チームにスイッチを作るような布陣というか、進め方、スタメンとかサブとかの形をとってやりました。ゲームの入りは非常に良くて先制もして期待感はあったんですけど、その後相手の素晴らしい3連発があって、なかなか難しいなと感じる中で、それぞれが役割を果たしたりとか、森がイレギュラーな形で抜けて西尾が初めて試合に出たりとか、非常につながりがあったなと思います。今日のテーマはゴールだったんですけど、そのゴールというものに今までなく多く結びつけることができたというのは、しびれましたし、みんなが今までやってきたことがゴールという形で証明された試合だったのかなと思います。
――前半押された要因はどこにあったのでしょうか
一個一個のチャレンジのところが、やっぱり前がかりで守備できていたので、どうしても一個のチャレンジで距離が遠くなって、前に人がかかっていた分後ろにボールが入った時に上手く収められたりとか、入れ替わられたりとかしてしまったというシーンがあったので、あの時のチャレンジ&カバーのカバーのところがもう少し近い距離でスペースを狭めて守れていれば良かったんですけど、そこが一つやられたことで怖がってしまった印象は受けました。ただ試合を通じてそれを修正したのは後ろのメンバーだけではなくて、全体として特に4年生の田部井とか上川とかが中心となって、その中でも奮い立たせてやれていたので、そこは4年生の力を感じました。
――逆転に持っていけたパワーはどこにありましたか
スイッチを自分たちがどうやって改善していくかという中で、戦い方とかではなくて人のエネルギー、田中をサブにしたりそこのバランスを整えたというのは今回大きく変えたところだったので、持っているものを最大限引き出してかつそれを凝縮させるというか、そこの部分は結構意識したのに対して、みんなが大きく反応してくれたし、みんながその意図を汲み取ってゲームを90分として考えてやってくれたというのが本当にそのまま出たゲームだったのかなと思います。
――そういったところも考慮してメンバーを選んだということでしょうか
そうですね。後は国士館大さんの方が中2日でのゲームということで、前節の状況も含めて勢いが切れてくる時間があるということは分かっていたので、そういう意味でも我々としてそこにスイッチを持つことが、すごくポジティブにイメージしやすいのかなというのもあって、そういう組み方をしたというのもあったので、その辺もうまくリンクしたのかなと思います。
――チームにエネルギーが生まれる試合になったかと思いますが、次の試合に向けていかがですか
今週ですと一昨日あった新人戦もそうですし、今日あったiリーグもそうですけど、我々は本当にその100人全てのカテゴリーがしっかり同じ方向を向いてやっているし、今年のカラーとして、大人しいけれどもみんな謙虚に愚直にやれる、そういうチームかなと思っているので、そういう意味では少しずつそこに本物の力というか、厳しい戦いを通じて成長しているところもあると思います。その成長の部分と、あとは自分たちの色というか、ゲーム自体も11人ではなく20人でどう戦い抜くかということ、これからも連戦ありますし、そういうムードを作っていくことが、自分たちが目指すべきところに一歩ずつ近づいていくことになるのかなと思います。またそのチャレンジが今日できて、気づきと学びからそのチャレンジをしようというころに踏み切って、ひとつこの大きな成果が出たというのは、また違う景色の中で次の試合を迎えられるので、着実にそこの部分を積み上げていきたいと思います。
田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)
――試合を振り返っていかがでしたか
先週負けてしまった中で、まずは勝ててホッとしています。ただ、すぐに次の試合がやってきます。次に勝てなければこの試合の勝利は何の意味もないと思うので、すぐに切り替えて、連戦ではありますがチームとしてつながって乗り越えていきたいと思います。
――スタメンの変更もありました
ベンチのメンバーも雰囲気よくといいますか、前半からいい声を出して、苦しい時間も外から声をかけ続けられていました。それはここにいるメンバーだけではなくて、新人戦で勝っていたメンバーであったり、今日iリーグで勝っているメンバーを含めて、ここにいないメンバーも含めてア式蹴球部としてチーム全体で1週間雰囲気を作ってこられたのを、ここにいるメンバーが代表して表現しただけだと思っています。ここにいるメンバーだけではなくて、チーム全体でそういった雰囲気を作れたことが、この試合の空気感につながったかなと思います。
――前半は厳しい時間が続きました。ハーフタイムにはどのような声かけがありましたか
まだ時間もありましたし、自分たちがやってきたことを信じてやればなんの問題もないという声も出ていました。苦しい時間でも田部井だったりが、ずっといい声、プラスな声をかけ続けていました。それはベンチを含めてもそうです。そういったパワーがあったので、後半返していけるなという雰囲気がありました。あとはそれをピッチ上でチーム全員で体現するだけかなと、ハーフタイムは考えていました。
――後半のピッチ内はどういった雰囲気でしたか
ずっとゲームを支配して、点を取れる雰囲気を自分たちで作り出せていました。そこで取り切るところまで行って、逆転まで持っていけたのが、今までの積み上げだったかなと思います。ただ、何度も言いますがこれで何かを成し遂げたわけではないので。次に向けてまたいい準備をしていきたいなと思います。
――シーズン開幕前に、昨年度のような猛烈な熱量を表に出す選手は少ない中で、今季はつながりが重要になるというお話がありました。この試合ではまさにそれが存分に発揮されたのではないでしょうか
そうですね。ここにいるメンバーだけではなくて、新人戦とiリーグに勝ってこの試合に向かえているので。チームとしてのつながりでパワーを生み出して今日の勝利につなげられたのではないかと思います。
――中2日で次の試合がやってきます。意気込みを聞かせてください
この後から切り替えて、次に結果を出すための準備をするだけだと思います。リカバリーを含めて、頭も心も体も切り替えて。次必ず勝てるようにいい準備をチーム全員でしていきたいと思います。
田部井悠副将(スポ4=群馬・前橋育英)
――今日の試合いかがでしたか
最初良い形で先制できたんですけど、3点取られてしまって。でもチームの中で声かけとかコミュケーションのところとかはしっかりポジティブにチーム全員がやれたので、それが一個逆転できた要因の一つかなと試合をやっていて感じました。
――前半苦しい時間が続いたと思うのですが、どんな声かけを意識されていましたか
今年、前期で明大や日大に負けて、自分の力不足とか4年としての影響力の少なさというのは自覚していた中で、どんな状況でもチームを前向きにポジティブな方向に持っていかせようというのは、今日は前半キャプテンもやらせてもらったのでそこはすごく意識してやっていました。そこが後半への活力になったのはポジティブな要素かなというのは個人としてもチームとしても思っています。
――前半苦しい時間が続いたのはどこに要因がありましたか
良い形でポゼッションとか崩しのところまで行くところはできたんですけど、その後のリスク管理とか、1対1の強度のところで取られた瞬間の相手のスピードアップに対して止めきれなかったというのが一個あります。連続して失点してしまったところも結局一瞬の隙というか、あと何メートルを寄せきれなかったり詰めきれなかった結果が、失点に結びついてしまったというのが前半の課題だったかなと思います。
――ハーフタイムではチームとしてどんな声かけがありましたか
課題は明確にあったのでそこはしっかり修正して、1対1で負けないところだったりとかチャレンジした後のカバーのところを話し合いましたし、実際前半で自分たちがボールを回せる場面だったりとか突破する場面は作れていたので、あとはしっかり決め切るところと、チャレンジができる環境を自分たちの雰囲気として作り出すというのは、後半向かっていく中で自分たちが共通認識として持てたので、それが後半の4点につながった要因かなと感じています。
――後半は押せ押せの雰囲気でしたが、チームの雰囲気はいかがでしたか
交代選手含めてチームにパワーをもたらしてくれましたし、そこに対しての声かけとかチャレンジできる環境作りというのは自分含めて4年がしっかりコーチングできましたし、チームとしてポジティブな雰囲気を前半以上に持てていたので、それが連続得点につながったと思っています。
――4点目のシーンを振り返って頂けますか
得点には絡めたので、チームが勝てればそれで良いと思いますし、ただアタッカーとしては得点を取らなければいけないところは必ずあると思うので、そこは次節自分の課題として捉えて、しっかりチームを勝たせられるようにやっていきたいなと思っています。
――今日はフル出場になりましたがいかがですか
サッカー選手としては90分戦わなければいけないというところで、自分は後半のラスト20分くらいから少し足がつってしまっていて、そこはまだまだなところというか、90分チームのために何ができるかというのはサッカー選手として必要な要素だと思うので、そこはさっき言った決め切るところと、90分走り切る個人として課題かなと試合を通して思いました。
――キャプテンマークをつけてのプレーはいかがでしたか
ア式で4年間過ごしてきて、キャプテンというのはすごく偉大でしたし、ただそこと比べるのではなくて、自分は自粛を経て自分の中で変化をしてチームにもたらす影響というのは自信にもなっていたので、そこは自分らしくやるというのは自分の中で思ってピッチに入りました。またそこが一個3点取られた中でもチームとしてポジティブな雰囲気をもたらせたのは、そういったしっかり振り返ってやってきた結果が出たかなと思いますし、プラスに捉えています。