無得点に痛すぎるPK献上 リーグ戦3試合勝ち無しで8位転落

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第16節
早大 0-1
0-0
立正大
【得点】
(立正大)31’竹村俊二

 関東大学リーグで前半戦を4位で折り返した早大は、7月のアミノバイタルカップ以来2カ月ぶりとなる公式戦に挑んだ。今節(16節)の対戦相手は4節で試合終了間際に得点を与え、引き分けに終わった立正大。試合は31分、パスミスからチャンスを作られPKを献上し先制点を許した。左サイドを中心に好機は作ったが決め切れない早大。終盤には前線のメンバーや配置を代えるも得点には及ばず、0―1の敗戦に終わった。

最前線でも存在感を示した安斎

 2カ月ぶりの公式戦で試合勘が鈍っていたのか、コンディションがいいとは言えなかった。その中でも9分、DF森璃太(スポ2=川崎フロンターレU18)がクロスのこぼれ球に反応し豪快なボレーシュートを放つ。ボールは惜しくもバーの上を通ったが印象的であった。序盤は攻守の切り替えが早い立正大に苦しむも、左サイドの攻撃から徐々に流れを掴み始めた早大。すると27分、今度は右サイドの崩しから良い体勢でボールを受けたMF杉田将宏(スポ4=名古屋グランパスU18)がそのままシュートを放つが、ゴールの左を転がっていった。早大に勢いがつき始めた最中、ミスが出る。30分、先日福島ユナイテッドFC加入が内定したGK上川琢(スポ4=湘南ベルマーレユース)のパスミスからボールを失い、ペナルティーエリアでシュートブロックを試みた森のタックルが遅れて入ってしまいPKを献上してしまう。上川はコースこそ読めたがキッカーが1枚上手。流れをつかんでいただけにミスからの失点は痛かった。それでも38分、森が左サイドでクロスのこぼれ球を回収し、ドリブルでそのまま中へ切り込んでコントロールシュート。右側のポストをかすめる非常に惜しい場面だった。

復帰戦ながら果敢な仕掛けをみせたMF西堂久俊(スポ3=千葉・市船橋)

 ミスから失点したものの、直後にビッグチャンスを作るなど流れを維持したまま後半に突入した早稲田。その勢いを後半開始早々チャンスにつなげる。48分、左ワイドレーンで抜け出した杉田のクロスのこぼれ球に、この試合から背番号10を付けることになったMF田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)が反応。決定機ではあったがシュートは相手GKの好セーブに阻まれた。新10番はこの後も果敢にゴールを狙う。62分、杉田のミドルシュートがブロックされるもそのこぼれ球にボレーで反応。ここも相手GKに阻まれる。終盤になりFW安斎颯馬(社1=青森山田)を右ウィングに移動させたことで右サイドでも攻撃が活性化。しかし62分以降決定機を迎えることはなかった。試合は0−1で敗戦。結果的にPKを与えてしまったミスを悔やむ形となってしまった。

 「試合中どんなに苦しい時でもつながって一緒に戦う」(上川)。後期開幕直前の活動休止もあり、チームとしても個人としても難しい状況だった。結果としては負けてしまったが、内容が悲惨というわけではなかった。攻撃のリズムをつかみきれない中でビッグチャンスはあり、守備面でも相手には7本しかシュートを打たせていない。試合数が他大に比べて少ないが16節を終えて現在8位。まずは上位浮上、そして大逆転優勝に向けて早大は『繋がり』始める。

(記事 前田篤宏、写真 長村光、大幡拓登)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 31 上川 琢 スポ4 湘南ベルマーレU18
DF 柴田 徹 スポ3 湘南ベルマーレU18
DF 15 中谷 颯辰 基理2 静岡学園
DF 鈴木 俊也 商3 東京・早実
DF 25 森 璃太 スポ2 川崎フロンターレU18
→83分 14 田部井 悠 スポ4 群馬・前橋育英
MF 山下 雄大 スポ3 柏レイソルU18
MF 11 西堂 久俊 スポ3 千葉・市船橋
→64分 大西 翔也 スポ4 浦和レッズユース
MF 17 植村 洋斗 スポ2 神奈川・日大藤沢
→76分 小倉 陽太 スポ2 横浜FCユース
MF ◎10 田中 雄大 スポ4 神奈川・桐光学園
MF 30 杉田 将宏 スポ4 名古屋グランパスU18
→68分 奥田 陽琉 スポ2 柏レイソルU18
FW 19 安斎 颯馬 社1 青森山田
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
法大 26 15 25 21
明大 26 15 22 18
駒大 23 13 24 22
桐蔭横浜大 23 16 26 30 -4
順大 22 15 22 22
流通経大 21 12 29 17 12
筑波大 19 13 25 21
早大 18 12 11 12 -1
立正大 17 14 17 20 -3
10 国士舘大 15 13 17 20 -3
11 慶大 12 15 16 24 -8
12 拓大 11 13 17 24 -7
※9月19日終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――活動休止期間があっての後期開幕戦となりましたが、どのように感じられましたか

残念な結果になりましたが、まずそういった活動停止期間がありながらも、なんとか部員全員でそれを乗り越え、そして西が丘という場所でリーグ戦の舞台に復帰することができ、うれしく思っています。

――休止期間中はどのような考えをもって強化を進められたのでしょうか

当然、ピッチで集まることができないという日も多くありましたが、自主トレーニングやオンラインでのミーティングの際にも、チームとしてなんとか分断することがないよう意識してきました。シーズンの真っただ中、チームとしての繋がりを大切にしながら、活動休止という活動を続ける、というイメージをもって取り組んできました。

――今日ワントップで安斎選手を起用されましたが、どういった意図があったのでしょうか

彼は仕掛けやプレッシングなど、前への推進力を持った選手であり、そういった部分に期待して起用しました。立正大のディフェンスラインには高さがあったので、それに対して我々はピッチを広く使って相手に揺さぶりをかけ、相手ディフェンスラインの間をついていこうという考えもありましたし、相手からのプレッシングをひっくり返すことができる、そういった走力の部分にも彼に期待していました。実際に何度も仕掛けるシーンはありましたし、結果的にゴールに結びつけることはできませんでしたが、タフに戦ってくれたと思います。

――後期が開幕し、加藤選手の離脱が気になるところになってきそうですがどのように考えていますか

今日の試合、得点がなかったことでそういった点がフォーカスされるかもしれません。しかし、今日でいえば安斎や奥田、当然彼らだけではなく、才能や点を取りに行くという思いを持った選手たちは他にもたくさんいます。そういった選手たちが、自身の力を引き出して、この舞台で体現できるよう取り組んでいきたいと思います。

――前期は下級生が頑張ってくれていた中で、今日は上川選手や西堂選手が復帰しましたが、どのように評価されていますか

まだまだな部分はありますが、しっかりとプレーしてくれました。今日の敗戦は残念ですが、彼ら自身もこの舞台でプレーしながら見えてきたものはあったと思いますし、今日の試合で得ることができた経験は、必ずポジティブな方向に持っていけるという自信はあります。そういった意味では、彼らがずっと調整し、向き合ってきたこれまでの期間を踏まえても、逆に大きな手ごたえを得ることができたのではないかと思っています。来週以降も続く連戦に向けて、またしっかりと見つめ直していきたいと思います。

――先日プロ内定が発表されました上川選手ですが、監督から見てこの4年間、彼のどういったところに成長を感じますか

身長が高くないながらも、前に出ていくプレーやキック、そしてチームの雰囲気作りということに関して本当に長けている選手です。2年前にはチームの歴史的残留に大きく貢献してくれましたし、去年もチーム内に競争をもたらしてくれました。今年は、最高学年として、先輩たちから引き継いできたものを背負って戦おうという気合は感じますし、今日もそういった意味では安定していたと思います。今後続く関東1部リーグの舞台で、この4年間彼が得てきたものをしっかり証明して次の世界へ行ってほしいと思います。

上川琢(スポ4=湘南ベルマーレユース)

――今日の試合を振り返っていかがですか

今日は自分がけがをして久々に臨んだ試合で、試合に出るのも昨年のアミノ杯ぶりだったということで、自分としてもチームとしてもシンプルにやろうという中で、最初の方は自分の持ち味であるキックのところで相手をひっくり返すといったところはできました。試合の中盤に自分の明らかなミスからPKを誘発してしまって、結果0-1で負けてしまったというところで、まだまだ自分が試合に入るというところだったり、その感覚だったりというところを言い訳にはできないですけど、練習からもっと意識してやっていかなければいけないなと突きつけられた試合でした。

――後期開幕戦に向けてチームとしてどのような準備をしてきましたか

度重なる活動休止を挟んで、チームとしては難しい中でしたけど、その中でも個人個人が自分の取り組むべき課題に取り組んだ中で、活動休止明け1週間という短い間でしたけど、チームの中で共通認識として『繋がる』というところ、試合中どんなに苦しい時でも繋がって隣の人と一緒に戦うというのを意識して、横断幕にもそれを掲げて、チームとしては1個そういう目標を持ってやっていました。

――プロ内定リリース後初の試合ということでこの試合にかける思いというのはありましたか

前期、自分は開幕前にJクラブの練習に参加して「自分がもっとやってやる」という思いを抱いて、昨年は山田晃士さん(令3社卒=現ザスパクサツ群馬)に感化された中でのけがでした。その状況でもピッチ外での取り組みというところは外池監督はじめ多くのスタッフの肩から促されて取り組んだ中で、自分が今度はピッチ内で結果を残そうと思ったのですが、今日はチームを良い方向に持っていけたし、悪い方向にも運んでしまったというところは、いざ自分が注目をされている中で結果を残さなければならないというところは自分の課題だと思っているので、こういう風に注目されている中でも自分の特徴を発揮したり、チームを勝たせたり、というところをやっていかなければいけないなと思います。

――加藤拓己選手(スポ4=山梨学院)のけがもあって、4年生として思いを共有しているところもあると思うのですが

前期は加藤がやっぱり苦しい時でも引っ張ってくれたというところで、4年生としてはけがで出場できるか分かりませんけど、12月のインカレまでチームとして活動できる期間を伸ばしてゴリが帰ってこられる場所をつくるという思いは持っています。

西堂久俊(スポ3=千葉・市立船橋)

――今日の試合を振り返っていかがですか

僕自身、公式戦が約5カ月ぶりで自分としても分からない中で始まって、手応えとしては良くも悪くもない微妙な感じだったんですけど、できたことだったり確かな手応えだったりというのは自分の中である部分もあるので、そういったところをプラスに捉えて、これから試合もどんどん入ってくるので、徐々にですけどより良い状況に持って行けたらなと思います。

――けがをしていた期間、同じポジションの1年生の活躍はどのように見ていましたか

1年生の活躍はプレッシャーになって、焦りもあったんですけど、そこは良い意味で気にしないで僕自身がやるべきことをやってこられて、そしてこうしてピッチに戻ってこられましたし、1年生の活躍は間違いなく僕ら上級生にとって刺激になっているので、チームとして1年生の台頭というのはすごく大きなポジティブな要素かなと思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

前期何もできなかった分、後期は何としても結果を残して得点、アシストというところで、数字で示して、チームの勝利に貢献するというところを第一に、仲間のためにチームのために走りたいと思います。