奥田が2発! 完封勝利で城西大を下す

ア式蹴球男子
アミノバイタルカップ2021 第10回関東大学トーナメント大会 兼 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント関東予選
早大 2-0
0-0
城西大
【得点】
(早大)12’、43’奥田陽琉

 昨年、早大はアミノバイタルカップ(アミノ杯)で4年ぶりに決勝に進出。流通経大相手に死闘を演じたものの、目の前に迫った栄冠をつかみ取ることはできなかった。そんな早大の思いが詰まったこの大会。昨年の『忘れ物』を取りに行く戦い、そして一戦必勝の戦いが今年も幕を開けた。1回戦の相手は昨年と同じく城西大。試合は、12分にFW奥田陽琉(スポ2=柏レイソルU18)が頭で合わせて早大が先制すると、43分にも相手のミスを見逃さず奥田がこの日2点目となるゴールを奪う。後半も主導権を握り、2点のリードを守り抜いて完封勝利を果たし、アミノ杯2回戦進出を決めた。

相手選手に囲まれながら先制ゴールを奪った奥田

 早大は、DF柴田徹(スポ3=湘南ベルマーレU18)とDF森璃太(スポ2=川崎フロンターレU18)の両サイドバックが高い位置を取り、MF山下雄大(スポ3=柏レイソルU18)がCBの間に入ることでビルドアップをサポート。また両サイドハーフのMF杉田将宏(スポ4=名古屋グランパスU18)、MF田部井悠副将(スポ4=群馬・前橋育英)の裏への動きで生まれた中盤のスペースを有効に使いながら、攻撃を組み立てていく。迎えた12分、その攻撃で試合が動く。GKヒル袈依廉(スポ1=鹿児島城西)が最後方から前線へロングフィード。杉田が競り勝ち奥田がボールを収めると、最後はMF田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)がシュートを放つ。これは相手DFに阻まれるが、セカンドボールを拾いゴール左の杉田に浮き球のパスを供給。杉田からのクロスボールにニアで待っていた奥田が頭で合わせ、序盤に早大が先制点を挙げる。続く19分には右サイドでの流れるようなパス交換から森のグラウンダー性のクロス、20分には田部井の意表をついたロングシュートで相手ゴールを脅かす。しかし32分、右サイドでのスローインから相手にPA内への進入を許しピンチを迎えるが、マイナス方向のボールを杉田がクリアしシュートは打たせず。そして43分、中盤でのこぼれ球をMF平松柚佑(スポ2=山梨学院)が右サイドに展開。森からゴール前へと送られたクロスは相手DFに当たるも、浮いたボールを奥田が落ち着いて流し込んで1点を追加。2-0と早大リードで試合を折り返す。

追加点を呼び込んだ森

 ハーフタイムで、田部井に代えてMF安斎颯馬(社1=青森山田)をピッチへ送る。後半に入っても、ゴールに向かう早大の姿勢は変わらない。53分、敵陣でボールを奪い、右サイドの安斎に預ける。供給されたクロスに杉田が左足で上手く合わせるが、ボールは枠の左へ。中盤にかけて相手にシュートまで行かれる場面が増えたものの、早大は集中した守りで全て弾き返し、また交代選手を次々投入してフレッシュさで上回り試合を優位に進めていく。81分、交代で入っていたMF水野雄太(スポ3=熊本・大津)が左サイドを攻め上がり、中央の田中にパス。ボールを受けた田中はグングン加速し、巧みなドリブルで1人かわしてシュートを放つが、相手GKの好セーブに遭う。直後の82分、城西大にこの試合最大の決定機を作られる。左サイドを崩されクロスを上げられると、ニアでのフリックからゴール正面でヘディングシュートを浴びる。しかしここはヒルが優れた反応で体で防ぎ、ゴールラインを割らせない。その後も危なげない守りで確実に時計の針を進めた早大は、2-0のクリーンシートで1回戦を突破した。

 2列目に杉田、田中、田部井ら4年生を並べ、ボールをどう動かすかだけでなくコミュニケーションを求めたこの一戦。外池監督が「2021シーズンの早稲田を担うチーム、早稲田の『顔』」と位置付ける今年のア式。その中でもア式の『顔』とも言える4年生が『DRIVE』を体現し、チームに落ち着きと勝利をもたらした。またこの日2ゴールの奥田に対しては「本来持っているFWとしての素質が体現された」と指揮官は賛辞を贈った。中1日での試合と予測できない空模様が続くが、「こういうのを言い訳にしているようではそこ(優勝)には届かない」(外池)。厳しいコンディションの中でも一戦一戦相手に立ち向かい、『1を積み上げ』たその先に、追い求める栄冠が待っている。

(記事 長村光 写真 水島梨花、橋口遼太郎)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 46 ヒル 袈依廉 スポ1 鹿児島城西
DF 25 森 璃太 スポ2 川崎フロンターレU18
→74分 19 水野 雄太 スポ3 熊本・大津
DF 24 西田 翔央 商3 東福岡
DF 鈴木 俊也 商4 東京・早実
DF 柴田 徹 スポ3 湘南ベルマーレU18
→66分 27 平野 右京 人2 兵庫・滝川
MF 13 平松 柚佑 スポ2 山梨学院
MF ◎8 田中 雄大 スポ4 神奈川・桐光学園
MF 山下 雄大 スポ3 柏レイソルU18
→84分 26 伊勢 航 社1 ガンバ大阪ユース
MF 14 田部井 悠 スポ4 群馬・前橋育英
→HT 17 安斎 颯馬 社1 青森山田
FW 奥田 陽琉 スポ2 柏レイソルU18
→66分 32 東 廉 スポ1 清水エスパルスユース
FW 30 杉田 将宏 スポ4 名古屋グランパスU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――2週間空きましたがこの試合に向けてどんな準備をしてきましたか

まずは前期をしっかりと整理してということで、振り返って、我々としてアミノバイタルカップをセカンドステージと位置付けて、ファーストステージの前期の課題、それから成果と、現実と。シーズン頭は我々の理想としてこういうサッカーをやっていこうというところがありましたし、そういうビジョンを掲げてきたけれども、実際に前期を終えて自分たちが現実的にどういったものと向き合わなければならないのか、というところの整理をしたというのが、非常に大きな振り返りであったと思います。

――昨年と同じく城西大との対戦になりました。分析はいかがでしたか

まずは自分たちがセカンドステージに向けてどういう取り組みをするかというところをこの2週間とか10日間くらい明確に、戦術的なところを含めて改善をしました。そこをしっかりと出すというところと、なによりもセカンドステージに向けてのマインドセットというか、我々がもう一度何を目指すのか、そういったところをしっかりと表現できるようにというところと。その中で今日試合前に話していたことは、我々はやはり今年の早稲田を、2021シーズンの早稲田を担うチームだと思いますし、早稲田の顔としてサッカーをやっている、そういう組織だと思うので、その我々としての顔を作り上げていく上で、良いこととかスマートさを求めるのではなくて、喜怒哀楽があっていいし、しっかりと表情とか、何が自分たちにとって良い顔なのかというのを見つめて、そこに向かっていく。あと何ヶ月かで4年生も引退になってしまうので、その時に自分たちが胸を張ってシーズンを戦ったと言えるような、自分たちの顔というものを共有して、お互いに自分たちが良い顔をしてサッカーに取り組めているのかとか。我々としての本質のところをもう一回確認して試合に臨みました。

――田部井選手にはどんなプレーを期待しましたか

田部井と杉田と田中がちょうど2列目というか1.5列目なので、4年生としてドライブするとか。特に中盤の選手たちには前期の課題としてボールを持ってどうするかということだけでは無くて、チームをどう動かせるかとか繋がりを作れるかとか、そういうコミュニケーションのところにひとつの評価軸とかテーマを置いたので。そういう意味では2週間の競争の中で彼らが4年生としてそれを体現してくれていて。そこに名乗りを上げて今日ピッチに立ったというのは、このゲームを見つめる上では心強かったなと思います。

――田部井選手が45分の出場になったのはプラン通りなのですか

田部井はちょっと接触があり足を痛めていたので、大事をとって変えたという感じです。

――奥田選手には前半で2ゴールありました

彼も満を辞してというところがあったと思います。あたりまえにカップで結構点を取ってブレイクしてきたのに、なかなか前期出場時間がなかったので。その苦しんだものとか、そこに対して改めてもう一回、自分の課題に対して向き合うというところになったと思います。また加藤拓己(スポ4=山梨学院)のコンディションの問題もあったので、そういったところに対して今FW陣の中でもそこに対してしっかりと向き合おうというところで、本当に強い思いを持って臨んでくれたと思いますし、彼はそういう意味では生粋のストライカーというか。ああいったファーストチャンスで決められるとか、そういう抜け目の無さみたいなところでいうと、彼本来持っている魅力というか、FWとしての素質がしっかりとこの試合で体現できたのかなと思います。

――安斎選手がサイドバックに回る場面もありました。その起用はプランの中にあったのですか

プラン通りでは無くて、この後のゲームのことも含めてです。我々はサイドバックのアップダウンが多いですし、その中で徹も久々に戻ってきて良いプレーをしてくれていました。しっかりとこの大会を次に繋げられるかどうかというのがポイントになってくると思うので、そういった意味でこの遠征メンバーに来ている全員がその状況に対してしっかりと向き合うという意味では、安斎は明大戦で接触をして病み上がりになりますがタフに戦ってくれるなと思います。いろいろな挑戦というか、トライができたゲームだったと思います。

――今少しお話がありましたが、これから中1日での試合も入ってきます。選手起用についてお聞かせてください

とにかくリカバリーをして。コンディションが重要ですので。とにかく早くバスに乗ってもらいたいです(笑)。(豪雨の中、選手たちが後片付けを行っていたため)。でもみんな若いんで。いろいろなイレギュラーとかアクシデントみたいなものを、いい経験にして。チームとしても個人としてもたくましくなっていくということも大事だと思うので。こういう中でまた一つ、生まれるものもあるのではないかと思います。

――伊勢選手、東選手もトップチームで初出場となりました

そうですね。彼らもFCから実績を積んで、みんなに応援されてというか、しっかりと成長をしてきてこの場を掴んできたので、この彼ら2人が試合に出たということは我々の部としてとても勇気になるような出来事だと思いますし、これからセカンドステージに向かうにあたってそういう循環があったり、常に新しいエネルギーが生まれているということが我々の強みだと思うので。確かにけが人が出たりということもありますが、そういうことを全体で乗り越えるためにというか。そういう大会にしていきたいと思います。

――中1日の次節に向けてのお気持ちを聞かせてください

自分たちができる準備をしっかりとして。(雨への対策など)そういった部分も問われてくると思うので、そういった意味では我々早稲田の顔としては、そういう自己管理だったりこういう状況の中でも、しっかりと大会をリードしていける存在になるためには、こういうのを言い訳にしているようではそこには届かないと思うので。いい意味でこういうのを楽しめる、そういう空気を作っていきたいと思います。