王者明大にまたも苦杯 前半戦は4位で折り返し

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第11節
早大 0-1
0-2
明大
【得点】
(明大)15’藤原 悠汰、64’田中 克幸、79’佐藤 恵允

 引き分けに終わった順大戦から中2日。昨季はシーズンダブルを喫した明大に対し、ア式はリベンジを誓い試合に臨む。しかし、前半にセカンドボールを拾われるかたちで失点すると、後半も攻撃のかたちをつくれず、追加点を許し試合終了。またも辛酸をなめる結果となった。

明大ゴールを脅かした大西

 中2日での試合が続くなか、前節と大きなメンバー変更はなく試合に臨む。ホイッスルが鳴ると、一進一退の攻防が続く展開に。早大は、ルーキー光田脩人(スポ1=名古屋グランパスU18)の個人技や鈴木俊也(商3=東京・早実)のロングフィードなどで、攻撃を形成するも決定的な機会を作れずにいると、先制点を奪ったのは明大だった。左サイドから放り込まれたクロスを一度はクリアしたものの、エリア内でセカンドボールを拾われると、明大・藤原悠汰に左足を振り抜かれ失点してしまう。追いつきたい早大に最大のチャンスが来たのはその10分後。光田のスルーパスに反応した加藤拓己(スポ4=山梨学院)が裏に抜け出しシュートを放つもこれはキーパーに阻まれる。さらに、左サイドで得たFKを森璃太(スポ2=川崎フロンターレU18)が綺麗に蹴り込み、大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)が頭で合わせるが、これもキーパーが抑える。その後も両サイドバックのオーバーラップなど、主にサイドからの攻撃で、好機を演出するも得点に至らず、前半は終了。

長期離脱から復帰を果たした田部井。副将の復調がチームの鍵となる

 後半は連戦の疲労からか、運動量が落ち、相手に攻め込まれる展開に。それでも鈴木や中谷颯辰(基理2=静岡学園)を中心としたブロックで耐える戦いを見せる。このまま苦しい時間帯を凌ぎ切り、少ないチャンスをものにして反撃に出たい早大であったが、再びゴールネットを揺らしたのは明大だった。64分、大西からのバックパスを処理したGKヒル袈依廉(スポ1=鹿児島城西)のパスは不運にも田中克幸(明大)の足元へ流れ、そのままのシュートで失点。2点差とされたなか、途中出場の水野雄太(スポ3=熊本・大津)や植村洋斗(スポ2=神奈川・日大藤沢)を中心に、何度か敵陣に攻め込み、点を奪いに行く姿勢を見せるも、フィジカル面で勝る相手の堅い守備は、崩せなかった。79分には、ゴール前でうまく反転した佐藤恵允(明大)に放たれたシュートが決まり、これで勝負あり。またも王者明大に屈することになった。

 前期の最終戦となった今節、攻めては無得点、守ってはミスも絡み3失点という結果に終わった。強豪と目される法大や流通経大を下し、勢いをつける一方で、この試合のように課題が明確になった部分もあるだろう。「見つめ直していかなければいけない部分や、突き詰めていかなければいけない部分が、まだまだたくさんあるということを今日の試合で改めて痛感しました」と語るのは、主将としてチームをけん引する田中雄大(スポ4=神奈川・桐光学園)だ。後期のリーグ戦が始まる前に控えるのは、2週間後のアミノバイタルカップ。ア式は、自身にベクトルを向け、愚直に泥臭く鍛えた上で、まずは一発勝負のカップ戦に挑む。

(記事 青山隼之介 写真 長村光)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 46 ヒル 袈依廉 スポ1 鹿児島城西
DF 25 森 璃太 スポ2 川崎フロンターレU18
DF 15 中谷 颯辰 基理2 静岡学園
DF 鈴木 俊也 商3 東京・早実
DF 大西 翔也 スポ4 浦和レッズユース
MF 13 平松 柚佑 スポ2 山梨学院
→65分 19 水野 雄太 スポ3 熊本・大津
MF ◎8 田中 雄大 スポ4 神奈川・桐光学園
MF 山下 雄大 スポ3 柏レイソルU18
→88分 30 杉田 将宏 スポ4 名古屋グランパスU18
FW 33 安斎 颯馬 社1 青森山田
→53分 12 倉持 快 人4 神奈川・桐光学園
→76分 14 田部井 悠 スポ4 群馬・前橋育英
FW 10 加藤 拓己 スポ4 山梨学院
FW 34 光田 脩人 スポ1 名古屋グランパスU18
→60分 20 植村 洋斗 スポ2 神奈川・日大藤沢
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 21 11 18 14
法大 20 11 17 11
駒大 19 10 19 18
早大 18 11 11 11
順大 16 11 19 18
筑波大 15 11 18 19 -1
流通経大 13 21 13
桐蔭横浜大 13 11 19 24 -5
慶大 11 11 14 18 -4
10 立正大 10 10 11 16 -5
11 拓大 12 14 -2
12 国士舘大 12 −3
※6月26日終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――今日はどんなテーマで挑まれましたか

リーグの中で力のある明大でしたので、それに対して我々が前期やってきたもの、自分たちのスタイル・形をしっかり出そうということ、日頃から大事にしているものを再認識ということで、謙虚に愚直に泥臭くというところと、あとはサッカーのベースのところである走る戦う、特に戦うは自分自身、自分自身というのは本当に現実として明大は中1週間空いてというところだけども、我々は中2日と中2日の中のゲームなので自分自身に負けない、そういったところの戦いをしっかりやっていこうというところがテーマでした。

――そのテーマに対する評価はいかがでしたか

正直やっぱり失点の仕方のところがミスというのもありましたし、そこのミスに対してそのミス自体の問題というよりかは、そのこと自体を空気として作らないような、そういう集中力だとか全体のつながりみたいなものが欠けてたなと思います。逆に言うと明大さんはそこのベースの部分を、なかなか明大さんとしてもチーム状況が上手くいっていなかった中で、そこをしっかり修正してきたなと思います。明大らしさというものを改めて感じさせられるというか、そこに差が出てしまった試合だったなと思います。

――安斎選手や光田選手がスタメンで起用されて、1年生は疲れが出てくる時期かなとも思うのですがその点はいかがですか

今シーズン本当にどのチームが勝ってもおかしくないというか、前期振り返っても全て拮抗(きっこう)したゲームだったと思いますし、そういう中で1年生というか学年問わず、日頃の中でどういうことをやっているのか、どういうものを示せているのかというところに対してフェアに選手選考はしているつもりなので、今日は試合が続いたことによる疲労感というものは1年生たち、袈依廉の2失点目のところもそうでしたけど、そういうちょっとしたところに出てしまったなと思います。ただ彼ら自身はこの厳しい関東リーグという舞台に当然初めて入ってきてますし、彼らが1年生でこの経験をしたということはチームにとって大きいと思います。僕はその伸びしろの部分は期待したいなと思っています。

――前期のリーグ戦はこれで終了となって、カップ戦が始まっていきますがどのようなことが重要になってくると思われますか

今日終わった後に来てる4年生一人一人がこの試合を振り返り、またこの前期を振り返る中で、改めて負けて気づくこと、本来はすべきじゃないというみんなの認識の中でそれぞれが自分自身にベクトルを向けた、大きな課題だったり覚悟みたいなものを、この試合終わった後すぐではありましたけれどもかなり共有できました。改めてですけど我々としてはもう一つ二つ三つ鍛えていかなければいけない中で、早大は4年生がチームを作りますし、これからの巻き返しというかリバウンドメンタリティの部分は期待したいですし、そこの部分は間違いなく必要になってくるので、混戦でもありますからそこの部分がしっかり上積みされれば、逆にリーグを引っ張れる存在になれるなという手応えは感じた前期だったので、2週間空いてしっかりリフレッシュした後に、アミノ杯という舞台でまたそこに挑戦していきたいなと思います。2週間の中でもしっかり鍛えてそこにみんなで向かっていきたいなと思います。

田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)

――どのような戦略を考えていましたか

中2日での試合になったので、まずはしっかりとコンディションを整えて良い状態で試合に臨むということ、そして前期最後の試合で、自分たちが今まで積み上げてきたものをすべて出し切って戦うということを、チーム全体で共有して良い準備をしてきました。

――中2日の日程になりましたが、どういった影響がありましたか

順大戦、法大戦と厳しい試合が続き、本当にタフなゲームになりました。ただ、ハードスケジュールであったことは、言い訳にしかならないと思っていて、状況を受け入れた上で戦うしかないということは共有できていたので、大きな影響があったとは考えていません。

――自身のコンディションはどうでしょうか

今シーズンは怪我からのスタートだったんですが、復帰後は特に違和感もなくやれています。5か月程試合に出られていなかったので、復帰直後は体力面での疲労はかなりありましたが、早稲田の代表として、そして主将としてこのピッチに立っている以上、言い訳をせず、常に100%の力を出し切れるよう準備をしているつもりです。

――2018年(平30年)のリーグ優勝以来のタイトル、意識していると思いますが

今日こうして負けてしまいましたが、全く終わりではないですし、優勝を狙える位置にいると思います。ただ、見つめ直していかなければいけない部分や、突き詰めていかなければいけない部分が、まだまだたくさんあるということを今日の試合で改めて痛感しました。アミノバイタル杯を挟んでまずしっかり巻き返して、早稲田として勢いを持って戦っていきたいと思います。

中谷颯辰(基理2=静岡学園)

――早稲田の攻撃の組み立てに関して、どういった評価をしていますか

前半に失点をしてしまいましたが、そこからチーム全体で少しずつ修正して、ボールを持つ時間が増えていった中で、いくつかチャンスを作ることができました。DFとして、後ろからの組み立てという部分では、もう1つ何か、ここで仕留めきるぞ、というようなメッセージを持ったパスを出せていれば、もっとチャンスを作ることができたと思いますし、試合の展開も違うものになっていたと思います。

――大学での2年目、何か感じるものはありますか

去年から練習はトップチームでやらせてもらっていたものの、なかなか試合に出場することができていませんでした。ずっと、(試合に)出たらやれる、という思いでやってきて、今シーズンの6節、駒大戦でデビューすることができたんですが、結果自分のところから2失点してしまい、やはり関東の舞台は甘くないな、と。そういったことからもう一つギアを上げて練習に取り組み続けた中での、この三連戦、一戦目の法大戦、二戦目の順大戦と、後ろの選手として失点0で行けたことは自信につながりました。ただ最後の明大戦、過密日程だったことは抜きにして、三失点。守備の選手として、物足りなさや、責任感の無さという部分は感じましたし、チームとしても個人としても、もう一段階上げていかないと、目標として掲げている優勝は見えてこないなと思っています。