連続失点から後半、巻き返しを図るも追いつけず今季リーグ戦初黒星

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第6節
早大 0-2
1-0
駒大
【得点】
(早大)52’オウンゴール
(駒大)32’荒木 駿太、34’宮崎 鴻

 流通経大に逆転勝利を収めたリーグ戦前節から2週間の準備期間を経て早大が対するのは、先週、天皇杯東京予選で優勝し、今最も勢いのある駒大。早大はここで勝利し、再び連勝街道に乗りたいところだが、試合は前半、縦に速い攻撃を仕掛ける相手に苦戦し、32分、34分と連続失点で2点のビハインドを背負う。52分にはオウンゴールで1点を返し、その後も攻め続けるが仕留めきれず、今シーズン初黒星を喫した。

ゲームキャプテンとしてチームを鼓舞した加藤

 序盤は、駒大のロングフィードに今季初の3バックで挑み危なげなく対応した早大。攻撃も中盤の構成で上回り、サイドチェンジ、流動的なポジショニングなどでボールを握ることが出来ていた。しかし、ゴール前の部分では力強さが足りず、決定機まで持ち込めない。すると32分、セカンドボールを拾ったMF荒木駿太(4年)にペナルティエリア外からミドルシュートを決められ、一瞬の隙を駒大に突かれる。さらに早大は続く34分、自陣でのミスから最後はFW宮崎鴻(4年)に沈められてしまう。38分にもピンチを迎えるが、GK公文翔(スポ4=東農大一)のビッグセーブで失点を何とか回避する。以降、攻撃は見せ場を作れず前半は0-2で折り返す。

鋭いクロスからオウンゴールを呼び込んだ安斎

 後半は一転、ハーフタイムの外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)が送った「綺麗に点は奪えない。泥臭くやらないと」の言葉通り、早大は『DRIVE』を体現し始める。特に輝いていたのは、前半終了間際に途中出場した1年生コンビのMF安斎颯馬(社1=青森山田)とMF光田脩人(スポ1=名古屋グランパスU18)。外池監督が求めたのは「推進力、攻撃の厚み」。その期待通り、2人は高い位置を取り、積極的に仕掛ける姿勢を見せ相手に脅威を与えていた。後半開始早々には、裏へ抜け出した光田がつぶれ、こぼれ球を拾ったFW加藤拓己(スポ4=山梨学院)がカットインから右足を振りぬくが惜しくも枠を外れる。そして52分、安斎がサイドを突破しグラウンダーのクロスを中へ、これを相手DFが処理しきれずオウンゴールで1点を返す。その後は、攻撃に人数をかける早大に対し、駒大もカウンターで反撃し一進一退が続く。その中でもリーグ初出場のDF中谷颯辰(基理2=静岡学園)、後半途中からリベロの役割となったMF小倉陽太(スポ2=横浜FCユース)を中心に粘り強く守る。70分、MF山下雄大(スポ3=柏レイソルU18)のスルーパスから最後は途中出場のMF杉田将宏(スポ4=名古屋グランパスU18)がゴールネットを揺らすもオフサイドの判定。83分、85分にはいずれも山下のクロスから安斎、加藤と狙うも枠の外。最後までゴールを目指したが得点は奪えず、1-2で今季リーグ戦初の敗戦となった。

 結果としてはリーグ初黒星。関東リーグは難しい戦いだということを改めて感じさせる試合であった。加藤も「まだ終わったわけではないので下を向く必要はないが、課題に向き合う必要はある」。外池監督も「敗戦から学ぶこともあるが、こういう負け方をしては優勝できない」と自らにベクトルを向ける。早大が目指すのはタイトルであり、そのためにはさらに何層も上積みをしていかなくてはならない。3バックの経験、安斎と光田の1年生コンビの活躍を好材料に、そしてこの敗戦を糧に、さらに強いチームを今後見せてくれるはずだ。

(記事 小林慎治 写真 内海日和、長村光)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 31 公文 翔 スポ4 東農大一
DF 24 西田 翔央 商3 東福岡
→69分 12 倉持 快 人4 神奈川・桐光学園
DF 15 中谷 颯辰 基理2 静岡学園
DF 鈴木 俊也 商3 東京・早実
MF 柴田 徹 スポ3 湘南ベルマーレU18
→40分 33 安斎 颯馬 社1 青森山田
MF 小倉 陽太 スポ2 横浜FCユース
MF 山下 雄大 スポ3 柏レイソルU18
MF 19 水野 雄太 スポ3 熊本・大津
→40分 34 光田 脩人 スポ1 名古屋グランパスU18
FW 20 植村 洋斗 スポ2 神奈川・日大藤沢
→57分 13 杉田 将宏 スポ4 名古屋グランパスU18
FW ◎10 加藤 拓己 スポ4 山梨学院
FW 28 丹羽 匠 スポ3 ガンバ大阪ユース
→88分 奥田 陽琉 スポ2 柏レイソルU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 16 12
法大 13 10
早大 13
駒大 12 15 12
流通経大 10 15 11
筑波大 10
国士舘大
順大 12 13 -1
桐蔭横浜大 10 15 -5
10 立正大 10 -6
11 拓大 -2
12 慶大 -6
※5月16日時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

対駒大ということで、サッカーの本質が問われるというのは戦前から予想はしていて、そこに対して向き合いつつ自分たちの形というか、自分で攻撃だったりそういったところをつくっていこうというのはありました。かなりそこに対しての対応とか意識は一週間かけて準備はしてきたのですが、結果的にその2点の取られ方がシンプルにそのチャレンジとカバーの隙を突かれた失点だったので、連続失点みたいなところも含めてですけど、自分たちにはまだ甘さがあるなと思いました。

――駒大の攻撃への対応は

今日は後ろを3枚にして、しっかりチャレンジをしつつ、カバーリングというところの意識と、その枚数をイメージして対応はしていたのですが、そこの部分をやられてしまいました。純粋にその追求が甘かったなと思います。

――加藤選手はキャプテンマークを巻いてチームを引っ張っていましたが

全然悪いというのはないですが、やっぱりこういう状況の中でチームを勝たせるということが体現できなかったというところはまだ足りないのかなと思います。4年生としてというところもありますし、奇しくも今日がJリーグの誕生日だったりするので、サッカーは変わってきてますけど、常に変わらない不変的なゴールを目指すということと、ゴールを守るということ、そういったところに対してまだまだ力が及んでいないなということを気づかされる試合だったなと思いますし、受け止めざるを得ないかなと思います。彼は2年前のデビュー戦も駒大で、その試合も負けたところからスタートしたというところがあるので、今日は成長した姿を示す試合になるかなと思っていましたけど、逆に発揮できずにというところだったのかなと思います。

――前半途中から1年生2人を投入しました。ウイングバックでの起用となりましたが、どういったプレーを求めていましたか

2失点してしまったので、前への推進力というか、サイドが低い位置にいては攻撃に厚みが出ないですし、ボールを握れる時間はあったのですが怖さがなかったので、彼ら2人のゴールに向かう力とか、そこに対するイメージ、能力だけではなくてそういったものを体現できるだけの部分があるので、今日はそのワイドの部分がしっかり上下動して、高い位置をとれるという場面を生み出していればチャンスは絶対あるだろうなと思っていました。今日1点取れたのも安斎の突破からでしたし、光田のところから仕掛けられて、というのも何度もあったので、ゴール前のもっと近いところとか、怖いプレーを前半の最初からやれていたらなと思います。前半最初はボールを持てていた時にきれいにやりすぎていたというか、そういう早稲田らしくない部分が出てしまっていたので、やっぱり今日はもっと本質のところに愚直に、謙虚に、向き合わなければいけない試合だったので、そこを90分通してできなかったというところが、反省というか、悔しいです。

――後半のスタートではどういったことを選手に伝えましたか

0-2の中で、自分たちに与えられている残り45分の中で、本気で勝ちに行く、勝つためには駒大の入れてくるボールに対してチャレンジアンドカバーをしっかりした中で、前に自分たちがどうやってボールを運べるか、そういうランニングとか、謙虚にできるかというところを改めて伝えて、もちろんですけど僕自身も勝ちたかったですし、とにかく逆転をみんなでイメージしよう、「絵を描け」ということ伝えて送り出しました。

――どういった戦い方で同点、逆転まで持ち込む青写真を描いていましたか

どちらかというともう後ろを気にしていてもしょうがないので、後ろは3枚プラスボランチ1人くらいで、しっかりとしたチャレンジアンドカバーの中から、ボールをマイボールにしたら、しっかりつなぎながら両ワイドを攻略していくという。前半はなかなか2列目とかからゴールに出ていく選手が少なかったので、そういったところをより意識して杉田とか、安斎を中に入れて倉持を入れたりして、そこの枚数を増やしていく。勇気を持って攻めに厚みを持たせるということを交代選手を含めて表現できればなと思っていました。

――中谷選手のプレーはいかがでしたか

もちろん非凡なフィードだったりとか、守備能力は評価していて、力がついてきたのでスタメンで出しましたけど、やっぱり失点のところで、チャレンジなのかカバーなのか、声がけだとかつながりみたいなもの、チームとしてつながってやるみたいなものに対してはまだまだ彼自身も多分反省していると思いますし、そういったところを糧にこの後の戦いの中で成長していってくれたら名と思います。

――この試合がチームにもたらすもの、そしてどのように積み上げていきますか

敗戦から学べみたいなことも当然あるとは思うのですが、我々はタイトルを目指していますし、やっぱりこういう負け方をしていては絶対優勝はできないと思うので、一週空きますけど、そこで本質のところに対して愚直に、謙虚に向き合ってしっかり勝ち切れる、戦い抜ける、90分タフに戦えるチームにしていきたいと思います。

FW加藤拓己(スポ4=山梨学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

チームとしても個人としても、ただただ足りないという一言しかないですね。まだまだ足りないものがあると突き付けられたと思います。/p>

――具体的にはどのようなところでしょうか

駒澤大学さんのようにサッカーの本質を突いてくる相手に、球際1つとっても、競り合い1つ、どこをとったとしても全員がそこに向き合えていたのかどうかというところですね。途中から入ってきた選手もそうですし、最初からいた選手も途中から入ってきた選手に対して、そこのところをモチベートできていたのかというところです。僕自身もそうですし、周りを見ていてもまだまだだったと思います。そこのところを駒澤大学さんは、上回っていたと思いますね。

――前半と比べて後半はボールを持つ時間が長くなっていた印象でしたが、ハーフタイムではどのようなことを話されましたか

主に守備の話をしていて、攻撃の方は前半から距離も含めて良かったので、ただ取りにいくという気持ちが必要だ、と外池さんからありました。そこで改めて全員でゴールに向かっていこうという話はしました。

――今回の結果をどのように今後のリーグ戦に生かしていきますか

終わってしまったことなので、この負けを引きずっていても何にもなりません。22試合あるうちの1試合でもあるので、これを教訓に変えていければ問題ないと思います。これでチームがどこに向かうべきなのかというのがさまよわないように、そこを4年生が導いていかなければならないと思います。Bチームも明日社会人リーグの試合がありますし、その下のチームも練習試合が入っていますが、そこをどう表現できるのかとう部分が大事になってくると思います。試合の後に全体にも話しましたけど、これはAチームだけの問題ではなく、ア式蹴球部としての弱みが出たということだと思うので、そこに全員で向き合って明日からそれに向き合っていければ今日の勝利は無駄ではないと思えるはずです。そこを意識してやっていきたいと思います。

――加藤選手自身は先月清水エスパルスの練習にも参加していると思います。そこで変わったものはありますか

今までは練習参加というかたちでしたが、今では登録されて、自分のロッカーも用意されている中で、練習に行くと違う視点で物事が見えます。また、スタッフもフロントも選手として扱ってくれるので、その中で生き残っていかなければいけないという危機感がありますね。まだまだトレーニング不足で自分の課題に向き合えていないということもあります。そこを帰ってきてから自分の中でも意識してやっているつもりですが、このようなところで結果を出せないというところでまだまだだと思いますし、もっとトレーニングが必要だと思います。それは本当に向こうに行ったことで気がつけたことだと思っているので、それを無駄にしないということが大切なことです。また、その姿勢を示していくことがチームの成長につながっていくと思うので、そこは示し続けたいと思いますね。

――清水エスパルスは監督も代わってプレースタイルも変わっていますが、それによって意識していることはありますか

守備の意識は変わりました。例えば連続して追い駆けるというところですね。今までは、追いかけることは少なかったのですが、今年はここで追い駆けなければ、清水に入って追い駆けなければならないとなった時に、追い駆けられないと思います。向こうの方がもっともっとスピードがありますし技術も上なので、ここできついことをやることでそのような部分はより意識して取り組めるようにしています。さらに4年生として、このチームにそれ示さなければいけないという思いが一番強くあります。2番目にエスパルスというJ 1チームの内定選手として見られているので、そこの自覚は持ってプレーするということを考えていますね。

――リーグ戦について今後の意気込みを教えてください

まだ終わったわけでもありませんし、前期のまだ真ん中なので、下を向く必要もネガティブになることもありません。しかし、自分たちに突き付けられた課題についてしっかりと向き合っていくことが本当に大事だと思います。そこだけは絶対にぶらさずに、もちろん負けて苦しい気持ちはありますが、そこからは絶対に逃げないで、また一つ強いチームを作っていけるように頑張っていきたいと思います。

中谷颯辰(基理2=静岡学園)

――今日の試合を振り返っていかがですか

自分のミスというか、判断の甘さとかはっきりしないみたいなところで一発相手は取ってくるチームで、初出場でずっと「出たらやれる」という自信もありましたけど、そんな関東1部の舞台は甘くなかったですし、また練習からやっていかなければいけないなと思いました。

――駒大の攻撃陣はいかがでしたか

他のチームより本質的にゴールを、どんな形でもいいからシンプルにゴールを、というサッカーをしてくる中で、今まであまり対戦してこなかった相手のやり方というか。ここまでシンプルな相手はあまりいなかったという中で、サッカーは点を取れば勝てるスポーツで、シンプルに戦いとして相手のやり方に負けてしまったというか、そこに自分自身DFとして、やられてはいけない時間とか、立て続けに失点してしまったこととか、そういったところは甘かったなと思います。

――静岡学園時代の同期である松村優太選手の活躍はどう思われますか

すごいなと思いますし、自分ももちろん大学を卒業した後にプロを目指しているので、もう一段階上に行かないとJ2、J1、もっといいところは見えてこないかなと思いますし、刺激はもらっています。今日自分の中でもやらなければいけない基準みたいなものは確認できたので、持って帰ってもっと成長しないとなと思います。

――具体的には

自分の武器であるカバーとか、ビルドアップとかそういうことはやれた部分はありますし、けれどもフィジカル、CBとして関東にはフィジカルが強いCBが多いですし、高校サッカーのレベルではある程度やれていた部分はあって、大学来て自分の中では強化したつもりでしたけど、公式戦の試合になってみるとそこを課題に感じますし、ビルドアップは大丈夫ですけど前に出す力とか、チャレンジの力みたいなところをやっていかないとなと思います。

――ハーフタイムにはどのような修正をされましたか

0-2になってしまったのはしょうがないので、ここからゴールを取りに行かないといけないという風になって、枚数を押し出すという部分で、相手のやり方は変わらない中で、後ろの3枚がどれだけ粘り強く守れるか、良いボールを配給できるかみたいなところで、前半自分たちは相手のクロスに対して後手に回ったりしていた部分があったので、一人一人が責任をもってボールに行く、弾くとか絶対に失点しないという部分と、簡単にやっていい部分もありますし、攻撃する分良いかたちで前に配給しなければいけない部分もあったので、そこは時間帯見つつはっきりしながら、自分たちの時間をつくれるように3人で声をかけあいながらやるように修正しました。

――後半はチャンスも増えましたが、前半との違いは

風などのコンディションの部分はいろいろあると思いますけど、そこは関係なしに、自分たちが前半最初守りに入ってしまった部分はあると思っていて、それで2点取られて、攻撃に行く、全体的にチームとして一つの方向性みたいなものがまとまった部分、もう 取りに行くしかないという方向性はハーフタイムであったので、それでチーム全体の矢印が向いた分、攻撃の厚みが増したのかなと思います。

――監督からどのような言葉をかけられて送り出されましたか

失点の部分は自分のチャレンジの甘さがあったので、そこはもっとやれというのと、ビルドアップ、カバーの部分はできているから、それを続けてもっと良いボールを配給できるようにと言われました。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

自分が出て負けてしまった悔しさは誰よりもあって、これを糧にしてチームを勝たせる選手にならなければいけないですし、自分自身もう1ステップレベルアップしなければいけないと思うので、日々の練習から積み上げて、また関東リーグ出て頑張りたいなと思います。