西堂の決勝ゴールで開幕2連勝!

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2021 第95回関東大学リーグ戦 第2節
早大 0-0
1-0
筑波大
【得点】
(早大)60’西堂 久俊

 開幕戦で白星を挙げ、幸先の良いスタートとなった拓大戦から中6日。茨城県の大きな青空が広がる中、早大は関東大学リーグ戦(リーグ戦)第2節を迎えた。相手は前年10位の筑波大。早大としては開幕戦の勢いそのままに連勝したいところ。前半、試合の流れをつかんだのは早大だった。ディフェンスからカタチをつくり、常に敵陣でボールをキープする。しかし、決定力に欠け、試合を0―0で折り返した。迎えた60分、途中出場のFW西堂久俊(スポ3=千葉・市立船橋)が躍動する。体の強さを生かしたドリブルでペナルティエリアに侵入すると、GKの股の間を抜く強烈なシュートをゴールに突き刺し先制。この得点が決勝点となり、1―0でリーグ戦2連勝を飾った。

MF杉田将宏(スポ4=名古屋グランパスU18)らの果敢な守備でリズムをつかんだ

 筑波大には早大・FW加藤拓己(スポ4=山梨学院)と同じく、来季の清水エスパルス加入が内定している山原怜音(筑波大・4年)が在籍。両者とも先発出場し、未来のチームメイト同士の対決が実現した。前節に引き続き田中雄大主将(スポ4=神奈川・桐光学園)をけがで欠く中、開幕戦からスターティングメンバーを2人入れ替えて臨んだ早大。前半、前線からのプレスがはまり、相手にボールを持たせず、終始早大ペースで試合が進む。9分には左サイドでボールを持ったDF大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)が加藤にクロスを上げて合わせるも、ポストに嫌われゴールならず。その後もDF鈴木俊也(商3=東京・早実)の守備やMF山下雄大(スポ3=柏レイソルU18)、MF小倉陽太(スポ2=横浜FCユース)らボランチ陣の豊富な運動量でリズムを作るが、得点できないもどかしい時間が続き、前半を0―0で終えた。

歓喜の輪を広げる選手たち

 主導権を握りながらもゴールを奪えない早大は、後半開始と同時に西堂を投入。しかし、後半開始直後は前半同様に膠着(こうちゃく)状態が続いた。ゲームが動いたのは60分。「この試合は切り札でいくよ」(外池大亮監督、平9社卒)と指揮官が送り出した西堂が左サイドからペナルティエリアまでドリブルで持ち込み、ライン際でシュート。ボールは相手GKの股の間を抜き、ゴールネットを揺らした。良い流れのまま連続得点を奪うかに思われたが、好機を生かせずシュートまで持ち込むことができない。反対に試合終了間際には筑波大に再三セットプレーを許してしまう。それでも、最後まで集中力を切らさず試合はそのまま終了。早大に軍配が上がった。

 今節も無失点で白星を勝ち取った早大。しかし、現状に満足するわけにはいかない。DFを中心とした守備には安定感があるが、後半のシュートは西堂が決めた1本のみ。まだまだのびしろはある。次節の相手は永遠のライバル・慶大。「早慶の部員だからこそ感じられる絶対負けたくないというライバルへの気持ちが強くある」と早大のエース・加藤は思いを口にする。今シーズン最初の早慶戦の勝敗はいかに。頂を目指す彼らの戦いはまだ始まったばかりだ。

(記事 内海日和 写真 橋口遼太郎、手代木慶)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 31 公文 翔 スポ4 東農大一
DF 25 森 璃太 スポ2 川崎フロンターレU18
DF 24 西田 翔央 商3 東福岡
DF 鈴木 俊也 商3 東京・早実
DF 大西 翔也 スポ4 浦和レッズユース
MF 小倉 陽太 スポ2 横浜FCユース
MF 山下 雄大 スポ3 柏レイソルU18
MF ◎13 杉田 将宏 スポ4 名古屋グランパスU18
→90+2分 12 倉持 快 人4 神奈川・桐光学園
MF 28 丹羽 匠 スポ3 ガンバ大阪ユース
MF 19 水野 雄太 スポ3 熊本・大津
→HT 11 西堂 久俊 スポ3 千葉・市立船橋
FW 10 加藤 拓己 スポ4 山梨学院
→️82分 奥田 陽琉 スポ2 柏レイソルU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大
早大
法大
国士舘大
桐蔭横浜大
筑波大
立正大
駒大 -1
流通経大 -1
順大 -1
11 慶大 -2
12 拓大 -2
※第2節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)※一部を囲み取材より抜粋

――開幕2連勝となりました。勝因はどこにありますか

僕自身も筑波大戦は前期の山場だと思っていました。プレシーズンに去年の4年生が積み上げたものに対するいろいろな自分たちの至らなさに気がついて、いろいろな試行錯誤をした中で開幕を迎えました。開幕戦ではそういった良い部分がしっかりと出て、真価が問われる第二戦であったなと思います。筑波大というとてもいい相手に対して、自分たちのこの1週間やってきた積み上げの部分はかなり出来ていて、ゲーム自体の内容も改善されていました。本当にたくましくなったなと思います。

――0ー0の展開の中で西堂選手が高い決定力を見せました

前日から彼は、この試合は切り札でいくよと。筑波大相手にしっかりと守備から入り圧倒していくというか。ランニングを入れて相手を難しくさせた状態の中で彼が出てきてというのはゲームプランとして準備していました。それに対して彼も良さを、自分の仕事を果たしてくれたと思います。

――次節は早慶戦を連勝で迎えます

次節まで一週間空きます。今日は柴田(徹、スポ3=湘南ベルマーレU18)がコンディション不良であったので森を初出場、初スタメンに起用し90分出場しました。チームの中にはそういったいろいろなエネルギーがあるので、チームの中にあるいろいろなパワーをもう一段上げていけるような、そういう準備をしていきたいなと思います。

――これで2戦連続の無失点となりました。守備陣への評価を教えてください

最初は急造みたいなところでしたが、西田(翔央、商3=東福岡)にしても俊也(鈴木俊也、商3=東京・早実)にしても公文(翔、スポ4=東農大一)にしても、ピンチをチャンスに変えているというか、本当に人が変わったようになってきてしまいました。大学サッカーの、この舞台の価値というのは本当に大きいのだと思いますし、人がこうして成長していく姿、たくましくなる姿というのはサッカーがもたらすひとつの魅力だと思います。本当に貴重な、素晴らしい舞台でやらせてもらっているなと改めて感じます。

――今季も交代枠は5枚ですが、前節今節と交代は3枚でした。監督の交代枠の考え方を教えてください

本当にいい選手はいっぱいいるし、アゲアゲというかコンディションのいい選手が多いので、できればどんどん使いたいところです。ただやはり1ー0という状況の中でなかなか思い切れないというか。しっかりとピッチ上でたくましく表現できているので、そういう意味ではピッチの中がいい状態にあるということです。

――プレシーズンマッチではうまくいかない試合も多く、天皇杯予選でも悔しい思いをしましたが、こうしてチームを立て直すことのできた要因はどこにありますか

まずひとつは4年生が凄くさらけ出すというか。腹を割ってというか。自分たちの課題や弱さと向き合ってしっかりといろいろな場面でアクションを作れていることだと思います。分析をしている小林(将也、先理4=群馬・高崎)や、主務の羽田(拓矢、人4=東京・駒場)、トレーナーでありながら新人監督をやっている浦田(幹、スポ4=兵庫・夢野台)とか。特にそういったメンバーたちがキャプテン副キャプテン以上の働きをしてくれているなと思います。そういう部分が後輩たちやチーム全体の雰囲気を生み出しているのではないかと思います。今日テーマであった『熱く分厚く』というのを本当にしっかり全体で表現できたなと思いますし、凄く早稲田らしい形になってきたなと思うので、しっかり戒めてやっていきたいと思います。

――『熱く分厚く』 に込められた意味を教えてください

対筑波大ということで、筑波大は上手かったりスマートだったりする。我々はそこでは勝てないと。熱さであったり、1人ではなくみんなで分厚く繋がって、積み重なって戦う姿を、ピッチ上だけではなく応援とかベンチも含めてやっていこうということを今日勝つために必要なテーマと言ってきたので、今日はそれが本当に体現されたと思います。

――主将の田中選手が怪我をしており、田部井悠副将(スポ4=群馬・前橋育英)、須藤友介副将(スポ4=FC町田ゼルビアユース)も出場できていない状況ですが、杉田将宏(スポ4=名古屋グランパスU18)選手がキャプテンマークを巻いています。試合終盤には大西翔也(スポ4=浦和レッズユース)選手がキャプテンマークを巻きました。ピッチ上での4年生のリーダーシップはいかがでしょうか

なによりもプレーで、ランニングで表現をできているというところと、大西にしても公文にしても非常に後輩たちを引き立てたり繋がりを生み出したり、本質に対してしっかりとやれるようになったなということがあります。これは結果がもたらすものなのかもしれませんが、そういう挑戦をみんながしているということだと思います。

FW加藤拓己(スポ4=山梨学院)※囲み取材より抜粋

――試合を振り返ってください

前節同様チーム全員が相当走っていますし、最後押し込まれたところで体を張るとか、サッカーに必要なベースの部分が求めてやっています。先週勝ったからこそ、今週1週間もう一度そこを求め直してきた結果が、2試合連続無失点で追われているのかなと思います。

――コンディションはいかがですか

去年と違って守備が前線から行くので、今年は厳しいです。でも4年生として、最前線で10番背負っているので、自分がスイッチを入れることがチームに対して大きな影響を与えると思っています。体がきつかろうが頑張るしかないですし、やっていくうちにコンディションは上がっていくと思っています。先週から今週にかけてコンディションは上がっていますし、自分自身で改善していけています。

――ゴールという結果が欲しいところですね

2試合取れていないですし、今日もビックチャンスを2本逃して1本はハンドしちゃったり、前半の胸トラップからシュートのところとか。1-0で勝てているからこそ許されていますが、もしこれが0-0だったり0-1だったりした時に悔やんでも遅いので、勝っているからこそ得点を求めていきたいです。

――点にこだわるということですか、そのために今現在ご自身に足りないものは何ですか

簡単に言えば決定力ですね。去年よりもマークが激しくなることは分かっていますし、その中でどう得点をとるのか、周りをどう生かすのか、どう生かされるのか。シーズン始まって2試合で上手くいかない部分も多いですが、前節も個人技でしっかり抜けていったシーンでシュートを外してしまうということもありましたし、今日も(相手のDF陣を)はがしたのにしっかりミートできずに外してしまうのは、まだまだ基礎がしっかりしていないので、もう一回基礎から作り直していかないといけないなと思っています。

――次は1週間空いて早慶戦となります

特別ですね。なんで特別かと言われると説明しがたいですが。早慶の部員だからこそ感じられる絶対負けたくないというライバルへの気持ちが強くあるので、より一層気合を入れなければいけないと思います。とはいえ、リーグ戦の1試合なので、勝利を目指して勝ち点を積み重ねられるように、早慶戦だからと言って特別なことをするわけではなく、しっかり今まで作ってきたベースをやっていければ今日みたいな素晴らしいゲームができると思います。もう一回そこを2週間かけてつくっていきたいです。

MF西堂久俊(スポ3=千葉・市立船橋)※囲み取材より抜粋

――今日のゲームプランとしては後半勝負ということでしたが、いかがでしたか

昨日外池さんとそういう会話をしました。もちろんスタートから出て90分戦い抜ける選手になりたいという目標はありましたが、チームの戦い方を受け入れた中で自分ができることを考えて準備してきました。けがではなく、後半勢いを持たせるという監督の意向でした。

――今日は左サイドが特に生きていました

僕は監督にはどっちでもいいと言っているのですが、今年はずっと右サイドをやっていました。今回は左サイドで縦への突破ということで、自分のできる最大限のことをやろうという気持ちで臨みました。

――得点奪取が主な役割ということですか

得点や結果はもちろんですが、チームに勢いをもたらす意味で僕の役割は大きいと思います。結果として得点を獲れたのはとても良かったと思います。

―ゴールシーンを振り返ってください

スペースがあったのでとりあえず運ぼうと思って中を確認したら誰もいなくて、匠(丹羽、スポ3=ガンバ大阪ユース)も「ダメもとでも打て」と言っていたので、キーパーに当たって入ったらいいなくらいで振り抜きました。股を狙ったわけではないですが、相手のキーパーに当たって入ってくれたので、本当に運が良かったということです。

――開幕2連勝という結果についてどう捉えていますか

2連勝はすごく価値のあることだと思います。前節の試合もそうですが、負けゲームみたいな内容を何とか勝つという逆境力みたいなものが今年はあるのかなということが、この2試合を通して感じることです。苦しい時もあったけれど、そういう時にも自分たちはやれるぞという自信につながるような2試合だったかなと思います。

――1週空いて早慶戦が行われます。抱負を聞かせてください

去年の後期、自分の得点したものの引き分けというやりきれない気持ちで終わったので、どの相手よりも正直たぎるものがあります。準備期間が長い分戦術的にもより洗練されると思うので、何としても3連勝を目指してがんばっていきたいと思います。