前半までプラン通りも及ばず 栄冠を逃し3位で今季を終える

ア式蹴球男子
#atarimaeni CUP 準決勝
早大 0-0
0-2
法大
【得点】
(法大)51’、79’関口正大

 味の素フィールド西が丘で行われた『#atarimaeni CUP サッカーができる当たり前に、ありがとう!』(あたり杯)準決勝。ここまで毎試合クリーンシートかつ複数得点を挙げ、順調に頂点へと歩を進める早大(関東第3代表)は、関東大学リーグ戦(リーグ戦)最終節で黒星を喫した因縁の相手である法大(関東第7代表)と対戦した。準々決勝からは1週間以上時間が空き、4年生を中心に「どうやったら勝てるのかというところは、かなり追求して準備をしてきた(外池監督)」。しかし、前半こそ法大の猛攻を跳ね返し続けたが、後半は凌ぎきれず2失点を喫す。準々決勝までの好調だった早大の姿は見る影もなく、0―2で無念のホイッスルが鳴り響いた。

ボールを跳ね返し続けた工藤

 最終ラインを率いる早大の砦、DF杉山耕二主将(スポ4=三菱養和SCユース)、数々の攻撃の起点となり好調のMF西堂久俊(スポ2=千葉・市立船橋)を欠き、さらに中盤で強度の高いプレーを見せていたMF鍬先祐弥(スポ4=東福岡)は累積警告で、圧倒的な得点力を誇るFW加藤拓己(スポ3=山梨学院)は静岡産業大戦での負傷が癒えず、ベンチ入りできなかった。苦戦が予想される中、外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)は後半の選手交代も含めた総力戦で勝機を見出すというゲームプランで大一番に臨んだ。

 トップ下にMF植村洋斗(スポ1=神奈川・日大藤沢)を置く4ー2ー3ー1の形をとった早大。しかし序盤から押し込まれ、防戦一方の時間帯が続く。21分には、あわや先制点を献上したかというシュートを放たれる。運よくクロスバーに救われたものの、その後も相手の両サイドバックが自在に動き、何本ものシュートが早大ゴールを襲った。GK山田晃士(社4=浦和レッズユース)の落ち着いたセービングで難を逃れるが、終始劣勢で相手ゴールに迫れない。そして迎えた早大の唯一のチャンスは、32分。「試合に勝つことだけを常に意識して、主力選手たちだけじゃなくて、他の部員のためにも絶対走ろうという覚悟を持っていた」と語る梁賢柱(スポ4=東京朝鮮高)が長い距離をドリブルで持ち運ぶと、最後はDF柴田徹(スポ2=湘南ベルマーレU18)が右足を振り抜く。しかしシュートは大きく枠を外れ、得点を奪うことはできない。それでもDF工藤泰平(スポ4=神奈川・日大藤沢)、DF阿部隼人(社4=横浜F・マリノスユース)を中心とした鉄壁のディフェンスで、「狙い通り」(外池)の0-0で前半を折り返した。

砦のごとくゴール前に君臨した山田

 後半も引き続き守勢に回る早大だったが、51分に右サイドからエリア内を崩され、失点。後が無くなった早大は、FW杉田将宏(スポ3=名古屋グランパスU18)、MF田部井悠(スポ3=群馬・前橋育英)、MF田中雄大(スポ3=神奈川・桐光学園)といった推進力のある選手を次々と投入して逆転を狙う。だが、現実は厳しかった。79分、先制点を挙げた関口正大(法大・4年)が右足を一閃。ボールはゴール右上に突き刺さり、リードを広げられてしまう。梁は「2失点目というのはかなり自分たちの心を折った」と振り返った。それでも早大は諦めない。90+1分、工藤のクロスにMF平松柚佑(社1=山梨学院)が頭で合わせる。しかし、惜しくもゴールポストに嫌われてしまう。最後はMF山下雄大(スポ2=柏レイソルU18)がシュートを放つが、相手GKに阻まれた。終盤の反撃も及ばず、今シーズンの早大の闘いは幕を下ろした。

 引退を迎えた杉山は、4年間を振り返って「早稲田を背負って、どんな時も前を向き、素晴らしい仲間とともに戦った日々は最高に幸せだった」と語った。結果として、今シーズンは栄冠を掴み取ることはできなかった。しかし、指揮官は「(コロナ禍で)シーズンを最後までやりきれたということがとても誇らしい」と評価する。「不屈の精神でチームを何度も蘇らせてきた(外池監督)」4年生24人の功績は計り知れない。彼らが創り上げた『早稲田大学ア式蹴球部』は次代へと引き継がれる。「日本をリードする存在」が再び頂点へと駆け上がるその日まで――新たな早大の闘いが、再び始まる。

スターティングイレブン

 

(記事 手代木慶 写真 早稲田大学ア式蹴球部提供)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 山田 晃士 社4 浦和レッズユース
DF 阿部 隼人 社4 横浜F・マリノスユース
DF 柴田 徹 スポ2 湘南ベルマーレU18
→81分 23 中谷 颯辰 基理1 静岡学園
DF 大西 翔也 スポ3 浦和レッズユース
→76分 田中 雄大 スポ3 神奈川・桐光学園
DF 17 工藤 泰平 スポ4 神奈川・日大藤沢
DF 22 監物 拓歩 スポ2 清水エスパルスユース
MF 山下 雄大 スポ2 柏レイソルU18
MF 12 倉持 快 人3 神奈川・桐光学園
→67分 27 田部井 悠 スポ3 群馬・前橋育英
MF 14 植村 洋斗 スポ1 神奈川・日大藤沢
→67分 13 杉田 将宏 スポ3 名古屋グランパスU18
MF 梁 賢柱 スポ4 東京朝鮮高
→88分 31 平松 柚佑 社1 山梨学院
FW 19 奥田 陽琉 スポ1 柏レイソルU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)

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外池大亮監督

杉山耕二主将、梁賢柱
鍬先祐弥、工藤泰平
山田晃士、阿部隼人