まさかの5失点。リーグ制覇へ黄信号

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2020 第94回関東大学リーグ戦 第18節
早大 0-3
0-2
順大
【得点】
(順大)12’小林 里駆、21’寺山 翼、39’白井 海斗、71’杉山 直宏、80’白井 海斗

 劇的な逆転勝利から中2日。関東大学リーグ第18節、早大は順大と対戦した。悲願のリーグ制覇を成し遂げるため、水曜日の勢いそのままに勝利をつかみ取りたい早大であったが、12分、21分と立て続けにコーナーキックから失点。その後も順大の勢いを止められず、39分にも3点目を献上してしまう。さらには後半も2点を失い、悪夢の5失点。一矢報いることすら叶わず、手痛い敗戦となった。

肩を落とす杉山

 最初にチャンスを作ったのは早大。5分、最終ラインからのくさびのパスを受けた、MF田中雄大(スポ3=神奈川・桐光学園)が左サイドに展開すると、この日久々のスタメンとなったDF阿部隼人(社4=横浜F・マリノスユース)が中央にクロスを供給。ゴール前の選手には惜しくも合わずも、攻撃の形を見せた。しかし、先にゴールを奪ったのは順大。12分、コーナーキックを与えると、鋭いクロスボールをニアサイドで合わされ、先制点を献上。さらには続く20分。またもコーナーキックから得点を許し、2点のビハインドを追う展開になってしまう。

 得点を目指し、早大は攻勢を強める。MF西堂久俊(スポ2=千葉・市立船橋)が華麗なドリブルからチャンスを演出すれば、FW加藤拓己(スポ3=山梨学院)は強靭なフィジカルを生かし、巧みなボールキープでチームを盛り立てる。だが、次のゴールを奪ったのも順大であった。39分、ゴール前に多くの人数をかけ守ったものの、細かいパス交換で突破を許し3点目。試合の大勢が決する痛恨の得点を与えてしまった。

久々の先発ながら存在感を示した阿部

 前半終了間際にMF倉持快(人3=神奈川・桐光学園)、FW平田陸人(商2=埼玉・早大本庄)を投入した早大。ゴールへの姿勢こそ見せるも、中2日の疲労感に焦りも伴い、思うようにボールを前進させることができない。71分に中央やや右の位置から、DF杉山直宏(順大)に豪快な直接FKを叩き込まれると、80分には強烈なミドルシュートで5点目を与え、今シーズン初の5失点で完敗を喫した。

 「自ら崩れていってしまった」と指揮官(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)は唇を噛んだ。ここまでリーグ最小失点を誇った自慢の守備陣に生じていたのは、ほんのわずかなほころびだ。序盤にセットプレーからリードを許し、微かにバランスを崩した早大。しかし、順大はそれを見逃さなかった。「順大さんのしたたかさをピッチ内で感じた」とDF杉山耕二主将(スポ4=三菱養和SCユース)は語る。ただ、いよいよ佳境を迎えるシーズンにおいて、もはや下を向くことは許されない。「現実ともう一回向き合って、向き合い続けて乗り越えて、もう一回はい上がって行くしかない」と杉山は懸命に前を向く。わずかに残るリーグ制覇の可能性、そして全国大会へむけて、もう一度早大は走り始める。

(記事 橋口遼太郎 写真 新井万里奈、長村光)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 山田 晃士 社4 浦和レッズユース
DF 柴田 徹 スポ2 湘南ベルマーレU18
→59分 17 工藤 泰平 スポ4 神奈川・日大藤沢
DF ◎5 杉山 耕二 スポ4 三菱養和S Cユース
DF 22 監物 拓歩 スポ2 清水エスパルスユース
DF 阿部 隼人 社4 横浜F・マリノスユース
MF 14 植村 洋斗 スポ1 神奈川・日大藤沢
→80分 12 小野寺 拓海 政経4 岩手・専大北上
MF 田中 雄大 スポ3 神奈川・桐光学園
MF 25 小倉 陽太 スポ1 横浜FCユース
MF 13 杉田 将宏 スポ3 名古屋グランパスU18
→45分 19 倉持 快 人3 神奈川・桐光学園
MF 38 西堂 久俊 スポ2 千葉・市立船橋
→67分 11 水野 雄太 スポ2 熊本・大津
FW 10 加藤 拓己 スポ3 山梨学院
→45分 46 平田 陸人 商2 埼玉・早大本庄
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
早大 37 18 12 41 16 25
明大 37 16 12 32 14 18
順大 32 18 10 32 29
駒大 29 16 36 28
桐蔭横浜大 27 17 26 22
国士舘大 26 17 27 27
立正大 20 16 26 28 −2
慶大 19 18 18 26 -8
法大 17 13 21 19
10 筑波大 17 15 18 28 -10
11 専大 10 16 12 23 50 −27
12 中大 16 11 21 34 −13
※第18節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――厳しい試合となりました

前の試合の立正大戦は劇的な勝利で、ポジティブなインパクトのあるゲームだったので、逆にその反動みたいなものだったり、順大さんの力を考えたときに、そこに対する危機感は持っていたのですが、それをはね返すだけのゲームができなかったなという感じです。

――早々にセットプレーから2失点を喫してしまったのが試合を難しくしてしまいました

間違いないです。自分たちは今年セットプレーからの失点がほとんどなかったので、そういうところで自分たちが自ら崩れていってしまったなと思います。

――その後の失点も、完全に崩されたわけではなかったものの計5失点となりました

判定の部分とかいろいろありましたけど、サッカーってこういう日もあるので、しっかり切り替えてやるべき日なのかなと考えています。

――優勝を目指す中でも手痛い敗戦ですが

ここからは明大さんも含めてみんなインカレ争い、残留争い含めて厳しい試合になると思いますし、簡単な試合はどのチームもないと思うので、我々として置かれた現状の中でしっかり向き合って、自分たちの等身大の姿に向かって明日も生きていかなければいけないので、そういう意味ではレベルの高いリーグにいて、その中で切磋琢磨させてもらえていることに自覚と責任を持ってやっていきたいなと思います。

――どうチームを立て直していきますか

ここまで積み上げてきたものは事実だと思うし、今日のような弱さ、もろさも事実だと思うし、やっぱり人間がやっていて、そういう強さだけで生きていくわけにはいかないと思うので、こういったみんなのリバウンドメンタリティの部分、そこは期待できる状況にあると思うので、むしろこの状況を乗り越える姿も期待したいなと思います。

杉山耕二主将(スポ4=三菱養和SCユース)

――苦しい試合でした。試合を振り返ってください

3日前の立正大戦で劇的な勝利を収めて、その勢いに乗って今日の試合を迎えたのですが、ある意味切り替えられていなかったというか、僕らの中の、この流れでやればというところが、隙であったり甘さゆるさだったりにつながって、前半で0-3という結果につながってしまったのかなとは思いました。逆に順大さんはそういったところを本当に現実的に、緻密に戦ってきたなと思いますし、セットプレー、キワの部分で上回られましたし、そういった部分は本当に現実を突きつけられたなという試合でした。

――非常に厳しい90分間だったと思います。どのような思いでピッチに立っていましたか

順大さんのしたたかさをピッチ内で感じて、あとはサッカーのベースのところ、球際、切り替え、運動量のところを試合通して上回り切れず、僕らが勢いに乗る隙を与えてもらえなかったなと思います。そういった意味では入りの部分に悔しさが残るなと感じています。

――優勝に向けて手痛い敗戦となりましたが、どのように感じていますか

優勝のために1敗もできないような状況だったので本当に痛いですが、とはいえやはり前を向いて、優勝の可能性があると信じて進み続けるしかないので、そこは本当に現実ともう一回向き合って、向き合い続けて乗り越えて、もう一回はいがって行くしかないと思うので、そこは前を向くしかないかなと思います。

――勝つしかないという状況ですが、そこにチームを導くために主将としてどのようなことを心がけていきたいですか

今日の試合を通して、現実と向き合うというのが最も大事なことだなと感じて、その現実というのは今ある現状であったり、自分たちの状態であったり、自分たちがどういう状況なのかであったりをしっかりと捉えた上でそれを受け入れて、前に進むことが大事だと思いました。今日で言えば中2日でコンディションの部分で難しいところがある中で、じゃあ立ち上がりどうするのか、であったりそういった部分の現実的なすり合わせが間違いなく大事だと思いますし、本当に一歩一歩、1試合1試合だと思うので、チーム全員で戦うというところと、もう一回這い上がるエネルギーをチームとして出していくということを活動を通じてやっていければなと思います。

加藤拓己(スポ3=山梨学院)

――苦しい試合でした。試合を振り返っていかがですか

自分自身もそうですけど、もっともっと戦っていかないといけないし、勝っていくチームはそれが大事だと思うので、今日1試合を通して自分自身が戦えなかったことに対する不甲斐なさはすごく感じています。

――コーナーキックからの2失点が試合を難しくしてしまいました

なかなかうちのチームはセットプレーからの失点が無かったので、それが前半の一発目で、コーナーのとられ方もとられ方だったので、ちょっと嫌な雰囲気のなかで、ニアにいた自分が前に逸らされたボールを弾けたのではないかという部分もそうですし、2本目ももっともっと声かけて、全員がもっとボールに対して圧力をかけてチャレンジできていれば違う結果になったと思うので、それをできなかったのは先頭にいる自分の責任だと思います。どこでこう当てられたとかどこから決められたとかではなくて、コーナーになった時にもっと自分が声をかけるべきだったと思っています。

――コーナーキックからの2失点の後気持ちを切り替えるのは難しかったですか

正直今日は難しい試合になると思っていたので、2点連続ポンポンと入ってしまって、ましてや自分たちが強みにしているセットプレーでやられたという部分で、本当に難しい試合にしてしまったと思います。そのあと3点目が入ってスギ(杉山耕二、スポ4=東京・中大杉並)から詰められた話もありましたけど、やろうと思った時には遅かったので、そんなに甘い世界じゃないし、もっともっとやらなくてはいけないと思いました。

――優勝を目指す中でも厳しい敗戦となりましたが、どのようにチームを立て直していきたいと思いますか

明治が今週試合がなくて、あともううちは4試合ですけど、しっかり残り勝ち点12を取ることは絶対に必須条件ですし。ここまで来て本当に他力でしか優勝は叶えられないですけど、そこに対して自分たちが、次の試合までの1週間どう向き合っていけるかが残り4試合の試合に絶対に左右すると思います。なのでもう1回全員が今日の試合の悪かった所良かった所を洗いざらいしっかり認めて、そこから自分たちがどうしていくべきなのか全員で話し合いながら、認め合いながら熱量を持ってやっていけたらいいなと思います。

――以下囲み取材より抜粋・今日の試合振り返って

だいぶ酷かったというのもありますし、自分の交代も含めてですけど、自分自身が1番やらなくてはいけない立場でありながら、自分自身が1番最初に交代させられるくらい酷いプレーをしていましたし、そこに対しては不満もなにもないです。本当に自分が力不足ですし、自分のプレーの責任だと思っているので、これが自分に与えられてる課題ですし、今日の試合を難しくしたのは自分たちでしかないので、相手が良かったとかうちが悪かったとかではなくて、自分自身も振りかえれば100%でやれていた自信はないし、全員が本当に100%でやれていたのかは疑問ではあります。その中で1番自分が出せなくて不甲斐ないです。それが今日の敗因だと思います。

――自分のパフォーマンスが出せなかった原因は

もちろん外池(大亮監督)さんからコンディション不良というのは、今週の水曜日の試合からの疲労感が抜けていないというのを感じたので交代と言われましたが、もしかしたらそこは自分が言い訳にしていたのかもしれないし、じゃあ水曜日に試合しているからきついの当たり前だよね、と思いながらやっていたのではないかという部分もあります。自分たちの弱い部分を見せすぎたな、特に自分は見せすぎたなというのが、今日のチームのプレイに出たと思います。なにやってんだろうなと自分では思ってます。

――前の試合で自分のゴールで勝ち、次の日には自分の進路が決まって良い気分で試合に臨めたと思うのですが

素晴らしい形で勝利できて、次の日進路が発表されて、本当に多くのサポーターからのメッセージがある中で、プレッシャーもありしたし、そこに答えていかなくてはいけないという部分があったのですごくむずかしかったんですけど、良い気分というより今日の試合はこれから自分がどうなっていくかというのを証明する特別な試合だったのでその中で結果が出せなかったのは不甲斐ないですし、力不足だと思います。進路が発表されて満足してるつもりはないし、この現状で満足しているつもりはないので、もっともっと成長しなくてはいけないと今日改めて思いました。

――残り4試合ですが、点を取るという責任があると思います

得点は絶対に必要だと思いますし、最初の段階で堂々と得点王になりますと言ったのにもかかわらず、現状で2位というのは許されることではないと思っています。やっぱり勝っていくチームはエースが絶対に決めるし、残りの4試合結果はどうなるかわからないですけど、しっかり自分が今日の反省を生かして、見ている人全員が加藤は本当に変わっているよね、4試合加藤のおかげで勝てたよねと思われるような選手にならなければこれから先厳しいと思うのでもっと追い込んで追求しなくてはいけないと思っています

――得点王は射程距離に入ってきたと思いますが

残り4点差なので、PKで取っていて満足いかない部分はありますけど、残り4試合で少なくとも5点、もちろん確実に彼は決めてくると思うので(それ以上ですが)。今日取れなかった分、来週は聖地の西が丘でできる可能性のある中大戦、そのあとは伝統の早慶クラシコで本当に成果が問われると思うのでこの1週間切り替えてやっていくしかないと思います。