攻撃陣絶好調!3ゴールを奪い2連勝

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2020 第94回関東大学リーグ戦 第13節
早大 2-0
1-0
立正大
【得点】
(早大)17’ 田中 雄大、41’ 田中 雄大、62’ 加藤 拓己

前節・筑波大戦(○5−0)での大勝から中2日。大変な過密日程の中、関東大学リーグ(リーグ戦)第13節で早大は立正大と対戦した。17分にMF田中雄大(スポ3=神奈川・桐光学園)のゴールで先制すると、さらに41分にも田中のゴールで追加点を奪う。後半にはFW加藤拓己(スポ3=山梨学院)に2試合連続のゴールが飛び出し、立正大を突き放した。守っては2戦連続のクリーンシート。3−0で勝利を収め、大量得点での連勝となった。

2ゴールの活躍で勝利の立役者となった田中

大粒の雨が地面を叩く中での試合。ピッチ上には幾多の水たまりが点在し、特に早大の左サイドでは全くボールが走らない場面が散見された。12分にはバックパスが水たまりで止まり、あわやのシーン。GK山田晃士(社4=浦和レッズユース)が落ち着いて対応し事なきを得たが、細心の払うことが求められるピッチコンディションとなった。序盤から試合を支配した早大は、右サイドを中心に攻撃を仕掛ける。17分、加藤のポストプレーを起点に、右サイドを駆け上がったDF柴田徹(スポ2=湘南ベルマーレU18)へボールを展開。FW杉田将宏(スポ3=名古屋グランパスU18)とのコンビネーションで柴田が抜け出し、ゴール前へグラウンダーのクロスを送り込む。走り込んだ田中が落ち着いてゴールに流し込み、先制点を奪うことに成功した。

さらには41分、この日久々の出場となったMF西堂久俊(スポ2=千葉・市立船橋)とのスイッチで、再び柴田が右サイドを突破。ファーサイドに大きなクロスを供給すると、加藤が丁寧に折り返す。「折り返しのボールが来るということはわかっていた」(田中)とニアサイドにポジションを取った田中が確実に沈め、2点のリードを持って前半を終えた。

右サイドで積極的なプレーを見せた西堂

後半の頭からは得点に絡んだ柴田に変え、DF杉山耕二主将(スポ4=三菱養和S Cユース)を右サイドに配置。「右サイドに水たまりが多いと感じたので早めに杉山のようなタイプを配置して跳ね返そうという意図があった」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)と、ハーフタイムでのコートチェンジを意識した采配を行った。

ビハインドを背負う立正大は攻勢を強めたが、後半も依然として早大ペース。62分、杉田がカットインで守備陣を引きつけ、サイドでフリーとなったDF鈴木俊也(商2=東京・早実)へボールを預ける。鈴木のクロスは相手DFに跳ね返されるも、クリアが小さくなったところを加藤が見逃さず、ゴールへ豪快に蹴り込み3点目。その後も追加点こそ生まれなかったものの、早大は攻撃の手を緩めることなく立正大ゴールを脅かし続け、タイムアップの笛が鳴り響いた。

今季、ここまで早大には3つのターニングポイントがあった。明大戦(●0−1)での敗北。慶大戦(●0−1)での敗北。そして駒大戦(●0−1)での敗北である。大量得点、および無失点での2連勝は、紛れもなく駒大戦での敗戦により気づかされたゴールの重要性によるものだ。中2日で、続く順天堂大戦が訪れる超過密日程。「部員や親、OBの気持ちも考えて、中2日でできる最大の準備をして、絶対に勝ちたい」とDF工藤泰平(スポ4=神奈川・日大藤沢)は熱く語った。明大戦で知った『絶対王者の基準』、慶大戦で強く意識した『守備を固められた際の攻撃』、そして駒大戦で改めて気付かされた『ゴールの重要性』。連戦が続き、疲労感の高まりもあるだろう。しかし、早大が目指すのは日本をリードする存在。学びを胸に、一戦必勝で次節を見据える。

(記事 橋口 遼太郎 写真 初見香菜子、橋口遼太郎)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 山田 晃士 社4 浦和レッズユース
DF 柴田 徹 スポ2 湘南ベルマーレU18
→HT 22 監物 拓歩 スポ2 清水エスパルスユース
DF ◎5 杉山 耕二 スポ4 三菱養和S Cユース
DF 17 工藤 泰平 スポ4 神奈川・日大藤沢
DF 26 鈴木 俊也 商2 東京・早実
MF 鍬先 祐弥 スポ4 東福岡
MF 田中 雄大 スポ3 神奈川・桐光学園
→65分 梁 賢柱 スポ4 東京朝鮮高
MF 25 小倉 陽太 スポ1 横浜FCユース
→75分 14 植村 洋斗 スポ1 神奈川・日大藤沢
MF 38 西堂 久俊 スポ2 千葉・市立船橋
→58分 19 倉持 快 人3 神奈川・桐光学園
MF 13 杉田 将宏 スポ3 名古屋グランパスU18
FW 10 加藤 拓己 スポ3 山梨学院
→62分 18 鈴木 郁也 社4 F C東京U18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 31 13 10 29 12 15
早大 24 11 31 23
駒大 20 12 26 22
国士舘大 20 12 19 16
順天堂大 20 11 18 15
桐蔭横浜大 20 12 18 16
法大 17 13 21 19
慶大 15 13 14 20 −6
立正大 10 11 −3
10 筑波大 10 12 23 −11
11 中大 12 10 27 −17
12 専大 11 12 29 −17
※第13節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――西堂選手の右サイドから2点を奪いました

うまくオーバーラップを使ったというシーンが2点ともでした。彼の良さを周りが上手く引き出したというのは一つの形になったと感じます。そこはメンバーが1番手応えを感じたのではと思います。

――前節杉田選手が存在感を示し、今節は西堂選手が出場をしました。毎試合いい選手が出てきているように感じます

本当にいい選手、才能のある、勢いのある選手たちです。また今試合に出ている選手たちを周りがサポートしているというか、試合に出られない1年生などの部員たちやマネージャー達も、いろいろな形でいろいろな立場でそれぞれ個性を発揮して、全体で刺激し合える組織になってきています。我々こそが大学サッカーならではの強み、ここに来た意味というのをしっかりと認識して、その姿を体現してリードしていこうという部分が、勝利を通じて、サッカーを通じてより手応えになっていると感じます。僕が監督をやらせてもらって僕自身狙いとしている、そこを目指しているので、僕も学生たちに感謝をしたいと思います。

――前節は得点を取ることに勝負よりもこだわりを持っていたとおっしゃっていました。今節はどんな試合でしたか

今日もその部分は変わりません。ただ点の取り方であったり、パワーの出しどころであったり。そういったところにはよりこだわってというか、しっかりと周りを引き出しながらも自分を活かせる、そういう場面を作ろうという話をしていました。田中も2点を取りましたが、あのようなゴールが入るという力は、自分でやり切るという場面と周りを使うという場面のバランスが良くなったのかなと感じます。

――ハーフタイム明けに最終ラインの交代がありました。

柴田のパフォーマンスはすごく良かったです。ただハーフタイムでコートチェンジが行われた際に、右サイドに水たまりが多いと感じました。そこを目掛けて相手が多くのボールを集めてきたときのことを想定して、早めに杉山のようなタイプを右サイドに配置して跳ね返そうという意図がありました。また監物(拓歩、スポ2=清水エスパルスユース)も工藤が前節にスタメンになりいい刺激を受けていたので、彼の新しいステージへの挑戦の場を与えたいという気持ちもありました。また次節の順天堂大は真ん中がかなり密なチームなので、それに対して後ろからしっかりとボールを蹴れる選手を早めに使っておきたいという考えもありました。

――ハーフタイムにはあと4点取ろうという声が聞こえました

筑波大戦は5ー0で勝利したので、今日は6ー0にしようという千田(奎斗、スポ4=横浜F・マリノスユース)からのメッセージでした。

――最後まで3ー0で迎えた終盤もゴールを狙うという姿勢が見て取れました

アミノバイタルカップもあった中で、ボールを握って支配するというプレーはかなりできるようになっています。しかし駒大との試合の後、いつか点が取れる、といった空気感ではチームの本当の課題を乗り越えられないなと感じました。相手も早大のことを警戒していますし、持たせてはいいから最後の局面でやらせないという思いで臨んできます。そのような時間がアミノバイタルカップでも多くの時間であったので、我々としてももう一度サッカー選手として、サッカーの競技の本質みたいな部分を掘り起こそうという気持ちがありました。ゲームというよりかは常に姿勢を作り続けるというところを意識して臨むタイミングなのではないかと考えています。それが良い方に行っているというのは学生たちがしっかりと力をつけてきたのだなと感じます。

――変則日程で消化試合数こそ違いますが、今の順位や今の首位との差はどのように捉え、どのように選手たちに働きかけを行なっているのですか

一戦必勝という点です。我々はリーグ戦優勝を目指していますし、インカレの権利も1部に所属するチームでは唯一持っているチームです。積み上げるという部分や、一つ一つ進んでいくごとにそういう新たな、より高いものが求められるステージに行くのではと思います。そこに向けて我々自体が進化をしていかなければならないです。そういった意味では明大や桐蔭横浜大という相手よりも、自分たちとして進化をした先にそういったものが見えてくるのではと考えています。相手よりかは自分たちとの向き合い、より高いところに持っていくというところを働きかけています。

――過密日程になっていますが、選手起用のマネジメントは難しい面もありますか

難しいからこそやりがいがあります。だからこそより学生たちであったり、周りの環境であったり、世の中の動きも含めてしっかりと感受性を持って取り組まなければならないと意識をしています。その上で必要なのはコミュニケーションや情報発信、それに対するインプットも含めて、より積極的にやっていくことで自分たちのリズムや自分たちの主体性が出てくると考えています。そこにしっかりとみんなの意識が向くようなマネジメントをどのようにしていくかという点に一番注力してやっているところです。学生たちが主体的にこの環境を自分たちの成長に繋げる、そしてその手応えを感じる。いろいろなことを捉える力がないといろいろな言い訳ができてしまいます。ここで成長をして結果を出すことにどれだけの意味があるのか、どれだけサッカーを超えた挑戦をしているか、ということを意識するというのは意味があることだと僕自身も感じます。そこは学生たちと一緒に成長していきたいと思います。

――前々節の敗戦があり、前節今節と工藤選手を起用しました。前期リーグで調子を落としてしまう時期もあり悔しい思いがあったかと思います。ここまでのピッチ外での働きかけ、そして2試合通してのピッチ内での働きへの評価を教えてください

工藤はトレーニング中も試合中も、凄くいい声をかけます。その声が出てくる根拠は状況を捉えているからだと思います。今は何を伝えるべきか。どういうアクションを、どういう発信をしていくべきか。そこに対する感度がすごく高いので、彼の存在はそういった隙を埋めていくところや、勢いをつけるというスイッチを持っていると思います。彼と先日話した際に、彼は監物を凄くリスペクトしているし、彼の能力を非常に評価していると。そこに対して自分が出られなくても、チームとして自分ができることを考えてやりたいと、この間の筑波大とのゲームの後にも語っていました。彼のこの先のサッカー人生はどこまで続いていくか分かりませんが、ただ1つ大学サッカーの中で何かをしっかり、自分のサッカーを完結させたいというか、何かそこで導き出したいという思いもあるのではと思います。非常に人間的にも成熟してきたなと感じています。今まではお祭り男的な面、ノリと勢いがよかったのですが、そういった面でもうワンランク、ツーランクくらい成長しているなと感じます。結局人間性がプレーに大きく影響しますし、周りとの繋がりであったり繋げる力というのは4年生らしいというか、非常に頼もしく感じています。

DF工藤泰平(スポ4=神奈川・日大藤沢)

――前節が今シーズンのリーグ戦初スタメンとなりました。開幕直前には体調不良もあり、中々チャンスが訪れませんでしたが焦りなどもありましたか

自業自得だなという気持ちはありました。ただ、チームが勝ち続けるたびに自分の居場所や立場が狭まっていっているなと感じていました。それでも、2年生から試合に少しずつ出させてもらっていましたし、今は4年生という立場なのでやるべき事をやらなければならないと考えていました。焦りや不安も当然ありましたが、それ以上にチームがうまく回っているからこそ、自分がどのような振る舞いをするのかという事をより考えていました。

――その中でスタメンのチャンスが巡ってきました。ここにかける思いはどのようなものがありましたか

意外と楽観的でした。たまたまチームが2連敗をして、そこで少しテコ入れといった感じで試合に出させてもらった、運が良かっただけだなと正直自分の中では思っていました。ただ、試合に出るとなったらやはり勝ちたいですし、4年生として早大を背負える試合もあと数えるくらいしかないので、ここで自分の持っているものを全て出したいと考えて臨んでいます。

――先週末の敗戦から、ここ2試合では大量得点の試合と、対照的な試合になっています

練習の中でも外池監督は口酸っぱくゴールだ、ゴールだと言っています。さらに今年は中の選手でも監督以上に自発的に取り組める選手が多いと思います。責任を感じていたり、俺がやってやるという選手がいます。今日は雄大が2点を取りましたが、前節も杉田がそうでした。凄くみんながアグレッシブにトレーニングからやれているのが良いのかなと思います。

――かなりボールが止まるピッチでした。守備面で意識をしていたことはありますか

ボールの蹴り合いになることは想定できていたので、その球際であったりカバーリングを特に意識していました。ただ、それ以上に前のボールに強く行けなかったのが今日の課題としてあげられると感じています。しかしそこは監物が入ることで改善されました。ライバルのような選手ではありますが、監物はやはり凄い選手だなと感じました。後輩ですし悔しい気持ちも当然あります。ただ、凄くリスペクトしてしまうような選手です。今はチームが上手く回っていますが、もっと自分自身もやらなければならないなと思います。

――無失点の試合が続いていることはいかがですか

それは素直にDFとして嬉しいです。リーグ戦は点を取られない限りは勝ち点が積み上がっていくレギュレーションです。そこは今後も続けていきたいです。ただ、失点は残りの10試合くらい、絶対にどこかで起こります。実際に起きた時に、リアクションというか、しっかりと立て直すということを後ろの選手中心にしなければならないと考えています。今はすごく集中して守りきれていますが、逆に次に失点してしまったときが大切だと思います。

――次節への意気込みをお願いします

中2日で次の試合が来ます。コンディションを含めて試合に向けていい準備をしていきます。ただ、全く同じメンバーで戦うということはないと思いますし、今年はコロナもあり厳しいシーズンになっていますが、今サッカーができている事はすごく幸せなことです。目の前に迫りくる一戦一戦に向けて、今日も部員が応援に来てくれましたが、部員や親、OBの気持ちも考えて、中2日でできる最大の準備をして、絶対に勝ちたいと思います。

MF田中雄大(スポ3=神奈川・桐光学園)

――この試合に向けてどんな準備を行なってきましたか

前節は5ー0で勝つことができました。その前は全然ゴールを奪えていなかったので、引き続きゴールを取るということを目標に、中2日ではありましたが前節のいい流れのままに今節も3点を奪うことができてよかったです。

――立正大にはどのような印象をお持ちでしたか

しっかりとした守備があり、カウンターで攻撃を仕掛けてくることはアミノ杯に対戦をしてわかっていたことでした。今日は天候も雨だったので少し難しい試合にはなりましたが、うまくチームの中で戦い方を変えながらも勝ち切ることができたのではないかと思います。

――2ゴールをあげる活躍でした。1点ずつ振り返ってください

1点目のシーンは、そのプレーの前まではあまりゴール前で攻撃をすることができていませんでした。タイミングを見て、徹が抜け出したのでニアに入ることを意識しました。徹がいいボールをくれたので合わせるだけでした。2点目のシーンでも同じようなシーンを想定して、ニアで徹からのボールを要求したのですが、ファーにボールは行きました。ただファーサイドのゴリから折り返しのボールが来るということはわかっていたので、そこでいいポジションを取れてしっかりと決め切れてたので良かったです。

――先週末の試合も雨でしたが、今日はその時よりもボールがピッチで止まるという印象がありました。

駒大戦での経験があったから、今日の試合でいろいろなことを想定してプレーができました。前のピッチよりも水たまりが多くありましたが、そこもしっかりと想定して準備をしていたので、想定内ではありました。

――試合が続きます。次節に向けての意気込みと準備を教えてください

また中2日で延期分の試合があるので、チームの中でも競争をして、メンバーは変わりながらも、一つの勝利という結果に向けてしっかりと準備をしていきたいです。