DRIVEを再確認した早大、ゴールを追求し5得点

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2020 第94回関東大学リーグ戦 第2節
早大 4-0
1-0
筑波大
【得点】
(早大)11’ 鍬先 祐弥、12’ 杉田 将宏、31’ 杉田 将宏、36’ 加藤 拓己、90+1’ 倉持 快

アミノバイタルカップでは勝利を重ねたものの、関東大学サッカーリーグ(リーグ戦)再開初戦の前節・駒大戦に敗れ、リーグ戦としては連敗中の早大。中3日で前期リーグ戦第2節延期分、筑波大戦が行われた。前節からスタメンを5人入れ替え、「勝つ負けるより、今日は点を取るということに特化した」と外池監督。試合は前半から早大が狙いを持った攻撃を仕掛け、今シーズンリーグ初先発のMF杉田将宏(スポ3=名古屋グランパスU18)の2得点を含む4得点。後半は相手に攻め込まれる時間が続くも、集中した守備でゴールを割らせない。終了間際にはダメ押しゴールが生まれ5-0の完勝を果たした。

先制点をゴールに押し込んだ鍬先

ゴールラッシュの前半であった。開始10分間は筑波大のサイドを広く使うパス回しからチャンスを作られる。それでも11分、DF工藤泰平(スポ4=神奈川・日大藤沢)の深い位置からのロングパスに反応した杉田が抜け出し、ゴール前の混戦から最後はMF鍬先祐弥(スポ4=東福岡)が押し込み先制。勢いに乗った早大の追加点は直後に生まれる。筑波大のキックオフで下げたボールを前線からパスコースを限定して奪い、FW加藤拓己(スポ3=山梨学院)のポストプレーから最後は杉田がフィニッシュ。「結果を意識していた」と語った杉田はペナルティエリア外からゴール右に突き刺した。31分には右サイドをDF柴田徹(スポ2=湘南ベルマーレU18)とお手本のようなワンツーで抜け出した杉田が相手DFをかわし、ゴール左に沈め、今日2点目。36分にもDF鈴木俊也(商2=東京・早実)の左サイドからのFKを工藤が競り勝ち、こぼれたボールを加藤が流し込み4-0。前半だけで早大は4点という大きなハンデを手にした。

2ゴールの活躍で勝利に貢献した杉田

後半、開始から3人を選手交代し、流れを作った筑波大がボールを握る時間を増やしていく。48分、ゴール前での筑波大のFKがゴールマウスを襲うも、GK山田晃士(社4=浦和レッズユース)がファインセーブ。その中でも、56分には早大が一瞬の隙を突き、加藤がGKと1対1でシュートを放つも僅かに左に外れる。その後は、筑波大がセットプレーで多くのチャンスを作るもDF陣を中心とした最後まで相手に身体を寄せる守備で得点を許さない。一方の早大は、低い位置からパスを繋ぎリズムを作るかと思えば、迫力のあるショートカウンターを狙うなど多様な攻撃を見せる。終了間際の91分には途中出場のFW鈴木郁也(社4=FC東京U18)が体を張ってボールキープしラストパス。これを途中出場のMF倉持快(人3=神奈川・桐光学園)が右足を振り抜き5点目。最後まで早大の守備は固く、完封で試合を締めた。

終わってみれば5-0の完勝。早大の攻撃には迫力があり、一発のチャンスを仕留めきる気概を見せた。内容としても、カウンター、パスワーク、セットプレーと幅広い攻撃でゴールを奪い、決定的なピンチを作らせずに完封。次節以降に繋がる大きな勝利を手にした。また、中3日で迎えた今節、今シーズンリーグ戦初先発の選手が活躍を見せたことで、チーム内での競争、更なる層の厚みを見せた。次節、中2日で立正大戦を迎える。連戦が続いているが、層の厚さを生かし勝利を積み重ねていきたい。

(記事 小林慎治 写真 長村光、橋口遼太郎)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 山田 晃士 社4 浦和レッズユース
DF 柴田 徹 スポ2 湘南ベルマーレU18
DF ◎5 杉山 耕二 スポ4 三菱養和S Cユース
DF 17 工藤 泰平 スポ4 神奈川・日大藤沢
DF 26 鈴木 俊也 商2 東京・早実
→64分 大西 翔也 スポ3 浦和レッズユース
MF 鍬先 祐弥 スポ4 東福岡
MF 14 植村 洋斗 スポ1 神奈川・日大藤沢
MF 13 杉田 将宏 スポ3 名古屋グランパスU18
→64分 19 倉持 快 人3 神奈川・桐光学園
MF 田中 雄大 スポ3 神奈川・桐光学園
→81分 28 丹羽 匠 スポ2 ガンバ大阪U18
MF 25 小倉 陽太 スポ1 横浜FCユース
→74分 11 水野 雄太 スポ2 熊本・大津
FW 10 加藤 拓己 スポ3 山梨学院
→57分 18 鈴木 郁也 社4 F C東京U18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 28 12 27 12 15
早大 21 10 28 20
桐蔭横浜大 20 11 16 13
駒大 17 11 23 20
順天堂大 17 10 16 15
国士舘大 17 11 15 14
慶大 15 12 14 18 −4
法大 14 12 19 19
立正大 10
10 筑波大 12 21 −9
11 中大 11 23 −15
12 専大 10 12 27 −15
※第12節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――前節から5人入れ替えて臨みましたが、どのような意図があったのでしょうか

慶大戦から6試合で、1試合平均0.8点くらいしか取れていませんでした。前節の駒大戦ではピッチ上のことや天候のこともありましたが、サッカーをやる上で、やはり点を取らなければならないというところ。勝つ負けるだけではなくて、ゴールをすることにしっかり向き合おうというのは、逆に駒大に教えてもらったところでもありました。それを体現できる、今の最大値を出せるメンバーを選びました。

――今日は特に得点のことを考えて試合に挑んだのでしょうか

そうですね。あとはワイドの選手がこれまでの4-1-4-1の中でサイドに張って仕事をすることが多かったのですが、少しそこが研究されてきていました。そこのポイントを、もう少し内側を使ったり、ダイアゴナルの動きを利用したりなど、ワイドに自由度を与えるようなタイプ、今日で言えば田中と杉田を起用しました。内側に入ることでサイドバックがもう少し高い位置取れるとか、ただ気持ちで点を取ろうっていうだけじゃなくて、攻撃の選択肢を増やすというやり方をとりました。

――結果、頭から2点取れて良い形で入れましたが

勝つ負けるより、今日は点を取るということに特化していました。我々はボールを持てて、持つことでゲームを作っている感がありました。しかしそもそもそれは全てゴールを取るためにやるべきことであるのに、試合に慣れたりアミノバイタルで勝ち進んだりしたことで、少しそれが自分たちの中でゆるみを生ませていました。ここでしっかり立ち返らないといけないし、筑波大さんが相手だったので、守備ではなく攻撃、かつ点を取る、そこに向かっていこうというだけでした。

――余計なボールを繋がずに後ろから前にというシーンが多くありましたが、それもそういう考え方で入ったからでしょうか

前節終わった後、柴田や山田などの選手から攻撃陣に対して奮起を促すような言葉があったり、ある意味チームの中で表現しきれていなかった、うやむやになっていた点に対して、学生達がしっかり掘り起こして、しっかりそこに向き合うように働きかけがありました。僕もまさに何かを乗り越えたいとかチームの停滞とかっていうのは、少し勝っているとなんとなく流されてしまうので、今は本当に良いタイミングだと思ってテーマをそこに持ってきました。例えば今日の杉田のドリブルとかもそこにチャレンジさせる勇気を持たせるのは全体だと思います。点を取るために周りは何をできるのか、11人でどうやって点を取るのか、というイメージをかなり共有できていました。敗戦明けでしたけど、すごく楽しみな状態でみんなゲームに臨めたんじゃないかなと思います。

――杉田選手に2ゴール生まれました。天皇杯で悔しい思いをして、外池監督の「挫折をしても立ち上がるのが大事」という言葉を体現するようなプレーでしたが、いかがでしたか

駒大戦も状態は良かったです。今、我々は試合のオーガナイズ、マネジメント自体は悪くないので、実はなかなか色々なことを変えづらい環境ではあったんですけど、実際やはり点を取れていないという現状がありました。そういった中で、杉田のようなベクトルを前に持っていける、ゴールに向える力を持った選手がそれを体現することができました。さらにはそれを見て、またみんながゴールに向かって行けるというような雰囲気を作りました。個性として杉田はとても評価できる状態でしたし、今日は素晴らしい活躍だったと思います。

――明大戦や慶大戦もそうですが、負けた後にチームが一皮むけた印象で、今回も駒大に負けた後に5点奪って、一皮むけたと思うのですがそこはいかがですか

何皮でもむけれるもんならむいて行った方が良いと思いますし(笑)、でもやはり敗戦から得られるものがあります。慶大に負けてからアミノバイタル勝っていけて、また駒大に負けてという感じでした。ただ、みんな負けというものに対してすごく良い意味で敏感というか、敗因こそ自分たちを成長させるチャンス、何かを変えていけるチャンスだと、僕自身も含めてそういう空気がチーム全体にあります。今日も、課題である得点のために必要なエッセンスとか、そこの洗い出しとか、では実際どういう形の攻撃をするかとか、そういったところを、短いインターバルでしたけど具体的にチーム全体で詰められたかなと思います。

――前期リーグ戦は勝つ時はトントン点が入る印象で、今日もそのような流れでした。良い流れができてきたかなと思いますがいかがですか

チームとしての繋がりというか、新しいメンバーが出てもそれをみんな後押ししたり、その中でそれぞれがチーム内での立ち位置や役割を理解できる状態にあるのは本当に4年生のおかげだと思いますし、そういうチームマネジメントや分析をやっている、千田(奎斗、社4=浦和レッズユース)とかも今回初めてメンバー入ったりとか、それに変わって松高(遼、スポ4=浦和レッズユース)がベンチに入ってきました。そういうのがあってもみんな上手く回ってますし、それを管理しているのが主務の西前(一輝、スポ4=F C町田ゼルビアユース)だったり主将の杉山だったり山田だったり。今日は工藤も先発に入って、監物(拓歩、スポ2=清水エスパルスユース)の方が色々な引き出しがあるかもしれないですけど、工藤は色々なところで声をかけて、チームの隙や穴を埋めていける、そういう所は素晴らしいなと思います。ゴールを生むための後押しというのは色々な形があって、みんなそれぞれがそれぞれの力を発揮したな、そういうチームに少しずつなってきているのかなと思いました。

――中2日での試合となりますが、どのような準備をしていきますか

ゴールをすることの喜びだったり、その一つの形に対してかなり手応えを持っていたと思うので、それをみんながもっと共感できるように、またフレッシュになってチャレンジしたいと思います。

鍬先祐弥(スポ4=東福岡)

――前節は悔しい敗戦となりましたが、今節に向けてチームとして取り組んだことはありますか

前節は多くチャンスがあった中で得点を決められなかったこと、守備では最後の最後に相手の狙っていた形で失点してしまったこと、そういった課題がリーグ戦の慶大戦(●0−1)も含めて顕著に出てしまいました。今節は全員でまずはゴールを取ろうということに力を注ぎました。そしてその形が試合で出せたので、良かったと思います。

――先制点を挙げましたが、あのシーンを振り返ってください

立ち上がり、自分たちが点を取ろうという勢いを持って挑んだので、それに乗ってチーム全体で圧力をかけられた結果が、自分のゴールに繋がりました。あれはみんなで取ったゴールだったと思います。

――トントン拍子で得点を重ねていきましたが、チームの雰囲気はどうでしたか

点を取るというのが一番の大きな目標だったので、1点決まったことで、もっと得点をというようにみんな大胆で前向きなプレーが増えていきました。そういった意味では非常に良かったかなと思いました。

――点差はありましたが、相手にボールを持たれる時間も多かったように思います。守備で意識されていたことはありますか

筑波大さんはビルドアップ、繋ぐところが上手いチームなので、ある程度ボールを持たせつつ、中に入れてきたところを取るっていう自分たちの狙いがあったので、そこはしっかり出せたかなと思います。その中で課題もいくつか見つかったので、そこは次戦までに修正していきたいなと思います。

――フル出場の試合が多いですが、ご自身のコンディションはいかがですか

日頃からケアは意識していて、今シーズンは特にけがもなく、良い感じに来ているので、これからも頑張っていきたいなと思います。

――中2日で次の試合となりますが、意気込みをお願いします

今節大勝して、次節は自分たちの力が問われると思いますし、そこでまたチーム一丸となってゴールを取りにいく姿勢、ドライブし続ける姿勢を体現して、次も絶対勝ちたいと思います。

杉田将宏(スポ3=名古屋グランパスU18)

――前節は悔しい敗戦となりました。チームとして今節に向けて取り組んだことを教えてください

チームとして得点が取れていなかったことが一番の課題としてありました。その課題に一人一人が取り組んだ結果、今日の試合があったかなと感じています。

――個人としても前節は思うようなプレーができていなかったように思いますが、今節ご自身のプレーで意識していたことはありますか

ゴール、結果っていうのは一番意識していました。今回こうして結果を残せたのは自分の中では良かったかなと思います。

――先制点を奪った直後に得点を決めましたが、そのシーンを振り返ってください

正直、自分が一番最初にチャンスがあったのですが、そこで決めきれませんでした。しかし鍬くん(鍬先)がその後決めてくれたので、自分もそれに続こうと思って、思いきり右足を振ったら入ったので、良かったかなと思います。

――2点目のシーンも振り返ってください

自分の特徴は味方を使ったプレーです。崩しのところでサイドバックとうまくワンツーができて、そこから前が結構空いていたので、勢いを持って入れて、うまく相手も見られて最後落ち着いて決めることができたので良かったです。

――ピッチ上で他の選手に向けて声をかけている印象でしたが、何か意識していたことはありますか

自分は来年4年になるということで、来年に向けてっていうことも考えながら活動しています。そういう点でチームを引っ張って、勝たせられるような選手になろうというのは常日頃から考えているので、それを意識していました。

――ご自身も求めていた結果を残しましたが、次戦に向けて意気込みをお願いします

結果はこだわり続けないと出てこないと思うので、そこは一番こだわって、これからもやっていきたいなと思います。