JR東日本カップ2019 第93回関東大学リーグ戦 第12節 | ||||
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早大 | 0 | 0-1 0-4 |
5 | 筑波大 |
【得点】 (筑波大)44’三笘 薫、49’60’森 海渡、53’山原 怜音、67’オウンゴール |
約1カ月間の中断を挟んで再開した関東大学リーグ戦(リーグ戦)。前期を3勝1分7敗と大きく負け越して折り返し、後期での巻き返しを狙う早大は、J1・川崎フロンターレ入りが内定しているMF三笘薫(4年)をはじめ複数のプロ内定者を擁する筑波大と対戦した。試合開始直後は落ち着いた試合展開となった中で前半終了間際にCKから先制点を献上すると、さらに後半開始直後から立て続けに得点を許し0−5で大敗。後期リーグ戦は黒星発進となった。
圧倒的な運動量で貢献した牧野
「攻撃の選択肢を増やすため」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)に守備時に4−4−2、攻撃時に3−5−2となる可変的なシステムを採用した早大。守備時には個の能力の高い三苫に対面するMF牧野潤(スポ4=JFAアカデミー福島)が最終ラインまで下がりブロックを形成する一方、攻撃時には牧野がサイドで高い位置を取る陣形だ。先にチャンスを作ったのは早大。2分にMF倉持快(人2=神奈川・桐光学園)がドリブル突破で抜け出すとたまらず筑波大は後ろからのファウル。直接FKのチャンスはかべに阻まれたが7分にもMF金田拓海副将(社4=ヴィッセル神戸U18)、MF鍬先祐弥(スポ3=東福岡)が立て続けにミドルシュートを放ちゴールに迫る。一方18分には筑波大の三苫も単騎での突破から決定機を演出。カウンターの場面、中央付近でボールを受けた三苫は華麗なドリブルで早大CBをかわしゴールへ独走。GK山田晃士(社3=埼玉・浦和レッズユース)のプレッシャーもありシュートはゴール右に外れるも、両チーム一進一退の攻防が続く。その中で新たなシステムで攻撃時には右WBとなる牧野が「狙っていくのが仕事」と再三筑波大の裏を狙ったランニングを見せ、チャンスを演出するが中々得点が奪えない。するとこのまま前半は終わるかと思われた44分、CKからニアサイドで三苫にヘディングシュートを叩き込まれ、0−1で前半を折り返す。
ゴールを見据え、ミドルシュートを狙う鍬先
後半開始からはFW加藤拓己(スポ2=山梨学院)を投入。反撃ののろしを上げたい早大であったが、後半開始早々の49分に追加点を献上すると53分にも立て続けに失点。56分にFW杉田将宏(スポ2=名古屋グランパスU18)を投入し流れを変えようと試みるも60分、67分にもさらに失点を重ね0−5と大きく点差をつけられてしまう。後半に入り筑波大は、中央でタメを作りつつ大外に展開。ボールを受けたサイドアタッカーから供給される質の高いクロスや、早大のCBとSBの間にインナーラップで走り込む筑波大の選手への対応で後手を踏んでしまった。一点でも返したい早大だが、筑波大サッカー場での開催となり多くの歓声に囲まれてプレーする筑波大に渡してしまった流れを取り戻すことができない。消極的なプレーの選択も増え、ほとんど決定機を作ることができないままに試合終了のホイッスルが吹かれた。
「戦う姿勢だったり球際の部分を表現できなかったことで起きてしまった連続失点」と外池監督は口にしたが、失点が前半終了間際と後半開始早々に続いてしまったことは大きな反省点である。「現実が突きつけられた」(牧野)、「これが現実だし、目の前の現実に向き合っていくしかない」(外池監督)と、ダメージの大きい敗戦となったことは確かだ。しかし下を向くばかりではなく、この敗戦を糧にする必要がある。まだ後期リーグ戦は始まったばかり。『現実』を『理想』へと近づける時間はまだ多く残されているはずだ。
スターティングイレブン
(記事 橋口遼太郎、写真 森迫雄介、土生諒子)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 山田 晃士 | 社3 | 浦和レッズユース |
DF | 5 | 杉山 耕二 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
DF | ◎3 | 大桃 海斗 | スポ4 | 新潟・帝京長岡 |
→69分 | 17 | 工藤 泰平 | スポ3 | 神奈川・日大藤沢 |
DF | 19 | 鈴木 俊也 | 商1 | 東京・早実 |
MF | 2 | 牧野 潤 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
MF | 4 | 鍬先 祐弥 | スポ3 | 東福岡 |
MF | 7 | 栗島 健太 | 社4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 6 | 阿部 隼人 | 社3 | 横浜F・マリノスユース |
MF | 10 | 金田 拓海 | 社4 | ヴィッセル神戸U18 |
→56分 | 8 | 杉田 将宏 | スポ2 | 名古屋グランパスU18 |
FW | 25 | 倉持 快 | 人2 | 神奈川・桐光学園 |
FW | 14 | 藤沢 和也 | 社3 | 東京・早実 |
→HT | 9 | 加藤 拓己 | スポ2 | 山梨学院 | ◎=キャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部 順位表 | |||||||||
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順位 | 大学名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 明大 | 33 | 12 | 11 | 0 | 1 | 30 | 6 | +24 |
2 | 桐蔭横浜大 | 24 | 12 | 7 | 3 | 2 | 20 | 11 | +9 |
3 | 立正大 | 23 | 12 | 7 | 2 | 3 | 25 | 13 | +12 |
4 | 順大 | 21 | 12 | 7 | 0 | 5 | 14 | 12 | +2 |
5 | 筑波大 | 20 | 12 | 6 | 2 | 4 | 21 | 15 | +6 |
6 | 駒大 | 19 | 12 | 6 | 1 | 5 | 14 | 22 | -8 |
7 | 法大 | 18 | 12 | 5 | 3 | 4 | 19 | 12 | +7 |
8 | 中大 | 17 | 12 | 5 | 2 | 5 | 13 | 16 | -3 |
9 | 専大 | 13 | 12 | 4 | 1 | 7 | 20 | 33 | -13 |
10 | 早大 | 10 | 12 | 3 | 1 | 8 | 12 | 23 | ―11 |
11 | 流通経大 | 5 | 12 | 1 | 2 | 9 | 11 | 24 | -13 |
12 | 東洋大 | 4 | 12 | 1 | 1 | 10 | 8 | 20 | -12 |
※第12節終了時点 |
コメント
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)
――後期開幕戦を迎えました、きょうまでの1カ月間どういう準備を積んできましたか
3連戦の最後で筑波大に勝って(◯2−1)前期を終われたことで、ある程度自分たちの方向性は見えましたが、置かれている状況は楽観視できるものではないということはチームに共有していました。『我々は現実的に残留と向き合わなければいけない』というテーマの中で我々は何をするべきか。1部残留のためには少なくとも15ポイントは必要になると思うので、(勝ち点)0を1に、1を3にしていけるような、勝ち点を現実的に取れるようなチーム作りをやってきました。きょうの前半の入り方も、相手の能力的なものだけじゃなくてモチベーションの部分など、相手をしっかり把握した上でゲームを進められるように突き詰めてやれていたかなと思います。
――きょうは3バックで臨みましたが、筑波大に対して思い描いていたゲームプランは
布陣は3バックでしたが守備時には4バックになるように牧野がしっかり降りて、(牧野が)三笘を見ながらFWの1枚が右サイドに落ちてきて(2人で)三笘を見るようにと。3バックの狙いはビルドアップ時にボールをしっかり保持しながら、ある程度高い位置へ前進していくための手段として採用しました。対筑波大だからというよりは、攻撃の選択肢を増やすためのものでした。
――立ち上がりは良いかたちが見られましたが、フィニッシュまで至らない場面が目立ちました
筑波としてはこういう(集中応援の中の)ホームゲームという状況もあってボールを握りたがるし、前からプレスに来るはずと踏んでいました。なので単調かもしれませんが、前半はとにかく(こちらの)狙い所を突かせずに相手の裏を取り、押し込むというよりはカウンターを仕掛けられるようなプランで臨みました。まずは失点を0で抑えながら、裏のスペースへのランニングを仕掛けてチャンスをうかがい前半を終えようと。どちらかというと後半勝負という布陣で臨みました。(この日のスタメン2トップの)藤沢と倉持はそういうプレーに加え守備も頑張れる選手なので、自分たちがビルドアップで攻めるためのカードというよりは、なかなか組み立てられない時にどうやって裏へチャレンジできるかという意図で起用しましたし、前半はそれで相手にリズムをつかませず、自分たちがリズムを構築していくというイメージでした。
――しかし後半が始まってから立て続けに失点。思い描いていた展開ではなくなったと思いますが、後半最初の15分間を振り返って
自分たちがやろうとしていたことをやる前に、自分たちのベースの部分、つまり戦う姿勢だったり球際の部分を表現できなかったことで、起きてしまった連続失点だったと思います。そこに関しては言い訳ができないですし、キャプテンの大桃や金田を中心に本来はしっかりピッチ上でマネジメントしていく(べき)ことがあったのに対して、実際のかたちとして(ピッチ上で)表現できなかったというところが大きかったと思います。
――実際に大桃選手を交代させましたが、戦術以上の理由があったのでは
戦えていないと思ったので。当然主将というのもありますけれど、それ以前に11人のうちの一選手としてピッチに立てるコンディションではなくなってしまったというのがあったので代えました。まあ選手は誰しも「やってやろう」とか「頑張ろう」とか、表向きに自分の中で強くありたいという部分がありますが、内側から湧き上がってこない時はあります。選手はそれほどデリケートなものだと僕自身思っています。それは大桃自身でコントロールできるところとできないところがあるし、今回はそういう状態になってしまったと判断して、ゲーム自体は最後までやりきらなきゃいけないということも含め、彼を代える決断をしました。
――かなりショッキングな敗戦となりましたが、どのように立て直しますか
とにかくこれが現実なので、目の前の現実に向き合っていくしかないです。これは前期が終わってから1ヵ月間ずっと言ってきたことだけれど、自分たちの現在地がいかに厳しい状況であるかというのをリアルに受け止める場面は結果的にトレーニングではなかったと思うのです。うまくいったかどうかではなく「いよいよ後期が始まるぞ」というこの試合で初めて蓋を開けて、現実としてこういう事態になった。『実際にこういうことが起きるんだな』という現実が、我々が臨もうとしている舞台だと思うし、この(後期開幕戦という)タイミングでそれを知れたというのは、もしかしたらいいことかもしれない。この現実を受け止めて残り10試合、特に次節は東洋大との直接対決ですし、そこに向かっていくしかないです。
DF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)
――チームとして後期が始まるまでの期間どのような取り組みをされてきましたか
前期の順位で課題を明確にして菅平に言ったりと合宿や普段のトレーニングも強度高いものをやって自分たちではしていたつもりだったものの、結果はこういった形で大敗してしまいmした。後期は残留を目指して15ポイントを目標に掲げた中で。内容が良かったからとかではなく、今日は内容もひどかったですが、結果が全てなので。
――今日の敗因はどのようにお考えですか
前期に比べたら、前半は特に自分たちが主導権を握れる時間は長かったです。前期は必死に耐えたというゲームでしたが、きょうは皆良く走れていましたし、ボールを持って主導権を握っている時間帯も多くあった中で、結局前半の最後にセットプレーで失点されてしまいました。後半の入りですぐに点を取られてしまうのはあってはならないですし、それが立て続けに3本もあって、フォーメーションを変えたり意思疎通した中で結局最後は軽いプレーでやられてしまいました。そういうところで個人ができないと(チームとしても)やられるというのは前期から教訓で得たものであったにも関わらず、自分自身含めやってしまいましたし、そこは一人一人が責任を感じないといけないですね。攻撃面でもセットプレーが多くあった中、まだまだ突き詰め切れていないところで、そこに好きというか甘さがありますね。
――大桃選手自身は途中交代されましたが
自分のプレーが明らかに不甲斐ないというか、ピッチに立つ資格がないという監督からのメッセージだと思っています。それに向き合っていかないといけないですしそこにフラストレーションを貯めるのではなくそこに向かい続けて自分が変わっていかないといけないです。そうしないとチームは前に進まないと思います。
――来週からも試合が続きます
これから試合がずっと続く中で、きょうの試合はもちろんそうですが、これに負けたからといって落ち込む余裕はないですし、1試合1試合大事にしないといけないので気持ちを切り替えて、自分はチームのためにどれだけプレーで示せるかというのが1番なので、それに向き合ってきたいです。
MF牧野潤(スポ4=JFAアカデミー福島)
――中断明け、後期の開幕戦となりましたが厳しい結果となりました
夏、前期が終わって1ヶ月間自分たちで、菅平とか合宿に行ってやってきたつもりではあったのですが、こういう結果になったということはこれが現実であって、やって来られていなかったのが現実かなというその現実が突き付けられた感じです。
――きょう守備では4バック、攻撃では3バックを展開しましたが、チームとしての意図を教えてください
3バックは前期終わってからずっとやってきて、攻撃のところで人数をかけてより攻撃的に行くというところをやってきたのでそこは後期始まって、後期の1試合目ということで攻撃で良さを出そうというところで3バックに挑戦しました。守備のところは相手に三笘選手がいたので自分のサイドで、攻撃というよりは守備のところで少し重きを置きながらという指示が出ていたので、少し僕が下がり目になって4バックという形になっていました。
――きょう再三、筑波左サイドバックの選手の背中側から裏を取るランニングを牧野選手が繰り返していたかと思います。このプレーはチームとしての狙いがあったのですか
僕がウィングバックのポジションで一番外にいるので、そこで起点ができることで相手守備を広げさせることが出来るので、そこは狙っていくのが仕事かなと思っていました。
――後半、早稲田の左サイドがかなり攻め込まれてしまうことが多かったと思いますが、右サイドから見ていてどのように感じていましたか
向こうサイドから相手が攻撃してくる中で、自分の方も三苫選手のところを少し意識しすぎてしまって、カバーが遅れたりだったり、サイドに押し出すというところが少し足りなかったので、向こうサイドは俊也(鈴木俊也、商1=東京・早実)ということで1年生でよくやっていたと思いますが、そこは自分の方からもっと押し出して、より守備をやりやすくしてあげられたらな、というように思うのですが、そういった点でサポートが足りなかったかなというように思います。
――次節の東洋大戦に向けての意気込みをお願いします
本当に勝ちしか求められていなくて、自分たちも勝つしかないと思うので、そこに向けて勝てるための準備を1週間やっていきたいと思います。