一度は追い付くも…流れを生かせずリーグ戦2連敗

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2019 第93回関東大学リーグ戦 第10節
早大 1-2
1-1
桐蔭横浜大
【得点】
(早大)28’杉山 耕二、82’杉田 将宏
(流通経大)17’下村 司、21’イサカ ゼイン、86’松本 幹太

 前節の関東大学リーグ戦(リーグ戦)順大戦(●1−2)を逆転負けで落とした早大は今節、J1・川崎フロンターレ入りが内定しているMFイサカゼイン(4年)ら強力アタッカー陣を擁する横浜桐蔭大と対戦した。開始から良いリズムで攻撃を仕掛けたものの17分、21分と立て続けに失点してしまう。早大も負けじと28分にCKからDF杉山耕二(スポ3=三菱養和SCユース)のゴールで一点を返すと、終盤の82分にはFW杉田将宏(スポ2=名古屋グランパスU18)のゴールで一時は同点に追い付く。しかしながら86分に再び失点を許しリーグ戦中断明け二連敗を喫した。

セカンドボールを拾い、試合に貢献した金田

 前節のリーグ戦から中二日でこの試合を迎えた早大は、スターティングメンバーを5人変更。前節負傷交代した今季チーム得点王のFW加藤拓己(スポ2=山梨学院)はメンバー外となった。敗戦から切り替え、「守備のところの修正」(DF大桃海斗主将、スポ4=新潟・帝京長岡)をテーマに試合に臨んだ。序盤にリズムをつかんだのは早大。4分にMF神山皓亮(商4=栃木・真岡)が左サイドを突破すると、FW清水駿(政経3=京都橘)の落としからMF栗島健太(社4=千葉・流通経大柏)がシュートを放つも相手DFのブロックに阻まれる。続く8分には栗島のスルーパスに抜け出した清水がシュートを放つが相手GKがファインセーブ。12分にも清水が栗島とのワンツーで抜け出すがファウル覚悟の相手DFのスライディングにより阻まれ、なかなか得点を上げることが出来ない。すると17分、中盤でのビルドアップのパスミスからボールを奪われると、FW下村司(4年)がGK笠原駿之介(法4=埼玉・早大本庄)のポジショニングを見て狙い澄ましたループシュートを放つ。ペナルティーエリア外から放たれた超ロングシュートは笠原の頭上を越えゴールに吸い込まれてしまう。続く21分には下村の鋭いクロスからFW松本幹太(3年)のヘディングシュートはバーに助けられたものの、こぼれ球をイサカに詰められ早大は2点のビハインドとなる。一方序盤から幾度となくCKを得ていた早大は28分、MF阿部隼人(社3=横浜F・マリノスユース)のアウトスイングのCKを杉山が合わせて1点を返す。その後もチャンスを作るも、序盤から体を張った守備を見せる横浜桐蔭大を前に同点ゴールを奪えず前半を折り返す。

得点後、喜ぶ杉田

 「色を出していけ」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)と、スピードあるサイドアタッカーのMF倉持快(人2=神奈川・桐光学園)を後半開始から投入すると、倉持の積極的な仕掛けから46分にCKを奪い、更にそのCKの流れから相手DFのハンドによりPKを獲得する。PKは相手GKのファインセーブにより得点できなかったが反撃の狼煙となり、また倉持の再三再四のドリブルでリズムを取り戻し始めた早大。しかし時計の針が進むにつれて疲労感からか選手同士の距離感が開き、また前線の動きなども乏しくなり、攻めあぐねるシーンも増えていく。ただその中で82分、後半途中に投入されたMF杉田将宏(スポ2=名古屋グランパスU18)が左サイドでボールを受けると、切れ味鋭いドリブルでカットイン。放たれた右足からのミドルシュートがゴール左隅に突き刺さり試合を振り出しに戻す。このゴールで勢い付くかと思われた早大であったが、全体が重くリトリートしてボールを奪っても中々落ち着けることが出来ず、すぐに相手にボールが渡ってしまう。すると86分、スルーパスで裏を取った相手SBの低く早いクロスを松本に流し込まれ勝ち越しのゴールを献上。早大は再びの同点弾を狙い桐蔭横浜大ゴールに迫るが、そのまま試合終了。リーグ戦中断明け二連敗となった。

 「自分たちの課題は明確」と大桃が語るように、前節同様早大のリズムで試合を運ぶ時間帯も多くありながら勝ち点3を奪えないのは、今年の大きな課題だ。また副将のMF金田拓海(スポ4=ヴィッセル神戸U18)が「多くのセットプレーがあった中で決めきることが出来なかった」と口にしたが、試合を通じてCKが11本、ペナルティエリア付近でのFKも数多くあっただけにセットプレーの精度をより高める必要性もあるだろう。しかしこれだけ多くのセットプレーを奪えているというのは、目指すサッカーを体現できている時間、ゴールに迫る機会が多いことの裏返しと言える。「下を向いている暇はない」と大桃は前を見据えている。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。明確である課題を乗り越えた時、そこには勝利が待っているはずだ。

スターティングイレブン

 

(記事 橋口遼太郎、写真 石井尚紀、小林慎治)


早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 笠原駿之介 法4 埼玉・早大本庄
DF 鍬先 祐弥 スポ3 東福岡
DF 杉山 耕二 スポ3 三菱養和SCユース
DF ◎3 大桃 海斗 スポ4 新潟・帝京長岡
DF 牧野 潤 スポ4 JFAアカデミー福島
MF 34 山下 雄大 スポ1 柏レイソルU18
→HT 25 倉持 快 人2 神奈川・桐光学園
MF 金田 拓海 社4 ヴィッセル神戸U18
MF 阿部 隼人 社3 横浜F・マリノスユース
MF 栗島 健太 社4 千葉・流通経大柏
→75分 39 杉田 将宏 スポ2 名古屋グランパスU18
MF 22 神山 皓亮 商4 栃木・真岡
→75分 33 西堂 久俊 スポ1 千葉・市船橋
FW 23 清水 駿 政経3 京都橘
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 27 10 26 +21
順大 21 10 13 +5
立正大 20 10 22 +13
駒大 19 10 14 16 -2
桐蔭横浜大 18 10 17 10 +7
筑波大 17 10 15 13 +2
法大 14 10 13 11 +2
中大 11 10 15 -6
専大 10 10 16 29 -13
10 早大 10 10 17 -7
11 東洋大 10 15 -10
12 流通経大 10 10 22 -12
※第10節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――3連戦の中日でしたがチームコンディションはいかがでしたか

前節は前半が良くて、後半がやられてしまったという課題をまずはしっかり洗い出しました。学生たちはそこに向き合って、二日間という短い期間ではあったのですが、全員がまとまろうという意識はあって課題と向き合った準備はできていました。なのできょうとしては自分たちの戦いというか、そういうものはできていたと思います。

――きょうのテーマは何でしたか

しっかり前からプレッシャーをかけて、自分たちが押し込む時間を多くするのと、ショートカウンターを狙いとしていました。前半はセットプレーなどのチャンスもあってうまくいっているという中で、自分たちのミスで失点してしまったのは大きかったですね。なんとなく自分たちがうまくいっている感を大事にしすぎて、そういうところに隙があって、ミスが続いてしまいましたね。難しくないものを自分たちで難しくしてしまったというのが失点に直結していました。相手にやられた、というよりも自分たちのミスでの失点でしたね。単純にもったいないな、というところが多かったです。

――良いシーンも多かったですね

順大のときは、シンプルに前からプレッシャーをかけてショートカウンターを狙っていましたが、きょうは押し込んでから二次攻撃、三次攻撃を仕掛けることができていました。押し込む中でも、いろんな変化が付けられていたので、そこに関してはプラスの部分が出て狙い通りでした。

――交代メンバーでかなり流れが変わりました

前半の課題として、阿部が内側に入っていたのでワイドに使えていませんでした。前に推進力のある選手を入れて、山下と栗島がノッキングしている場面もあったのでそれを整理する意味で、阿部を左にもっていきました。できる限りボールをにぎれる選手たちを下げて、両サイドがワイドにとって、サイドバックが内側をとれるようなかたちを狙ってすっきりさせようとしました。それによって隙なくできるようになるんじゃないかな、と思ってして、皆それに対してうまく機能してくれました。

――後半も継続して自分たちのサッカーができていました

変化は自分たちから作れたし、自分たちのやるべきことを意識してできていました。PK戦もありましたし、杉田のゴールも含めて、相手のゴール前に入っていくシーンが多かったです。でもその先がまだまだ足りないですね。プロセスとしてはかなり手応えを感じてはいるので、あとは勝ち点0を1にする、1を3にする、などたくましさやタフさだと思います。理想的な攻撃や崩しだけではなくて、タフさを身に付けることが新たな課題になってくると思います。前期を終えればまたしばらく空きますけど、色々なことにトライしていく時間にしていきたいです。

――結果を踏まえ、今後はどう戦っていきますか

特に後ろ向きには捉えていません。僕は優勝の翌年という十字架を背負ってやっていると思います。この40年間それに苦しんできたのは紛れもない事実なので、乗り越えるためにはどういう姿勢でい続けられるかが、最後の最後に出てくると思います。今はチャレンジし続けることに専念します。

DF大桃海斗(ス4=新潟・帝京長岡)

――3連戦の第二戦でした。準備の時間も少し短かったかと思うのですが、どのようなテーマできょうの試合に臨まれましたか

前節順天堂さんとの試合で前半ある程度自分達のかたちで持っていけた中で後半、明らかに相手に主導権を握られて結局二失点してしまって負けるという試合をしました。守備のところの修正というのをこの二日間、時間は短かったですがやって、そういうところを守備面をある程度もう一度確認し直して臨みました。

――早稲田の攻撃の組み立てに関してですが、桐蔭の2トップの守備にかなり手こずっていた印象があるのですがいかがでしたか

桐蔭さんが前からくるという事をスカウティングしていた中で、試合中に自分もやっていたようにある程度ボールが受けられるなぁというか、ある程度ボールが運べるなと思っていたので、後ろからしっかりビルドアップをして、サイドを上手く使いながらという攻撃を心がけてというのを意識していました。

――大桃選手は特に栗島選手など、前線の選手への楔のパスの意識が強かったように感じました

もちろん僕個人としての長所でもありますし、特にきょうはポジショニングのところで上手く桐蔭さんのギャップに入ることが出来てボールを受けられたのかなと思います。

――後半以降なのですが、例えば大桃選手と左サイドの選手であったり、チーム全体として少しパスがズレてしまう場面もあったかと思うのですが、それは疲れや中2日であったこと、暑さなどの影響もあったのでしょうか

もちろんそういうの(疲労や暑さなど)もそうですし、やはりそういった時に個人個人、チームのことをどれだけ思い遣ってプレーすることが出来るか、とかそういった細かいところだと思うので、そこがまだまだ足りないからやっぱりパスの距離が長くなって距離感が開いて、カウンターを受けるシーンも多かったです。そこはまだまだボールを保持する中での課題というか、後半残り半分くらいはそういう時間が長かったので、そこはまた修正するべきところかなと思います

――早稲田の守備に関してですが、桐蔭はかなり2トップに対して蹴ってくる、ロングボールを入れてくるイメージがあったかと思いますがいかがでしたか

毎年桐蔭さんは2トップに特徴があって、個の能力が高い選手がいるのでそこはある程度、試合前からボールを前に放ってくるだろうというのはわかっていましたし、今年はサイドに能力の高い選手が桐蔭さんはいるので、個で負けないように、というのは僕個人としてはすごく意識をしてやっていました

――最後に中3日ですぐに次の筑波大学との一戦がやって来ます、そこに向けての意気込みを聞かせてください

自分たちの課題というものは明確ですし、下を向いている暇もないですし、本当に上を向いてどん底から這い上がるだけだと思うので、ポジティブに捉えるというのは難しいかもしれないのですが、少しでも前向きなエネルギーをもって次に臨めたらなと思います

MF金田拓海副将(社4=ヴィッセル神戸U18)

――前節の敗戦をベンチから見ていてどのように感じていましたか

前半に自分たちがやろうとしていることができていたんですけど、相手が変化をしてきたときにピッチ内で何も変えることができていなくて、選手が迷っているように見えましたし、中で意思を統一させることができてないなと感じて、そこが敗因だと思いました。

――その点を踏まえてきょうの試合で意識されたことはありましたか

前からいくのであればいく、リトリートをするのであれば前の選手もしっかりと下げる、といったみんなで意思を統一して同じ方向を向くことが大事で、そういうことは練習からできていました。きょうの試合を見ても、相手はサイドがストロングで、ボランチからサイドにボールを蹴ってくるイメージがあって、そういうシーンはほとんどつくらせていなかったと思うので、うまくいっていたんですけど、チャンスを決め切れないところであったり、自分たちのミスであったり、最後の時間帯に走り切れないといった課題が明確に見えたので、中3日で修正していかなければいけないと思います。

――きょうの試合ではセットプレーのチャンスが多くあった中で、決め切ることができませんでした

試合前のポイントとしてセットプレーを掲げていて、多くセットプレーがあった中で決め切ることができなかったのはもったいなかったと思います。練習の中でセットプレーは良くなってきていて、ストロングポイントではあるので、高めていけるように練習からやっていきたいです。

――2戦連続で終了間際に失点されていることはいかがですか

暑い中で集中力は欠けてしまうんですけど、ああいう失点のかたちは練習試合でも出ていたので、練習試合で課題として出ていたのに今回も失点してしまったことは、良くない点です。

――金田選手自身は中盤の攻防を制することができていた印象です

ボールを支配していたと思うんですけど、前半の前に出ていったシーンなどで点を決めることはできましたし、最後の時間帯に全く走ることができていなかったので、課題が多い試合でした。

――次戦まで中3日ですが、きょうの試合で出た課題を修正していくという方向ですか

そうですね。コンディションも重要になるので、休むことも大事ですし、みんなで話を合わせていくことも大事だと思います。

MF倉持快(人2=神奈川・桐光学園)

――ベンチスタートで前半は試合を見ていたと思うのですが、どのように考えていましたか。

自分の武器がスピードなので、サイドの攻防のところを意識していました。また試合前に監督から「色を出していけ」と言われていたので試合の中で出していきたいと思っていました。

――途中交代の時にはどのような指示を受けましたか。

左サイドがカミ君(MF神山皓亮、商4=栃木・真岡)で右サイドが自分だったので、やっぱりスピードを生かして突破していこうということでした。最初の2プレーくらいは良かったんですけど、その後は防がれてしまったので。相手が対応してきた中で、突破できないとダメだと思うのでまだまだだと思います。

――順位が上にのチームに勝てていないチーム状況ですがどのように考えていますか。

これが今の自分達のダメなところだと思います。そういった相手に自分達の時間を増やして、そういったゲームに勝てるように、決めきるところだったり、守りきるところだったりを出来るようにしていきたいです。

――連戦となります。意気込みをお願いします。

メンバー争いも激しいですし、まずはその中で勝てるように。その為にもひとつひとつの練習を大切にして、そういうところを意識して次は勝ち点3を取れるように頑張りたいと思います。