明大に再びの敗北。天皇杯への道は途絶える

ア式蹴球男子
第24回東京都トーナメント決勝
早大 0-0
0-2
明大
【得点】
(明大)55’佐藤 亮、90+4’瀬古 樹

 先週行われた関東大学リーグ戦(リーグ戦)第5節(●0-2)で戦った明大と東京都トーナメント決勝で再びぶつかった。勝てば東京都代表として全日本選手権(天皇杯)に駒を進めることができる大事な一戦。何としてでも勝って天皇杯への切符を手に入れたかったが、結果は0-2で敗北。チームの課題となっている得点力は改善されないまま、今シーズン公式戦5敗目となった。

得点を期待されるエース・武田

 立ち上がりは両チーム共に高い集中力を見せ、拮抗(きっこう)したシーンが続いた。4分、6分と序盤に連続してCKを与えるもDF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)をはじめとしたDF陣が確実にクリア。13分にはFW蓮川雄大(スポ4=FC東京U18)が高い位置からFW武田太一(スポ4=ガンバ大阪ユース)にマイナス気味のパスを出しチャンスをつくり出したが、シュートはGK早川友基(3年)の正面へ。続いて20分にはFW梁賢柱(スポ3=東京朝鮮高)がゴール正面で力強く振り抜くも早川友基にはじかれ、またしても得点にはならなかった。明大も攻撃の手を緩めることなく、FW小柏剛(3年)とMF佐藤亮(4年)の2トップを中心にゴールを狙ってくる。23分にはパスミスからボールを奪われ、カウンターで一気にゴールまで持ち込まれ混戦に。ピンチは免れたものの、明大の短く速いパス回しに翻弄(ほんろう)されなかなかボールを保持することができない。GK山田晃士(社3=浦和レッズユース)がペナルティーエリア外まで守備範囲を広げ相手のシュート数を抑えてはいるものの、いつ試合が動いてもおかしくはない状況。サイドを中心に早大も攻撃を仕掛けるが、焦りが見え始めたのか徐々に前線へボールを蹴り込むシーンが増えていく。43分にはCKのチャンスを手に入れたものの、大桃のシュートは相手へ。明大の堅い守備を崩すことなく勝負は後半へと委ねられた。

交代後、セカンドボールを自らのものにし攻撃の起点となった鍬先

 後半最初のチャンスは早大のCK。決め切ることはできなかったが、その後も武田のインターセプトから逆サイドに展開するなどいい流れに。武田がボールに絡みチャンスをつくり始め、得点の匂いがしたと思ったのも束の間、55分には中盤でボールを奪った佐藤亮にゴール前まで持ち込まれ、豪快に左足を振り抜かれた。そのままボールはゴール左隅へと吸い込まれ、先制点を与えてしまった。一瞬の出来事に動揺しつつ、追いつくために前への推進力を強めたい早大。しかしボールをもつと運動量で圧倒的に上回る明大に複数人でプレスをかけられ、自由にプレーをさせてもらえない。61分には深い位置でFKを与えてしまい、大桃がヘディングするもDF中村帆高(4年)に強烈なシュートを打たせてしまう。失点にはならなかったが、その直後にもミドルシュートを打たせるなど苦しい時間帯が続く。66分には蓮川に代わってFW西堂久俊(スポ1=千葉・市船橋)が入り、サイドからの攻撃で得点を狙う。しかしなかなか流れが変わることなく、中盤の攻守の切り替えが遅いためにカウンターで一瞬にしてゴール前まで持ち込まれてしまい、連続してシュートを打たせてしまう。明大の攻撃を食い止めるべく、72分にMF鍬先祐弥(スポ3=東福岡)を交代で投入。セカンドボールを確実に拾い、攻撃の起点になるが前線にボールが収まらない。西堂もサイドの高い位置までドリブルでえぐり、センタリングを上げるが武田が惜しくも合わせられずビハインドのまま時間が過ぎていく。90分に得たCKを皮切りに最後の意地を見せた早大の猛攻撃が始まる。大桃を前に上げ、攻撃に人数をかけて延長戦に持ち込むために何としてでも追いつきたい。山田がロングキックでボールをゴール付近まで蹴り込むと混戦に。しかしこのシーンでもネットが揺れることはなかった。そしてホイッスルが鳴る直前の94分。MF瀬古樹(4年)がセカンドボールを拾い、フリーの状態で独走し山田と一対一に。冷静にゴール右へと沈められ、まさかの0-2に。早大の猛攻撃は実を結ぶことなくあっけなく散った。

 結果は0-2と先週のリーグ戦と同じだが、内容は格段に良くなっていた。しかしチャンスを決め切ることができず、一瞬の隙で失点を許してしまう展開は相変わらず今シーズンの課題となっている。内容がいくら良くても、勝負の世界では結果が全てだ。結果を残さなければ上には進めない。「しっかりとした競争をチームの中に見出す」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)と、まずは自分たち自身を見つめ直す必要がある。天皇杯本戦への道は途絶えてしまったが、リーグ戦はまだ続いていく。謙虚に戦うことも大事だが、昨シーズンのリーグ戦王者としてのプライドも見せてほしい。

スターティングイレブン

 

(記事 大山遼佳、写真 森迫雄介、堤春嘉)


早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田 晃士 社3 浦和レッズユース
DF 牧野 潤 スポ4 JFAアカデミー福島
DF ◎3 大桃 海斗 スポ4 新潟・帝京長岡
DF 12 大里 優斗 社4 鹿島アントラーズユース
DF 17 工藤 泰平 スポ3 神奈川・日大藤沢
→87分 杉山 耕二 スポ3 三菱養和SCユース
MF 阿部 隼人 社3 横浜F・マリノスユース
MF 金田 拓海 社4 ヴィッセル神戸U18
MF 栗島 健太 社4 千葉・流通経大柏
→72分 鍬先 祐弥 スポ3 東福岡
FW 武田 太一 スポ4 ガンバ大阪ユース
FW 10 梁 賢柱 スポ3 東京朝鮮
FW 11 蓮川 雄大 スポ4 FC東京U18
→66分 25 西堂 久俊 スポ1 千葉・市船橋
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――先週と同じ結果になってしまいましたが、きょうの試合内容はいかがでしたか

先週のリーグ戦で負けた相手と同じ相手ということでしたが、切り替えて自分たちの立ち位置やできることを再認識した上で最大値をどう出すかを皆で考えてきました。相手をリスペクトするのと、自分たちが我慢するリズムをつくってゲームを運ぶことに関してはしっかりできていたと思うし、そういう中できっかけみたいなものも出せていたのでそこは非常によかったです。ただ点の取られ方に関してはミスや隙ではなかったけれども、相手の良さを出させてしまったのは現実ですし、その後もきっかけは作っていたものの、ゴールをするところまでもっていけなかったですね。0-1のところまではしっかり我慢することがチームとしてできていたかなと思います。ただそれから先にいけなかったのはチームとしても、今試合に出ているメンバーにとっても大きな課題であります。そこに関してはもう一度心の部分をリセットして、本当の意味でいい競争を作り出せるような環境にしていきたいと思っています。

――きょうのテーマは何だったのでしょうか

テーマは『我慢する』ことでした。何のために我慢するかとういうと、勝つために、点を取るためにしっかり我慢し続けることが必要です。特にGKを含めた(FW以外の)9人に関してはそこを徹底してコンパクトに、かついい距離感をもって相手に隙を与えないことが1つのテーマでした。それからきょうは武田に点を取ってほしいと話しました。これまでチームとしてそれぞれが苦しんできたかもしれないけど、武田は今の早稲田大学のエースであり、大学選抜にも選ばれるような高い能力をもった選手であるし、実績もある選手ではあることに疑いはありません。でもこういう状況の中で点が取れていないのは武田自身が一番大きく背負っているし、FWが背負って戦わないといけないのではとにかくきょうは武田にゴールを取らせるようなサポートをしてほしい、武田はそれを自分で導き出せるように自分をさらけ出して、プレーに臨んでほしいと話してそれをもう一つのテーマにしました。

――ハーフタイムには選手たちにどう指示等しましたか

先週の明治戦同様、我慢しないでこちらからバランスを崩してしまっている部分があったので、そうならないで我慢を継続して後半30分までは我慢していこうと話しました。でも失点の時間帯は先週と一緒でしたね。あのシーンも武田が結構いいかたちでもってドリブルして、でも途中で引っかかってちょっと間延びしたところのカウンターをくらってやられました。やられ方は先週と非常に似ていたなと思います。結局あそこで我慢ができなかったというところが出てしまっていましたね。

――交代策はどう考えていたのでしょうか

ある程度ゲームプランは考えていたので、先に失ってしまった場合はどうしても攻撃的にいかないといけないですが、同時に我慢をする状況も確保しなければいけませんでした。特にこぼれ球が拾えなくなってしまったので鍬先を投入したのと、もう少しサイドというか前にパワーを出さないといけないので前に出ていける選手として西堂をいれました。

――失点後のゲームの流れはいかがでしたか

交代で出ていた選手で特に鍬先はしっかりチームが難しい状況にいるポイントを押さえて、ビルドアップをしっかり整えてセカンドボールをよく拾ってくれていました。サイドにボールが展開されていくケースもあったので、そこはチームとしての狙いに近づけたかなと思います。

――今後のリーグ戦ではどう戦っていきますか

とにかく我々は強くなっていかないといけないので、まずはしっかりとした競争をチームの中に見出すことですね。あとは特に4年生にとっては二度と帰ってこない時間で、もしかしたら競技者と最後になるかもしれない時間をサッカーとどう向き合っていくのかを継続してテーマとしていくことです。本当にこういうことも含めた人間としての切磋琢磨(せっさたくま)みたいなのを促していきたいし、そういう昨年からずっとやってきていることに関しては勇気をもって取り組んでいきたいです。そこの上でチーム力を改善させていきたいと思っています。

DF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)

――試合を終えて、今の率直な気持ちを聞かせてください

リーグ戦で勝てていないので、ここで天皇杯1つ勝って、リーグ戦に良い雰囲気で臨みたいなというふうに思っていましたし、先週も明治さんとやって0−2で負けてる中でこの短期間で2度負けるというのはありえないと僕自身思って試合に臨みました。結果0−2という形で、前回同様前半はピンチもありましたけど、耐えたというか、我慢しきった中で、後半の入り方というのは課題としてありました。そこは意識して臨んだのですが、結果そこに隙があったから負けたのだと思います。

――試合前、チームにどのような話をされましたか

外池さん(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)からも、きょうはメンバーに4年生がたくさん入っていたのですが、4年生が結果を残せというのは言われていました。名前を挙げると武田(武田太一、スポ4=ガンバ大阪ユース)が点を取らなければいけないというふうにある程度プレッシャーはかけられて覚悟を持って臨んだ試合でした。本当に僕たち4年生自身ももう後がないというふうに思って臨んだし、失点をしないというのはテーマとして挙げられていた中で、前半は良かった方じゃないかなと思いますが、結果90分を通して我慢しきれなかったというのは甘さが出たと思います。

――失点シーンを詳しく振り返っていただけますか

やっぱり後半に入って、相手も前半とはちょっと変えてきたりしていて、それに自分たちは対応できていなかったし、もう一歩寄せられるかどうかとか、そういう細かい所に目を向けないといけないかなと思います。普段東伏見でやっているトレーニングの中からそこを突き詰めていかないと変わらないかなと思います。僕自身CBを4年生でやっていますし、中盤の金田(金田拓海副将、社4=ヴィッセル神戸U18)だったり栗島(栗島健太、社4=流通経大柏)だったり、前には武田がいて、中心に4年生がいる中で、4年生が結果を残せていないし、トレーニングの中でも嫌われてもいいからそこを要求していかないといけないなと思います。

――先週のリーグ戦と比べてきょうの出来はいかがでしたか

そうですね、さっきも言ったように外池さんが武田をテーマにというか武田が点を取らなければいけないという話をしてくれていた中で、武田のプレーは僕自身今年に入って一番良かったんじゃないかなと思っています。(ゴールには)入らなかったですけどクロスからヘディングとか、そういうふうに中まで入りきっていたし、それを向き合わせていくのが外池さんじゃなくて、自分たちがやらなければいけなかったことかなと思います。外池さんが言ったからこそ出来たことかもしれないですけど、太一に対して4年生の僕自身が点を取ることに関して向き合わせなければいけなかったし、逆に僕自身は相手に点を取らせないということにもっと向き合わなければいけないなと思います。

――今シーズンなかなか勝ち切れていません

僕が1年生のときもなかなか勝てない時期があった中でそれを教訓にしなければいけないなと思いますし、負けているからと言って固くなってしまうのは僕的に一番良くないなと思っています。やっぱりしっかり整理して、何がいけないのか何が良かったのかというのはもちろん試合を通してあると思うので、そこに対して向き合い続けることが大事だと思いますし、それを僕自身が一番みんなに発信して伝えていかなければいけないと思います。リーグ戦でまず一勝できるように、本当に全員で良い準備をするしかないかなと思います。

――来週からはリーグ戦に戻りますが、どのように戦っていきますか

90分を通して自分たちが主導権を握って隙を作らない、そして相手の隙を突くというのはやっぱり早稲田が目指すべきところだと思うし、そこに向けて自分が出来ることやり続けたいなと思います。それをやり続けなければ結果は出ないと思うので、日々のトレーニングから自分が向き合って、チームを勝たせるという意志を持って臨んでいきたいと思います。

FW武田太一(スポ4=ガンバ大阪ユース)

――きょうは武田選手がこの試合のテーマだと伺いましたが、どのような意気込みでしたか

きょうはいつも通り自分が点取ってやるというメンタリティでやっていました。

――きょうのプレーを振り返っていかがでしたか

自分の好きなようにやらせてくれるというので、結構エゴイスティックに要求していたのですが、苦しい時間帯が続いて、守備から全員でやってクリアボールに反応しようかなという感じでやっていました。後半は数あるチャンスの中で自分が決め切れなかったのが敗因の1つかなと思います。

――今までに比べたら武田選手にいいかたちでボールが入る場面が、特に後半多くなったと思いますが

そうですね、失点してから相手が引き気味になってある程度ボールを持たしてくれていたという印象が強くて。その中でサイドで西堂とかが個で打開できたのが大きかったかなと思います。

――きょうの敗戦により、天皇杯本戦への道は途絶えてしまいました

明治が表彰されている姿を見て、純粋にすごく悔しかったし、自分が決めていればという気持ちが強くて、後悔というか責任を強く感じています。

――その悔しさ、リーグ戦でまだばん回できる機会はあるかと思います

きょうに限らず、自分が決めないとこのチームは勝てないと思うので、これからも貪欲にゴールに向かっていくしかないですね。