全日本大学選手権(インカレ)の準々決勝が行われ、順大と対戦した。前半は対策が奏功し、早大がペースを掌握。早い段階でMF岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)の得点で先制に成功し、その後も相手を寄せつけずに試合を進める。しかし、ハーフタイムの順大の戦術変更に対応できず、後半の開始15分で一気に試合をひっくり返されると、反撃の糸口はつかめずそのまま敗戦。関東王者として臨んだインカレだったが、ベスト8敗退という結果に終わった。
2日前の2回戦でDF大桃海斗(スポ3=新潟・帝京長岡)が負傷し、守備の要を欠いた早大。この日は、4-1-4-1の布陣で試合に臨んだ。アンカーにMF高岡大翼副将(社4=広島皆実)を起用し、順大のセカンドトップのU21日本代表FW旗手怜央を警戒。2トップの順大に対し、最後尾で数的優位を確保することにもつながり、安定したビルドアップで主導権をつかんだ。球際の攻防でも優位に立ち、序盤から相手を押し込み続けると、6分に試合が動く。右サイドでのFW武田太一(スポ3=ガンバ大阪ユース)のポストプレーを起点に、MF栗島健太(社3=千葉・流通経大柏)が左サイドに展開。広大なスペースを突いて抜け出した岡田がボックス内に侵入すると、相手DFとの駆け引きから、コースが空いた瞬間を見逃さなかった。狙い澄ましたシュートはポストに当たってゴールへと吸い込まれ、早大が早々にリードを奪った。
その後もピッチの幅を広く使って主に左サイドから攻め込み続け、たまらず順大は16分に右サイドバックの選手を交代。次第にボールを持たれる時間帯も増えたが、強固なブロックをつくって危なげなく試合を進める。31分に武田が負傷の影響でピッチを退いても、その流れが変わることはなかった。「狙い通りの戦いができていて、ほぼパーフェクトに近かった」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)。しかし、前半の追加タイムに入り、警戒していた旗手に立て続けに2発のシュートを打たれてしまう。ともにDFがコースを限定し、GK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)が難なく処理したが、順大が閉塞感を振り払って試合を折り返した。
6分に鮮やかなシュートで先制点をもたらした岡田
順大はさらに状況を打開すべく、ハーフタイムに選手交代を伴った布陣変更を行う。一方、前半の試合内容への手応えから「まずは15分耐えよう」と『現状維持』を選択していた早大は、相手の『変化』に対応しきれなかった。ボール支配され続けて迎えた48分、DF石上輝に50メートル近くドリブルで運ばれて右サイドを割られてしまう。MF長倉幹樹にクロスを許すと、こぼれ球を逆サイドでDF柳澤亘が回収。結果として左右に振られ、ボックス内の右半分をぽっかり空けてしまう。岡田がコースを消しに戻ったが、ボックス手前から放たれたミドルシュートは綺麗な軌道を描き、ネットが揺れた。
後半開始から早い時間帯の失点は、早大を悪循環に導いた。50分のセットプレーで栗島に決定機が訪れたが、シュートは枠を外してしまう。53分には相手を崩し、フリーでボックス内に走り込んだDF冨田康平(スポ4=埼玉・市浦和)にパスが出たが、わずかに通らず、ゴールを脅かすことはできない。すると、直後に受けたカウンターから長倉の際どいシュートを浴び、その後も5分以上にわたって自陣にくぎ付けに。次第に陣形も間延びし、ベンチは2枚替えを決断するが、タイミングを逸して投入がワンプレー遅れるなど、歯車はことごとくかみ合わなかった。そして60分、クロスに対してファーサイドに走り込んできた石上にダイビングヘッドで合わせられ、ついに逆転を許した。
ビハインドを負った早大は再びプレスからペースを取り戻そうとするが、リスクを冒さずに試合を進める相手を攻略できない。MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)にボールを集めたが、決定機を生み出せないまま時間が経過し、85分頃からは誘われるようにファウルを犯すシーンも目立った。「ちょっとした経験や空気感の読み方には差があった」(外池監督)。試合終了の笛は、今年度のチーム解散を告げる笛となった。
敗戦に悔しさをあらわにする選手たち
前半が終始早大ペースで進んだことで、ハーフタイムに迷いが生じた。「(相手が)絶対に動いてくると思ってはいたが、変えられない空気感が生まれていた。先手を打って変化を加えるという今までやってきたことができなかった」(外池監督)。大切にしてきたスタイルを貫けず、相手の『変化』に屈した結果の敗戦。不本意な形でシーズンを終えることとなった。しかし、この一年間の取り組みが色あせることはない。今季、チームはガラリと変わった。特にピッチ内では、主力選手の特徴を生かす基本戦術をベースに、変化を尊びながら、対戦相手に応じて柔軟に戦うという新たなチームスタイルの確立に挑戦。部員・スタッフ全員で謙虚に試合に向かう姿勢を徹底して、入念な準備を繰り返した。その結果、最大の目標としていた関東王者奪還を達成。古豪復活への足がかりをつくった。「『あの一年があったから今がある』と思ってもらう瞬間をたくさん作りたいという思いを持ってやってきた」(岡田)。歴史と伝統あるア式蹴球部の大改革は、まだ始まったばかり。「清々しい」と語る岡田を中心とする先駆者たちはチームを去るが、残る下級生たちがこの悔しさを原動力に、早大を『日本をリードする存在』へと導く。
スターティングイレブン
(記事 守屋郁宏、写真 堤春嘉、新開滉倫、大山遼佳、森迫雄介)
第67回全日本大学選手権 準々決勝 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 1 | 1-0 0-2 |
2 | 順大 |
【得点】 (早大)06’岡田 優希 (順大)48’柳澤 亘、60’石上 輝 |
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属(加入内定) |
GK | 1 | 小島 亨介 | スポ4 | 名古屋グランパスU18 (大分トリニータ内定) |
DF | 2 | 牧野 潤 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
DF | 18 | 杉山 耕二 | スポ2 | 三菱養和SCユース |
DF | 23 | 坂本 寛之 | スポ2 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 6 | 冨田 康平 | スポ4 | 埼玉・市浦和 (京都サンガF.C.内定) |
→58分 | 12 | 小笠原 学 | 社4 | 青森山田 |
MF | 13 | 高岡 大翼 | 社4 | 広島皆実 |
→58分 | 30 | 石神 佑基 | スポ4 | 埼玉・市浦和 |
MF | 7 | 相馬 勇紀 | スポ4 | 三菱養和SCユース (名古屋グランパス内定) |
MF | 8 | 栗島 健太 | 社3 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 5 | 金田 拓海 | 社3 | ヴィッセル神戸U18 |
→77分 | 14 | 田中 雄大 | スポ1 | 神奈川・桐光学園 |
MF | ◎10 | 岡田 優希 | スポ4 | 川崎フロンターレU18 (FC町田ゼルビア内定) |
FW | 9 | 武田 太一 | スポ3 | ガンバ大阪ユース |
→31分 | 15 | 直江 健太郎 | 商4 | 東京・早実 |
→80分 | 20 | 梁 賢柱 | スポ2 | 東京朝鮮高 |
リザーブ:GK21千田奎斗(スポ2)、DF17工藤泰平(スポ2)、MF27千葉健太(スポ3)、FW11藤沢和也(商3) | ||||
◎=ゲームキャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
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コメント
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)
昨日の段階で武田がどうかとか、大桃がどうかとかある中で、いろいろ試行錯誤はあったんですけど、ただ、旗手くんに高岡をつけるとか、4バックにして坂本を入れて攻撃の起点という特徴を出すとか、順天さんはボールを持ってくるので、最初は前からはめに行って岡田と相馬のところから早い段階でゲームを動かしに行くとか、相手の分析もしっかりしてきました。そういうところは本当に狙い通りにいったし、前半の最後の方はボールを持たれながらも、ほぼこっちの守備のリズムで、狙い通りの戦いができていたので、前半に関してはほぼパーフェクトに近かったのかなと思います。ただ、2点目を取るところにどこで持っていこうかというのはあって、後半は(順大が)絶対にいろいろ動いてくると思ってはいたんですけど、そこに対してピッチ上のメンバーもベンチとしての準備もちょっと遅かったなと思います。結果として後手になっていたので、まずそのピッチ上の中でそこの対応をできなかったというのは反省でもあるし、全体として2失点目をしてしまう状況を生み出してしまったので、そこは……。ちょっと満身創痍の中でやってきた脆さがそこで出ちゃったかなと思いますね。
――武田選手の出場は30分が限界だったのか
スタメンで行くと昨日の夜に決めて、その時はいけるところまでと思っていました。ただ、20分くらいのタイミングで本人から難しいという話があって、もう一回何かあって、この先のゲームも難しいとなるんだとしたら、と。直江のコンディションも良かったんですけど、要所要所で武田の良さってやっぱりあって、どうしても武田という存在ほどの怖さは出せなかったというか……。だから向こうとしては守備はしやすくなってしまったとは思います。でも、あの前半の形で行けば、直江は守備の部分でより頑張れる選手だし、僕は攻撃も直江で行けると自分の中であったので。特に今日は交代に4年生を多く入れてて、他にもトミ(冨田)がスタメンだったり、大翼(高岡)という起用があって、ガミ(石神)を入れたり、学(小笠原)を入れたり、苦しいチーム状況だからこそ、その思いみたいなところに期待はしたんですけど、でもやっぱり後半のゲームの入り方だったなと思いますね。
――後半の頭に、順大の選手交代と布陣変更がありました。その対応には悔いが残るか
そうですね……でも、それはピッチ上の選手たちが一番感じていると思います。向こうが配置をちょっと変えてきて、(トップの選手の後ろに)高岡が見ていた旗手くんともう一人(MF名古新太郎)が出てきてしまったので、あそこを対応できればよかったんですけど、うちが前半やったことを逆に後半やってきたというイメージでしたね。
――前半が理想的だったことも影響したのか
そうですね。前半、本当に思いのほかうまくいっちゃったので、もしこれを続けられたら、これはまたすごいチームになってしまうなと。期待というか、僕自身もそこに甘えたところはあったかもしれないです。トーナメントとか連戦って本当に難しいなと思っていて、連戦で負けたら終わりとか、勝たなきゃ行けないみたいな部分があるからこそ、大胆にきっぱり決めていかなきゃいけないみたいな部分があったなと思いますね。試合が始まったら動かせないみたいな空気感があったので、1試合目はそういうものを変えたいと思ってああいうやり方にしたんですけど、今日の後半もそれくらい大胆にやっても良かったのかなという感じはします。ただ、あまりにもパーフェクトで来たので、守備のリズムを崩したくないというのを優先しちゃったんですよね。順天さんにとっても(ゲームを動かすために)相当なパワーが必要だと思ったので、「15分くらいはまずは耐えよう」というメッセージは僕自身も出して、取らなくてもいいけど取らせないという形を共有していました。ただそれは相当な熱量を持たないと難しいよとは伝えてたんですけど……。今までは、もう15分これでやってみてという中でも、「良いんだけどちょっと変化を加えようよ」みたいなのはあったんですよね。そこは振り返ってみると、今日は誰からもそういう声が出なかったです。「この状況は変えられないでしょ」みたいな空気感が生まれていて、結果としては、先手を打つという今までやってきたことがちょっとできなかったなというのはありますね。
――終盤、流れを取り戻すことはできなかったですが、今日の順大とはどこに差があったのか
試合慣れみたいな話ではないですけど、順天さんはこれまでの2試合もほぼメンバーを変えずにやってきていたし、うちとしては5人変えて、途中からはインカレ初みたいな選手も多かったので、そういったちょっとした経験や空気感の読み方みたいなものは、差があったかなというのはありますね。
――様々な変化をもたらした一年間が終わりました。どのように評価していますか
日々をどう過ごすかとか、そういう積み重ねをやってきたので、みんなはよくそういう変化に向き合っていたと思うし、みんながそれぞれ、これから社会に出ていく期待感とか、自分たちが今いる大学サッカーの希望、楽しさ、ワクワク感みたいなものをすごく実感したんじゃないかと思いますね。なんとなく仮説を持ってそうしてきていたので、僕自身も変化を実感できたし、学生たちの成長しかり、2部から上がってきたチームで、ややもするともっと厳しいシーズンになったかもしれない中で、成果に結びつけたという意味では、インカレはこういう形でしたけど、僕は十分賞賛に値するんじゃないかなと思います。特に今年の代はすごいと思います。関東の大学サッカーというだけでなく、大学スポーツに対して多くの気付きをして、多分ここ何年かの大学サッカーではできないことをやってきたと思うし、成果を出したというのは結果として残っていくし、経験としても残ったものがあると思うので。世の中に大学サッカーの存在意義を示したし、それが早稲田であってうれしいし、僕もそういう仕事をできたことに対しては胸を張りたいなと思います。
FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)
――序盤に左サイドを崩していた中、相手が修正を加えてきたことで難しくなったのか
いや、特には(なかったです)。どちらかというと、そこで仕掛ける回数自体を減らされた感じはありましたね。絞れなくなったので。順大のプレッシャーのかけ方も変わりましたし、前半最初のやり方ができなくなりました。
――後半相手がシステムを変えてきた影響もあったのでは
そうですね。旗手選手が前にいて、MF高岡大翼(社4=広島皆実)を起用してそこを潰す狙いでした。そこで名古選手と旗手選手の2人が降りて起点が下がったことで、自分たちも前に出られなくなったし、それによってサイドに勢いのある選手が出てきて、2失点ともクロスからやられましたし、そこには対応しきれなかったと思いますね。
――相手が盛り返してきた中、ピッチ上では何を考えていましたか
とりあえず戦局を眺めていくと、終盤にオープンな展開になってチャンスが来ると思っていたので、そこまで待つというか、我慢して焦れずに耐えていこうと思っていました。ロングスロー含めて、ゴール前に行くチャンスはあったので、もう少し関わろうというか、勝負をかけようと考えていました。
――途中トップ下気味のポジションに移っていましたが、あの時はとにかくシュートまで行くことを意識していたのか
そうですね。あとサイドにボールが入ってこなかったから、よりダイレクトに前に行く意図でした。あらかじめそういう話もしていましたが、そこにもボールが入ってこなかったし…。難しかったです。
――これで大学サッカーも終わりですが、改めて4年間いかがでしたか
長かったですね(笑)。一年一年が濃くて、4年が一番濃かったし長かったですね。あっという間って言う人が多かったので、そうなのかなと思っていたんですけど、全然そんなことなかったです。もう長すぎて長すぎて。でも終わる時はこんなにあっけなくというか、日常通りの終わり方をするんだなと思いましたね。
――そこに寂しさのような感情はありましたか
寂しさはないですね。やれることはやったと思いますし。けど、あと2試合やりたかったという、寂しさというより、悔しさはあります。もう後輩たちに託すことしかできないので、そういう思いですね。
――試合終了の笛が鳴った時も清々しさの方が上回ったのですか
そうですね、でもなんで負けたかは分かっているし、なんでこうなっているのかも、次どうしなければいけないかということも(分かっている)。それをずっと意識して一年間やってきたし、キャプテンとしてもこの一年間だけじゃなくて、今後の自分の姿勢も問われるだろうし。あの一年があったから今があると思ってもらう瞬間をたくさん作ることが僕のキャプテンとしての理想像というか、そういう思いを持ってやってきたので、ここが終わりではないし、続いていく中でみんなの中に残せたらいいと思っているので、そういう意味では清々しさですね。結果はもう受け入れているので。
――岡田選手を中心に、今年のア式には様々な変革がありました、それが先ほど口にしていた濃密さにつながったのでは
そうですね、例年通りだったら何となく1年間の進み方は分かっていたと思うんですよ。ある程度『WASEDA the 1st』というビジョンがあって、課題の乗り越え方みたいなものがあったんですけど、今年は1日、1ヵ月ごとに試行錯誤しながら、苦労もたくさんありましたけど、その分色んなことの変化を目指してやってきたので、その意味では濃かったなと思いますね。
――時を同じくして外池監督が就任したことも大きかったのでは
間違いなく大きかったですし、何よりビジョンを定めたことで、変化しなければいけなかったというか、外池さんもよく言っていましたが、今年は『社会との連携』というところを、大学サッカーで初めて目標に掲げてやってきたので、今までの内部に閉じこもっていただけの大学サッカー、ア式蹴球部じゃなかったので、それに伴う変化は大きかったです。ワセダとして大事にしていた部分はもちろんありますけど、上から降りてきたものをそのまま流すんじゃなくて、自分たちなりに「こういうことなんじゃないか」と伝えることは、僕含めてみんな4年生が一人一人向き合ってやってくれたと思うので、他の先輩たちが過ごした一年間とは全然違うものを過ごせたかなと思います。
――そういったプロセスを残した上で、後輩たちにはどんな道を歩んでいってほしいですか
まずは4年になったら、自分たちが一番信じられる道を突き進んで欲しいと思います。4年になると景色が変わるし戦うものも増えるので、そうなった時に4年で一致団結しないと戦えないんですよね。今年は僕よりも周りの4年生がよくやってくれたと思うし、何回も負けたり、大敗もあったけど、4年として一致団結してやってこれたので、それだけは後輩たちにも大事にして欲しいなと思いますね。
MF高岡大翼副将(社4=広島皆実)
――今の心境を聞かせてください
負けて悔しいのと、まだ実感が湧かないというのが今の率直な気持ちです。
――大一番でのスタメン起用でしたが、試合に向けて強い気持ちがあったのではないでしょうか
そうですね。色々フォーメーションだったり、相手との兼ね合いの中で自分を使ってもらって、チャンスが回ってきて、絶対勝ってやろうと思ってましたし、今までなかなか出れずに悔しかった分自分が活躍して勝ちたいっていう思いはあって、昨日からしっかり準備して(試合に)入りました。
――前半では守備はかなりハマっていたように思えましたが
自分たちのスカウティング通りで相手の11番の旗手選手をまず潰すことができれば、相手の攻撃はなかなかチャンスをつくれないっていうところで、自分がそこのケアという部分で使われていました。そこは完全に自分たちの思い通りだったというか、プラン通りに前半は進められたかなと思います。
――ハーフタイムでは外池監督からどのような指示がありましたか
前半は自分たちのプラン通りに戦うことができて、後半は立ち上がりの15分が大事だよという話はしていましたね。自分たちが話す中で、岡田とかも言ってましたけど、前半にうまくいくと、相手としては絶対修正してきて、そこに逆にハマってしまうとうまくいかなくなるという話はしていたんですけど、後半の立ち上がりにああいう形で失点してやられてしまって。もうちょっと何か、ハーフタイムで相手の変化とかも予測しながらできたらもっと良かったのかなと思いますね。
――順天堂大学に1点追いつかれた後に交代になりましたが、その後ベンチから試合を見ていてどうでしたか
失点することがあるかもしれないということも話していて、失点した後も、もちろん延長もあるしそこで慌てずに試合をしようというのは話してはいたんですけど、自分が結構早いタイミングで交代してしまったので、ピッチでできることはもうなくて、もう本当にベンチから声を掛け続けたりすることは意識していました。
――ア式での4年間を振り返っていかがでしたか
僕は本当に浪人してまでここに来てよかったなって心から思いますし、ただサッカーをやりに来ただけじゃなくて、やっぱり色んな先輩とか後輩とか素晴らしい仲間に出会えたということは思っているので、人間的にもすごく成長できたかなと思うので、僕は来てよかったなと思います。本当に来てよかったと思います。
蓮川雄大チームマネジャー(スポ4=FC東京U18)
――率直に試合が終わった時の心境を教えてください
外池さんの方からも「明日を自分たちで創ろう」みたいな話があって、リーグ戦と違って負ければ終わりと決まっていたので、今日の試合に懸ける思いはみんないつもよりあったとは思います。前半は自分たちの狙い通りのサッカーができて、後半どう戦うのかというところで、自分含めて隙があったのかなと感じています。(リーグ戦)第21節の順大戦も、前半はほぼパーフェクトで後半相手に上回られてやられるっていうのがあったので、それを繰り返さないためにも、チームとしてやるべきことや、向かう方向を統一しなければいけなかったと思います。あとは、(同期の)4年生とやれるのが最後というのが、ホイッスルが鳴った瞬間にこみ上げてきました。
――後半相手が変化を加えてきた中で、対応し切れなかった原因は
最初は相手が4-4-2で来てて、旗手のところをうちの高岡がしっかり見て4-1-4-1のような形で守るっていうのをこの試合のポイントにしていました。後半、順天が4-1-4-1気味の形にしてきて、旗手が一列下がったところで、自分たちの1ボランチのところに2人で優位性を持って戦ってきたので、そこに対して自分含めて、もっと早く対処するべきだったと思いますし、プレッシャーのかけ方ももっとベンチから選手に声をかけてやるべきだったのかなと感じていますね。
――これで同期のみなさんとの戦いは終わってしまいました
1年生の頃から自分たちの代はAチームにいる選手も少なくて、「4年生になったらどうするの?」と先輩からもスタッフからも言われていた中で、コツコツ真面目に積み上げてきた結果が関東大学リーグ優勝につながったと思うし、学年の良さであるひたむきにやるところであったり、人間力だったりがこのチームにマッチしたなと思っています。自分がケガした時に支えてくれたのも同期でしたし、同期の存在があったからこそ、自分もここまで諦めずにやってこれたので、同期の支えなしに自分がここまで折れずにやり切れたことはなかったのかなと。本当に感謝しかないです。
GK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)
――今の心境を教えてください
チームとして日本一を目指していた中で、きょう負けてその道が途絶えたことは非常に残念に思いますし、大学で日本一をとることができなかったのは悔しいです。
――試合を振り返っていかがですか
土曜日からのケガ人もいた中で、頭の中での意思統一や、共通意識をもって取り組んできました。前半は攻守にわたって自分たちの強みを出せたと思いますが、後半は相手が主導権を握って押し込まれる展開が続きました。そこでどう自分たちの強みをまた出していくのかがチームとしても個人としてもできなかったので、そこが敗因だったと思います。ハーフタイムでは、前半は悪くないよっていうところで、色々な戦術的な話もありましたし、後半0-0の気持ちでやっていこうと意識した中で、失点してしまったので隙があると感じました。
――前半終了間際に良いセービングもありましたが
打たせないようにはしていましたが、結果的には自分のところに飛んできました。味方がコースを限定して体を当ててくれていたので難しいシチュエーションでなかったのでそこはチームメイトに感謝したいです。一瞬シュートが打てる時間があった中でアタックしてくれたのでコースを限定できました。自分だけでゴールを守っているわけではないので、特に今年1年は守備陣に感謝したいです。
――失点についてはいかがですか
シュートまで持っていかれるシーンは、それぞれが簡単に相手に剥がされてしまったので、シュートを打たれる前で止めるべきだったと思いますし、2失点目は崩されているよりも簡単にクロスを入れさせて付き切れなくての失点なので、自分たちの隙があることを痛感しています。
――DFラインのメンバーが普段と違いましたが
ことしはリーグ戦を含めてセンターバックの選手は4人ほど経験しているので、特にやりにくさや問題点は感じずにやれましたし、人それぞれ強みがあって、きょうの左サイドバックの坂本はヘディングが強みで何度も空中戦を制していましたし、やっぱり誰が出ても自分の強みを出してチームに貢献できるっていうチームのかたちはできたと思います。来年はその層をもっと厚くできるようにすることが重要だと思います。
――大学4年間を振り返っていかがですか
本当に成長ということだけです。本当に成長できました。自分と向き合う時間をこの4年間でつくれましたし、特に同期の存在は大きくて自分にはまだまだ足りない部分をプレー面でも人間性の部分でも色々指摘されたりとかで気付かされたところもありました。大学のいいところ、お互いに切磋琢磨して追求し合う環境、だからこそ4年間成長できたと思っています。大学サッカーにきて本当に良かったです。献身的な姿勢や、チームのためにも体を張って諦めない気持ちとか。人のために、誰かを動かすきっかけになるなど、外部への刺激を与えられることの重要さも学びました。ピッチ内外で社会貢献だったり、被災地にサッカー教室に行ったりサッカー部として色々経験させてもらいました。こういう経験は大学サッカーだからこそやれることだと思うので、本当に良い経験ができました。1部も2部もそれぞれの難しさや良さがあって、それの両方を経験している大学生は少ないと思います。全く別の景色でしたし、1部の偉大さは感じました。
――来年度からはプロ生活が始まります
ワセダでは2年間で2試合しか出られなかったけど、腐らずにやり続けたことで4年で活躍できてよかったです。プロになったら厳しさはより上がると思うんですけど、この経験を教訓として向上心を持ってやっていきたいです。
DF小笠原学(社4=青森山田)
――今の心境を聞かせてください
また明日から普通に練習するような感じで、これで終わったというのはまだ感じられていないのが今の率直な気持ちです。
――小笠原選手自身、今日の試合どのような気持ちで入られましたか
今日だからといって特別な気持ちというのは特になくて、今まで通りの一試合というふうに捉えて準備してきたつもりなので、特別な思いとかはなかったですね。
――今日の試合を振り返っていただいて、前半ベンチから見ていていかがでしたか
本当に前半の立ち上がりからの流れというのは非常に良かったなとベンチから見ていてすごく思って、やっぱり攻撃のテンポも良かったし、狙い通りサイドの裏を有効に使えて、岡田と相馬の特徴というのも出てたので、すごくいい流れだったなと思いました。
――後半途中から試合に入られましたが、その際外池監督からどのような指示がありましたか
具体的な指示は無くて、でもいつも自分が(試合に)出るときは流れを変えるという役割を持っていたので、そういうところを意識しながら試合に入ったんですけど、自分が入ってからクロスのところから失点してしまって、そこはすごく重く受け止めています。
――1点を追い掛ける中で、2本ほど、こぼれ球のチャンスもありました
こぼれてきたのは、来たなとは思ったんですけど、そこで決められないのも冷静になれないのも、今までの自分の実力かなと思います。
――ア式での4年間を振り返っていただいていかがでしたか
終わってみれば本当に早かったなあって思うんですけど、やっぱり4年目が一番濃かったなというふうに思っていて。それはたぶん4年生みんなが思っていると思うんですけど、なかなか上手くいかなくてチーム全体としてどうしようかというのは4年の中で話してきたし、そこで試行錯誤しながらやってきたことはこれからにもつながっていくし、そこは下級生も何か感じて来年につなげていってくれるんじゃないかなと思います。
DF冨田康平(スポ4=埼玉・市浦和)
――逆転負けということになりました
前半の立ち上がりはチームとして本当に良くて。自分たちのやりたいことをやれて、相手のやりたいことをやらせなかった状況の中で、序盤に自分たちの狙い通りの形で先制点が取れたのは大きかったですし、前半の流れを後半にも続けていかなければいかなかったんですけど、それができず悪い流れを引きずってしまって逆転されたところは率直に自分たちの力不足かなと思います。
――後半に相手がフォーメーションを変更してきて、ディフェンスのしづらさはありましたか
そうですね。前半の立ち上がりはうまくいっていたんですけど、後半はうまく規制をかけられなかったのもありますし、ボールはなかなか取れず、取っても相手ボールになってしまうというところがありました。(プレーが)切れたタイミングとか、ボールを保持したタイミングでディフェンスラインが中心になって話し合って、どうするか決めていかないといけなかったかなと思います。
――ご自身にとって初のインカレ出場でしたが、その試合で敗退となりました
自分自身としては、前の試合で出るチャンスさえなくて悔しかったですし、そこから今日スタメンで起用されたので、自分がこの連戦のなかでメンバー外からスタメンまで上がるというのは何かを起こさないといけないと試されているように思いましたし、自分が変化を加えないと出てる意味がないと、強い気持ちを持って臨みました。自分自身としても満足のいく内容ではありませんでしたし、結果的にフル出場でもないので、そういった面でもやり切れない気持ちはありますし、今までどのカテゴリーでも引退前の最後の試合となると終わったあとに泣いていた気がするんですけど、今回は実感がなくてそうなっていないのは、やり切れていないことが大きくて。燃え尽きることができなかったというか、最後までトライすることができなかったというのが大学での心残りですね。
――ア式蹴球部での4年間を振り返ってみていかがですか
本当にこの4年間は今までのカテゴリーのなかでも本当に苦しい思いをしました。いい思いをしたこともあまりなくて。2年生のときにケガをして1年間サッカーをしていなかったですし、試合に出始めたのも3年生の後期からで。今年も試合には出させてもらったんですけど、全部出ていたわけではありませんし、結果を残せているわけでもないので、自分が本当にチームに必要とされる存在になり切れなかったというか、こいつがいないとダメだ思わせるほどのパフォーマンスを4年間を通じて見せられなかったのは本当に悔しいですし、それが一番心残りかなと思います。
――ただ、今後もサッカー人生は続きます。今後に活かしていきたいことなどはありますか
そういう状況の中でも考えさせられることは多かったですし、辛い状況に落ちた時にどうやって這い上がるか、どういうマインドで日々の行動に変えていくのかとか、色々考えて学んだことだと思いますし、それを生かさないとこれから先自分が活躍することはできないと思います。辛いときは間違いなくあると思うんですけど、そういうときはこういう経験に立ち返って、さらにステップアップできたらいいかなと思います。
MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)
――現在の気持ちは
まだなんとも言えない気持ちですね。卒業なんだなぁって、まだ実感が湧いていないです。完全燃焼ではなかったですね。1失点目は自分のドリブルから始まりましたし、最後の方も打開できるシーンがありましたが得点につながらなかったですし。ただ、まだサッカー人生は続くので、きょうの課題と収穫を来期につなげたいと思います。分岐点みたいな感じなので、まだ卒業の実感は湧いていないです。
――きょうの課題と失点は具体的にはどこが挙げられますか
失点シーンのように1つのプレーが直結してしまうところが(課題です)。前半はプレッシャーをかけられていてボールを下げさせられていたので良かったんですが、相手がハーフタイムで修正してくるとは思ったんですけど一発目でやられてしまったところは、もう少し警戒しないといけないなと思いました。逆に収穫は背後へのランニングであったり、自分の長所をもう一度思い出せたかなと思います。
――ハーフタイムの雰囲気はいかがでしたか
そんなに悪くなかったんですが、失点しているから何か起こしてくるだろうという話を含めて、もう1回油断せずにやっていこうと、もう1点取りに行こうという話をしていました。
――今年のチームは逆転勝ちをする力がありましたが、きょうそれができなかった理由はなんでしょうか
今年1年、チーム力があると言いながらも、結果を決めるのは個人というところは大学サッカーの醍醐味で、怪我した選手がいて、その変わった選手が良かった悪かったじゃないですけど、最後のところの質というところでは自分のクロスの質もそうですし、中の配慮とか、ドリブルでこぼれたときとか色々なチャンスがあったと思うんですけど、チームを大切にしている中で、個人のところが大切かなと改めて思いました。
――今後はプロの世界でプレーします
突破できても結果がついてこないと負けて終わってしまうと思うので。これから1番大事なのは結果だと思うので、きょうのプレーには満足していないというか、あそこでピンポイントでつけられなかったこととか、シュートまでもう少し行けるポジションまで持っていくとか、そこには課題を感じました。
MF栗島健太(社3=千葉・流通経大柏)
――今の心境を教えてください
前半に1-0で勝っていた分悔しさはあるんですけど、その悔しさを来年晴らそうと思っています。
――試合を振り返っていかがでしたか
土曜日は前半にゴールへ向かう姿勢が薄れていたので、チームとしてそこを見つめ直して貪欲にやっていこうと話していました。前半の立ち上がりは良くて、結果もしっかり出してリズムに乗れていました。でも、後半に相手が立て直してきたときにうまくやられたというか、自分たちのサッカーができずに立て続けに失点してしまいました。それで完全に相手に流れが傾いてしまって、自分たちでそれを戻すことができませんでした。前半にうまく行っていた分、このままでいいだろうという感じはどこかにありました。関東リーグの3年生以下で出た順大戦でも相手が後半に立て直してきていたし、そういうところで負けていたと思います。
――セカンドボールが拾えない場面もありましたが
単純に走り負けていたのと、途中で(フォーメーションを)4-2-3-1にしてちょっとバランスが崩れてしまったのが原因だと思っています。
――来年からは最上級生になります
もちろん関東リーグはまた優勝を目指しますし、日本一をとるために総理大臣杯もインカレも勝って、日本をリードする存在になりたいと思っています。4年生の存在は大きかったです。今年から監督が代わってチームをつくる上で相当難しかったと思うんですけど、その中でもしっかりチームをまとめてくれた4年生は本当にすごいです。
DF杉山耕二(スポ2=三菱養和SCユース)
――率直に今の心境を教えてください
とにかく悔しいです。それだけです。
――前半は守備がハマっていました
前半、前から行くところとリトリートを使い分けて、いい具合にハマって。ゴール前危ないシーンもありましたけど、最後体張ってゼロに抑えてっていうところは成果だったと思います。
――今日は大桃選手が欠場し、事実上DFリーダーとしてプレーしたと思いますが、それについては
いつも桃くんが引っ張ってくれていたんですけど、今日はケガで欠場ということで、桃くんがいなくて負けるのは自分としては絶対に嫌だったので、そこは自分が気持ちを持って戦いました。
――後半は相手が変化を加えてきて、そこからプレスハマらなくなったと思いますが、それに対応できなかった原因は
前の選手が前から行きたがっている中で、後ろの選手はリトリートを意識していたところで、(中盤が)間延びしてしまって中央のスペースを使われてしまいました。そこは自分が相手の変化に対して対応できなかったことが反省としてあります。
――これで4年生は引退となりますが、思うところがあればお願いします
自分は下級生だったので、ワセダとしての人間系の部分などを4年生にしっかり叩き込んでもらって、プラスアルファでコジくん(小島)、相馬くん、岡ちゃん(岡田)、トミさん(冨田)とか、プロになる選手から色々吸収させてもらえたところがあるんで、22日までプレーしたかったのが正直なところなんですけど、本当に感謝しかないです。
――来季は3年生としてより一層責任がのしかかる立場になります
今年はやっぱり悔しい思いを自分はしたので、そこのところで来年は絶対に自分がチームを勝利に導けたらと思っています。