4年生の意地見せた!2年ぶり総理大臣杯出場を決める

ア式蹴球男子

 初秋の大阪での全国制覇を目指す戦いはまだまだ終わらない。アミノバイタルカップ関東大学トーナメントの6位以上を決める順位決定戦に臨み、関東大学リーグ戦(リーグ戦)2部所属の東海大と対戦した。総理大臣杯全日本大学トーナメント(総理大臣杯)出場をかけた一戦は、早大が序盤にFW直江健太郎(商4=東京・早実)の得点で先制するが、60分に同点とされてしまう。それでも、MF石神佑基(スポ4=埼玉・市浦和)の得点で粘る相手を振り切り、2-1で勝利。昨年と比べて出場枠が1つ少ない6枠となり、厳しさを増した関東予選を突破し、2年ぶり20回目の総理大臣杯出場を決めた。

 3回戦の明学大戦(●0-1)では相手を押し込みながらも得点を奪えず、一つのピンチに泣いた早大。「相手を押し込むこととリスク管理の両面をしっかりとやること」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)が念押しして試合に入ると、4-1-4-1の右ウイングで今季初先発した石神の推進力を強調した攻撃で、立ち上がりから先制の機運を高めた。対する東海大も、粘り強い守備対応と、空中戦に持ち込むような配球でフィジカルの強さを前面に押し出したが、先手を取ったのは早大。15分、中盤でボール奪取した直江がMF栗島健太(社3=千葉・流通経大柏)とのパス交換からボックス内に抜け出すと、GKとの1対1を豪快にニアを抜いて制した。リードを奪った勢いそのままに畳み掛けたい早大だったが、その後はなかなか好機らしい好機をつくることができず、逆に東海大がDF面矢行斗(2年)のセットプレーやロングスローで押し込む展開。28分、34分とFW砂金大輝(2年)に立て続けにゴールを脅かされるシーンもあったが、GK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)のビッグセーブで、なんとか耐えしのいだ。ピンチの直後、35分に直江、40分にMF藤沢和也(商3=東京・早実)に決定機が訪れるが、いずれも生かすことができずに悪いムードを払拭できずにいると、前半終了間際にも枠を捉えたシュートを数本許してしまう。それでも、再び小島のセーブや、フィールドプレイヤーの体を張った守備でやり過ごし、リードを保ったまま45分間を終えた。

1トップに起用された直江の得点で幸先よく先制した

 後半からFW武田太一(スポ3=ガンバ大阪ユース)をトップに投入し、インサイドハーフでプレーしていた岡田を左ウイングへと移した早大。前半と同様、立ち上がりは相手を押し込んだが、思うようにシュートにまで持ち込めないシーンが続いた。すると、相手のセットプレーも増え始めた60分。左CKをファーサイドで折り返され、ゴール前の混戦に持ち込まれると、最後はDF浦野将(4年)に蹴り込まれてついに失点し、試合を振り出しに戻されてしまう。それでも、65分の選手交代をきっかけに再び持ち直すと、70分に中盤でルーズボールを武田が収め、カウンターの好機が訪れる。「チャンスのところで攻勢をかけられた」(FW岡田優希主将、スポ4=川崎フロンターレU18)と、どこか他人任せの攻撃が続いてしまった明学大戦と同じ轍(てつ)は踏まなかった。左サイドで自ら持ち上がった武田のラストパスを、「あそこにボールが転がってくるのを信じて走り込んだ」とボックス中央でフリーで待っていた石神が合わせ、勝ち越しに成功した。その後の20分間は、しぶとくゴールに向かう姿勢を崩さない東海大の攻撃に対し、我慢を強いられる展開。相手のプレー精度に助けられた部分もあったが、1点のリードを守って逃げ切り、2年ぶりの総理大臣杯出場を決めた。

全国行きを手繰り寄せる得点を決め、ベンチへと走る石神

 今季の早大は、4年生のスタメン起用が1試合平均で3.4人。『総理大臣杯に出場した代』になるか否か、チームの命運は自分たちで決めてほしい――そんな思いから、外池監督はその数字を大きく上回る6人の4年生をスタメンとして送り出した。「自分たちの代、チームをどうするのかという責任感を感じたし、そこの部分が相手を上回ったと思う」(外池監督)。最上級生を中心に戦ったチームは目に見える結果で期待に応え、見事大阪行きのイスに滑り込んでみせた。『新しい挑戦』と銘打って臨んだ今大会は、ここまで計22人が出場し、4試合全てで下位カテゴリーの大学と対戦。厳しい条件下での試合が続き、メンバーも頻繁に入れ替えたが、そんな中でも、『守備的な相手に対しても焦れることなく戦い、勝機を見出す』というリーグ戦とは違った姿を見せた。「前期は素晴らしい形で過ごせたと思う」(外池監督)。ただ、その一方で「課題を上げればキリはない。夏を越えてから強くなってくるチームも多い」(岡田)とまだまだ現状に甘んじるわけにもいかない。再び中1日で迎える22日の5位決定戦、専大戦は、総力戦で臨んだ今大会の総決算となる試合である一方、総理大臣杯や後期リーグ戦への準備、そしてメンバー争いのはじまりを告げる『号砲』でもある。今大会初の1部校との対戦で勝利をつかみ、秋に向けた最高のスタートを切れるだろうか。

スターティングイレブン


(記事、写真 守屋郁宏)


アミノバイタルカップ2018 第7回関東大学トーナメント大会
兼総理大臣杯全日本大学トーナメント関東予選 順位決定戦
早大 2 1-0
1-1
1 東海大
【得点】
(早大)15’直江 健太郎、75’石神 佑基
(東海大)60’浦野 将
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 1 小島 亨介 スポ4 名古屋グランパスU18
DF 4 鍬先 祐弥 スポ2 東福岡
DF 17 工藤 泰平 スポ2 神奈川・日大藤沢
DF 3 大桃 海斗 スポ3 新潟・帝京長岡
DF 6 冨田 康平 スポ4 埼玉・市浦和
MF 13 高岡 大翼 社4 広島皆実
→65分 12 小笠原 学 社4 青森山田
MF 33 石神 佑基 スポ4 埼玉・市浦和
MF ◎29 岡田 優希 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 8 栗島 健太 社3 千葉・流通経大柏
MF 14 藤沢 和也 商3 東京・早実
→HT 9 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
FW 15 直江 健太郎 商4 東京・早実
→65分 22 神山 皓亮 商3 栃木・真岡
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
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コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――今日の試合に関して振り返っていただけますか

絶対に苦しくなるだろうなと思っていました。向こうはロングスローを持っていたり、この炎天下の中で特殊なサッカーと向き合うという中で、折れてしまうのか、自分たちを保てるのかという部分でいくと、今日は4年生かなと思っていました。ゴールを決めた直江もガミも普段出ていない中で今日のスタメンに選ばれた2人だったし、小島、岡田、大翼、冨田、途中から出た学、ベンチにいた純平や主務の秋葉とかも含め、彼らからは自分たちの代、チームをどうするのかという責任感を感じたし、そこの部分が相手を上回ったと思うので、本当に僕自身も、今シーズンが始まって一番うれしかったし、すごく意味があるゲームだったなと思います。あの(明学大戦の)負けも意味があったし、今日ここでそれを乗り越えたということもとてつもなく意味があるし、前期は素晴らしい形で過ごせたと思います。僕自身、総理杯は(選手の)4年間全く出たことがなくて、今回が初めてになるので、そういう意味では未知数な世界ですけど、そこに連れて行ってくれる学生たちに感謝したいし、また1カ月後までしっかり切磋琢磨(せっさたくま)をして良い夏を過ごして、後期のスタートとしての総理杯に良い形で向かっていきたいなと思います。

――掲げていた『新しい挑戦』が今日で一つの成果を得て完結しました。どう総括されますか

一度も1部のチームと当たらずにここまで来て、リーグ戦とは全然違った試合の進め方だったり、ゲーム状況の捉え方もありました。その中で一個一個進んできたし、明学との試合で教訓も得ながら、最後にここで反省を生かせたということで、本当に学生たちはたくましくなっているし、明るいし、僕自身もすごく刺激をもらえたと思いますね。

――日曜日の試合はどう捉えていますか

総理杯に行くという権利を得たので、それに対してどういう風にチームをリスタートさせていくかというところのスタートの試合だと思っています。(ベンチ入りの)20人自体はあまり変えずに来ていたので、そこから漏れていた登録メンバー、それ以外のメンバーに総理杯や後期に向けて自分ごと化をしてもらいたいというのがあるので、そういうメンバーにこの重要な1試合を預けたいし、チャレンジしてもらいたいと思うし、それが必ず後期への一つの大きな布石になってくると思います。そういう機会が明後日にあるというのも、非常に意味があると思っているので、しっかりリフレッシュをしてやっていきたいです。

FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)

――総理大臣杯出場が決まりました。率直な気持ちを教えてください

ホッとしているというのが一番ありますね。今日も最後の最後までわからなかったので、まずはそこの切符をつかめたということは良かったと思います。

――外池監督からも「4年生に託す」という話があったと思いますが、どういう思いでプレーしていましたか

今日は本当に4年だなと思っていました。(連戦で)コンディション的にもいろいろあるかもしれないですけど、今日は90分出れるかというよりは出るという準備をしてきて、そこに向けてやってきたというのはあります。

――試合の入り方としては何を確認して臨みましたか

特にはないですね。ただ、分析をしたところで言えば、相手は5枚で引いてきてブロックを組んでくるということで、サイドの高い位置を起点にしながら攻めていくということでした。立ち上がりは何回かシュートシーンをつくれたりとか、そういう意味では狙いがハマっていたんですけど、ただ攻めた中でのリスク管理というところで相手に跳ね返されるシーンが増えてきて、徐々にロングスローを含めて押し込まれるシーンがあったように思います。

――途中追い付かれ、押し込まれるシーンもありました。何を考えながらプレーしていましたか

もう一瞬一瞬しか考えられなかったですね。どうやって勝つかというよりもその瞬間に託そうというのがあって、(勝ち越しのシーンも)ああいう中で走り切れた選手がいたし、ガミの後ろにも走っている選手がいたので、チャンスのところで攻勢をかけられたのが今回の1つの大きなポイントだったかなと思います。

――全国行きをつかんだということで、一つの成果が出ました。もう1試合残ってはいますが、大会の総括をお願いします

1部の相手と1回もやらずにここまで来て、それは予想外でした。1部の相手だったら自分たちのかたちが出しやすい部分っていうのが多かったんですけど、2部や都リーグの相手となるとブロックをつくってきて、自分たちが手詰まりになる感じがありました。1部リーグとまた違った難しさがあった大会だなというのを感じていて、その中で明学にああいう形でやられたというのは、自分たちの足りないところを突きつけられたと思うし、総理杯に向けても関東リーグの後期に向けてもまだまだやらなきゃいけないことはあると思います。他の大学のチームは夏を超えてから強くなってくるチームも多いから、そこに負けることなくやっていくことだと思います。やることとしては自分たちとしっかり向き合うことなので、その積み重ねをしっかりやっていきたいなと思います。

――大阪でカップを掲げるために、具体的にはどういうことに取り組んでいきますか

今日の試合とかは『相手の土俵に立って耐えて勝つ』みたいな感じでしたけど、そもそもそこに立たずに自分たちで主導権を取り返すことだったり、自分たちの得意な形を自分たちで引き出すことだと思います。課題を上げればキリはないんですけど、今までだったら相手が攻め込んできたところを突くことはできていましたけど、逆に相手に攻めさせるとか、自分たちがボールを持って主導権を握りながら、サイドからも中央からも崩せる形をするということとか、今日の得点シーンに象徴されるようにショートカウンター一本で仕留められるというのがあるので、それ以外の方法をしっかりやっていきたいという感じですね。

MF石神佑基(スポ4=埼玉・市浦和)

――重要な試合で今季初先発でした。どういう思いで試合に臨まれましたか

とにかく自分のストロングポイントを出し続けるというだけでした。ゴールに向かう姿勢を常に崩さずプレーしていました。

――試合の流れはどのように感じながらプレーしていましたか

後半は苦しい時間が続いていて、そこで耐え切らないと自分たちの成長は示せないし、出場権もかかっていたので、そこで耐え切れたことが本当に大きかったと思います。

――頭上をボールが飛び交う展開だったと思います。前線の選手としては何を意識しましたか

そういう中でもいかに前で起点をつくって収められるかというところがチームの攻撃につながると思っていたので、できるだけ狙いを持って前で体を張るように意識をしていました。

――得点シーンを振り返ってください

とにかくあそこにボールが転がってくるのを信じて走り込んでいました。そこに本当にボールを出してくれたので、決められてよかったです。

――ご自身の得点で総理大臣杯の出場権を手繰り寄せました。どんな思いがありますか

素直に非常にうれしいです。ただ苦しい戦いがこれからも続くと思うので、そこに対しての準備をまたチーム全体でやっていくべきだなと思います。

――総理大臣杯や後期のリーグ戦を視野に入れた準備が始まることになりますが

どうチームで戦うかという共通認識を持つことが重要かなと思います。今日の試合も踏まえて、どういうメンバーでどういう戦いをしていくのかというところをまたチームで考えていきたいです。