【連載】第69回早慶サッカー定期戦直前特集 第1回 相馬勇紀×藤沢和也

ア式蹴球男子

 今季、ア式の攻撃を両翼から活性化させているのがMF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)とMF藤沢和也(商3=東京・早実)だ。プライベートでも遊びに行くほど仲が良いというお二人に前期リーグの振り返りや早慶戦への意気込みを伺った。

※この取材は6月21日に行われたものです。

今季ともにサイドハーフのレギュラーでプレーしているお二人

――ワールドカップは見ていますか

一同 見ています。

――日本はどこまで勝ち進むと思いますか

相馬 トーナメントは上がると思います。ベスト16とかですかね、1回戦敗退で。

藤沢 僕もトーナメントは上がると思います。期待を込めてベスト8ですね、1回ぐらいは勝ってほしいです。

――日本以外に注目している国や選手はありますか

相馬 自分は2人いて、1人はフランスのムバッペで、自分たちよりも年下なのにあの加速力は特徴としている部分が同じなのですが、2段階ぐらい上のレベルに行っていると思います。ベルギーのアザールはボールの持ち方が独特で、最近練習しているのですが、あれを習得できれば相当プレーの幅が広がると思います。

――試合を見ながら自分のプレーに生かしているのですね

相馬 そうですね。今度解説もやる(※26日にNHKのワールドカップ中継に出演した)ので、個人の特徴とチームの戦い方を意識しながら試合を見ています。チームでも分析が仕事なので。今のワールドカップは、グループリーグでは強いチームがボールを持って、弱いチームがブロックをつくってリトリートして、とはっきり分かれていると感じています。

藤沢 自分はすごく一般的なんですけどブラジルです(笑)。自分はネイマールのような華麗なプレースタイルなわけではないですが、見ていて楽しくてわくわくするドリブルをするので好きです。YouTubeでネイマールを検索してたまに見ています。

――前期リーグについてお聞きします。全体を振り返っていかがでしたか

相馬 開幕前は残留できればいいかなと思っていたんですけど1位なんでね。単純に試合を重ねるごとにチームが成長していってるというか、選手層も厚いですし、試合の中でもチームとして戦えていて、その中で各々がいい関係性でお互いの特徴が出ています。新しい選手がどんどん出てきていて、いいと思います。

藤沢 こんな順調に勝てるとは思っていなかったですし、自分も少し驚きはあります。

相馬 全部先発だっけ?

藤沢 いや、東京国際戦だけスタメン落ちして。でもチームの雰囲気も練習からいいです。

相馬 3年生多いもんね。

 結構わいわいしていますね。日に日に色々な選手が出てきてチーム内でいい競争ができて成長している感じはチーム全体としてあります。

――首位で折り返せると思っていましたか

藤沢 いや、僕も相馬君みたいに、こうなれるとは思っていませんでした。謙虚にっていうか、1試合1試合を戦ってきました。

――好調の要因は何ですか

相馬 さっき言った通りで、チームとして戦えています。ワールドカップを見ていてもアルゼンチンにはメッシがいて、チームとして戦っていてメッシという戦術がいるのかもしれないけど、全員がお互いの特徴を出し合ってそこでメッシが出るならいいと思うんですけど、あれだと周り(の選手)が自分の特徴を消していてメッシの特徴だけが生きているチームになっています。逆にポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドがいるけど、他の人も自分の特徴を出しつつクリスティアーノ・ロナウドの特徴出ていて、今の自分たちはどちらかと言えばポルトガルみたいで。自分はドリブルが得意だけど自分だけ活躍するようにみんなが合わせてくれているんじゃなくて、スルーパスが得意な選手が自分に出してくれたり、サイドチェンジができるからボールを逆でもらってくれたりとかみんなが自分のいい特徴を出せているのが好調の要因だと思います

藤沢 好調の要因か…。

相馬 俺?(笑)。

藤沢 実際本当にそう(笑)。

相馬 お前の劇的な2発(笑)。

藤沢 連敗をしなかったところが大きいですかね。あとは、みんなで粘り強く、押し込まれていても全員で戦って、守ったからこそチャンスが自分たちに来ているので、粘り強く戦っていますね。

――駒大戦の後は話し合ったりしましたか

相馬 うーん。正確には覚えてないですけど、今年のいいところは1試合1試合分析しているってことで、駒大戦は駒大戦として東京国際大戦は東京国際大戦として考えて戦おうって。敗戦を引きずる傾向はなかったですね。自分たちのやりたいことをして負けちゃうと沈んでいくけど相手に合わせて戦い方を変えているから、その戦い方がはまらなかったんだな、っていい意味での逃げどころになっています。だから毎試合毎試合切り替えて別の戦いとして戦えているのでいいと思います。

――スカウティングには力を入れているのですね

相馬 そうですね、試合の内容も変わります。

――プレーしやすいフォーメーションはありますか

相馬 最近は4-1-4-1がはまるかなって思いますね。

藤沢 自分もそうです。

相馬 サイドハーフからすると、4-1-4-1だと必ず自分の近くに1人パサーがいてくれるので、俺らみたいにそれによって生かされる側の人間はやりやすいです。

――後ろ3枚のときはいかがでしたか

相馬 あれは自分の力が出し切れず、難しさがありました。3バックはできないといけないけど、学生だと難しいのかもなって。逆にあの試合で4-1-4-1にしてから2点取り返したから、自分たちのよりどころになったよね。4-1-4-1にすれば得点のチャンスがまだあるって。

――前期リーグで1番印象に残っている試合はいつですか

相馬 明大戦です。

藤沢 順大戦です。

相馬 決めたもんな(笑)。俺も決めたからなんだけどね。ただ自分がよかったですね。

藤沢 あの試合はドリブルもすごかったですもんね。

相馬 無双してたね。

藤沢 突破しまくってたし。僕も自分のゴールで直接的に勝利をつかみとれたからですね。

――藤沢選手は東京国際大戦でも得点しましたが

藤沢 あれも与えられた時間で相馬君からいいボールがきたので(笑)。負けている状況で、2連敗は絶対に避けたかったので印象には残っています。

――監督が変わってチームはどう変わりましたか

相馬 大きい面でいうと、メリハリがつくようになった。古賀さんに自分は育てられた部分もあるのですが、古賀さんのときはずっと厳しく常に気を張っていて自分にも周りにも厳しくっていう環境でした。今は楽しくやるところ、自分たちがサッカーを始めた根本のところでもあるので、楽しくやるところとやらなければいけないところとか、そういうのをしっかり分けて考えられるところとかがいいと思います

藤沢 いい意味で緊張感はあるけど…。相馬君が言っていたのと同じですね(笑)。緊張感を持ってちゃんとやっているけど、その中でもみんなリラックスしています。一人ひとりがいいところを出しながらやれているかなって。

――監督との距離感はどう感じますか

相馬 コミュニケーションをとる機会は増えましたし、意見も受け取ってくれるのでそこはすごくいいところでもあります。試合中で監督が指示を出すときも選手全員が反論しないで納得して聞く環境ができているのですごいと思います。

藤沢 ポジティブな声かけがすごく多いですね。

相馬 意外とああいうのが大切かなって最近は思います。「ここで取れ」とか全部指示するのもやり方の一つなんですけど、学生主体を軸にしているというか、現にあのやり方で勝っているのでいいかなって。

――次は個人についての話です。相馬さんはリーグ戦でアシスト記録を塗り替えたいと言っていましたが

 前回の試合で、ゴール1メートルのクロスボールを思いっきり足を振ってからっているやつがいたので(笑)。あと小笠原学(DF、社4=青森山田)が抜け出したシーンもあって。あと2(アシスト)取ってたら10(アシスト)だったじゃないですか。後期は残り8(アシスト)とったら超えられるので。

――試合終わった後話していましたがそのことについてですか

相馬 そんな感じですね、「決めろよ!」って(笑)。勝ったから良かったですよね。外したのも何回かあったからね(笑)。でも怒ってはないですよ、そこも前と変わりましたね。勝てているっていうのもあるんでふざけて言えるっていうか。とりあえずアシストの記録は塗り替えたいですね。名古屋の話が出てから全試合で結果がついてきているんでいい意味で結果を出さなければいけない立場にいて、個人的にも単純に活躍したいっていう思いがあります。次の試合でも1か2ぐらい取っておくと残りは後期いけると思います。自分の中では記録を塗り替えられそうですね。

――2得点についてはいかがですか

相馬 もう少し取りたいですね。でも明治のゴールはカウンターで、自分の得意な形でもあるので得点の仕方も良かったです。あ、あれお前のアシストじゃん(笑)。去年は2部でたしか5点だったので5、6点は取りたいです。

――最終学年になって今までと変わったことはありますか

相馬 結果の通り充実できていると思いますね。学年が上がっていくにつれて調子が落ちていく選手も自分が下級生の時に見たりしていて、自分は全日本に選ばれたりプロの練習に参加したりだとかでしっかり吸収できて、それを力として積み重ねてきているのは自分中では自信でもあります。意識面では体づくりですかね。プロとの違いがあることも知れたし、さっき雰囲気がいいって話をしたんですけど、今まで人に要求していたものを監督がうまく仲介してくれて周りも自分のことを生かしてくれてて、気持ちよくサッカーをさせてもらっています。4年生っていう立場は難しいんですけど、自分は下級生とも距離が近いのでいい雰囲気で出来ていると思います。コミュニケーションを取る機会も増えました。こいつと出かけたりもするので(笑)。

――藤沢選手は今年からスタメンで採用されていますが1部リーグはいかがですか

藤沢 去年までやっていた練習試合や、セカンドチームでやっていた相手とは違うなって思います。自分の強みが通用する部分もあし、通用しない部分もあるんですけど、特に明大戦では特徴を生かせたと思います。逆に何もできない時間もありましたが(笑)。課題とかもたくさんあるんですけどね。

――特にここは負けていない、と思うプレーはありますか

藤沢 自分はドリブルが強みなんですけど、やれる相手へは縦に切り込んでいけるっていうのと、裏に抜け出すっていうか2列目から抜けてGKとの1対1に持ち込めてると思います。最後に決め切るのが課題ですけど…(笑)。

――去年と意識の差はありますか

藤沢 守備の面ですね。1、2年生の時は守備が課題って言われていたんで、映像を見たりしてポジショニングの位置を修正したりしています。今年はある程度はできているかなと思います。自分は上手い選手ではないので走ったりしてチームに貢献しようって。運動量をもってやろうっていうのは意識しています。

相馬 いいバランスが取れているんですよね。自分はどちらかというとちょっと頭を多少使いながら守る感じで、逆サイドに追い込むとハードワークしてくれるんで(笑)。その分、自分はカウンターに出ていきやすいので。

藤沢 それでまた僕が走ります(笑)。

相馬 和也が下がると相手のサイドバックは上がるじゃないですか。そうすると逆のサイドバックがリスク管理するから下がらないといけないんですよ。しかもなおかつ真ん中にいなきゃいけないから自分はそんなに戻らなくていいんですよ。そうすると攻めやすいですね。あんまり下がらなくていいと相手の広いスペースでプレーできます。そういうのも、うまく監督がメンバーをおきながらうまくはまっているんだと思います。

――コミュニケーションを取りながらプレーしているのですか

相馬 いや(笑)。分からないんで頑張ってくれることに期待してます。カウンターは今年のチームの一つの武器ですね。

藤沢 相馬君のところにボールがいったら絶対にクロスまではあげてくれる信頼があるので中に入っています。

相馬 めっちゃ褒めるじゃん(笑)。最初の頃は入ってなかったよね。

藤沢 ちょっとは入ってた(笑)。

相馬 今は結構入ってると思うよ。この間は入ってきてくれて、大振りだったもんね(笑)。

藤沢 それは意識しています。ペナ内にちゃんと自分もしっかり入ること。

――前期のMVPを選ぶとしたら誰を選びますか

相馬 あー、ちょっと考えていいですか。

藤沢 お世辞とかじゃなくて相馬君だと思います。

相馬 絶対好感度狙いにいったでしょ(笑)。

藤沢 武田(FW武田太一、スポ3=ガンバ大阪ユース)とかも点を決めてて岡君(FW岡田優希、スポ4=川崎フロンターレU18)とか出てきたら大事なゴールを決めてくれるから迷ったんですけど、やっぱり相馬くんですね。サイドを突破してゴールにつながるプレーが多いし、スタメンで4年生が少ない中でプレーで引っ張っていってくれます。

相馬 自分は鍬先(DF鍬先祐弥、スポ2=東福岡)ですかね。あいつがいるかいないかで相当違うんで。得点とかに絡んだりとか直接守ったりするプレイヤーじゃないから目立たないかもしれないけど、あいつがあそこで機能してるから他の周りの全員が守備も攻撃もやりやすくなっているんで俺は鍬先だと思います。あそこのポジションはやったことないからどうすれないいのかも自分は分からないけど、攻撃だったらロングパスも出てくるし守備だったらあいつが運動量出して守っているのでこっちもやりやすいですね。あいつは本当に活躍していると思います。

「(相馬選手は)喋りやすい先輩」(藤沢)

今季、レギュラーの座を初めてつかんだ藤沢

――2人とも同じポジションでいらっしゃいますが、互いのことをどのように思っていますか?

相馬 サッカー的には嬉しいですね、単純に。俺が中一で、こいつ(藤沢)が小6のとき、東京国体に優勝しているんですけど、そのとき超生意気で(笑)。めっちゃため口で話してきて、ドリブルばっかりしてパス出さないし、めっちゃ生意気だったんですよ。でも、入ってきたら敬語で話してきてなんか見たことあるなぁと思ったら、「あ、そうだ」と思って(笑)。だから、和也とか1、2年の時出られなくても頑張っていたんですけど、最初「出ても活躍できるのかな」と思っていたけど、試合を重ねていくごとに成長しているし、意識高いというか、しっかり努力するので、小さい頃から知っていた身として、あと先輩としてここまで一緒にサッカーできて嬉しいですね。

藤沢 自分結構生意気だったと思うんですけど、入ったとき相馬くんいたので「怖いな」と思ったんですよ。

相馬 最初ちょっと怖かったでしょ?

藤沢 そうですね。でも、自分より上手いので。練習中上手くいかないときとかけっこうあって、同じポジションなのでアドバイスくれたり、怒られたりもするんですけど(笑)

一同 (笑)

藤沢 けど、自分にとっては自分じゃわからないこととかが多いので、プラスになったりして、喋りやすい先輩です。

相馬 遊びに行きますからね。野球の早慶戦も行きましたし、温泉行ったりしましたし。2人で行ったり、3人で行ったり。結構遊びに行きますね。そういうのもサッカーにつながると思っていて。私生活で仲いいと、サッカー中も仲がいいからお互いの言うこともしっかり聞くし、話しやすいというか、学年離れていると下から上とか言いにくいかもしれないけど、そういうのもないよね?

藤沢 はい、ないですね。

相馬 マジでないよね(笑)。

――最近ハマっていることがあれば教えてください

相馬 東京中日スポーツでも答えたんですけど、おいしいご飯を食べたり、美味しいアイスを食べたり。物欲とかじゃなくて、そういうのを食べたりしていますね。

――最近はどんなものを食べに行きましたか?

相馬 アイス食べました。原宿の路地裏のところにあるお店なんですけどね。ジェラートみたいなやつだったんですけど、美味しかったです。

――藤沢選手はいかがですか

藤沢 うーん・・・。映画が好きなんですけど、最近観てないから言えないですよね(笑)。

相馬 最近ハマってることだから。

藤沢 うーん・・・。

相馬 サッカーばっかり?

藤沢 オフ前とかに友達の家とかで焼肉を焼いたりとか、食べ放題食べに行ったりとかですね。

相馬 飲み行ってって言っていいんだよ(笑)

藤沢 友達とオフ前にわちゃわちゃするのが気晴らしですね。

――ご飯を自分で作ったりするんですか?

藤沢 この間はスーパーで肉をたくさん買って、天田(DF天田光紀、教3=ザスパクサツ群馬U18)の家で焼きそばとか焼肉焼いたりして。

相馬 ホットプレートとかで? いいねえ。

藤沢 それでみんなで楽しみました。

――○○選手の意外な一面という質問もありましたが、相馬選手は小笠原選手、藤沢選手は栗島選手(MF栗島健太、社3=千葉・流通経大柏)と答えられました。理由などがあれば聞かせてください

藤沢 俺は、クリって見た感じサッカーに熱入ってる感じがないというか、ふわふわしている感じがするじゃないですか(笑)。けど、あいつ一番早くボールを一人で蹴っていて、一人で遊んでいるのが意外な一面かなぁと思って書きました。あいつマジで一番早いんですよ。

相馬 早いね。

――自主練ですか

藤沢 いや、遊んでるんですよ。練習はしてないです(笑)

――そして、相馬選手は小笠原選手と答えられました

相馬 部屋が一緒なんですよ。で、新人監督なので下の学年からしたら怖い立場なんですよ。で、見た目も中身怖いので超しっかりしてそうなんですけど、マジで朝が弱くて(笑)。ムカつくくらい朝が弱いんですよ。アラーム5回くらいかけて起きてるんですよ。で、一番ムカついたのがオフの日に7時半くらいにアラームかけて(笑)。で、スヌーズがかかってて3回目くらいでようやく起きて。で、なるから俺も起きちゃったのに、あいつは気持ちよく9時半くらいまで寝てて(笑)。マジでムカつきました(笑)。

――ホームページのア式日記で小笠原選手が相馬選手について記事を書いていましたね

相馬 あれ、インタビューされたので。で、自分で言うのもあれなんですけど、結構いい記事を書いてくれたというか、大学4年間で変わった部分とこれからさらに活躍してくれるということを書いてくれたので、頑張らないといけないなと思いました。

――プレッシャーを感じたりはしますか

相馬 いや、プレッシャーはあまり感じなかったです(笑)。ああいうのやってくれると嬉しいので、もっと頑張りたいと思います。

――また、相馬選手は名古屋グランパスへの入団も内定しました。決まったときは率直にどのようなお気持ちでしたか

相馬 決まって思ったことは見られる回数も増えるというか、一般の人にどんどん知られていく立場なので、立ち振る舞いももっとしっかりしないといけないと思いましたし、大学リーグを観に来るお客さんの目線も変わると思います。プロ選手として見られるし、もっと自分の特徴を確立させるというか、そこは負けたくないと思いました。

――去年までア式に在籍していた秋山選手(秋山陽介、平30スポ卒=現名古屋グランパスエイト)もチームメイトになりますね

相馬 そうですね、やっぱり行きやすいです。向こう行った時もお世話になったし、向こうがサイドバックやってて、自分が前やってるので、一緒に組めたら楽しいんじゃないかと思います。

――ちなみに、藤沢選手は相馬選手が名古屋行き決まったときはどのように思いましたか

藤沢 やっぱり率直にすごいなとは思いました。

相馬 本当かよ(笑)

藤沢 いや、本当に(笑)

――プロに行くとしたら、ズバリどこがいいとかありますか

藤沢 J1のいいチームに行きたいなとは思いますよね。でも、(相馬選手は)そこに行っちゃうのですごいですよね。チームでも、相馬くんの方から得点やアシストにもなっているので、自分の方からももっと結果残したいなと思いますね。

――続いて岡田主将について伺います。相馬選手は「髪型が慶應ボーイ」、藤沢選手は「大事なところで結果を出す頼れる存在」と対照的な答えが返ってきました

藤沢 結構真面目に答えちゃいました(笑)

相馬 あの髪型どう思う?自分はしないでしょ?

藤沢 僕はしないです(笑)。絶対しないです。

相馬 ああいうところがスタッフも変わって、今までは髪型にも厳しい面があったんですけど、髪型自由にする代わりにプレーやれよみたいな、そういうメッセージを主将として色々と考えながら行動しているので、ちゃんとそういう思いをわかりつつも、俺はあの髪型はしないなぁと(笑)

一同 (笑)

藤沢 でも、本人は気に入ってるんですよね?

相馬 気に入ってる。

藤沢 ならいいです(笑)

相馬 最後は自分だもん。

――藤沢選手は岡田主将に対してどのように思っていますか

藤沢 自分真面目に書いちゃったんですけど、途中から出てきて、苦しいときも絶対決めてくれるし、あの勝負強さは本当すごいなと思います。

相馬 すごいね。

藤沢 流通経大戦と法大戦と国士舘大戦。やっぱすごいですよね。絶対結果残しますもんね。

――普段の印象はいかがですか

相馬 好奇心旺盛というか。この間も『気』とか勉強しているときがあって。凄い分厚い本で。だから、変人だけどストイックというか。色んなものを興味持ったらとことん追求するというか。逆に大丈夫かなと思いましたけどね(笑)

藤沢 ちょっと変わってますよね。

相馬 気をさ、自分のものにしようとしているわけじゃない。だから、目の付け所も凄いと思うし、変わってんなぁと思います。

藤沢 何段階か上のレベルの話をしている感じはありますね。サッカーの勉強をめっちゃしているなという感じはあって。自分で動き方とかも考えていて。走り方のビデオとかも撮られたりとかして、めっちゃ研究しているんですよ。だから、そこは努力家だなと思いますね。

――先ほど、今年は結構学生主導でチームを運営しているというお話がありました。そのなかで、相馬選手はグラウンドマネージャーという役職だそうですが、どのようなことをされているのですか

相馬 分析ですね。主に相手チームの分析です。あとは、グラウンドのモラルを。練習態度とか、練習に向かう姿勢とか。ただ、今年はそこが見えない選手がいなくなっているので、指導する必要もないかなと思いますね。

――分析もスタッフがいるのかと思ったら、選手たちでやっているのですね

相馬 はい。今は自分と、牧野(DF牧野潤、スポ3=JFAアカデミー福島)、金田(MF金田拓海、社3=ヴィッセル神戸U18)、拓海(MF小野寺拓海、政経2=岩手・専大北上)、大里(DF大里優斗、社3=鹿島アントラーズユース)、宮田(DF宮田拓実、文3=京都・洛北)、松高(MF松高遼、スポ2=浦和レッズユース)、MF田中雄大(スポ1=神奈川・桐光学園)の7人でやっていますね。自分だけじゃできないので、いろんな映像を見て、いろんな意見を取り入れてチームに生かしているので、自分が分析担当しているという風に書かれたりもするんですけど、8人全員の力が組み合わさってチームにいい影響を与えられているのかなと思います。

――昨年までと変えた部分などはありますか

相馬 スカウティングシートを新しくしました。自分は全日本(全日本大学選抜)明けだったので行けなかったんですけど、海外クラブで分析をされていた方のお話を聞く機会があって、そこを参考にしながらスカウティングシートも新しく書き直したりやりました。

――藤沢選手は今年意識していることなどはありますか

藤沢 自分は集客を手伝っていて。健斗くん(MF飯原健斗、文4=東京・国学院久我山)のもとで働いてます(笑)。

――具体的にはどのようなことをするのですか

藤沢 関東大学リーグにどれくらい人が来たかとか、集中応援日に人を呼ぶためにカウントダウンツイートをどういう風にやるかとかですね。今年は動画にしてみました。そっちの方が見る人増えるかなと思って。

――ということは、早慶戦へ向けても集客に向けて動いているのですね

藤沢 そうですね。サイン入りグッズを結構集めています。ア式出身のプロ行った人にメールをして抽選グッズに協力してもらっています。今年は西野監督(昭53教卒=現日本代表監督)のサインもありますよ。

相馬 マジ? すごいね。

――あと、アンケートについてもう一つ大事にしている言葉という質問がありました

相馬 俺なんて書いたっけ?

――『夏を生きる』です

藤沢 カウントダウンのやつもそうでしたよね。

相馬 色紙もそうだよ。まぁ、言葉から考えるように夏って大切な時期というか、全国大会もあったり、自分の能力も高められるので。でも、夏が終わってしまうとリーグ戦もあと少しで。インカレ出ればまだ長いんですけど、あっという間に過ぎていくこともありますし、自分たち首位になったからには今度追われるというか、後期の戦い方が難しくなるので、そういう意味で夏の過ごし方が大切というか。

藤沢 良い言葉ですね。

相馬 楽しく過ごせたらと思います。

――藤沢選手は『努力は実る』と力強く書いて頂きました

藤沢 そういう風に思って取り組むのが一番ポジティブなので。足りない部分が多いので、そう思って努力して取り組むことが大事だなと思ってやっているので、そう書きました。

――自分のなかでも日々大事にしながら練習しているのですね

藤沢 そう思いながら練習しています。

「(昨年の早慶戦は)楽しかったですね」(相馬)

出場すれば4年連続の早慶戦となる相馬

――昨年の早慶戦は5-1と圧勝した試合になりました。それぞれ振り返っていかがですか

相馬 楽しかったですね、単純に。で、昨年からつなぐことを意識してやっていたので見に来てくださった方々に話を聞くと「去年(の早慶戦)面白かった」という声はありましたね。で、去年終わった後にも「今回の早慶戦は見ていて楽しかった」みたいに、盛り上がりだけでなく見ていて単純に面白かったという子も聞いたので。点が入るというのが見に来てくださった方々にとって一番わかりやすいし、楽しいことだと思うのでそういう面で大量得点というのは良かったと思います。

藤沢 自分はメンバーに入れなくて悔しかったんですけど、ピッチ外から見ていて観客も入っていて、単純にすごい舞台だなと感じていて。チームが勝ったことはすごい嬉しかったですし、ケイオーには絶対負けられないんだなということは感じましたね。

――相馬選手はここまで3年連続出場していますが、昨年までと今年で何か違いなどはありますか

相馬 んー。去年幻のゴールがあって3アシストになったんですけど(笑)、自分が早大に入りたいと思ったのが早慶戦を見て憧れたし、このピッチに立ちたいと思って、この観客の中でプレーしたいと思ったからなので、点取りたいですね。

――藤沢選手は出場すれば初出場になります

藤沢 今まで2年間ベンチにも入ってなくて、今年こそは出場したいですし、出場したら自分は相馬くんのクロスとか、裏抜けだしたりでチャンスになったりしているので、得点かアシストで勝利に貢献したいです。

相馬 お前、アシストしたことある?

藤沢 相馬くんのやつ・・・

相馬 あ、俺のやつか(笑)

藤沢 やっぱ得点ですかね。

相馬 点狙ったほうがいいよ。

藤沢 得点取ってチームの勝利に貢献したいです。

――去年まで6連覇していて、今年勝つと7連覇になりますが、プレッシャーなどはありますか

相馬 いや、プレッシャーはないですね。7連覇ということもあまり思っていなくて。負けるときは負けるし、勝つときは勝つと思っているので、最善の準備をするし、単純に早慶戦は絶対負けたくないので、活躍したいという思いとか色々なものをぶつけるだけだと思います。

藤沢 今まで勝ってきた中で自分が出る可能性があって、勝ってきた伝統を崩したくないというか。

相馬 中身薄いな(笑)

藤沢 しっかり7連覇したいなと思います。

――スカパー!で中継されるなど、外部からの注目も徐々に高まっているように感じますが、そのあたりについてはどのように思いますか

相馬 中継することによって逆に中継でいいっていう人が増えてしまうかもしれないし、逆に中継を見て「これ生で観たい」ってなる人もいると思うので、自分は来年の集客がさらに上がると思います。中継が生きるのが今年じゃなくて、来年になるから、そこもかかわっているし、今年のチームのテーマの1つに『注目度を高める』というのがあって情報発信とかがあるので、良いと思いますね。単純に大勢のお客さんの前でプレーするって単純に楽しいし、ワクワクするし、気持ちいので。で、先ほども言ったんですけど自分はプロに上がる選手としてまた違う目で見られるので。ただ、考えることは活躍することなので、そこは意識したいですね。

――では周りの注目度が上がっても自分のやることは変わらないということですね

相馬 まぁそうですね。でも、注目度を高めるという意味では、例えば自分だったら名古屋のサポーターの方が東京に住んでいたら観に来ていただけるかもしれないので、そういうところで注目度を上げるのに貢献したいと思います。

――続いて早慶戦のキーマンについてですが、相馬選手は「武田選手(FW武田太一、スポ3=ガンバ大阪ユース)」、藤沢選手は部員一人一人とお答えいただきました

藤沢 ピッチ外も経験しているんで(笑)

相馬 そこはな、俺は4年間できなかったからなぁ。自分は補助学(補助学生)とか1回もやったことないので、そこの大変さはわからないですね。自分は武田です。涼矢くん(FW飯泉涼矢、平30スポ卒=現FC今治)と同部屋で、あの人2回MVP取ってるじゃないですか。武田も持ってる気がするんですよね。で、自分のボールを武田なら決めてくれると思うので。

藤沢 いやいや・・・(笑)。絶対決めます。

相馬 あいつも決めてくれると思うので。でも、そこの信頼感、いいところにボールを出せばしっかり決めてくれるというホットラインがあるので、自分のアシストがつくという意味でも活躍してほしいし、彼の調子の良さがチームの勝利に関わってくると思います。

――藤沢選手は「部員一人一人」とお答え頂きました

藤沢 ピッチに出る人はワセダを背負って戦いますし、ピッチ外の人も悔しい思いがあるなかでもチームのために、仕事とかをやるんですけど、結構忙しくて。大変なんですけど、一人一人がケイオーに勝つという意味で頑張っているので、そういうところも見てもらいたいなと思います。

――そんなにお仕事あるんですか

藤沢 色々場所ついて、お客さんの対応したりして。朝準備のところから1日長いので、大変です。

相馬 好感度上げにいった?

藤沢 いやいや(笑)

――先ほど、相馬選手はMVPを狙いたいとおっしゃっていましたがMVPについてはいかがですか

相馬 去年1ゴール2アシストだったらなってたかなと思うんですけど、4年であの舞台でMVP取りたいですね。

――ちなみに、藤沢選手はもし出場したらMVPについてはいかがですか

藤沢 自分ももちろん取りたいです。

相馬 こいつはそういうこと考えるとプレー悪くなるので、ダメ。

藤沢 自分はいつも通り頑張りたいです。

相馬 でも密かに狙ってるんだろうなぁ。俺が2アシストして、こいつが2ゴール決めたら絶対こっち(藤沢)に持っていかれるじゃないですか。それなら取っていい。

藤沢 しっかり決めます(笑)

相馬 早慶戦はちゃんと中入ってきてくれるでしょ?(笑)

藤沢 大丈夫です、任せてください。

相馬 で、ちゃんと足に当ててね。

藤沢 空振ったりしないです(笑)

――早慶戦へ向けて意気込みをお願いします

藤沢 自分のストロングをしっかり出し切って、絶対ケイオーに勝ちたいと思います。

相馬 夏の大イベントなので、『夏を生きる』って書いたように、夏の夜に躍動したいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 大山遼佳、新開滉倫 写真 石井尚紀)

◆藤沢和也(ふじさわ・かずや)(※写真左)
1997年(平9)8月14日生まれ。180センチ。73キロ。東京・早実高出身。商学部3年。MF。守備の課題を克服し、今年からスタメンの座を見事につかんだ藤沢選手。早実時代から憧れの舞台で得点を決めてくれることに期待がかかります!

◆相馬勇紀(そうま・ゆうき)(※写真右)
1997年(平9)2月25日生まれ。165センチ。66キロ。東京・調布南高出身。前所属・三菱養和SCユース。スポーツ科学部4年。MF。W杯ではNHKで解説を務めたことも影響し、分析しながら試合を観ていたという相馬選手。注目している選手はポジションが同じフランス代表のムバッペ選手とベルギー代表のアザール選手だそうです。