一時守勢も切り抜け、白熱の上位対決を制し連勝!

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)第8節が行われ、首位を走る早大は勝ち点4差で2位につける順大との直接対決に臨んだ。今後のリーグ戦を占う意味でも注目された一戦は、開始3分でセットプレーから早大があっさりと先制に成功する。しかし前半のうちに追加点を奪えずにいると、後半は一転して順大ペース。早い時間帯で同点に追いつかれ、その後は互いにゴールを脅かし合う展開となった。しかし、80分にMF藤沢和也(商3=東京・早実)が勝ち越し弾を決め、そのまま逃げ切りに成功。中2日での連戦を最高の結果で終えた。

 総得点数がリーグトップの順大と3位の早大。攻撃陣が好調なチーム同士の一戦は、開始3分でスコアが動いた。「(順大は)要所要所に隙があるとわかっていた。『攻撃の時のセットプレーは、早くやる意識を持とう』と言っていた」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)。その言葉通り、早大が左CKを得ると、MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)はボックス内のポジション取りが整う前にニアサイドにボールを送る。相手のマークを外して走り込んだFW武田太一(スポ3=ガンバ大阪ユース)がヘディングでボールをとらえ、狙い通りのかたちで先制に成功した。その後はボールを保持してビルドアップから攻め手を探る順大に対し、ブロックをつくってカウンターを狙う展開。DF鍬先祐弥(スポ2=東福岡)の自陣でのボール奪取を起点に、サイドチェンジを2度行うダイナミックなカウンターを仕掛けるなど狙いがはまり、1トップの武田に5度のシュートチャンスが訪れたが、いずれも仕留められず追加点は奪えない。順大も30分過ぎから徐々にボックスへ侵入する回数を増やしたが、GK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)をはじめ、守備陣の奮闘で決定的なシュートシーンはほとんどつくらせなかった。「ある程度プラン通りだった」(外池監督)と満点に近い内容で前半を終えた。

今季7得点目を挙げた武田。リーグトップに躍り出た

 しかし、前半にポスト役を務めた武田が負傷して退いた後半は、順大が攻勢に出た。右サイドのMF白井海斗(1年)を中心とした攻撃に受けにまわり続けると、ついに54分に決壊。セットプレーからゴール前のDF村松航太(3年)に頭で決められ、同点とされた。それでも、「失点してもみんなで攻めて盛り上げようというのがあった」(藤沢)。守備に追われる中でも、「勇気を持って大胆なプレーをみんながしていた」(外池監督)ことで、徐々に攻撃の糸口をつかみ始める。65分にFW岡田優希(スポ4=川崎フロンターレU18)のサイドチェンジから相馬、DF小笠原学(社4=青森山田)とつないで、最後はゴール前のFW梁賢柱(スポ2=東京朝鮮高)に決定機が訪れたが、シュートをバーに当ててしまう。77分にはボックス内の岡田に決定機が訪れたが、相手GKのビッグセーブでゴールとはならない。得点の機運が高まると、待ち望んだ瞬間が訪れたのは80分だった。左サイドの相馬を起点とし、右サイドで小笠原の縦パスを受けた藤沢が、相手DFをかわしてボックス内に侵入。利き足とは逆の左足を振り抜くと、左右のポストをたたいてゴールに収まった。その後は順大の反撃にあうが、アディショナルタイムに小島が決定的なシュートを防ぐなど、リードを守ったままタイムアップを迎えた。

65分の岡田のサイドチェンジが守勢を切り抜けるきっかけになった

 首位たるゆえんを示すように、僅差の戦いを制してその座を固めた。分析に基づいた立ち上がりの得点で相手の出鼻をくじき、後半に入って同点となった後も、勢いを増す順大を「大胆なプレー」でいなし、勝ち越しにつなげた。流れの分岐点をおさえ、主導権を引き寄せる。「押し込まれる原因や隙を自らつくってしまった」(外池監督)と完ぺきな試合運びではなかったが、後手に回っても持ち直す強さが今の早大にはある。首位をひた走る状況だが、次戦に目を向けると、万全な状態にない選手が増えてきたことに加え、ここまで守備面において大きな役割を果たしてきた鍬先が累積警告で出場停止。チームの総力が問われる状況だが、それでも試合ごとにチームを組みかえながら戦ってきている早大にとっては『危機』ではないのかもしれない。「ポジティブに捉えた選手が恐らく出てくる。(公式戦で)出してみたらどうだろうという選手はいるし、紅白戦で自分を表現できれば次のステージに行けるという期待感はあると思う」(外池監督)。相手は昨季、幾度となく熱戦を繰り広げ、共に1部に復帰したが、現在は下位に沈む国士舘大。昨年からの進化を示し、確実に連勝を伸ばしたい。

スターティングイレブン

 

(記事、写真 守屋郁宏)


JR東日本カップ2018 第92回関東大学リーグ戦 第8節
早大 1-0
1-1
順大
【得点】
(早大)03’武田 太一、80’藤沢 和也
(順大)54’村松 航太
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 小島 亨介 スポ4 名古屋グランパスU18
DF 鍬先 祐弥 スポ2 東福岡
DF 23 工藤 泰平 スポ2 神奈川・日大藤沢
DF 大桃 海斗 スポ3 新潟・帝京長岡
DF 20 牧野 潤 スポ3 JFAアカデミー福島
MF 金田 拓海 社3 ヴィッセル神戸U18
→59分 12 小笠原 学 社4 青森山田
MF 栗島 健太 社3 千葉・流通経大柏
MF 14 藤沢 和也 商3 東京・早実
MF 38 田中 雄大 スポ1 神奈川・桐光学園
→55分 30 梁 賢柱 スポ2 東京朝鮮高
MF 11 相馬 勇紀 スポ4 三菱養和SCユース
FW 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
→HT 29 岡田 優希 スポ4 川崎フロンターレU18
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
早大 19 17 11 +6
専大 15 10 13 -3
駒大 13 18 12 +6
明大 13 12 +4
順大 12 19 12 +7
桐蔭横浜大 10 11 10 +1
流通経大 10 12 12  0
法大 10 11 13 -2
筑波大 11 -2
10 東京国際大 12 -5
11 東洋大 15 -8
12 国士舘大 12 -4
※第8節暫定(6月2日終了時点)
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コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――今日の試合のテーマは何でしたか

テーマはまさに今日の1点目を取ったかたちだったんですけど、『セットプレーをとにかく早くやろう』と。法政戦、順天戦と同じテーマでやろうという話はしていて、(相手は)結構個々の能力は高いけれども、要所要所に隙があるということがわかっていたので、とにかく自分たちでテンポをつくって、テンポを上げていくことで主導権を握ろうということで、特に『攻撃の時のセットプレーは、早くやる意識を持とう』と言っていました。1本目のCKはちょっと早めに蹴っているんですよね。よーいどんではなくて、ちょっと早い段階で入れるということをみんなが理解していたので、あの武田(FW武田太一、スポ3=ガンバ大阪ユース)のゴールが生まれたと思います。

――試合運びに関して振り返っていただけますか

ある程度プラン通りで、(相手に)ボールを持たせればこっちのカウンターが生きてくるし、向こうは外よりも中を使ってくるから、そこを奪いどころにしてカウンターを仕掛けようと、そこに関してはみんながほぼ完遂していたと思います。ただあれだけカウンターのチャンスがあった中で決め切れずに、追加点を取れなかったというのはちょっと苦しいという感じもありました。ハーフタイムに武田が首が痛いとかあって、急にプランを変えないといけなくなったというのがあって、自らリズムを失ってしまったというか、ちょっと押し込まれる原因や隙を自らがつくっちゃったなというのがあります。そこに田中(MF田中雄大、スポ1=神奈川・桐光学園)もちょっと負傷してしまって、なかなか前にポイントを作れなくなってしまったというのが、同点にされた一つの要因かなと思っています。それから金田(MF金田拓海、社3=ヴィッセル神戸U18)のポジションがあんまり良くないということだったので、学(DF小笠原学、社4=青森山田)を入れました。13分くらいで3人を変えてしまったので、東京国際戦の時みたいに、もうそこからは託すしかないなと思いました。ただリズムが悪かった中で、交代選手を含めてもう一回立ち返ってプレーをして、相馬(MF相馬勇紀、スポ4=三菱養和SCユース)、岡田(FW岡田優希、スポ4=川崎フロンターレU18)、和也(MF藤沢和也、商3=東京・早実)とか、あのあたりの選手が中心となって前にパワーをもう一度引き戻そうという動きがありましたし、あの(2点目の)前も何回か決定的チャンスがあった中で、最後は和也のゴールでしたけど、ああいうシーンをつくったという部分で、『ああ強くなったな』と。想定外のメンバーの中でもかたちにできるようになったというのが、非常に頼もしかったし、最後小島(GK小島亨介、スポ4=名古屋グランパスU18)がスーパーセーブをしましたけど、小島も東京国際での1つのミスから乗り越えて、それぞれがそれぞれの立場にある中で、非常に良い取り組みができているなというのは実感をしています。

――後半に流れをひっくり返すことができた要因は具体的に何ですか

栗島(MF栗島健太、社3=千葉・流通経大柏)みたいに、いつもひょうひょうとプレーしている選手が前からボールを追いかけ始めたりとか、相馬が自分の強みで一つ打開を図って空気を変えていこうとか、何かを変えていこうとしたことだと思います。うまくいかない時はみんながボールを受けに行きすぎちゃって、ランニングが減っちゃったり、プレーが小さくなってしまうし、苦しい時間だから受けてしまうというのは簡単なんですけど、勇気を持って守備をしたり、大胆なプレーをみんながしていました。ああいうワンプレーのサイドチェンジとか仕掛けで結構変わっていくと思うので、それぞれの持ち味を意識していることがつながっているのかなと感じましたね。

――追われる立場となっても勝ち点を積み重ねることができていますが、その要因は

結果的に今日は1位、2位の対決を制することができたので、勝ち点6くらいの重みは当然あると思います。ただあまりそういう実感はなくて、一試合一試合メンバーも新しくして取り組んでいるし、テーマも少しずつ進化させてやってきていますし、後戻りしていないんですよね。それが今のチームのいいところで、1位にいるからそれで満足するんじゃなくて、常に次の試合に向けて自分たちがどう成長するかにチャレンジできているし、勝ち点の積み重ねという取り組みとしてできている結果だと思います。

MF藤沢和也(商3=東京・早実)

――今日の試合のプランはどんなものがありましたか

1位と2位の対決ということで、厳しいゲームになるというのはみんなで言っていました。相手にボールを持たれる時間は長かったんですけど、謙虚に粘り強く戦うというところで、しっかりやって勝ち切れたことは良かったと思います。

――前半は狙い通りの戦い方ができたのではないですか

リスタートというのを狙っていたので、相馬くんから太一というところで、早い時間で得点できたことはすごく良かったと思います。相手にボールを持たれていても、しっかり抑えられていたというのが良かったと思います。

――後半の立ち上がりは順大に押し込まれるシーンが長くなりました。プレーしていて何かチームに変化は感じましたか

運動量が落ちて間の部分が空いてきたりしてはいたと思います。でも、失点してもみんなで攻めて盛り上げようというのがあったので、もう一回勝ち越せて良かったと思います。

――得点シーンを振り返っていただけますか

思い切りよく振ったら入ったという感じで……(笑)。左足でしたし、あまり練習でもやっていないかたちだったんですけど、入ったんで良かったです。

――ここ3試合、得点に直結するプレーが続いていますね

(攻撃が)いつも相馬くんのところから起点になっていたので、自分も結果にこだわろうとは思っていました。それが結果に結びついて良かったと思います。

――今日の勝利で追われる立場という構図が強くなったように思います。次節に向けて意気込みを教えてください

毎試合毎試合、謙虚にしっかり準備して次も勝てるようにやっていきたいと思います。