頼れる主将が3戦連発!苦しむ強豪を撃破し連勝伸ばす

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦の第3節が行われ、昨年度の全日本大学選手権の覇者・流通経大と対戦した。開幕連勝の勢いそのままに、早大が開始早々に先制するが、前半終了間際にセットプレーから追いつかれ、同点で45分間を終える。後半は一進一退の攻防が続いたが、終盤にFW岡田優希(スポ4=川崎フロンターレU18)が値千金のゴールを決め、ゴールデンウィーク3連戦の初戦で勝利を収めた。

 早大は、負傷明けの岡田がベンチスタートとなった影響で、これまでの2試合とは異なり、MF鍬先祐弥(スポ2=東福岡)をアンカーに置く4-1-4-1の布陣で試合に臨んだ。開幕2連勝の早大、一方で開幕2連敗の流通経大。その対照的な状況が、そのまま試合の入りにも表れる。DF牧野潤(スポ3=JFAアカデミー福島)が右サイドをえぐって好機を演出すると、その直後、今度はMF藤沢和也(商3=東京・早実)が右サイドを突破。MF栗島健太(社3=千葉・流通経大柏)がニアサイドに走り込んでボールを受けると、ゴール前に落とし、走り込んできたFW武田太一(スポ3=ガンバ大阪ユース)が2試合連続となるゴールを決めた。開始2分でリードを手にした早大は、その後も左サイドのMF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)を中心とした攻撃を軸にゴールに迫る。DF大桃海斗(スポ3=新潟・帝京長岡)の縦パスを起点とし、金田のスルーパスに藤沢が抜け出すチャンスもあったが、シュートまで持ち込めず、追加点は奪えない。すると、25分に給水タイムを挟んでからは流通経大がボールを持つ時間帯が増えた。「こっちが回させているという感じはあった」(相馬)と、ブロックをつくって構え、流れの中では相手に攻め手を与えなかったが、前半終了間際に試合を振り出しに戻されてしまう。左サイドからのFKをニアサイドに放り込まれると、GK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)が一度は防いだが、こぼれ球をFW岡崎優希(3年)に押し込まれ、後味悪く前半を終えた。

電光石火の先制点を決めた武田(中央)

 それでも、前半については「そんなに悲観することもなく、ポジティブに捉えていた」(大桃)。流通経大が前がかりに後半に入ってきたが、勢いにのまれることはなかった。パスワークからの崩しにはラインコントロールで対処し、相手のシュートチャンスは体を張った守備でつぶした。徐々にカウンターからチャンスをつくり始めると、62分に外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)は岡田を投入し、布陣を前節までと同じ4-2-3-1に変更。岡田は投入直後から積極的に仕掛ける姿勢を見せ、得点の機運を高めていく。75分以降は、ミスも絡んで再び流通経大に流れが傾きかけたが、ここも耐えしのぎ、迎えた81分だった。左サイドでボールを受けた岡田が、対峙するDFを振り切り、ボックス手前にぽっかりと空いたスペースにドリブルで持ち込む。相手DF2人が慌てて寄せたが、右足を振り抜くには十分な時間があった。次の瞬間、ボールはU20日本代表GKオビ・パウエル・オビンナ(3年)が伸ばした手をかすめ、ゴールに転がり込んだ。

岡田が3戦連続となるゴールで勝利を手繰り寄せた

 この日の主役も、やはり岡田だった。決勝点となる殊勲の一撃を沈め、喜びを爆発させた背番号29は、「ワセダのキャプテンとしての仕事ができた」と胸を張った。ただ、主役が大仕事をやってのけたのも、周到な準備とそれを実行した選手全員の奮闘あってこそ。強烈な『個』が揃う流通経大に自由を与えず、要所では粘り強い守備が光り、被シュート数は散発4本にとどめた。「一試合一試合しっかり分析して、コンディションを整えて戦うことが大切。毎試合やることは変わらない」(相馬)。開幕から続く悪い時間帯での失点は気がかりではあるが、地に足を着けて戦い、連勝街道を走る早大。岡田が「分岐点になる」と位置付けた強豪との3連戦は、どのように締めくくられるのだろうか。

スターティングイレブン

 

(記事 守屋郁宏、写真 石井尚紀、石黒歌奈恵、大山遼佳、下長根沙羅)


JR東日本カップ2018 第92回関東大学リーグ戦 第3節
早大 1-1
1-0
流通経大
【得点】
(早大)02’武田 太一、81’岡田 優希
(流通経大)45’岡崎 優希
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 小島 亨介 スポ4 名古屋グランパスU18
DF 20 牧野 潤 スポ3 JFAアカデミー福島
DF 杉山 耕二 スポ2 三菱養和SCユース
DF 大桃 海斗 スポ3 新潟・帝京長岡
DF 冨田 康平 スポ4 埼玉・市浦和
→62分 29 岡田 優希 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 鍬先 祐弥 スポ2 東福岡
MF 14 藤沢 和也 商3 東京・早実
→84分 25 神山 皓亮 商3 栃木・真岡
MF 金田 拓海 社3 ヴィッセル神戸U18
MF 栗島 健太 社3 千葉・流通経大柏
MF 11 相馬 勇紀 スポ4 三菱養和SCユース
FW 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
早大 +3
順大 +6
明大 +4
法大 +2
駒大 +1
桐蔭横浜大  0
専大 -1
国士舘大 -1
東京国際大 -3
10 東洋大 -4
11 流通経大 -3
12 筑波大 -4
※第3節暫定(4月28日終了時点)
関連記事

昨季王者に逆転勝ち!外池ワセダが2連勝を飾る(4/15)

コメント

FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

ワセダのキャプテンとしての仕事ができたと思います。僕が1年の時のキャプテンだった金澤拓真さん(平26スポ卒=横浜F・マリノスユース)がこういうプレーを毎試合していて、優勝まで導く姿を見ていました。過去2試合は、最初から試合に出て得点を取ることはしましたが、こういう時だからこそ、選手として、キャプテンとしても途中から試合に出場して結果を残すことができてよかったです。

――途中交代の際、監督から指示などはありましたか

試合開始前に、「試合に出たら力をしっかりと発揮できるように準備をしておいてほしい」と言われました。交代するタイミングは、後半が始まって5分ぐらいで呼ばれましたが、その時には特に何も言われませんでした。先週の金曜日にケガをしてしまって、(今週は)木曜日と金曜日しか練習をしていなかったので、出場しても30分ぐらいにしようと監督と相談していました。ただ、ケガを通して、もう一度自分自身の体に対して理解をすることができたので、無駄なケガではなかったです。負担がかかっていた部分も多かったので、リフレッシュもできました。

――ご自身のゴールを振り返っていかがでしたか

1節と2節で決めたゴールはどっちもワンタッチでのシュートだったのですが、ドリブルからシュートができることも証明できて良かったです。練習でもドリブルの確認をしましたが、練習通りにしていたら点は入っていなかったと思います。相馬(MF相馬勇紀、スポ4=三菱養和SCユース)にDFがついていて、抜いた後も自分についてこなかったので、冷静に判断をすることができました。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

プロになれば中2日や3日でも試合が続いて、チャンピオンズリーグではトップ選手もこういう間隔の中でパワーを出し切ってプレーをしています。自分が目指しているのはそこです。次の試合に向けていい準備をして自分の力を発揮できるように、チームとしても個人としてもできるようにしたいです。しっかりリカバリーをして、次に向けてコンディションを整えて準備をします。

MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)

――長めの準備期間がありましたが、どのような準備、対策をしてきましたか

特に相手の攻撃の特徴が左サイドにあるということだったので、そこは徹底的につぶそうということでやってきました。

――布陣も前節から変わりました。作戦的な部分もあったのですか

いや、あれは岡田の足の状態という話もあったので。ただ選手層厚く戦えているということは良かったと思います。

――左サイドにスペースをつくっての攻撃で何度も攻め込みました

自分の特徴もあるので、そこはみんなが生かしてくれるようにしてくれていますし、良かったと思います。

――試合の流れを振り返っていかがでしょうか

先制点は良い時間帯でとれましたけど、試合全体を通していえば、前半終了間際に失点してしまったところがあまり良くなかったと思います。

――前半25分頃から試合がややこう着しました。あれは意図的なものだったのか、それとも相手に合わせてしまったという印象ですか

いや、こっちが回させているという感じはあったので、そんなに悪い感じではなかったです。

――後半は交代を機にギアが入った印象がありましたが

そうですね。やっぱり岡田が攻撃的(な選手)なので、そこをうまく使えたんじゃないかと思います。

――ご自身のパフォーマンスについてはいかがですか

新たなフィットネス的な体のトレーニングも取り入れているので、動けるようになってきていると思いますし、良いんじゃないかなと思います。

――次節までの試合の間隔は少し詰まっています。どんな準備をしていきますか

一試合一試合しっかり分析して、コンディションを整えて戦うということが大切なので、それだけを考えてやっています。毎試合やることは変わらないので、(今日の)勝ちというのは1回忘れて、また新たな分析をして、新たな体づくりを始めてということをやっていくだけだと思います。

DF大桃海斗(スポ3=新潟・帝京長岡)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

早い段階で点が取れたので、(試合に対して)いい入り方ができたんですけど、前半の終盤に失点してしまいました。でも自分たち的には、ハーフタイムにもそんなに悲観することもなくポジティブに捉えていて、逆に引き分けだったら負けと同じ感じかなと思っていました。危ないシーンもあったんですけど、岡田さん(FW岡田優希主将、スポ4=川崎フロンターレU18)が点を取ってくれて勝てたのでよかったです。

――中盤や前線からのプレスで守備がハマっていたと思いますが、相手の攻撃面はいかがでしたか

相手のスカウティングをしていて、結構サイドにボールを蹴ってくる戦い方をしてくるのはわかっていたので、(プレスに)行くところは行く、行かないところは行かない、とメリハリをつけることで多少安定した守備ができたかなと思います。

――大桃選手からのくさびのパスやフィードが綺麗に通る場面もありましたが、オフェンスとして意識されたところはありましたか

あそこは普段の練習から狙っているところで自分の特徴でもあるので、試合の状況を見ながら常に意識していました。

――セットプレーからの失点についてはどうお考えになりますか

スカウティングでも相手のセットプレーは危ないと言っていながらも、ああいうふうに失点してしまったのは自分たちの課題です。セットプレーが課題だと思っているので、そこは次の明大戦までに修正していきたいと思います。

――開幕3連勝ですが無失点の試合がありません。昨年と違いDFリーダーとしての立場からどうお考えになりますか

そこはスタッフさんからも無失点でいきたいと言われているんですけど、なかなかセットプレーだったりで失点してしまうシーンが多いので、次は無失点で抑えられるようにしたいです。

MF栗島健太(スポ3=千葉・流通経大柏)

――相手が流通経大でしたが、意識されるところはありましたか

相手には同期だったり先輩が出ていたので、負けたくないという気持ちがありました。

――今日はいつもより前目でプレーされていました

武田(FW武田太一、スポ3=ガンバ大阪ユース)がうまくそらしてくれていて、自分のところに転がってくることが多かったので、まずは奪われないようにすることを考えて、簡単にできるところは味方を使って、自分のところに転がってきたらシュートも狙っていました。

――その中で1点目のアシストをされました

藤沢(MF藤沢和也、商3=東京・早実)がうまく自分の動きを見てくれていて、自分の見える位置に武田も来ていたので、うまく落とすことができました。

――試合全体を振り返っていかがですか

立ち上がりからエネルギーを出して、相手にやらせないようにしていたので、試合の流れとしては良かったかなと思います。

――これで3連勝となりましたが、次戦への意気込みをお願いします

次がメイジということで、大学サッカーの中でもレベルの高い相手だと思うので、そこに勝って、またいい波に乗っていけるように頑張っていきたいです。