ピンチの後に岡田のゴール。外池ワセダ、白星発進!

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)が開幕し、2部から昇格した早大は、昨季1部7位の桐蔭横浜大と対戦した。試合は、両チームともに決定機を決めきれない展開が続いたが、30分にFW岡田優希(スポ4=川崎フロンターレU18)が均衡を破る。後半に入ると、立ち上がりに追いつかれたが、68分に再び岡田がゴールを決めて、これを守り抜いた。1年5カ月前に降格を決定づけられた相手を下して、勝ち点3を獲得した。

 外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)にとって初のリーグ戦となったこの日、早大は4-2-3-1の布陣で、試合に臨んだ。試合開始直後は、両チームともにロングボールを多く選択し、ボールがなかなか落ち着かない。しかし、そこから最初に決定機をつくったのは早大。4分、DF大桃海斗(スポ3=新潟・帝京長岡)のロングボールにMF藤沢和也(商3=東京・早実)が抜け出したが、1対1の好機は相手GKに阻まれた。一方で、10分には相手にサイドチェンジの流れから突破を許したが、GK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)がゴールを守る。序盤に互いに一つずつ決定機をつくったが、試合はややこう着。しかし、27分にCKを3連続で与えたシーンを、FW武田太一(スポ3=ガンバ大阪ユース)や小島のセーブで切り抜けると、『ピンチの後にはチャンスあり』だった。29分に藤沢がサイドを突破し、ゴール前にボールを供給して相手を脅かすと、その1分後に試合が動く。MF金田拓海(社3=ヴィッセル神戸U18)のスルーパスに、再びボックス内で藤沢が相手DFの背後を取った。シュートはまたもGKの好セーブに阻まれたが、跳ね返りを岡田がワンタッチで蹴り込んだ。早大の流れは続き、前半終了間際には、武田や金田に決定的なシーンが訪れたが仕留めきれない。結局2点目は奪えなかったが、1点をリードしてハーフタイムを迎えた。

30分、主将・岡田(中央)のゴールで先制した

 しかし、後半になると形勢はひっくり返った。48分、桐蔭横浜大MFイサカ・ゼイン(3年)にクロスをあげられると、ファーポスト前で待っていたMF鳥海芳樹(2年)に押し込まれて失点。追いつかれた後もなお、攻撃のかたちをつくれない時間帯が続いた。57分にはボックス手前でFKを与え、相手のキックミスに助けられる。さらに63分には相手CKでサインプレーにかかり、DF小田島怜(4年)にフリーでシュートを打たれたが、MF栗島健太(社3=千葉・流通経大柏)がライン上でクリア。「持ちこたえて自分たちの空気をつくれたというのは良かった」(外池監督)と徐々に持ち直した67分、MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)の仕掛けからPA内の武田に決定機。これは決められないが、続く68分にスローインの流れからボックス手前で浮いていた岡田が右足を振り抜くと、DFに当たったボールは左ポストを叩いてゴールの中へ収まった。リードを奪い、外池監督は右サイドバックのDF牧野潤(スポ3=JFAアカデミー福島)に代えてDF小笠原学(社4=青森山田)を投入。小笠原は体を張った守備を見せ、チームに落ち着きをもたらした。2枚替えを行うなど勝負をかけてきた相手に流れを渡さずに時計の針を進める。「4年生の力が大きな勝因だったと思う」(外池監督)。終了間際に小島が勇気ある飛び出しを見せるなどしてリードを守り、開幕戦で勝ち点3を手に入れた。

守備でも奮闘し、再三好機もつくった藤沢

 1部復帰しての初陣を見事に飾った早大。前後半ともに、流れの行き来がはっきりしていたが、悪い時間帯を全員守備で耐え抜いて攻撃につなげ、好機で確実に刺した。それぞれの持ち場で、各々が奮闘してつかみ取った1勝だ。「ホッとしている。でも本当にここからが一番の分岐点になる試合だと思う」(岡田)。来週は昨季王者の筑波大、さらに全日本大学選手権王者の流通経大と試合が続く。強豪を相手に、『強いワセダ』を証明する最初の機会が、早くもやってくる。

スターティングイレブン

 

(記事 守屋郁宏、写真 佐藤菜々、佐々木一款)


JR東日本カップ2018 第92回関東大学リーグ戦 第1節
早大 1-0
1-1
桐蔭横浜大
【得点】
(早大)30’、67’岡田 優希
(桐蔭横浜大)48’鳥海 芳樹
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 小島 亨介 スポ4 名古屋グランパスU18
DF 20 牧野 潤 スポ3 JFAアカデミー福島
→68分 12 小笠原 学 社4 青森山田
DF 杉山 耕二 スポ2 三菱養和SCユース
DF 大桃 海斗 スポ3 新潟・帝京長岡
DF 冨田 康平 スポ4 埼玉・市浦和
MF 金田 拓海 社3 ヴィッセル神戸U18
MF 栗島 健太 社3 千葉・流通経大柏
→90+2分 13 高岡 大翼 社4 広島皆実
MF 14 藤沢 和也 商3 東京・早実
MF ◎29 岡田 優希 スポ4 川崎フロンターレU18
→88分 10 山本 隼平 スポ4 新潟・北越
MF 11 相馬 勇紀 スポ4 三菱養和SCユース
FW 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
順大 +4
明大 +3
法大 +2
専大 +1
  早大 +1
東京国際大  0
  国士舘大  0
流通経大 -1
  桐蔭横浜大 -1
10 駒大 -2
11 筑波大 -3
12 東洋大 -4
※第1節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――初采配はいかがでしたか

やってみないとわからないなと思っていたので、そんなに緊張はなかったんですけど、ここ(会場)に来て、一つ一つをこういう感じなんだなと思いながらやっていました。でも、きのうまでにほぼやれることはやったなという実感を自分の中で持てていたので、きょうは良い意味で楽しむというか、なるようになるんだという覚悟は生まれていました。

――きょうの試合をどう評価されますか

もっとやれたなと思うことはありますけど、相手があってのことですし、桐蔭横浜大には良いメンバーもいっぱいいますから。でも14週間で培ってきたものがしっかり形になったと思います。岡田のゴールもそうですし、苦しい中で右サイドに小笠原が入って、しっかり試合を落ち着けてくれたところが大きな勝因だと僕は思うんですけど、このプレシーズンで4年生がずっと頑張っていたところも見ていたし、きょうのメンバー選考も、そういうところに主眼をおいて臨むということを決めたので、そういう意味では4年生の力だったと思います。今シーズンがいよいよこの体制でスタートしていくんだなということを感じることができました。引き分けでもなかなか難しいだろうし、負けたら半信半疑も入ってくるでしょうけど、終わった後にみんなでああやって喜べたことは嬉しかったですね。

――収穫と課題を教えてください

もう少しコンパクトに、それからもう少し良いボールの動かし方ができただろうし、前半は良いかたちで(攻撃に)持ってきていた中で仕留めきれなかったので、あの回数をもっと増やしたいというのもあります。でも、後半苦しい中で、今まではずるずるといっていたケースも多かったんですけど、持ちこたえて自分たちの空気をつくれたというのは良かったかなと思います。勝てたことが一番よかったです。開幕が勝ちだったということで、メンバーも含めて今はまっさらという感じですけど、すごく次を考えやすくなったと思います。

FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)

――今のお気持ちを聞かせてください

難しい試合を勝ててホッとしている部分と、こういう試合を勝っていくのが関東リーグだなと、いよいよ始まったなという2つの気持ちがありますね。

――この試合に向けた準備としてはどんなことをしましたか

自分たちのコンセプトをはっきりさせることと、ことしはタイトル奪還という目標を達成するためにフィジカル、チームワーク、分析という三本柱を掲げたので、それに従ってどの試合も戦っていくということは掲げています。

――コンセプトという点で、きょうの試合はどれだけ表現できたと思いますか

きょうの1点目は自分たちからリトリートして、相手を引き込んでショートカウンターで仕留めるというかたちは、いままでやってきたものが出せたと思います。ただ、リトリートした時の強度とか、攻撃で自分たちが攻めた時のクオリティという部分で言うと、コンセプト自体の質をもっと高めないといけないというのは感じました。

――きょうは試合の流れが行ったり来たりしていた印象です

めまぐるしく、一瞬で状況が変わるということが多かったので、その分展開が読めずに難しい試合になったという風に思います。だからこそ、自分たちに展開を持っていくプレーとか、相手に展開を持っていかせないとか、攻守の境目にあるメンタル的な部分も含めたプレーも必要かなと思います。

――2得点とも、流れの悪い時間帯を耐え抜いた直後に得点が決まりました

そうですね。でも悪い時間をつくらないというのが一番なので、自分たちの戦略として理想の部分は追い求めつつ、相手の戦い方とか試合状況に応じた戦術という2種類の戦い方が今後必要なのかなと思います。

――ご自身の2得点を振り返っていただけますか

1点目に関しては、和也(MF藤沢和也、商3=東京・早実)がああいうかたちで抜け出すというのはオフシーズンから何回もやっていたかたちなので、それが出せてよかったと思います。2点目は自分でもびっくりしたんですけど、本当に決まってよかったなというだけですね。

――来週に向けて改善していく部分はどういったところになりますか

自分たちが失った時のプレッシングをはがされるとか、自分たちがボールをとったのに、判断が悪くて大きく蹴る形になってしまって相手ボールにしたりとか、攻守の切り替えの部分でのプレーですね。逆に言えば、そういった部分で先手を取れている場面はチャンスになっていると思うので、今までは攻撃と守備と分かれたコンセプトでやってきたんですけど、攻守の切り替えのところをもう少しやるという部分ですかね。

――以前お話いただいた通り、強豪との3連戦に弾みをつけて臨むことができます

そうですね。本当にここからが一番の分岐点になる試合だと思います。自分たちの人生が大きく変わる試合だと思うので、きょう勝ってまだまだやらないといけない改善点が見えなくなってしまうことが自分としては一番怖いので、しっかりと分析をやってくれる仲間もいるので、そこはしっかりやってもらって、自分はその中でプレーと姿勢で示していくということをやっていきたいなと思います。