【特集】『平成30年卒業生特別インタビュー』第2回 J1名古屋グランパス・秋山陽介

ア式蹴球男子

     4年前、高校年代日本一の経験を携えて早大の門をたたいた秋山陽介(スポ=千葉・流通経大柏)。3年時に全試合に先発出場を果たすと、4年時には背番号10を背負い、チームの中心選手として活躍した。昨夏、JFA・Jリーグ特別指定選手としてJ2リーグ戦で結果を残し、クラブやファンからの期待も大きい秋山。『名古屋グランパス所属のプロサッカー選手』へと立場を変えた現在の心境をうかがった。

    ※この取材は2月28日に行われたものです


    トレーニングに臨む秋山。風間八宏監督(左)からの信頼も厚い

    ――始動から開幕戦までの1カ月半はどのような期間でしたか
    秋山 昨年も少しチームに入らせてもらってやっていましたけど、一つ一つの精度だったり、判断のスピードというものをもっともっと上げていかないといけないと思っています。そういうところを意識して取り組んだ1カ月だったかなと思います。毎日吸収しなきゃいけないことが多いので、毎日が刺激的になっています。

    ――特別指定選手としてチームに帯同していた昨夏と比べ、ご自身の中で心持ちが変わった部分はありますか
    秋山 去年もチームの一員として戦わせてもらっていたんですけど、ことしはプロというかたちでチームに入らせてもらっている分、そこには特別指定の時以上に責任があるので、強い責任感というものを持ちながらやっています。

    ――名古屋グランパスの目指すプレースタイルを教えてください
    秋山 自分たちが常に主導権を握って、ゴールまでボールを運んで決め切るということを大前提に考えて、全体が連動してボールを前に運んでいくというのが名古屋のサッカーなのかなと思っています。

    ――秋山選手の特長も改めて教えてください
    秋山 攻撃での関わりの部分であったり、ハードワークするというところが自分の特長だと思っているので、そういうところを出していきたいと思います。

    ――風間監督は「プレーを楽しむこと」を強調されるように感じます。チームの雰囲気をどう感じていますか
    秋山 毎日トレーニングで一人一人の選手がトライをしていると思うので、非常に良いと思います。

    ――去年のチームから大きな変化などは感じますか
    秋山 去年入った時と比べて、チーム全員が(目指していく)サッカーというものをより理解してやっているので、去年より質が高い部分もあると思います。自分もそうですけど、新しい選手も入ってきて、一人一人が新しいものを吸収しながらプレーをできているので、毎日変化していると思います。

    ――秋山選手自身は新しくチャレンジしていることなどはあるのですか
    秋山 去年はウイングバックだったんですけど、ことしはサイドバックをやらせてもらっていて、そこでも違う部分というのはありますけど、新しくというよりは継続的に、精度の部分だったり、守備のポジショニングだったり、攻撃の関わる回数を増やすための上がるタイミングだったりということを意識的にやっています。

    ――特に仲の良い選手は誰ですか
    秋山 青木(亮太)だったり、(宮原)和也だったり、結構いろいろな人としゃべります。ご飯に連れて行ってもらうのは(小林)裕紀さんが多いですね。(新井)一耀くんとかとも行きます。

    4年時、早大では中盤でプレーした

    ――改めて早大での4年間を振り返ってみるとどうですか
    秋山 いろいろ多くのことを学んだ4年間だったなと思います。

    ――プレー面ではボランチへのコンバートなど、変化もあったのではないかと思いますが
    秋山 サイドやってた時はただ仕掛け続けるという選手だったと思うんですけど、(4年時に)ボランチをやったり、練習試合では1年生の時からいろんなポジションでやらせてもらっていたので、仕掛けるだけではなくていろいろ判断できるように変わっていったのかなと思います。

    ――4年間で一番変わった部分は
    秋山 考えるようになったのかなと思います。考えてサッカーをできるようになったことは、ここでも生きていると思います。

    ――早い段階でクランパスへの加入を決断したと思います。「自分に合っている」というのはどういった部分から感じたのですか
    秋山 単純に練習参加して楽しくできたというのが自分の中で大きかったです。

    ――昨夏に特別指定選手として帯同した期間についてはいかがですか
    秋山 試合に出させてもらっている以上、結果を出さないといけないと思っていたので、いい経験で終わらせるつもりではなくて、チームの一員としてしっかり戦って勝つ、自分がアピールするということを考えていました。毎日勝負をしていたので、日々成長を感じられる期間だったなと思います。

    ――合流から2週間ほどで起用されましたが、起用を伝えられた時はどんな気持ちでしたか
    秋山 単純に「試合に出ることができるな」と。チャンスを与えてもらえたなと思いました。

    ――そのデビュー戦はホームでの愛媛FC戦(○7-4)でした。印象深い試合になっているかと思いますが
    秋山 得点も失点も多くて、そういう意味でもびっくりした試合だったんですけど、90分通して楽しくできたので。アシストできたのはおまけみたいなものなのかなとは思いますけど(笑)。でも(アシストは)自分のかたちでもあったので、それはうまく出せてよかったと思っています。

    ――9月下旬は関東大学リーグ戦とJ2の試合を掛け持ちする状態でしたが
    秋山 練習せずに名古屋の試合に入らせてもらっていたので、早稲田で練習をしているときにも、名古屋で意識していた部分というものを常に意識し続けてやらないと、行っても意味がないと思っていました。そういうところは意識して取り組んでいました。

    練習後のファンサービスには笑顔で応じていた

    ――プロ入り後の一つの目標に『開幕スタメン』はあったと思いますが、開幕戦(ガンバ大阪戦、○3-2)はいかがでしたか
    秋山 スタメンで出ることができたということは良かったですし、ホッとしましたけど、プレー自体は守備も攻撃も納得のいくものではなかったので、今週のトレーニングで次の試合にまた出られるようにという準備をしているところです。

    ――昨年J2の試合に出場した時と比べて、何か違いは実感としてありましたか
    秋山 相手の選手の技術というものはやっぱり高いですし、フィジカルの部分に関しても、自分はもっと予測のスピードを上げてやっていかないとだめだなと思いました。

    ――選手としての夢は「影響を与えられる選手」とのことですが、具体的にはどういうことですか
    秋山 自分のプレーを見ていた人たちに色々感じてもらって、その人たちの人生だったり日々の生活に変化を起こせるような選手になりたいなと思っています。

    ――他の選手のプレーに影響を受けた経験があるのですか
    秋山 大学の時でも、試合に一緒に出ていたり、見ていたりしていて、2つ上の拓真くん(金澤拓真氏、平28スポ卒=横浜F・マリノスユース)のプレーとかは「やっぱりすごいな」と。「技術だけではないんだな」と自分の中に変化がありました。その前の代のソノくん(園田慎一郎氏、平27社卒=東京・早実)も、技術が特長の選手ではなかったですけど、守備だったり、体を張るという部分がすごかったと思います。うまく言い表せないですけど、そういうこともひっくるめてサッカーなんだなと思いましたし、一生懸命やることで何かを伝えられるんだなと思いました。

    ――内定当初はA契約を目標にされていましたが、目標達成までもうすぐです(※注・3月3日、第2節ジュビロ磐田戦に出場し達成)。次なる目標は何ですか
    秋山 常に試合に関わり続けて、貢献していくということですね。

    ――改めて抱負をお願いします
    秋山 1試合でも多く試合に出て、チームの勝利に貢献したいなと思います。

    ――ありがとうございました!


    ◆秋山陽介(あきやま・ようすけ)

    1995年(平7)4月13日生まれ。身長171センチ、体重68キロ。千葉・流通経大柏高出身。スポーツ科学部4年。MF。関東大学リーグ戦1部通算31試合1得点。同2部通算20試合1得点。

    ◆名古屋グランパス

    2017年シーズンはJ2リーグ3位。J1昇格プレーオフの結果、2018年シーズンからJ1に復帰した。今季はスローガンに『攻める ~Go into Action~』を掲げ、タイトル獲得を目指す。風間八宏監督。


    (取材 守屋郁宏、写真 守屋郁宏、石黒歌奈恵)