4年生引退後初の公式戦で圧勝!大量14得点を挙げ初陣を飾る

ア式蹴球男子

 歓喜に沸いた関東大学リーグ戦(リーグ戦)最終節から2週間が経過したこの日、東京都トーナメント学生系の部予備予選1回戦、東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)戦を迎えた。これまでチームを率いてきた4年生が引退し、メンバーも背番号も一新して臨んだこの試合で、大量14得点を奪い相手を圧倒。新チームの初陣を白星で飾った。

 試合はいきなり動いた。2分、MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)の左CKにDF杉山耕二(スポ1=三菱養和SCユース)が高い打点で合わせ、ゴールネットを揺らした。その8分後、DF牧野潤(スポ2=JFAアカデミー福島)のサイドチェンジを受けた相馬からのスルーパスに反応したFW直江健太郎(商3=東京・早実)が落ち着いてゴールに流し込んだ。さらに14分には、相馬の左CKからMF高岡大翼(社3=広島皆実)がヘディング。これは相手GKに弾かれるが、跳ね返ったボールを自ら蹴り込むと、MF飯原健斗(文3=東京・国学院久我山)がコースを変えゴール。早々に3点のリードを奪い、試合の主導権を完全にものにした。その後も杉山からの縦パスや、両サイドバックの果敢な攻め上がりからチャンスをつくり続けたが、少々ボールを大事にしすぎてシュートチャンスを逸してしまう場面が見受けられた。このような状況の中、再びスコアを動かしたのはやはりセットプレーであった。38分、右CKを得ると相馬がゴール前にボールを供給。これは相手に弾かれたが、左サイドのDF冨田康平(スポ3=埼玉・市浦和)がこぼれ球を拾いクロスをあげると、FW武田太一(スポ2=ガンバ大阪ユース)が頭で折り返し、杉山がこの日2点目となるゴールを決めた。

開始早々にゴールを決め、笑顔を見せる杉山(写真中央)

 後半に入ってもワセダは攻撃の手を全く緩めずTSRゴールに襲い掛かる。48分、相馬からのダイレクトパスを直江がセンターバックの間で受け、ペナルティーエリア外からすかさずシュートを放ちゴールネットに突き刺した。1分後には、ここまで3アシストを記録している相馬の左サイドからの強烈なシュートで6-0とし、勝負をほぼ決定づける。55分には相手の見事なFKで得点を許すも、直後に飯原が直江とのワンツーで抜け出し、決定機を確実に決めた。その後も、直江のハットトリックとなるゴールや、武田と途中出場のMF石神佑基(スポ3=埼玉・市浦和)がそれぞれ2得点を挙げるなど、後半だけで大量10得点。試合が終わるその時まで貪欲にゴールを狙い続けた。

新たに10番を背負い、今大会のゲームキャプテンも任された相馬は計10得点に絡んだ

 「今までやってきたことは残しつつ、少しは新しいことをやっていこうと準備してきた」と、この日キャプテンマークを巻いた相馬は4年生が引退してからきょうまでの2週間を振り返った。3点目を奪った後には少し攻めあぐねる時間帯もあったが、最後まで攻撃の意識を保ち続け、結果として大勝を収めたことで、新チームとしてこれ以上ない初陣となった。しかし、セットプレーとはいえ格下相手に得点を許してしまったこともまた事実である。思い返せば、リーグ戦では不用意にセットプレーを与え、失点を喫して勝ち点3を逃す試合が少なくなかった。1週間後に控える2回戦では、今季共に2部リーグを戦った立正大との対戦が決まっている。リーグ戦第19節では苦戦を強いられ、1-1の引き分けに持ち込まれた難敵だ。それに加え、元から3年生が主力を担っていたチームであるため、戦力の低下はワセダに比べて軽微である。厳しい戦いが予想されるが、「旧チームとは違う新チームの良さがある。1週間でどれだけ成長できるかが大切」と相馬は力強く語った。2戦目では、早くも新チームの真価が問われることになりそうだ。

スターティングイレブン

(記事 森迫雄介、写真 栗村智弘、守屋郁宏)

第23回東京都トーナメント兼第98回天皇杯全日本選手権東京都予選
学生系の部予備予選1回戦
早大 14 4-0
10-1 
東京スポーツ・レクリエーション専門学校
【得点】
(早大)02’杉山、10’直江、14’飯原、38’杉山、48’直江、49’相馬、57’飯原、60’武田、61’武田、65’相馬、68’直江、71’大桃、73’石神、90+1’石神
(東京スポーツ・レクリエーション専門学校)55’
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 千田 奎斗 スポ1 横浜F・マリノスユース
DF 20 牧野 潤 スポ2 JFAアカデミー福島
DF 杉山 耕二 スポ1 三菱養和SCユース
DF 大桃 海斗 スポ2 新潟・帝京長岡
DF 冨田 康平 スポ3 埼玉・市浦和
MF 13 高岡 大翼 社3 広島皆実
→70分 鍬先 祐弥 スポ1 東福岡
MF 栗島 健太 社2 千葉・流通経大柏
MF 飯原 健斗 文3 東京・国学院久我山
MF ◎10 相馬 勇紀 スポ3 三菱養和SCユース
FW 武田 太一 スポ2 ガンバ大阪ユース
→66分 17 石神 佑基 スポ3 埼玉・市浦和
FW 15 直江 健太郎 商3 東京・早実
→80分 29 蓮川 雄大 スポ3 FC東京U18
◎=ゲームキャプテン
監督(暫定):竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース)
コメント

MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)

――新チームとなって準備期間は2週間ほどだったと思いますが、どのように過ごしてきましたか

天皇杯というのは勝っていけばJリーグのクラブと(試合が)できるわけで、自分たちが目指す目標のうちのひとつになるので、まずはきょうの試合で勝つということを目指しました。でも2週間ということでチームづくりがそんなにできるわけではないので、今までやってきたことをまずはそのまま残しつつ、でも少しは新しいことをやっていこうというふうにしてやってきました。

――きょうの相手は未知数な部分も多いチームだったと思いますが

ホームページとか、ツイッターで調べても試合の情報とかも出てこなかったので、スカウティングができなかったんですけど、そうなると自分たちがやるべきことをするしかないし、相手は専門学校ということで、負けてはいけない相手だというふうに思っていました。

――試合全体を振り返っての印象としてはいかがですか

大量得点ができたところは良かったと思うんですけど、あれを前半からできなかったというのが今のチームの現状かなというふうには思います。

――収穫や課題などはありますか

収穫としては、サッカーの本質というか、ボールを受けたら最速でゴールを狙いに行くという部分は、相手の守備のレベルは抜きにしてもできた部分が多かったと思います。攻撃の面では連携もよくとれていて良かったのかなと思うんですけど、やっぱりセットプレーで1点取られてしまって、前のチームでも青学戦(関東大学リーグ戦第13節、●3-4)とか、セットプレーに泣いた時期もあったので、セットプレーを守るというのも大事ですけど、ファウルをしないという部分を改善していかないといけないなと思います。

――来週の2回戦は立正大との対戦になりますが

(前回対戦時も)相手は3年生が中心で出ていて、4年生は1人とか0人という感じで、ほぼメンバーは変わっていないということで、自分たちは4年生が出ていても、2部優勝したメンバーでも1-1の引き分け(関東大学リーグ戦第19節)という結果があるので。ですけど、新チームは新チームで違う良さというのがあると思うので、1週間どれだけ成長できるかが大切だと思うので、練習をしっかりして、次はスカウティングもできるので、弱点を見つけてやっていければいいと思います。

――新チームの理想像については既にチーム内で共有されているのですか

4年生は個々の能力が高くて、それが抜けてしまったということで、前のチームはどちらかというと個人の能力を全員で生かしながらのサッカーで、今までのワセダがそうだったと思うんですけど、メンバーも抜けて人も変わればチームも少しは変わらなきゃ勝てないと思うので、個の部分を成長させつつもチーム戦術とか、両方をレベルアップしていければいいかなと思っています。