攻撃陣が躍動して4発快勝!優勝へ望みをつなぐ

ア式蹴球男子

 早大は前節の中大戦(〇3-0)で快勝を収め、再び昇格圏内の2位へ返り咲いた。関東大学リーグ戦は残り2試合となり、この日は6位・東京学芸大との対戦を迎えた。序盤から高いポジションを取り、積極的に点を狙いにいくと、16分に左CKからDF熊本雄太(スポ4=東福岡)が押し込み先制に成功する。さらに、23分、39分と立て続けにFW飯泉涼矢(スポ4=三菱養和SCユース)が得点を奪い、前半だけで3-0と大きくリードを広げた。後半になっても攻撃の手を緩めることなく、追加点を奪い4-0と完勝。昇格圏内の2位をキープし、最終節に首位・国士舘大と2部優勝を懸けた直接対決へ臨むこととなった。

 前半立ち上がり、早大はボールを保持する時間帯が続く。前節同様、飯泉を起点にボールを展開してチャンスを多くつくり出した。また、ボールを失っても高い位置からプレッシャーをかけてすぐに奪い返すシーンが多く見られた。だが、決定機を決め切れずにいると、逆に相手に決定機をつくられる。12分、早大のディフェンスラインでのパスミスをインターセプトされると、GK笠原駿之介(法2=埼玉・早大本庄)もかわされ、絶体絶命の状況となる。しかし、カバーに入ったDF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)がゴールライン手前でシュートをクリアし、なんとかピンチを切り抜けた。すると、その直後に早大が先制点をもぎ取る。16分、MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)の左CKは一度ディフェンスに跳ね返されたものの、こぼれたボールを熊本が押し込んだ。さらに、勢いづいた早大はここから攻勢を強める。23分、左サイドでパスをつなぐと、FW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU18)が受けてゴール前へスルーパスを供給する。これに飯泉が抜け出すとGKとの1対1を制して、ゴールへ流し込んだ。「シュート練習でもああいうかたちというのは意識してやっていた」と振り返る通り、練習通りのかたちから追加点を生み出した。さらに39分、セットプレーから再び飯泉が押し込み、この日2得点目を挙げる。前半だけでシュートを10本放ち、主導権を握ったまま3-0と大きくリードして前半を終えた。

今季リーグ戦初スタメンで先制弾を決めた熊本

 後半になっても試合は早大ペースで進む。61分には左サイドの相馬のクロスにMF鈴木裕也副将(スポ4=埼玉・武南)が頭で合わせて4-0とし、試合の大勢を決した。その後も途中出場のFW武田太一(スポ2=ガンバ大阪ユース)が相手GKのパスミスを奪いシュートを打つなど、積極的に攻める姿勢は崩さず。試合終盤にロングスローから決定機をつくられることもあったものの、笠原を中心とした粘り強いディフェンスで得点を許さず、4-0と東京学芸大を圧倒し完封勝利を収めた。

2ゴールの活躍を見せた飯泉はこの日も攻撃の中心を担った

 この日は攻め込まれる時間はあったものの、終始自分たちのペースで試合を進め、効果的に得点を積み重ねることができた。「チーム一人ひとりが、『自分はチームのために何ができるのか』ということに対して、逃げずに向き合えたことが、この結果につながった」(鈴木準)と振り返る通り、チーム全員が高いモチベーションでこの日の試合へ向けて準備を積み重ねてきたことが、攻守ともに圧倒しての勝利につながったといえるだろう。次節はいよいよ首位・国士舘大との直接対決。今節、国士舘大は引き分けたため、次節早大が勝利すると逆転での2部優勝を果たすことができる。「とにかく次の試合、勝つしかない」(鈴木準)。1部昇格へ、そして逆転での2部優勝へ。全てを懸けた90分にエンジイレブンが挑む。

スターティングイレブン

 

(記事=新開滉倫 写真=栗村智弘/守屋郁宏)

 

 

関東大学リーグ戦
早大 3-0
1-0
東京学芸大
【早大得点者】16熊本/23,39飯泉/61鈴木裕
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 笠原駿之介 法2 埼玉・早大本庄
RB 安田壱成 スポ4 ベガルタ仙台ユース
CB ◎鈴木準弥 スポ4 清水エスパルスユース
CB 39 熊本雄太 スポ4 東福岡
LB 17 冨田康平 スポ3 埼玉・市浦和
CMF 32 栗島健太 社2 千葉・流通経大柏
CMF 10 秋山陽介 スポ4 千葉・流通経大柏
RMF 14 鈴木裕也 スポ4 埼玉・武南
FW →79分 金島遼 先理4 神奈川・桐蔭学園
LMF 相馬勇紀 スポ3 三菱養和SCユース
CF 石川大貴 スポ4 名古屋グランパスU-18
FW →72分 岡田優希 スポ3 川崎フロンターレU−18
CF 飯泉涼矢 スポ4 三菱養和SCユース
FW →65分 武田太一 スポ2 ガンバ大阪ユース
◎=キャプテン
監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
国士舘大 47 21 14 41 20 +21
早大 44 21 13 59 25 +34
中大 42 21 13 44 32 +12
拓大 35 21 39 22 +17
東農大 27 21 30 28 +2
東京学芸大 26 21 33 35 −2
青学大 25 21 10 38 41 −3
立正大 22 21 10 26 39 -13
神奈川大 24 21 37 39 −2
10 東海大 21 21 10 24 43 -19
11 日大 18 21 11 18 31 -13
12 朝鮮大学校 11 21 16 19 53 -34
※第21節終了時点 ※上位2チームが自動昇格 ※国士舘大の昇格が決定
コメント

DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)

――落とせない試合で完勝を収めました。今の心境はいかがですか

ホッとしています。ただ、中大も勝ったことで状況は変わっていないですし、とにかく次の試合、勝つしかないという気持ちです。

――負ければ3位転落の可能性もあった試合ですが、チーム全体としてどういう雰囲気で臨むことができたと感じていますか

中大戦は本当にいい雰囲気で臨めていました。あのエネルギーをもう一度全員が出すというのは難しいことだと思っていましたけど、全員がもう一度あの時のようなエネルギーを持って、一週間取り組むことができました。チーム一人ひとりが、「自分はチームのために何ができるのか」ということに対して、逃げずに向き合えたことが、この結果につながったと思います。

――4年生の活躍が光りました

やっぱり4年生が戦えなければ、1部昇格という目標は成し遂げられないですし、その目標も自分たち4年生が中心となって掲げたものなので、本当に達成したいという思いは強いです。自分たち4年生はまだ結果を残せていません。口だけで終わりたくないですし、最後の試合でも勝利に導ければと思っています。

――前半、鈴木選手のシュートブロックがチームを救った場面もありました。ご自身の気持ちが前面に出たプレーの一つだったと思います

自分自身としても、これからもサッカーを続けていく中で、自分のパフォーマンスにもこだわっていかなければいけないとも思っています。ただ、最近はそういうことではなくて、本当にチームが勝つためのプレーに集中できていると感じています。正直、最近の自分のパフォーマンスは良くないです。これまでなら、それを必死にどうにかしようとしたり、イライラしたりしていたところを、今はチームに必要なことから優先して考えられるようになりました。それが結果につながっていますし、いいプレーではなく勝つためのプレーができているのかなと思います。

――最後の一週間、チームとしてどう取り組んでいきたいですか

やること自体は変わりません。今まで大事にしてきたこと、ワセダらしさを大事にしていきたいです。本当に残り90分で終わってしまうわけで、そこで全てを出し切るために、いい雰囲気で覚悟を持って、全員で準備していきたいです。

――相手は今季2戦2敗の国士舘大です。ア式での最後の試合を宿敵と、それも昇格を懸けて戦うことになります

勝てば昇格、しかも相手は国士。正直、出来過ぎだと思いますね(笑)。この試合で負けてしまったら、これまでの勝利の意味がなくなってしまいますし、何より後輩たちにもう一年、2部で戦わせるわけにはいかないので。目標を成し遂げずに卒業していくわけにはいきません。相手が2部で一番強いチームだというのはわかっていますけど、本当に勝てればそれでいいので、気を引き締めて臨みたいです。

DF熊本雄太(スポ4=東福岡)

――再び昇格圏内に戻って迎えたきょうの試合でした。どんな意気込みを持って試合に入りましたか

きょう勝たないと先週勝った意味もないですし、優勝を狙うにしても絶対に落とせないですし、昇格するにしても中大が勝ち点2差で下から来ているので、きょうは絶対に勝たないといけないという意気込みで臨みました。

――3月以来の公式戦のスタメン出場でした

そのためにずっと準備してきたので、やってやるという気持ちしかなかったです。

――DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)とコンビを組むのは久々だったと思いますが

去年からずっとやってきて信頼関係はありますし、そこの心配は全然なかったです。

――セットプレーの流れから先制点をマークしました

1発目では来なかったんですけど、セカンドボールが来たら反応してやろうという気持ちでいました。ちょうど僕の目の前に落ちてくれたので、あとは振るだけでした。

――重要な試合で、早い時間帯にリードを奪いました。ホッとした部分もありましたか

そうですね。先制点を取れたことは本当に大きかったですし、早い時間帯でああやって点を取れたのは本当に大きかったなと思います。

――守備面でも、完封で試合を終えましたね

前半の早い段階で点を取って、その後涼矢(DF飯泉、スポ4=三菱養和SCユース)が立て続けに点を取ってくれて、守備陣からしても結構心にはゆとりができました。落ち着いて最後まで0でいこうという話は準弥ともしましたし、落ち着いた守備ができたと思います。

――相手のロングボールをことごとく跳ね返す姿が印象的でした

自分の強みはそこだと思っているので、そこでは負けられないと思っていました。

――来週の国士舘大戦は全てを懸けて戦う試合になると思います

もうやることは一緒なので、来週1週間、練習のところから高めて、国士に勝てるようにやっていきたいと思います。

FW飯泉涼矢(スポ4=三菱養和SCユース)

――残り2試合となりましたが、きょうの試合はどのような意気込みで臨みましたか

負けたら終わりという後がない状況でしたけど、それをネガティブに捉えるのではなく、前節同様、勝ったら昇格を自分たちの手で手繰り寄せられるというところで、みんなで絶対勝つという強い気持ちを持って臨みました。

――前半序盤からかなり押し込んでいましたが、それは強い気持ちの表れということでしょうか

そうですね。自分の役割として相手のラインを押し下げて自分たちのリズムをつくっていくというのが求められていますし、戦い方としてもチームと自分が一番強みを発揮できるかたちだと思うので、あのように押し込んでいこうとなっていました。

――先制点を取る直前には押される時間帯もありました

ディフェンスラインも集中してプレーできていましたし、クマ(DF熊本雄太、スポ4=東福岡)もいて、ディフェンスに心配することは何もなくて、むしろ心強いという気持ちです。あれだけディフェンスが守ってくれたので自分たちも結果を出さないといけないと思っていました。

――その結果を2得点としてしっかりと出しましたが、まず1点目を振り返っていかがですか

ヴィエラ(FW石川大貴、スポ4=名古屋グランパスU18)がいいかたちで受けて、クロスの動きでスペースを狙うというのは練習の中でもやっていましたし、シュート練習でもああいうかたちというのは意識してやってきたので、落ち着いて決められて良かったと思います。

――2点目はセットプレーからの得点でしたね

あのときは壱成(DF安田壱成、スポ4=ベガルタ仙台ユース)がヘディングで競り勝って、たまたま自分のところにこぼれてきたので押し込んだというかたちです。自分のところにこぼれてきて良かったなと思います。

――ここ2試合の好調の要因は何でしょうか

後がないというのもありますし、今はしっかりと戦い方を共有できているというところで、チーム全員がいい意識を持ってプレーできているからだと思います。

――前節の試合後に古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)から「ファーストアクションとファーストプレッシャーの質を高めたい」というお話がありましたが、この部分に関してはいかがでしたか

自分の強みとしてファーストアクションだったりファーストプレッシャーというのがあると思っていますけど、前節は自分自身、それをやり切れなかったところもありました。きょうの試合は意識してやらないといけないと思っていたのですが、きょうも引き続き、最初の方はアクションでチームを引っ張ることやファーストプレッシャーにいき切れないところがあったので、次の試合はそこに注意して、チームを引っ張らないといけないと思います。

――次節は昇格を懸けた大一番となりますが、意気込みをお願いします

昇格、優勝のチャンスがまだ残っていますし、本当に勝って昇格を決める、ただそれだけです。全力で戦います。