関東大学リーグ戦(リーグ戦)第13節がホーム・東伏見で行われ、前回5-1で圧勝した青学大と対戦した。前節(神奈川大戦:◯6-0)のいい流れのまま確実に勝ち点を取りたい一戦。開始早々2得点を挙げるも、試合の流れをつかみ切れず失点してしまい、2-1で前半を折り返す。後半はチャンスも多くあったが1得点に終わってしまい、PK、CKによる失点で今季リーグ3つ目の黒星となってしまった。
7分にMF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)がDFの間を抜ける鋭いスルーパスを出し、絶妙なタイミングで飛び出したFW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)がGKとの一対一を冷静に決め切り、先制。「アフタートレーニングで積み重ねてきた成果が出た」と振り返る石川の成長を感じさせる先制点に続いて、8分にMF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)からのパスをFW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)が落ち着いて決める。しかし「全体的に気が緩んでしまった」と武が語るように、22分にドリブルでバイタルエリアに侵入されると、DFが寄せる間もなく強烈なミドルシュートを打たれ失点を許してしまう。その後も相手にボールを回される時間が長くなり、29分には左サイドからのクロスを勢い良くヘディングされるも、わずかに枠の右上に外れピンチを免れた。38分には、石川からパスを受けた相馬が左サイドから鋭いシュートを放つもGKにセーブされてしまう。ペースを戻し始めた早大は40分、武がパスカットで奪ったボールを相馬が落ち着いてゴール左隅に決める。しかし喜びも束の間、遅れてオフサイドの判定になり、ゴールは取り消しに。会場は異様な雰囲気に包まれた。そのままスコアは変わらず、2-1で前半を折り返す。
完璧なフェイントでGKをかわし、ネットを揺らした相馬。しかし遅れて副審の旗が上がり、幻のゴールとなった
後半は開始からワンタッチでボールを回される時間が続いた。だが早大も61分、MF柳沢拓弥(社4=清水エスパルスユース)からのパスをMF栗島健太(社2=千葉・流通経大柏)がダイレクトで強烈なシュート。わずかに枠の上へ外れるも、両者一歩も譲らない展開となってきた。しかし先に試合を動かしたのは青学大だった。66分、エリア内でDF杉山耕二(スポ1=三菱養和SCユース)のクリアしたボールがDF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)の手に当たってしまいPKを与えてしまう。これを冷静に決められ、2-2と振り出しに戻されてしまった。70分には石川が柳沢からのパスに合わせられず、シュートは枠外へ。75分には相馬がアーリークロスを上げ、石川がヘディングシュートで狙うも、惜しくも相手GKにセーブされる。得点の匂いを感じさせたまま迎えた76分、またしても相馬と石川の息の合った連携プレーから、ついに勝ち越しに成功する。相手DFからボールを奪った相馬からボールを受けた石川がゴール左隅に流し込んだ。しかし終了間際の89分、右CKから青学大の鋭いヘディングシュートがゴールに突き刺さり、勝利を目の前にまさかの失点。さらに90+2分、またしても右CKから同じかたちによる失点を許し試合終了。青学大の雄叫びが会場に響き渡る中、エンジイレブンは肩をガックリと落としピッチを後にした。
勝ち越し弾を決めた石川。この日2得点の活躍も、勝利に結びつけることはできなかった
スタートは好調に見えたが、試合の流れをものにできず、一瞬の隙をつかれてしまった。「全て防げた失点」(DF鈴木準弥主将、スポ4=清水エスパルスユース)を許してしまい逆転負け。プレーの質にこだわって練習に取り組んでいたオフシーズンの成果を出し切れず、悔しい結果となってしまった。「距離感が悪く、守備の切り替えのところでファーストプレッシャーにいけなかった。簡単にはがされてしまった」と石川は4失点の原因について振り返った。次節の相手は最下位に沈む朝鮮大。ホームで声援を送る人々に勝利を届けるためにも、この試合で浮き彫りになった課題をしっかりと修正し、無失点で勝ち点3を取りにいきたい。
スターティングイレブン
(記事=大山遼佳 写真=田中佑茉/守屋郁宏/新開滉倫)
関東大学リーグ戦 | ||||
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早大 | 3 | 2-1 1-3 |
4 | 青学大 |
【早大得点者】7,76石川/8武 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 小島亨介 | スポ3 | 名古屋グランパスU−18 |
RB | 2 | 安田壱成 | スポ4 | ベガルタ仙台ユース |
CB | 4 | ◎鈴木準弥 | スポ4 | 清水エスパルスユース |
CB | 20 | 杉山耕二 | スポ1 | 三菱養和SCユース |
LB | 17 | 冨田康平 | スポ3 | 埼玉・市浦和 |
CMF | 32 | 栗島健太 | 社2 | 千葉・流通経大柏 |
CMF | 10 | 秋山陽介 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | →89分 | 鈴木裕也 | スポ4 | 埼玉・武南 |
RMF | 11 | 柳沢拓弥 | 社4 | 清水エスパルスユース |
LMF | 7 | 相馬勇紀 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
CF | 8 | 石川大貴 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
CF | 15 | 武颯 | スポ4 | 横浜F・マリノスユース |
FW | →70分 | 金島遼 | 先理4 | 神奈川・桐蔭学園 |
◎=キャプテン 監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 国士舘大 | 30 | 13 | 9 | 3 | 1 | 25 | 13 | +12 |
2 | 早大 | 26 | 13 | 8 | 2 | 3 | 39 | 18 | +21 |
3 | 拓大 | 21 | 13 | 6 | 3 | 4 | 25 | 14 | +11 |
4 | 中大 | 21 | 13 | 6 | 3 | 4 | 24 | 21 | +3 |
5 | 青学大 | 18 | 13 | 5 | 3 | 5 | 21 | 25 | −4 |
6 | 東農大 | 17 | 13 | 4 | 5 | 4 | 20 | 16 | +4 |
7 | 東京学芸大 | 17 | 13 | 4 | 5 | 4 | 21 | 21 | 0 |
8 | 神奈川大 | 16 | 13 | 3 | 7 | 3 | 24 | 23 | +1 |
9 | 東海大 | 14 | 13 | 3 | 5 | 5 | 16 | 22 | -6 |
10 | 立正大 | 14 | 13 | 4 | 2 | 7 | 16 | 29 | -13 |
11 | 日大 | 10 | 13 | 2 | 4 | 7 | 12 | 20 | -8 |
12 | 朝鮮大 | 8 | 13 | 2 | 2 | 9 | 12 | 33 | -21 |
※第13節終了時点 ※上位2チームが自動昇格 |
コメント
DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)
――率直に敗戦をどう受け止めていますか
もったいなかったな、という感じです。
――DFリーダーとして、4つ失点をしてしまったことは悔しさも大きいと思います
PKとセットプレーも含めて、全て防げた失点だと思いますし、もっとDFが体を張って、ディフェンスを引き締めさせて、何としても守らなければいけなかったと思っています。
――終盤のセットプレーからの2失点を振り返って
誰かがマークを外したというわけではないですけど、あの時間帯で相手があれだけ「いけるぞ」となっていたのを、どれだけの選手が感じられていたかというのがあって。やっぱり、セットプレーは勢いというか、気持ちの部分が大きいですし、それを跳ね返せるだけの雰囲気を一人ひとりが出せたのかというと、そうではなかったと思います。それが失点の原因になってしまったと思います。
――「東伏見での5試合は全て勝ちたい」とおっしゃっていましたが、最初でつまずくかたちとなってしまいました
勝ち点15を取らなければいけなかったと思いますけど、現実は変えられないですし、圧倒的なアドバンテージを生かせず負けてしまった中で、簡単に「次目指してやろう」とは切り替えられないでしょうけど、どういう内容であれ次からも勝つしかないので。4年生にとっては東伏見で残り4試合しかできないわけで、そこは肝に銘じて、勝ち点12をぶれることなく取りにいきたいです。
――次節までの一週間の取り組みが、非常に大事になってくると思います
負けたからといって練習内容が変わるとか、そういうことはないです。大事なのは一人ひとりの意識で、2部リーグで自分たちが圧倒的に上回っているということはない中で、自分たちと相手の試合に臨む準備をする段階での取り組みの差が、きょうのような結果に表れていると思います。まだまだ隙が多かったからこそ、今まで守れていたはずの場面で守れなかったということにつながっていると思うので、まずは意識の部分、本当にそこに尽きます。次の試合は絶対に負けないという気持ちで、全員が取り組めるようにしていきたいです。
FW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)
――試合を終えての感想を聞かせてください
後期の初戦を勝っても、2戦目で負けてしまったら何も意味が無いというところを意識していたんですけど、結果こういうかたちで負けてしまって、自分たちの甘さが出てしまったのかなというふうに思っています。
――試合を振り返っていかがですか
ワセダの伝統として堅守というのがある中で、この4失点というのは明らかに問題点だし、オフシーズンの中でも準弥(DF鈴木主将、スポ4=清水エスパルスユース)だったり陽介(MF秋山、スポ4=千葉・流通経大柏)だったり小島(GK亨介、スポ3=名古屋グランパスU-18)がチームにいない中で、そこはずっと課題として挙がっていたんですけど、結果としてリーグ戦が始まった中でも修正できなかったということで、オフシーズンに取り組んできたことが出せなかったのかなと思います。
――ご自身の2得点についてはいかがですか
1本目のほうは、前期にずっとあのかたちの一対一でのシュートを逃してきていて、アフタートレーニングで積み重ねてきた成果が出たのかなと思います。2点目は完全に相馬が抜け出してくれて、良いパスをくれたので(笑)。あとは流し込むだけでした。
――2試合で9得点、攻撃の連携面で手応えはありますか
いや、でもまだまだ全然距離感も悪いし、きょうに関しては距離感の悪さが守備の切り替えのところでファーストプレッシャーにいけなかったりだとか、簡単にはがされてしまったりとかにつながったと思うので、結果だけ見れば得点は3点入ってますけど、内容良かったかといえば(そうではなくて)、その結果に関係なく内容にもっと目を向けていかなくてはならないのかなと思います。
――流れの中の守備について、前期よりもプレスがより激しくなった印象があるのですが、変化した点はありますか
総理(大臣)杯(出場)を逃して、「他のチームよりも夏に積み重ねる期間が多く取れるよね」という話をしていた中で、一つのボールを大切に、トラップだったりパスだったりの質にこだわってきました。切り替えの意識というのはそこにプラスアルファで付いたから、外から見ていてプレッシャーにいっているように見えるとは思うんですけど、意識はしていても4失点しているというのが現状なので、守備に関していえばそこが全てですかね。
――前期は快勝した相手に黒星を喫してしまいました。今回の敗戦をどう受け止めますか
前期も大勝はしましたけど、結局決定機を逃し続けて、前半最後にコーナーキックを決めるというかたちで、楽に勝てた相手ではなかったですし、相手は総理杯に出た中で積み重ねてきたものも多くあると思うんで。後期は全部難しい試合になることはわかっているし、相手はうちに対して特別なエネルギーを出してくると思いますけど、そこにうちが負けてしまった現状があるんで、もう一回来週1週間で積み重ねて改善できるようにしていきたいと思います。
――来週もこの東伏見の地でリーグ戦を戦えます。意気込みをお願いします
OBの方々が汗水流してトレーニングしてきたこの東伏見の地で自分たちが負けたっていうのはありえないことですし、屈辱的なことだと思うので、この負けっていうのを取り返せるように全員でもう一回高めあって、1週間良い競争をして、次の試合に臨みたいと思います。
FW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)
――2試合連続のゴールとなりました
自分自身の目標として得点王と、1試合1得点を掲げているので、それを達成できたのは良かったと思います。
――個人の調子というのは
これまでに比べたら良くなってきてはいると思いますけど、まだまだ改善すべき点は多いかなと思います。
――きょうの全体的な試合の流れについて振り返っていただきたいと思います
最初の早い時間帯でポンポンと点が入ったのは良かったんですけど、早めに取ってから全体的に気が緩んでしまったというか、そういった雰囲気になってしまって、前半に1点返されて。そこからなかなか自分たちのペースに持っていけずにセットプレーで安易な失点をして負けてしまいました。
――前期5-1で勝った相手に負けたということについてはどのように受け止めていますか
前期はオフシーズンの中で自分たちが走ったりとか厳しいトレーニングをしてきて、スタートが良かっただけという印象でした。5-1でしたけどまだまだ取れるところはあったので、もっと対処できたかなとは思います。
――ホームで勝ち点3を取りたいという気持ちは強かったと思います
そうですね。やっぱり東伏見で開催されるということで、ワセダのサポーターだったりファンの方だったりOBの方だったりが多く応援に駆けつけてくれた中で、こうやって負けてしまったというのはやはり残念ですし、申し訳ないなという気持ちでいっぱいです。
――今後の試合に向けて意気込みをお願いします
きょう負けてしまったので、しっかり反省すべき点は反省して、でもここで下を向いててもしょうがないので、また来週の朝鮮大との試合に向けていい準備をしていきたいなと思います。
GK小島亨介(スポ3=名古屋グランパスU-18)
――前期リーグ戦で5ー1と勝利した相手に敗戦を喫しました
きょうの試合は自分たちの甘さが出てしまったなというのが率直な感想です。
――ディフェンスを統率する上で気をつけた部分はどこですか
相手がテンポ良くボールを回してきたり、展開してくる中で、ディフェンスの受け渡しだったり、横ズレのところの受け渡しというのは素早くやっていかないといけないというのは前半通して感じていました。徐々に修正できましたけど、少しの隙というのが個人であって、はがされた部分があったのでそこは修正していきたいと思います。
――前半の中盤から後半にかけて相手に主導権を握られる展開となりましたが、原因はどこにあると考えられますか
自分たちがボールを奪った後にボールをつなぐ部分において精度が悪くて、奪った瞬間の味方につけるボールが悪かったことで相手ボールになり、守備の時間が増えてしまったと思うので、奪った後自分たちがボールを持つ時間が増えれば自分たちのゲーム運びができたかなと思います。
――セットプレーとPKで3失点でしたが、振り返っていかがですか
スカウティングでも青学さんはセットプレーを強みとしていると言われたので、前半は我慢強く守れた部分はあったんですけど、一瞬の隙でやられてしまったので、今後改善していきたいと思います。
――今季初の東伏見での試合でしたが、勝利で飾ることができませんでした
悔しさしかありませんし、OBの方々や普段お世話になっている方々に勝利を届けられなかったので、次の試合でしっかり取り返して、一部昇格を目指して頑張りたいと思います。
――チームとして、個人としてきょうの試合での課題というのはどこだと思いますか
さっき言ったところでもあるんですけど、ボールを奪った後のパスの精度はまだまだ上げていかないといけないですし、自分としてもディフェンスをまだまだ動かせていないところがあるので、そこの部分とあとは無失点にこだわっていかないといけないんで、もっと自分の守備範囲を広げていきたいと思います。
――次節へ向けて一言お願いします
次はもう負けられないので、全員で勝ち切りたいと思います。